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2022年10月25日火曜日

東京ゲームショウ2022

■東京ゲームショウ2022

 

東京ゲームショウ@幕張。

37か国から605企業・団体が出展。

3年前「もう来ないぞ。もうこんなおっさんの来るイベントじゃない。」と書きました。

3年ぶりなのでいそいそ来ました。

「東京ゲームショウ2019

http://ichiyanakamura.blogspot.com/2019/11/2019.html



ビジネスデイにもかかわらず大賑わい。

ソニックのブースは1時間待ち。

セガ杉野社長「3年ぶりだからテンション上がりますよ~」




各社テレビからPCへと主役が移行しています。

でも3年前は一色に塗りつぶしていたeスポーツの色が今回は薄い。

eスポーツはオンラインでの展示・イベントに場を移しているんですね。

定着した、ということですかな。



他方、新たに目立ったのはeスポーツ向けのイス(ニトリ)や、防音室に配信用ミキサー、マイクにヘッドフォン(ヤマハ)といった周辺環境。

ディープにゲームしようぜ。

新しいハードビジネスが生まれています。



メタバース御本家Meta(旧Facebook)も大きいブースを展開していました。

VRヘッドセット「Meta Quest 2」の体験コーナー、長蛇。

メタバースはゲームが着火点ですからね。



メタバースプラットフォームのclusterも出展。

XENOでは、CROOZ Blockchain Labが開発するNFTゲームを紹介。

NFTゲーム「PHANTOM GALAXIES」、プラットフォーム「PlayMining」、「Discord」。

やはり今回はメタバース/web3の花が咲き誇っていました。

実を結ぶのはいつかなー。



eスポーツ推しのころのNTTtwitchに替わる顔も多く、幅の広がりを見せました。

けれど外資が多い。

Tokyoは世界を引っ張っていけるかなぁ。



香港、韓国、マレーシアなどアジアの集団出展も目立ちました。

特に韓国政府のコンテンツ振興院KOCCA15のブースを引っさげてプレゼンスを発揮しています。

海外のこうしたポップ&テック産業イベントに日本政府が商談ブースを構えますかね?

KOCCA様とはぼくらのポップ&テック特区CiPも協定を結んでいます。

アジアからの世界発信、進めましょう。



新規参入、台風の目、吉本興業。

三畳一間。わび~

「疲れたら休んでってください~」

という呼び込み作戦。

「あとでマヂラブ野田がきます~」

だそうです。

「史上最短の設営時間でした~」

よろしゅうに。



そしてTGSの意義の一つ、人材育成。

たくさんの学校がブースを出しています。

常連、日本電子専門学校。

iUの兄貴分です。iUもいずれ混ぜてもらおう!

さて、来年は、もう来ないぞ。

2022年10月17日月曜日

推しエコノミー

 ■推しエコノミー

「推しエコノミー」という言葉。

中山淳雄著「推しエコノミー「仮想一等地」が変えるエンタメの未来」で知りました。

アイドルやアーティスト、キャラなど自分の好きな「推し」を応援する行為「推し活」がパワフルな経済圏を創り上げています。


大好きな人やキャラクターの作品やグッズをいくつもいくつも買う。舞台やライブに足を運ぶ。踊る。声援を送る。なけなしのお金と時間を費やす消費であり、表現であり、生きがいとなる。

「推し活」は性別、世代を超えて広がり、2021年の新語・流行語大賞にもノミネートされました。


1980年代から認知されるようになった「オタク」には内にこもる負の風情が漂っていました。アイドルやキャラクターへの愛着を示す言葉として90年代に広がった「萌え」も内的です。

が、2000年代に台頭した推しに人生をかける人たちは行動的で外交的。堂々と胸を張っています。

 

推し活はデジタルが主体。コンテンツを消費しながら、スマホやブログ、SNSを使った第三者への表現が伴う行動。その点が昭和や平成のファンとの違いです。ぼくのわたしの独り占めにはせず、みんなに「推す」のであって、共感を呼びかけ共有を誘う。


ファン集団はライバルではなく同志。好きなものを鑑賞しつつ、体を動かしてリアルに参加し、デジタルで他者とシェアする。

これは今後の娯楽消費モデルであるだけでなく、厚い層のライフスタイルになるかもしれません。





これをリアルに描くのが2021年の芥川賞、宇佐見りん著「推し、燃ゆ」。

勉強もバイトもままならず生きづらさを抱える女子高生が年上の男性アイドルを応援することに全てのエネルギーを注ぐ。応援する対象「推し」が唯一のよりどころとなる。

切ない物語が多くの共感を呼んでいます。





この若き女流作家のフィクションに対し、横川良明著「人類にとって「推し」とは何なのか、イケメン俳優オタクの僕が本気出して考えてみた」は、若い男性アイドルにハマる中年オヤジの生態を描く。コミカルでリアルな自己分析です。




中山淳雄さんの本はビジネス面から分析します。

コンテンツはネット消費へと主戦場を移す。並行して、ライブでの体験ビジネスが広がっている。

しかもコンテンツは関連グッズなど商品化ビジネスが大きい。アニメは派生ビジネスが制作費の20倍以上あるという。


ファンに推されるアーティストや作家は、コンテンツの内容に加え、ファンとのコミュニケーションが重要となる。

コミュニティの熱量を高め、ブランドを形作ることがビジネスの基本となります。


米国はコンテンツ産業がディズニー、ワーナーなど5大グループに集約されました。テンセントら中国資本も世界展開を進めます。日本企業は太刀打ちし難い。

が、アニメ・ゲーム分野では世界に通用する豊富なキャラクターを持つ。その資産を活かし、ファンを巻き込む戦略を描けるのではないか。


先例が韓国です。K-POPは欧米でも確固たる地位を築きました。「パラサイト」、「梨泰院クラス」など映画やドラマも国際的なプレゼンスは日本を凌駕します。

官民を上げて推進した知財戦略の成果と言えるでしょう。


特に「BTS」のファン戦略は著名です。SNSなどを通じて英米圏にファンを獲得しただけでなく、友達のような距離感で双方向コミュニケーションを続けたといいます。

 



韓国の戦略は、カン・ハンナ著「コンテンツ・ボーダーレス」に詳しい。

ぼくもハンナさんと対談し、巻末に収められています。

コンテンツとファンとのコミュニケーションをいかに戦略的に結びつけていくか。

そのweb2手法はweb3にも受け継がれていくのかと。





(カン・ハンナさんには「学長くんガチョーン」でも語ってもらいました。

数学オリンピック韓国代表。からの来日、歌人となる。からのコスメブランド経営者。

からのメディア研究者として博士論文執筆中。つまり、天才。iU超客員教授。)

https://youtu.be/b8weze1V-6Y



コロナの巣ごもりはデジタルコンテンツの消費を拡大しました。

いったん沈んだライブの熱気も戻ってきます。

推しを核として熱いコミュニケーションが渦巻く無数のコミュニティ。

デジタルとライブのエンタメ銀河系が作られていきます。

2022年10月10日月曜日

テクノロジーが予測する未来

テクノロジーが予測する未来


伊藤穰一さん著「テクノロジーが予測する未来」。

京都出身で、MITメディアラボにいて、慶応で博士号を取り、いま千葉工大のセンター長という、ぼくと共通点が多々ありつつ、年下ながらうんと先を行く、尊敬するjoiweb3を語る。


伊藤穰一さん。

「学長くんガチョーン」でも語ってくれました。

https://www.youtube.com/watch?v=ANRaIe7GDGQ

著書の中で、ぼくがポイントと思った点を挙げてみます。



・下位寄り

web1-2はアプリレイヤにお金が集まった。web3はプロトコルレイヤに集まる。

web1-2のプロトコルはhttp、アプリはGAFA

web3のプロトコルはビットコインやイーサリアム。


--3はテック寄り。そしてユーザ主体で、プラットフォームの囲い込みを逃れ、垣根を超えていきます。



・参加型

web1は読む、web2は書く、web3は参加する。


--そして本書はDAOの可能性を強調します。ぼくもそこに最大の関心があります。

参加には「貢献」が問われます。初音ミクを育てるのにみんなが歌ったり踊ったりした参加感+貢献感に似ているかと。



・プロジェクト化

経営や組織がDAO化することで仕事がトークンを軸にしたプロジェクトベースになる。

ヒエラルキーは崩れ、富の再分配が行われる。


--ぼくは「超ヒマ社会をつくる」に、人は時間を分散して兼業し、機械が稼ぐ富の「分配」が最重要課題と書きました。web3がそのソリューションになるのかもしれません。



・ファンダム

NFTはアート・ゲームなどコンテンツやエンタメ以外にも、お守りの真贋など宗教にもウィングが広がる。

それはファンコミュニティを形成する重要手段となる。


--ファンダムを軸とする「推しエコノミー」がエンタメの中心戦略になります。それをweb3が後押しすると。



・個人主体

コミュニケーションが苦手な人もメタバースで生き生きとする。

web3では自分のアイデンティティでプラットフォーム間を移動して参加することになる。


--個人が主体となる、個人が囲われず解放される、という点がweb3の重要ポイントです。



・教育変革

web3で学歴至上主義が終わる。学習・活動履歴が重要になる。


--同意。これを進めたい。これが進むと多くの大学が崩壊するでしょう。アイデンティティマネジメントを組み込んだ上で価値の出せる大学を創らねば。伊藤さんの千葉工大も、わがiUも同じイメージを描いています。



・新民主主義

国のガバナンスvsプロジェクトベースのDAO。中央集権から分散の行政へ移行する。


--web3が最もインパクトを与えるのはぼくも教育と行政だと思います。既にweb2GAFAvs国家が顕在化しているが、それ以上の破壊力を持ち得る。となると既存体制からすさまじい抵抗を受けるでしょう。


 web3は国家、企業、学校などこれまで人類が築いてきた構造体を突き崩す可能性があります。web1-2を通じITが経済やメディアや民主主義をすさまじく塗り替えたように。

 無論web3にも新しい支配者の生まれる可能性はあります。分散化→ガバナンス民主化の夢は果たせるか。期待と不安が交ります。


 日本はweb1-2に乗り遅れ敗戦を迎えました。

 web3はどうする。どうしたいかの意思の問題でしょう。

 伊藤さんは楽観しているように見えます。ぼくもそうです。

 ただ唯一の条件は、担うのはデジタル後の世代とすること。

 平成の初めに30歳だったぼくから年上は戦犯なので、関わらせてはいけません。


・結論

 この本、教科書として、読んで討論するのがよろしい。

2022年10月3日月曜日

デジタルトラストをどうする

デジタルトラストをどうする

日経主催「世界デジタルカンファレンス2022」に登壇しました。

テーマ:デジタルトラストはなぜ必要か

NICT盛合志保研究所長、J-CAST蜷川真夫会長、MyMedipro鈴木吉彦代表、MM総研関口和一所長と。

以下、ぼくの発言。





霞が関を飛び出してMITメディアラボにいたころ、関口さんに誘われて登壇した世界情報通信サミットは99年、23年前。

デジタルの機運は盛り上がったが、翌年の政府eJapanが掲げた2大課題、教育と行政の情報化は20年後の骨太方針でも2大課題のまだった。

コロナでデジタル敗戦が認識された。






教育では10年がかりでデジタル教科書が制度化されたが、パソコン普及は途上国以下のままだった。

コロナで予算がついて、25年前倒しして一気に一人一台が達成された。

ようやく教育データ活用が議論されるようになったのだが、データ管理を巡りネガティブな反応があり、すんなり進みそうにない。






政府はデータ標準化、学習履歴利用環境整備というデータ利用促進策を打ち出している。

私が関わる超教育協会も民間の立場から、データ利用ガイドラインの策定などの提言をしている。

PCなどデジタルの導入は10年がかりだったが、データ活用も10年かかるかもしれない。

産官学あげての取組が必要。






他方、私はiUというベンチャー大学を開学。

もはや世界中の授業がオンラインで受講できる中、履修データをブロックチェーンで認定したリストは東大や慶応の卒業証書より値打ちが出る。

教育は学習データが主導するトラストの世界に移行する。

その時代に価値を提供できる大学を設計している。






日本全体のDXは心もとない。

政府はデジタル庁を作って行政DXに力を入れるが、コロナ給付金を間違って給付した山口県の事件では役所と銀行のデータをフロッピーでやりとりしていた。

ネットでもクラウドでもない、AIでもweb3でもない、これが日本の実態。

DXの前に、もっと基本的なことから始めたい。







Q:教育分野でDXが進んだ結果生じた新課題は?

A:データ利用ができる環境となったが、不安1stで、不安を上回る効用・メリットを見える化できていない。

PCやデジタル教科書の導入も漠然とした不安が壁だった。子供が楽しく学ぶ姿や成績アップという成果を見せることが大事だった。

データも同様だ。






Q:ウクライナ侵攻や米大統領選ではフェイク情報が問題とされた。課題は?

A:制度、技術、教育の3つのアプローチがある。総合設計すべき。

データを巡る制度面では、米国がGAFAに管理させているのに対し、中国は国家管理、そしてEUは国家連合による法ルール、という3モデルがあり、日本はどこに寄せていくのか、という局面。






フェイク対策としては、EUはデジタルサービス法でプラットフォーム規制。

米国はフェイクニュース対策委を作る方針が頓挫したばかり。

日本も政府との距離感が問われる。

テレビにはBPOがあるがネットを含む情報空間全体のガバナンスは議論不足。






これに対し、技術面ではAIによるフィルタリングやデジタル流通基盤などがあり、NICTの活躍に期待する。

それ以上に、リテラシー教育の強化が重要。情報やデータへの信頼を見定める力、それができるデジタルとの接し方を学べるようにしたい。





A:政府やメディアが果たすべき役割とは何か。

Q:ルール整備、技術開発、教育など仕事は多いが、その前に、まず政府自ら「データを使う」こと。

FAX廃止など簡単なことから。

オープンデータで民間に「使わせる」ことも。

よろしく。