■Net ヨーロッパのサイネージ
ロンドン・ヒースロー空港のサイネージは圧巻です。出発フロアでは、上部に横長の迫力ある大型LEDが美しいアート広告で客を迎え、その下、チェックインカウンターにはそれぞれ一機、合計で数十枚のディスプレイがヨコ面にずらりと並びます。
地下鉄ホームの曲面の壁では大型のスクリーンに映像を投影しています。エスカレーターの脇では36枚のパネルが一組のデジタルサイネージで空間を演出。
ピカデリー・サーカスでは昔ながらのネオンサインの上に、巨大なLEDが4面。CMや音楽情報が夜の繁華街にひときわ原色を輝かせています。
パリに来ました。「ムーラン・ルージュ」の入り口には、ロートレックのポスターが数多く残っています。ポスター文化が根付いているパリでは、米英や日本のようにデジタル化がなかなか進まないかもしれません。現にデジタルサイネージはさほど目立ちません。
しかしフランス的なサイネージはあちこちにあります。「シャネル」本店では、3面のディスプレイでファッションショーの鮮やかな映像を大写し。対照的に「エルメス」本店では、片隅にある鏡に13インチのディスプレイを埋め込み、さりげなくつつましく動画を流しています。
「ポンピドーセンター」ではポータブルなマルチメディア案内サイネージ端末を用意、マルセル・デュシャンの「泉」に近づいて操作すると、その便器の写真と音声での解説を流します。
フランクフルト。ツァイル通り脇の郵便局では、中に床屋さんが店を出していて、デジタルサイネージがカットの方式を解説して客引きをしています。宝くじ売り場「LOTTO」も同居、日本の宝くじ売り場と同様、小型の画面でくじのCMを流しています。
マイン川左岸に軒を連ねるタバコ屋カフェでは、カウンターでギャンブル情報をデータ表示していて、黒ビールを抱えるおじさんたちが食い入るようにサイネージを凝視しています。
イタリア、「ミラノ駅」。無骨な鉄筋建築の中に、グレイ枠のサイネージ端末が配備されていて、しっとりした広告映像を流しています。古い建築物に未来のイメージが溶け込んでいます。
ミラノのファッションショーでは、フォログラフィーを使った環境映像を流しています。白い装束のモデルを包み込むように、鮮明で透明なブルーのグラフィックが舞台を走り流れる。これも一種のデジタルサイネージ。イタリアが舞台表現で発展させることを期待させます。
ヨーロッパでは、街並みや環境に美しく溶け込んだデジタルサイネージが多い。昔から景観を大切にし、町のたたずまいや色彩に気を配ってきました。サイネージにも、アメリカのネオンサインとも、アジアの看板文化とも異なるしとやかなデザインが求められます。
そしてヨーロッパはアジアと同様、多様な民族、文化、社会、国家の集合体。それぞれのコミュニティによって、デジタルサイネージの姿も大きく変わります。個性ある発展に期待しましょう。






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