■Pop 映像版JASRACへの期待-1
さきごろ、テレビ番組出演者らの権利処理を一括して受け付ける組織が設立されるという報道がありました。テレビ番組のネット配信を進めるため、芸能プロダクションなどからなる「日本音楽事業者協会」(音事協)、J-Popのプロダクションが集まる音楽制作者連盟(音制連)、俳優らで組織する「日本芸能実演家団体協議会」(芸団協)の芸能3団体が窓口を一本化し、テレビ番組のネット配信について許諾を取り付ける機構を発足させるというものです。
音楽の権利処理では日本音楽著作権協会(JASRAC)が窓口だけでなく著作権管理まで行っていますが、この機構は窓口の業務に徹するのだそうです。それでも放送局の負担が減り、ネット配信が活発化することが期待されます。ぼくたちはこれまで「映像版JASRAC」構想を水面下で進めてきたのですが、ようやく1つの形に結実することを歓迎したいと思います。
また、「音楽コンテンツのマルチユース実験」も行われています。音楽・映像のアーカイブを構築して、ネットやケータイなどでの利用動向を把握し、配信・課金データや権利分配プロセスを検証します。これは音制連が中心となって実施するもので、総務省のサイバー特区スキームを活用します。ぼくもプロジェクト員としてかかわります。
総務省の情報通信審議会では、「コンテンツ取引市場」の論議を進めてきました。ぼくが主査を務めるワーキンググループでは、放送コンテンツの権利データベース構築実験やマルチユースコンテンツの制作・流通トライアルを企画し、関係業界の協力を得て実施・検証を進めています。
メディア融合、コンテンツ流通の実態は2008年に大きく動き始めました。そして2009年から今年にかけて、業界を横断する取り組みが民間ベースで本格化しています。
これら民間の努力に対し、「法制度」で問題を解決しようとするアプローチもあります。昨年ずいぶん政策現場で話題になった「ネット法」もその1つ。放送局や映画会社に権利を集約し、ネットで簡単にコンテンツを流通させようという制度プランです。権利者やクリエイターにとっては権利を剥奪される規制強化にもなるので反発も大きい。
政府の知的財産戦略本部や情報通信審議会でも、有識者や業界関係者がネット法やフェアユースなど著作権制度の改正論を幾度も時間をかけて審議しています。文化庁・文化審議会の場でも、録音録画補償金や著作権の保護期間延長問題などが延々と論議されている。ぼく自身、補償金については文化審議会の論議に参加し、延長問題では「著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム」に代表の一員として関わってきましたが、未だ結論を得ていません。
(つづく)













