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2021年9月27日月曜日

メディア・コンテンツ市場のいま

メディアコンテンツ市場のいま



「日本と世界のメディアコンテンツ市場データベース」2021年版がヒューマンメディアから発刊されました。

 2020年のコロナ禍の影響による日本国内のメディア・コンテンツ市場の規模は、前年から6,612億円減(4.8%減)、131,076億円になったと推計しています。

読んでみましょう。






2020年、コロナの影響で映画、カラオケなど「興行・施設」は前年比43.3%減。「放送」は12.2%減。「パッケージソフト」は6.4%減。

他方「オンライン」は配信が大きく伸び、広告も増加、合わせて5.3%増となり、全体の41.4%を占めた。全分野合計は4.8%減少ながら13兆円台の規模を保った。




2010年代のコンテンツ市場は、2008年のリーマンショック後の09年に前年比5%縮小、東日本大震災の翌年の12年まで横ばいが続いた。

13年から拡大基調となり、16年には2008年規模に回復、以降も拡大を続けて19年は08年以降最大となった。

20年はコロナによる凹み。これが続くか、反転するか、の2021年。



メディア別では、配信等の「オンライン」は2011年に全体の13.4%を占めるにすぎなかったが、19年には34.8%を占めるまでになった。

規模は1911年の約3倍、金額は31,849億円増。2010年代の市場の回復と拡大はほぼこの分野が担った。


一方、映像・音楽・ゲームソフト、新聞、印刷出版等からなる「パッケージ」は、11年は43.5%を占めたが19年に全体の27.4%に縮小。規模は11年から19年までで27.4%減、金額では14,243億円減となった。「放送」は3.73.8兆円台を維持しているが市場全体では11年の29.5%から19年に28.0%に縮小した。




世界20か国・地域のメディア・コンテンツ市場規模を調査した結果、2019年円建てで米、中、日、独、英、仏の順となり、前年と変わらない。

世界最大の米国の市場規模は日本の約4倍で、2位の中国は約2倍、45位の独・英は約1/2、仏は約1/3





日本のコンテンツの海外市場は2019年に約2兆円。前年比16.3%増で、2012年から3倍近くに拡大。分野別ではアニメ、次いでスマホ向けのオンラインゲーㇺが大きい。

最大の分野はア二メで、19年には1.2兆円を超えた。次いでオンラインゲームが3,689億円、続いてマンガを主とする出版も拡大を続けている。





2019年の国内メディア・コンテンツと5分野の関連産業の市場規模総計は56.5兆円、GDP554兆円の9.9%を占め、外食26兆円、衣服10兆円を上回り、建設投資額63兆円に迫る規模になっている。

5分野:通信などコミュニケーション、広告、キャラクター、TVやゲーム機などメディアハード、ライブ)


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アナログからデジタルへの移行当初、コンテンツ市場は凹んだが、その後成長基調に。

コロナでまた凹むも、デジタルでの拡大は加速し、早晩ライブも戻る。海外市場も成長する。

期待が持てる産業です。政府の知財戦略が目論むデジタル+海外を軸とする市場拡大、コロナ後が本番です。


それ以上に、関連産業を合わせた市場に注目すべきです。ハード・ソフト合計の市場規模は衣食や建設と並ぶ産業の柱。

さらに、その周囲にはより大きな波及市場があります。波及効果を見込んで、この分野への投資規模を拡大する視点が求められます。

毎年とりまとめられる本データベースを政策のテキストにすることをお勧めします。

2021年9月20日月曜日

京都の平熱

京都の平熱


鷲田清一さん「京都の平熱」。

一乗寺の恵文社にぽつんと置いてあった。

読んでへんエラいこっちゃ。

あわてて買うてつけ麺「恵那く」に持ち込んで喰い読み。

祇園、岡崎、京大、下鴨、西陣、島原。東西南北ぐるり。

深い文化哲学ながら鷲田節が炸裂しています。


鷲田先生、阪大総長のとき初めて会いました。

ネット安全の協会を率いていただくお願いで。

中高大の後輩ですと挨拶したら「小学校どこ?」

京都人だけがやる小学校対戦。

御所に近いほうが勝ち。

ぼく修学院なんでほぼ勝ち目あらへんやん。


全共闘が百万遍の路上で火炎瓶を投げて機動隊と対峙した、と書いたあります。

小学生のころチャリで見物に行きました。人生で唯一、火だるまのひとを見ました。

京大の西部講堂で先生が「ロックコンサートを最初にした」、と書いたあります。

そうか。西部の先輩でもいらっしゃいましたか。


さてそんな「平熱」を、他の人ではさばけない筆致で描かはります。

ピグマリオンの人工美学、として、日本初のマネキン、ワコールの身体改造と

舞妓のしつらえにDX東寺(過激なストリップ小屋です)とを並置する。

その文脈に「河原町のジュリー」を登場させます。

鷲田節やなぁ。


京セラ、オムロン、ムラタ、堀場、島津、任天堂、ワコール。

京都企業の特徴は1.ベンチャー、2.伝統工業の技術移転、3.精密工業 と整理します。

そして「DX東寺の機械式空中ゴンドラの精巧さ」と結論づけます。

鷲田節やなぁ。

そのゴンドラ、読者ほとんど見たことおませんで。先生。


京都人のきわもの好きとして、歌舞伎を生んだ地がグループサウンズ(ザ・タイガース)やフォークソング(フォーククルセダーズ)を生んだ、その陸続きを説きます。

舞妓の足し算、修行僧の引き算というファッションが代表する異形の両極が入れ子構造になり「奥」を形作る。きわものの幅も京都です。


祇園甲部、舞妓さんの学校。

舞踏科、長唄科、小唄科、浄瑠璃科、笛科、華道科、絵画科というカリキュラム。

京都の「奥」ですね。

そんな奥、のぞいてみたいわぁ。

(実は、祇園の教えを受けられる学校づくりをこっそり企画しています。それはまたいずれ。)


西の海でとれる魚で京都まで運んで生きてるのは鱧だけ、食材が貧しかった、と京料理を斜に眺めはります。

一方、力餅食堂に大力食堂。しっぽく、にしんそば、たぬき。町なかの飯屋はショウケースにきなことあんこのおはぎが必ずある。山本まんぼのべた焼に天下一品本店。B級愛がほとばしります。


京都は「さてん」の町。

進々堂、らんぶる、築地、六曜社、しあんくれーる、蝶類図鑑・・。

登場する店ぼくもぜんぶ行ってる。けど、京都のさてんでは誰かと会った記憶はない。

先生の言うとおり「独りっきりになるための場所」だから。

はて、東京では、独りっきりになるための場所ってあるかな?


もちろん、京ことばにもひとことあります。

おうどんやさん。お豆さん。おいなりさん。おひさん。

お・・さん、とつけるしきたり。

京都ですな。


お父さんが言わはる、と家族にも敬語的な表現を使う、という京都の特徴も。

これについては、梅棹忠夫さんは「町民の無階層、市民対等意識」と分析します。

松田道雄さんは「第三者の行動の客体化、三人称単数のsと同様」とします。

京都の大家がみな気にする表現なのですな。


ついでに、梅棹さん、松田さん、そして加藤秀俊さんの京都本を推薦しときます。


「梅棹忠夫先生の「京ことば」」

http://ichiyanakamura.blogspot.com/2013/03/blog-post_18.html


「梅棹忠夫の京都案内」

http://ichiyanakamura.blogspot.com/search/?q=%E6%A2%85%E6%A3%B9%E5%BF%A0%E5%A4%AB


「松田道雄さんの京都追憶」

http://ichiyanakamura.blogspot.com/2013/03/blog-post_25.html


「メディアの発生」

http://ichiyanakamura.blogspot.com/2014/06/blog-post.html

2021年9月13日月曜日

9.11からの20年、脳天気な期待。

 9.11からの20年、脳天気な期待。

9.11直後に日本に戻ってプレゼンする予定だった能天気なスライド。


20年前の911日。アメリカはネットバブルが弾けたとはいえ、ネット最強の季節でした。

ぼくはMIT出身の女性起業家、ママメディア社イディット・ハレル社長とアポがあり、早朝ボストンからクルマを飛ばしてマンハッタンにさしかかるところで、テロに遭遇しました。

これは何度か記しました。 


NYからボストンに戻りつつ、カーラジオは絶叫で混乱するばかり、ドライブインのテレビ映像で事態を把握しました。

東海岸は通勤通学時で、3時間早い西海岸は寝ていました。

けれど日本の知人は全員ニュース映像で目撃してしまいました。

リアルタイム度はアジアのほうが高かった。


メディアが世界を映像でつなぐ「高度情報社会」は完成していました。

さすれば相互理解が進み、世界平和が訪れるという「脳天気な期待」は嘘っぱちでした。

相互理解は断絶と憎しみとテロと報復を生む。

アメリカは国家主義を振りかざし、すぐアフガン戦争が起こり、そしてイラク戦争となりました。


10年後、3.11で揺れた日本は、その揺れをテレビとスマホSNSで共有・拡散しました。

映像の威力を9.11以来 改めて認識しました。

ただ直後に現地に入ったぼくがたじろいだのは映像ではなく、ツンと強烈な「匂い」でした。

匂いは、デジタルの映像では伝わっていませんでした。

デジタルへの期待はまだ能天気なままでした。


そのころ、スマホとSNSが普及して、民主化の役に立ちました。

アラブの春がやってきました。

民主主義と資本主義がデジタルの波とともに地球を覆っていく。

一つの方向に進んでいく。

そんな「脳天気な期待」を抱きました。


それからまた10年。

アメリカは衰え、20年かけたアフガンで敗戦、撤退です。

イギリスはEUを抜けました。

アラブは春の後、内戦や強権政権に逆戻りしたりしています。

中国は鼻息が荒く、国内の締付けも進みます。

民主主義も資本主義も元気がありません。

「脳天気な期待」は、またも脳天気なままでした。


そしてコロナが国のかたちを浮き彫りにしました。

中国は強権で封じます。

フランスも強権ですがデモばかりです。

アメリカは州でバラバラです。

イギリスはロジスティック管理の強さを見せます。

インドは民衆に腕立て伏せさせます。

日本は要請と空気と忖度です。

世界はバラバラです。


その間、日本は没落していました。

かつて1位だった国際競争力は34位に転落。

コロナで得たのは、デジタル敗戦の認識。

20年前のeJapan戦略と前回の骨太方針はいずれも行政・教育IT化が旗頭。

20年、止まっていました。


デジタル庁を発足させ、この敗戦から復興を遂げる。

折しもデジタル技術はネット、スマホからAIデータへとステージが転換する場面。

ラストチャンスではないか。

明治・大正・昭和・平成という近代の起承転結に区切りをつけて、令和は脱近代に進む。

そんな心持ちかなぁ。「脳天気な期待」としては。


強行した五輪は、国家主義を称揚しませんでした。

特にティーンズたちが主体のシティ系新競技は、ハングリー精神よりも笑顔を見せる涼やかさ、背負うものは国家ではなく、愛や友情でした。

メダルを競う国家型の近代五輪は反転し、超近代の、ユルく楽しむ祭典になりました。

大きなレガシーです。


9.1110年後の3.1110年後のコロナ。

10年ごとに「能天気な期待」はしぼんでおります。

10年後は、何が待ち受けるか。

光を見たく存じます。

2021年9月6日月曜日

オタクサミットが開催されました

■オタクサミットが開催されました




池袋サンシャインシティを拠点に、東京2020公認文化オリンピアードとして。

国際オタクイベント協会(IOEA)佐藤一毅代表が実行委員長です。

ぼくはオープニングで祝辞・講演申し上げました。

https://otaku-summit.jp/






14世紀のペスト。教会の権威が下がり、産まれたのがルネサンス。

芸術と科学が産まれた。中世が去って近代が来た。

コロナは何を生むのだろうか。

アーティストもオタクも巣ごもる。

難儀な時代に生まれる表現がある。

ジャズもパンクも抑圧から生まれた。

新しいポップが産まれてくることを期待する。






クールジャパンという言葉が生まれて20年になる。

かつてはハラキリ、カミカゼに代表される「闘う国家」が日本のイメージだった。

これはトヨタ、ホンダ、ソニー、「闘う企業」に転換した。

いまこのイメージは、NARUTO、ピカチュウ、スーパーマリオ、「闘うキャラクター」に取って代わられた。 






現代日本の文化が欧米に受け容れられているのは、カブキ、スモウ、ゲイシャといった旧来のエキゾティシズムやオリエンタリズムとは様相を異にしている。

そしていま日本のポップカルチャーが示す伝搬力、浸透力、影響力は、かつて浮世絵が印象派の誕生に与えた刺激よりもはるかに大きいと考えられる。






2018年、「世界オタク研究所」がスタートした。

東京・港区にポップカルチャーの集積特区を作る社団法人CiP協議会が国際オタクイベント協会(IOEA)と連携して、世界中のオタク研究者の総本山を作る構想だ。







創設に当たり私はこう申し上げた。

「オタク研究の第一人者をネットワーク化し、5大陸の研究者やファンが喜ぶ研究機関に育てたい。

世界オタク研究所は世界中の研究者の砂場になりたい。

自由に遊んで、勝手に山を作って、掘り下げられる。

同時に研究資金やビジネスのおカネが回る工夫もしたい。」






クールジャパンの悩みはビジネスだ。

2004年に政府はコンテンツの市場を11兆円から2010年には15兆円への拡大を目標に据えた。

現在、13兆円。目標には届いていない。

ただ、これらコンテンツを利用したキャラクター商品、観光などの関連市場は57兆円となる。

GDP10%を占め建設投資額に迫る。






コンテンツ産業だけで見ればさほどのボリュームではなくとも、関連産業や波及効果・外部効果が大きく、コンテンツ「で」稼ぐ複合モデルが期待されている。

コンテンツ産業をブランド力やイメージを高める触媒として、家電や食品、観光など産業全体を成長させるのが政府の狙いだ。






ここ数年、コンテンツ市場は拡大基調で、特に配信等の「オンライン」は2011年から19年で3倍になった。

海外市場の開拓も進んでいて、日本コンテンツの海外市場は10年間で2倍以上拡大した。光も見えている。






2019年、スペイン・バルセロナ。

25年の歴史を持ち、5万人が集う日本のマンガを中心に据えたイベント「マンガバルセロナ」にて、IOEAと世界オタク研究所がタッグを組み、「オタクサミット」を開催した。

アメリカ、イタリア、中国、日本の研究者や活動家がオタクの課題と展望を熱く語った。






いずれの国もオタクのイメージは好転してきている。

かつてはニッチな領域だったが、メインストリームになってきた。

サブカルチャーではなくメインカルチャーとなってきた。

そういう指摘が相次ぐと同時に、オタクはグローバルに広がる、国境や体制や宗教を超えていく、という強い意見がみられた。






保護主義、右傾化といった世界のトレンドに対し、オタクが何をできるか。

その融和力をどう活かせばいいか。

オタクのソフトパワーを戦略的に活かせるかどうか。

さまざまな問いも投げかけられた。

オタクの可能性を改めて見直そうとするものだった。






その場にはスペイン・カタルーニャ州ヴィーヴァス文化大臣にもお越しになり、デジタル文化と技術革新の融合を進めるべくCiP協議会との協定の調印式も執り行った。

世界の東西の都市がポップカルチャーで組んで強みを発揮する戦略を進めようというものだ。






世界オタク研究所は、東京ベイエリアの竹芝地区にあるテック&ポップ特区「CiP」に置かれている。コンテンツやIT産業の集積するデジタル国家戦略特区を作るプロジェクト。

CiP協議会が母体となって推進している。

アニメ、ゲーム、音楽、ITなど50社・団体が参加し、2020年9月に街開きした。







ポップ&テックのイベントも竹芝で開く。

近未来を見せるショウケース。

「ちょっと先のおもしろい未来」。「Change Tomorrow」。どちらも、略称は「ちょもろー」。

第一回はオタクサミットの翌週に実施する。

テクノロジーにエンタメを融合させた新拠点で、世界のオタク研究を発展させたい。



ぼくのプレゼン。

「オタクニューノーマル!」

https://youtu.be/1Byq4l1vhy8