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2011年11月28日月曜日

IT復興円卓会議ニコ生「通信」 -4/4


IT復興円卓会議ニコ生「通信」 -4/4

IT復興円卓会議ニコニコ生放送、【第3回:通信】。
NTT東日本福澁谷直樹さんソフトバンク嶋聡さん慶應義塾大学夏野剛さん村井純さん菊池尚人さん中村伊知哉の続きです。
http://live.nicovideo.jp/watch/lv59798260

・復興におけるクラウドサービスについて
(夏野)クラウドだといいながら、社員をWebMailにアクセスさせない大企業も多い。自分たちが出来ないのに、クラウドだというのはいかがなものか。

(村井)クラウドサービスに対して契約や訴訟などになれていない、プライバシーに関する問題など日本自体がクラウドを支える社会システムになっていないので、もう少し頑張って作ったほうが良い。

(菊池)病院のクラウドサービスのデーターセンターを近場に置いていたら、まとめて停電や被害にあって使えなかったということもあった。データーセンターはどこに置くべきか。

(夏野)地政学的に安全なところとか分散だろうか。データは、特にどこに置かなければいけないということはない。

【ユーザからの質問TIME
Q:満充電したバッテリーをショップで配るとかできないのか?

(夏野)結構、端末ごとに使うから非現実。充電器が市場に流通しているじゃないか。

(中村)コンビニにいけ…と。

QWifi開放はセキュリティ不安じゃないか?

(夏野)セキュリティとBenefitの問題じゃないか。

(中村)気にすんな…と。

(村井)かならずそういう部分で解決する技術はある。作れるはずだ。
 マスコミとマネージャーが漠然と心配しているのは不安。新聞に漠然と乗るのは良くない。また会社の経営者が漠然と不安を持っているのが行けない。

(夏野)同じ会社に30年居る奴が社長になってはいけない。多様性だ。

(村井)この国の弱点はマネージャーレベルの人がセキュリティに対する正しい知識を持ってないのがいけない。

Q:インターネットに対する国際条約は必要ないのか。

(夏野)アメリカの愛国者法というのができた。一カ国でそういうのがあるとインターネットに対して漠然とした不安がユーザーにできてしまう。インターネットに対する最低限のルールが欲しい。

(村井)自分が言いたいのは、インターネットを止めるなということ。インターネットは国ではない、一国でどうこうというのは止めて欲しい。国際的な合意を作るのはいろいろな方法がある。

【まとめ】
嶋—「電力と通信の融合」
スマートグリット、送電線。今回の震災で一番困った部分、これからの復興のキーワードは間違いなくこれになる。

澁谷—「現場力(人を信じる)」
今後5年で40%の技術者が退職する。これに続く後継がいない。また災害の時は技術者を信じて、復旧に関わる意思決定のスピードを挙げて欲しい。

夏野—「予算のITへの徹底傾斜配分」
市町村単位でどれが優先というのは構わない。国レベルで決めるとそれは前の状態に戻すだけになる。この機会に被災地は徹底的にITを埋め込んだ都市にするというのもいい。全く新しいIT復興をして欲しい。

村井—「北極」
インターネットで繋がるケーブルは全部太平洋にある。ついに最短ルートとして、光ファイバーは北極を通せるようになった。米欧中露が死に物狂いで取りに来ている。ここにいかないとだめ。これを誰が設計するのか!

2011年11月26日土曜日

スゴい! NAVERのウェブマンガ

■スゴい! NAVERのウェブマンガ

ポータル「NAVER」と「ハンゲーム」を運営する
韓国最大のインターネット企業「NHN」。
ライブドアも傘下に収めました。
97年設立、社員5000人。
ソウル郊外の本社を訪れました。
ぼくがこれまで訪れた中で最も素敵なオフィス。
木の香りがクリエイティビティを適度に刺激してくれます。
見事な空間デザインの図書館を住民に開放して、
地域にも溶け込んでいます。


ココを訪れたのは、ぼくの博士課程の学生、ユン・イナンさんの紹介。
ユンさんは在ソウルのマンガ原作者で、
Ylabというプロダクションを経営しています。
韓国のマンガ家と、日本の出版社の編集とをネットでつなぎつつ、
日韓でマンガをプロデュースしています。
制作はフルデジタルで、打合せやチェックは高画質Skypeで。
作家、スタッフ、調整、編集の数カ所を国際間で全デジタルでつなぐ
プロデュースシステムはマンガでは世界初でしょう。
さきごろ創刊されたグランドジャンプには、
ユン・イナンさん原作「私の夜はあなたの昼より美しい」が連載されています。
これはそのシステムで新人マンガ家を発掘したプロデューシングなのですが、
このマンガ、映画社が原作に出資してるんです。かなりの額。
マンガを作るところから映画が出資するというのも世界初のモデルでしょう。
しかもユンさん、小学館・集英社・講談社を股にかけて仕事しているんですが、
それは日本人じゃムリっぽいですね。

ユンさんがネットでタッグを組んでるのがNAVERなんです。
これね。
http://comic.naver.com/webtoon/weekday.nhn

迎えてくれたNAVERのWebマンガのKimチームリーダーの話が衝撃的。
驚きました。
1. NAVERのマンガ、毎日16以上のプロの作品がアップされる。計80作品。
2. 毎週韓国人の1/10が読み、一日最大300万人が訪れたことがある。
3. 原稿料は紙のマンガより高く、
人気が上がるとギャラも上がるシステムを導入。
4. プロの作品の6〜7割が映画・ドラマ化される。
5. マンガの映画・ドラマ化はNAVERが仲立ちはするが、
収入は全て作家に渡してしまう。
6. アマチュア投稿コーナーからは年30〜50人がプロデビューする。
7. 投稿コーナーはクリック数など読者の人気に応じ順位が上がる。
コミケ的ソーシャル機能。
8. 無料・広告モデルだけでなく、有料マンガもあるが、
これは紙の本が出版されたものをデジタルにしたもの。
9. NAVERはウェブマンガをビジネスとしてはとらえず、
作家が潤い、作家が増加する空間として運営している。
10.出版業界の落ち込みが激しいから、作家たちのため、急いで立ち上げた。

見事!
高い人気、作家への収益還元、映像ビジネス連動、作家育成、本との共生!
コミケ的なプラットフォームと作家ビジネスのエコシステムが
ネット上でできあがっているということです。
ううむ、刺激的だ。
プロが集まり、ファンが集まり、だからアマチュアも集まり、
評価のメカニズムができて、ビジネスが回る。
これは出版社じゃなくてネット企業だからできることなのかな。
「日本の出版界も苦しんでいるが、
まだ作家は出版社に依存しているんじゃないですか?」(Kimさん)
そういうプラットフォームを日本で構築するとすれば、
どういう企業が適してるんでしょうか!?

(日本市場の展開方針もKimさんには聞いたんですが、
未公表とのことなので伏せます。)

2011年11月24日木曜日

特別シンポジウム—東大・京大・慶應 前3学長 3/3


Kids  特別シンポジウム東大・京大・慶應 前3学長  3/3
 安西祐一郎慶應義塾前塾長、小宮山宏東京大学前総長、長尾真京都大学前学長という、3前学長による鼎談の第3回。

Q3:教育の情報化の課題と解決方法は?田中眞紀子さんや田原総一郎さんなどの反対意見や、現場の先生からも不安の声がある。

<長尾先生>
今の電子読書端末やコンテンツが粗末であるから。今後もっと魅力のあるコンテンツづくりが必要である。例えば小説でも、著者の考えやバックグラウンドなどの情報を連想的に知りたくなる。そういうことがわかるような形で知識を組織して提示することができるように、コンテンツをうまく構造化するとともに、端末をもっと良くする。それによって、反対する人にもメリットを感じてもらうことが大切である。

<安西先生>
コンテンツの充実性について、「理科ねっとわーく」では相当数のコンテンツが整備されつつある。学校の先生含め、誰でもコンテンツを作り、アップして使えるような、オープンなクラウドが必要になってくる。教材としての評価も必要になるため、その整備も必要になる。
今の端末(ハード、ソフト)はひどい、子供の発達や心のメカニズムなどをほとんど考えられていない。企業の開発関係者はそのことを、ぜひ心に留めておいてほしい。
反対の問題は国民的な問題だ。日本の社会人学生は2%程度で突出して少ない。(OECD 平均は約20%。日本は最下位。) 明治時代以来の一直線の人生行路で、大人は勉強しなくていいという流れもあったが、今後はそれでは食べていけない。これをどうするかが大人の課題で、それが子供にも反映している。これをデジタル技術で突破できるのではないか。
ネットワークインフラについては地域によるが、子供のネットワーク環境が閉じられていて、セキュリティの壁が高い。これを打破しなければ、世界と繋がることができない。
東北では教育特区を作り、こういう問題を打開してほしい。生きるためのものが優先され、ICTが贅沢品と見られる場合が多いが、今こそ東北を原点に新しい教育の仕組みが開かれるべきだ。

<長尾先生>
東北の図書館も被災し、子供たちは本を読みたい、大人は調べ物をしたいと言っている。日本全国から様々な本が送られつつあるが、それをどこにどう配布するかが問題となっている。
そもそも図書館の建物がなくなっているところもあり、紙の本を末端まで配り、子ども達が自由に読める環境が整うには何年かかるかわからない。そこで、簡単な読書端末を何万台か国のお金で、被災地の子ども達に持たせ、学校に必要な書物をデータベース化し、そこに自由にアクセスして、勉強や読書、調査ができる環境をつくることはどうか。
それによって、まずは数年をしのぎ、きちんとした図書館を作り、文科省が進めている電子教科書を使う教育にうまくつなげていくのはどうかということを提案している。

<小宮山先生>
デジタル教育に対するまともな心配(課題)であるならば、その論点は「バーチャル空間」だろう。教育がリアルでなくてはならないという心配だろう。確かにそれは課題である。人間は動物であるから、動物としてのリアリティの感覚は必要である。それをどうやって維持しつつ、この有力なツールを使って行くのかが重要な問題だ。何がバーチャルで、何がリアルなのかということを考える必要がある。人間が動物としての色々なものを失っていく、これはデジタル教育故に失う訳ではないが、そういうことを含めて心配しているのではないか。それは注意しなくてはならない課題である。
アナログvs デジタルやバーチャルvs リアルのような二項対立ではないということを、どうやってみせていくかがまだ足りないということだろう。


最後に一言。
<安西先生>
このデジタル教科書に関する問題は、端末を配ることだと世間的に思われている傾向があるが、それは全く違う。端末のハードはどんどん変わるから、その問題ではない。教育の中身と日本のこれからの問題であるということを共有したい。
デジタル教科書の定義については長らく積み残されていたが、デジタル教科書は単なるコンテンツだけでも、端末でもなく、教科書コンテンツ+学習ノート+ソフトウェアである。(世界的にもそういう認識)
二項対立は人間に素直な性質であるが、そうではなく合理的な考え方を教育で刷り込んでいかなくてはならない。二項対立を越えて行けるようなデジタルコンテンツを作っていけるとよい。

<小宮山先生>
最後に一言「アクション」
具体的な行動が必要である。省庁での動きも大切であるが、それだけでは間に合わない。私自身は、小さくてもいいから行動していく。学校が100 校動けば動くだろう。動ける100 校が本当に動くかが勝負だ。_

2011年11月21日月曜日

IT復興円卓会議ニコ生「通信」 -3/4


IT復興円卓会議ニコ生「通信」 -3/4

IT復興円卓会議ニコニコ生放送、【第3回:通信】。
NTT東日本福澁谷直樹さんソフトバンク嶋聡さん慶應義塾大学夏野剛さん村井純さん菊池尚人さん中村伊知哉の続きです。
http://live.nicovideo.jp/watch/lv59798260

・スマートフォンとガラケーどっちが震災に役に立つか

(夏野)ガラケーとスマホの定義は何か。汎用OSというのがスマホだとしたら、iPhoneはスマホと言わないだろう。

(村井)毎晩充電する電気を皆が持っていたというのが凄い。今後の展開はやはりバッテリーがどの程度持つかというのが大きな話題になるだろう。阪神・淡路大震災の経験から自動車のバッテリーが使えるということをしっていた。今回、作っておいた車のバッテリーで動くネットワーク構成システムは約にたった。こうした利用ができるようになるのがスマート社会ではないか。スマートグリットとは、電力の供給が多様化しているので連結して支え合うシステムである。 

(夏野)スマートグリットは今のままでは、電力会社のためだけにしかならない。例えば、余った電力を社会に還元できるようにしたら、個人個人も楽しめる。こういうのがスマートグリットの導入にいいのではないか。

(嶋)これからは通信と放送の融合ではなく、通信と電力の融合ではないか。

(村井)こういう時期だから、こういうことをやっていこうというのは大きい経験である。この経験を生かして、どのようにしていくのかというのが大事。その中でバッテリーの問題は今後議論になるだろう。

周波数オークションについて
(菊池)先進国の多くで導入実績有り、新たな財源確保、通信事業の復興につなげたいという考えもある。

(夏野)どれぐらい、何の用途で割り当てるということ。世界の国がどういうふうに使っているから、日本は電波をこう使うというのまで議論しないと駄目である。戦後始めてのまともな再編なので、競争政策の話もあるが、用途と割り当てをまず考えて欲しい。

(村井)グローバルなマーケットを予測して、動かないとプロダクトもサービスも流通しない。自動車業界は自動車のネットワーク、医療は医療の周波数といった縦の細切れにとっていくので有効利用ができない。多省庁の話なので、出来ないと皆がいうだろう。こうした全体の設計図は凄く重要な国際戦略になる。こうした部分を国はちゃんと出来るのか心配である。

(嶋)オークションはインフラの総務省、財源としての財務省、情報通信の経産省で関係がある。こうした背後関係もあるので、一元的に言うのは難しい。

(菊池)電波であげた利権をどうするのかというのが、昔から変わらない議論である。

(中村)総務省と財務省で財源の引っ張り合いをしているのは変わらないね。

2011年11月17日木曜日

特別シンポジウム—東大・京大・慶應 前3学長 2/3


Kids  特別シンポジウム東大・京大・慶應 前3学長  /3
安西祐一郎慶應義塾前塾長、小宮山宏東京大学前総長、長尾真京都大学前学長という、3前学長による鼎談の第2回。

Q1:デジタル教科書・デジタル教育に関するこれまでの議論では、コンピュータを使ってこれまでの学習をどう変えて行くかだったが、三名のキーワードは「ネットワーク」であった。ひょっとすると我々の考え方を「ネットワーク教育」「ネットワーク教科書」へと考え方を変えなくてはいけないかもしれない。
今の日本は、震災、原発の問題もあり、長期的な問題としては少子化や高齢化などもある。
そうした中で日本が進むべき方法はどこか。この20 年ほど、日本の国際競争力の低下が指摘されているが、今後日本がまた発展するという展望があるか。または、衰退していくか。

<小宮山先生>
日本は課題先進国。エネルギーや高齢化などたくさんの課題を抱えているが、この課題は世界ももうすぐ抱える問題である。高齢化は、先進国はみんな抱えていく課題である。アメリカだけは特殊である。(先進国+途上国という構造であるゆえ)
高齢社会をどう生き生きさせるかは、人類の課題である。これこそ日本が、社会づくり、ものづくりという形で答えを出すべきところである。その答えが出せれば、日本は世界のスタンダードになり、課題先進国から課題解決先進国になる。ビジョンを共有した日本は強い。そのビジョンとビジョンに至る道筋が重要である。これを乗り越えられれば、日本は変わる。

<長尾先生>
日本は学術的にも文化的にも、他国に負けない内容をもっていて、他の国からも十分に参照されるということを、足元をしっかり眺め、国際的にも検討することで、日本人自身が自覚することが必要である。そのためには、若い頃から外国に行って勝負する環境を作っていくこと必要だ。最近の日本の若い人たちは、外国に行ってチャレンジする馬力に欠けているが、これは非常に大きな問題。日本が押しも押されもせぬ実力を持っている事を自覚するような教育も必要である。自信を持った人を育てることで、チャレンジできるようにする。そして、外国にもアピールすることで、その自信がよりしっかりしたものになるだろう。

<安西先生>
国際関係含め、1990 年頃から劇的な変化が起こっており、これに対して人材育成の動き(基本的には教育)をどう加速するかにかかっている。明治初期に教育振興と産業振興がドッキングしたことが、日本が欧米列強に飲み込まれずに済んだことの基盤になっていた。戦後に大学制度ができ、大学教育(特に理工系では修士課程まで)に力を入れた結果、高度経済成長を担う日本の技術の基盤が人材育成によって成り立っていった。それの第三の開国の時期が来ている。日本人一人一人(大人含め)が、自分で考えて自分で行動することを身につけていかなくてはいけない時代になった。デジタル技術はそれに役立つ。
公立の小中高の先生の30 %(30 万人以上)がこの10 年で変わることになっている。その新しく先生になる方々のマインドに第三の開国が入っていなくてはならない。そして、それをどうするかが大きな問題である。デジタル技術がそこに役に立っていくだろう。
学習指導要領は10 年毎に変わり、もう次の学習指導要領の検討をしなくてはならない。次の学習指導要領に、日本の大転換の時期を越えた時期における教育の在り方を盛り込めるかどうかが大切である。一人でも多くの人が理解し、国民のレベルで推進していかなくてはならない。

Q2:教育情報化のメリットは?

<安西先生>
学習者がアクティブに自分から学ぶことを身につけること。勉強は学校だけで学ぶことではなく、一生が勉強であり、それが辛い事ではなく楽しい事であるということを、日本の教育では教えていかなくてはならない。

<小宮山先生>
学ぶ側の興味が非常に多様で、持つ疑問も子供によって違う。興味や視点に応じて、どこまででも深く学べることが必要である。子供の興味の上を抑えても教育にはならない。物事はわかれば易しく、決して先端が難しい話ではない。子供がもっと知りたいと思ったときに、きちんとしたコンテンツがIT で出来ていれば、興味に応じてどこまででも深く入っていける。おそらく教員は抜かれて行くが、それでいい。(大学ではいつもそうである。) 苦しいかもしれないが、こうでなければ知識が爆発的に増えたときに、強い知性を育てることは出来ない。

<長尾先生>
デジタルの世界を通じて、世界が見えるということ。自分の周囲だけでなく、遠い世界も色々な形で見えてくる。そのような環境が提供され、それを十分に活用されるような環境を、教育によって促進することも大事である。
(つづく)

2011年11月14日月曜日

IT復興円卓会議ニコ生「通信」 -2/4


IT復興円卓会議ニコ生「通信」 -2/4

IT復興円卓会議ニコニコ生放送、【第3回:通信】。
NTT東日本福澁谷直樹さんソフトバンク嶋聡さん慶應義塾大学夏野剛さん村井純さん菊池尚人さん中村伊知哉の続きです。
http://live.nicovideo.jp/watch/lv59798260

今後のインターネット網はいかに構築すべきか
(村井)昔は音声の上にインターネットを乗せていた。今はインターネットを復活させることで、音声も映像も写真も送れるようになっている。衛星で音声を復活させる、インターネットを復活させるのかなど復旧のプロセスを考える必要がある。
 避難命令を出してしまったら、モニタリングも出来ない。通信事業者の現場の人は、そういう事故に備えた準備をしておく必要があったのではないか。
 
(澁谷)今迄の震災訓練には今回のようなシナリオはなかった。手探りの状況は続いていた。

(夏野)インフラの中で緊急度は水、ガス、電気の次に通信となっている。この優先順位は少し変えられないか。

【ユーザからの質問TIME
Q:被災地からの発信を優先できないの?

(澁谷)ある程度、被災地からものを優先するようにはできている。救急、政治等の通信は入っているようになっている。一般からの話だと公衆電話がそのレベルになっている。ただ、それ以上に柔軟に対応しろというのはなかなかに難しい話。

(村井)やはり音声から入らないといけないのが問題かもしれない。例えば音声をパケット化して送るというのでも後で一応繋がるわけだし、そういう技術をつくっていくべき。

Q:衛星電話の活用は十分だったのか?

(澁谷)やはり、通信衛星は強い。ただ、今回の事を受け取り合いになっている。ネットワークは最後に有線になる。

(村井)普段から使える、緊急にも対応できる。そういったシステムを作成する必要があることが今回よくわかったと思う。

Q:光の道はどうなった?

(嶋)光の道法というのが可決された。ガイドラインを策定している。ユニバーサルサービスが改めて必要だと認識されたのではないか。復旧・復興に向けた光の道というのを考えるべきである。

(澁谷)技術的な方向で考えると全部IP化して、通信網も全部光に変える。こうしたのが基本な方向だとは考えている。

Q:次世代のネットワークを研究しようという動きがあるか。

(村井)もちろんある。NGNという取り組みはある。一方で供給側の全員を繋げたいという通信キャリアの思いもある。ただ需要側は完璧に繋げたい。こうしたギャップはなかなか日本では埋まらない。

(菊池)自営と公衆のハイブリッドという形だろうか。

(夏野)すべての無線LANを開放してもいじゃないか。

Q:平時でも通信環境の良くない地域は、災害時はどうすればよいか。

(村井)衛星のインターネットサービスは普段、誰が持っているべきかという話にもなる。大きな基地局が衛星のインターネットサービスを持っていると、その基地局の有線が切れても自立できる。同じように大学にネットワークの繋げ方を訓練するというのもいいじゃないか。

(夏野)消防団が非常に活躍していた。ITを復旧するというIT団というのもいいのではないか。

2011年11月10日木曜日

特別シンポジウム—東大・京大・慶應 前3学長 1/3


Kids  特別シンポジウム東大・京大・慶應 前3学長  1/3
 デジタル教科書教材協議会設立一周年。2011年7月28日、特別シンポジウムを開催しました。
安西祐一郎慶應義塾前塾長、小宮山宏東京大学前総長、長尾真京都大学前学長という、3前学長による鼎談。ぼくがモデレーターなのですが、安西先生はそれこそ上司だったし、小宮山先生はDiTTの上司だし、長尾先生は母校の学長。長尾先生の場合、ぼくが社会人になって初めて担当した仕事が自動翻訳電話の開発プラン作成というやつで、研究会を作ることになり、座長をお願いして仕えたといういわくつき(その成果がATRの設立です)。師と仰ぐ3先生をモデレートなど怖れ多い無謀な企画でありました。普段イベントではどんなに偉い人でも「さん」づけで通すのですが、今回ばかりは「先生」通しで行きました。DiTT/KMDの中山さんがログ取ってくれたので、それを基に3回に分けてメモ。

<安西先生講演要旨>-デジタル世代の教育-
大学卒業生が激増し、社会で言われたままで仕事をするのではなく、自分で学んだ力で社会に貢献する時代がやってきた。それに対して、デジタル技術を使った学習が極めて重要な役割を果たす。
OECD 20 世紀末から21 世紀頭に始めているDeSeCo プロジェクトは、アクティブラーニング等の原点のひとつになっている。(PISA のプログラム改訂など) 日本でも長年にわたり、コミュニケーション力や問題解決力などを言われているが、実際の教育現場ではなかなか進まない。デジタル教育が、これを大転換していく大きな力になる。
現在は学びのイノベーション協議会が作られ、文部科学省と総務省のコミュニケーションを取りながら実験をしていくことになっている。
ネット世代の実状を、中高年世代が知らなくてはならない。ネット世代にとってはデジタル技術は当たり前のもので、大人が議論をして「デジタル教育をするべきか」と言っている時代ではない。一方で全国に100 万人あまりいる先生方は忙しく、校務の情報化がついてこなくてはならない。インフラも整備しなくてはならない。やれるところからやっていくことと、全国に網を張らなくてはならないことを両立しなくてはならないが、私はもうやれる所からやらないと間に合わないと思う。

<小宮山先生講演要旨>-デジタル教育の展望-
教育の本質的な問題とは…
1:知識の爆発と領域の細分化(知識が増えるのはいいことだが、全体像が見えない)
2:リアリティの喪失(いい意見としてデジタル教育に反対する人は、リアリティの喪失を恐れ
ているのだろう。しかしそうではなく、リアリティを回復しつつ、デジタルを使う、そのため
にデジタルが役立つこともあるだろう。)
3:教員の集団としての対応力の不足(今の先生が優秀でないということではなく、知識の爆発
による全体像の把握の難化など、システムが変わり難しくなっている。日本の十分活用されて
いない資源(高齢者や女性など)が社会に参加してもらう必要がある。)
知識と価値がどんどん新しく生まれて、更に変化していく。だから知識を構造化し、進化する教科書が必要となる時代である。それに対応するためには、ICT しかあり得ない。
プラチナ構想ネットワークという、自治体のネットワークの活動を行っている。課題の構造化(環境問題、エネルギー問題、高齢化など)が必要で、それに対する答えは人間が持つ知識である。
デジタル教科書では、クラウドに膨大な情報が載り、そこから自在に引き出すことができるもの、かつ欲しいものが出てくるような情報領域の区切りも必要かもしれない。
いずれにしても教育を良くする鍵は、ICT と知能と構造化である。

<長尾先生講演要旨>
国立国会図書館は、本900 万冊、日本の全ての博士論文など、計3600 万点ほどある。しかし、構造化がなかなかされない。分類はあるものの、知識の構造化として本当にいいかどうかが問題となっている。それだけ膨大な過去の人類の知識を有効活用するためには、全てをデジタル化して、関連する知識をリンクさせ、大きな概念の物と小さな概念の物を体型的に構造化することを目指している。他の図書館にも独自の書籍があり、そういったものをネットワーク化させることで、必要な知識をうまく取り出せるようにすることも必要になる。これも日本だけではなく、世界中で相互利用できるように努力している。一方では、ネット上には膨大な情報がある。Web サイトを集めて、簡単に検索できるものも作っている。
これからの電子書籍はマルチメディアの世界で、紙を単にデジタル化したものでなく、現在売られている電子書籍端末よりもっと進化したもので、読者の方からもアクションができるようなものができてくるだろう。
使う人とデジタル教科書が対話をすることで、デジタル教科書が生徒の能力を引き出したり、生徒の能力に応じて学習を進める事ができたり、ネットワークで結ばれることにより家庭でも生徒同士でディスカッションすることができたりするようになる。
本の立場からは、電子化によって表現の幅が広がった。(音、映像、読者との対話など) そういうものを駆使した教科書を作っていくべきである。
先生方は新しい独自のデジタル教材を作り、それをアーカイブし、共有して、お互いにいい授業をしていける環境を作ることが必要である。これによって、よりよい具体例を示しながらの教育を行えるのではないか。日本の学習をデジタルの世界で進めていくことで、デジタルの良さや欠点を明確にして進めるのではよいのではないか。
(つづく)

2011年11月7日月曜日

IT復興円卓会議ニコ生「通信」 -1/4


IT復興円卓会議ニコ生「通信」 -1/4
 IT復興円卓会議ニコニコ生放送、【第3回:通信】。
9月27日、今回も赤坂の飲み屋街にある融合研究所特設スタジオからお届けしました。
http://live.nicovideo.jp/watch/lv59798260

パネリスト:
澁谷直樹(NTT東日本福島支店支店長)
嶋聡(ソフトバンク()社長室室長)
夏野剛(慶應義塾大学政策・メディア研究科 特別招聘教授)
井純(慶應義塾大学 環境情報学部長 教授)
菊池尚人(モデレーター)
中村伊知哉(モデレーター)
 被災地現場からNTT澁谷さん。孫さんの右腕で元衆院議員の嶋さん。iModeの父、夏野さん。インターネットの父、村井さんです。
 KMD永田晃さんのログを元に再生してみます。

(中村)前回のテーマは「メディア」。
 被災地の情報や原発報道の話、マスメディア・ネットメディアの在り方についてお話させていただいた。前回出演者の方には、
・池田さん「専門性を大切に」ジャーナリスト、役所に専門性のない人が多いという話。
・関口さん「政府、マスメディア、ソーシャルメディア一緒になって情報の開示、共有をすべき」
・佐々木さん「メディアは多様化する日本にどう対応するか。多層化で対応するか」
という提言をいただいた。

(菊池)被災地、近隣、東京でも有効なメディアは違う。年齢層によっても有効なメディアでも違うといった話が印象的だった。今日の話とつなげると、そもそも通信ネットワークが無いと上記のメディアは繋がらないし、コンテンツは流通しない。こうした点を伺いたい。

(中村)今日のテーマは、
1震災からの復旧
2次世代ネットワーク
3サービスの進化
という流れでお話いただきたい。

固定通信の被災状況
(菊池)輻輳が発生して繋がらなかった。固定通信の8〜9割が繋がらず制御をかけていた。移動通信の混雑具合も7〜9割、パケットの混雑はわずかだった。音声がより繋がりにくく、パケットが繋がりやすかったといえる。

(夏野)危険時はリソースを割り振るために音声はいつもより、より繋がりにくくなっているという話である

(村井)地震が発生後のパケットは非常に小さかったというデータもある。これは「大丈夫?」などの短いデータが多かったからと思われる。

・現地の通信設備の被害状況

(澁谷)電話局が流された、中継ケーブルが寸断された、通信ビルの流出、電柱等の崩壊でケーブルの切断が発生し、様々な要素で通信が不可能だった。全体を振り返ると、流された電柱やケーブル等の被害を比較すると阪神・淡路大震災の20倍程度のものとなっており、規模の大きさが読み取れる。
 また原発の区域内の通信保守等も難しかった。警察や自衛隊と協力しながら、衛星ポータブル、Sバンド携帯等であれば繋がるので、11.12日中に各被災地のライフラインを繋げようとしていた。

(嶋)ソフトバンクとしては、一ヶ月で固定通信、移動通信は9799%復旧していた。

(村井)この99%という数値は本当に凄い。この0の状況からここまで戻す日本の力を評価するべき。この底力というのは、現場の使命感だと想う。これは他の国でもプロジェクトを見ているが、比較にならない。今回の震災の評価では、必ず「がんばろう」というこの精神を賞賛されている。

震災現場で役に立った物
(嶋)ソフトバンクとして約7千個の3G付きフォトフレームを浪江町の住人、県外に避難している町民に配布した。放射線量、被災地住宅情報、東京電力の賠償についての説明会などの情報を配信している。色々やってわかったのだけど、復興のために必要なのは報連相に似た繋がり。色々試したけれども、ここはITの力が強い。

(夏野)仮設住宅を見ていると冷蔵庫と洗濯機は赤十字が配った。それに併せてITの力、ネットに繋がるもの、PCでも携帯でも何でもいい。生活必需品として配って欲しかった。ここにまだ支援の仕組みがまだまだ出来てない。

(嶋)自分たちの生活を再建しようとしたときITが助けになることが非常に多いはず。

(村井)やはり最初に抵抗感があると思う。使ってもらえば受け入れられる。高校生とかは使ってくれる。最初のハードルが高い。確かに震災後デジタル環境は物凄く使えた。使える人、使えない人の意識の差が明確になったようにみえた。

(全員)管理するのが面倒くさいという自治体の空気もあった。PCの取り合い、子どもの閲覧制限、誰がどれだけ使えるかといった次元の違う話もあった。

2011年11月3日木曜日

スマホ×デジタル教科書プロジェクト


Kids スマホ×デジタル教科書プロジェクト
 クアルコム社と、茨城県大子町にある私立の通信制高校を運営するルネサンス高等学校は、スポーツ、芸能、芸術、ビジネス他でプロフェッショナルを目指す生徒たち、高校不登校、中退の生徒たちの高校での学習を通じて高校卒業資格取得を支援する「スマートフォン x デジタル教科書」プロジェクトを開始すると発表しました。報道発表の行われた727日、ぼくも応援にかけつけました。

このプロジェクトでは、ルネサンス高校の生徒を対象に、スマートフォン500台、携帯用学習コンテンツ、3Gワイヤレス接続が提供されます。生徒はスマートフォンを利用し、3Gワイヤレスネットワークを通じて学習コンテンツや資料にアクセスします。学習用アプリをダウンロードし、いつでも、どこでも学習し、テストを受けることができるというもの。

通信制高校のルネサンス高等学校は、政府の認定する「教育特区」のひとつである茨城県大子町に20064月に設立された私立の通信制高等学校。スクーリングにおける教室でのリアル授業とパソコンや携帯電話を通じたオンライン授業の両方を実施しています。生徒数は現在約2,200名で、学びの多様化を目指して、自由な時間を生かしてやりたいことをやりたい生徒達、不登校、中退だったけれどもう一度学校にチャレンジしたいという生徒達のために設立されたそうです。

プロフェッショナルを目指す生徒が専門学習、技能の習得に専念できる機会だけでなく、高校不登校、中退者の生徒にもう一度学習する機会を与えています。この学校では、プロになるための学習、修練に1日の大半の時間をとられてしまう生徒、アルバイトをしながら教室以外で学習している生徒がほとんどで、彼らは自宅で教科書を開いて学習する時間をとることがなかなかできないといいます。そのため、場所を問わずどこにいても学習できるということが大きなメリットとなります。

このプロジェクトでは、ルネサンス高校が開発したAndroid対応英語学習アプリケーションを用いることにより、文型や語彙、読解力の学習を容易に進めることができるようになっています。ルネサンス高校では英語にかぎらず、理科、社会他と教科の幅も広げて行く計画です。

ルネサンス高校を運営するルネサンス・アカデミーの桃井社長「スマートフォンとデジタル教科書による学習は近未来には当たり前のことになっているでしょう。成績、志望、生活などにおいて多様な生徒たちに対し、効果的な学習を行うには最適な学習ツールです。そして我々の責任はスマートフォンにのせる優れた教育コンテンツを開発すること。今回は英語教材からはじめますが、さまざまな教科でスマートフォンを用いた効果的で楽しい学習が保証できるように努力していきたいと思います。今回のプロジェクトは、日本の教育に多大なる貢献をするものであると自負しております。」

クアルコム ジャパンの山田社長「本プロジェクトは、モバイルブロードバンドをこのように活用すれば、やりたいことのある生徒の早期プロフェッショナル教育、また不登校、中退の生徒を学習の場に引き戻し、市民の教養として必要な高校課程の学習と高校卒業資格取得と生活向上への努力を支援できるという好例です。」

ぼくのメッセージ。「教育の情報化は長きにわたって必要性が論議され、政府もデジタル教科書の導入に力を入れ始めました。しかし、まだ実態に乏しいのが現状。今回、いつでもどこでも学ぶことができる先端の取組が民間で進められるのは意義深いことです。若者のモバイル利用で世界をリードする日本から新しい学習モデルが生まれ、多様な背景をもつ生徒たちが人生のチャンスを広げてくれることを期待します。」

加えて会見では桃井社長が次のようなことを話していました。
「あえてタブレットではなく、トイレにも持って行くデバイス、つまりスマートフォンを選びました。これまでガラケーでの授業も行ってきたが、英語で比較すると、ガラケーよりスマホを使うほうが勉強時間が5倍増えています。また、スマホ授業を導入すると、先生がラクになり、1対1で指導する時間が増えるという効果が現れています。」
勉強のモチベーションアップと、先生の業務効率化という教育情報化の二大テーマに対し、効果が現れているのですね。

桃井社長「父母が働いていて、小さい妹の面倒を見ている生徒が、右手で妹をあやし、左手スマホで勉強をしている。平成の二宮金次郎をみる思いです。」「これは”実験”ではありません。実授業なのです。」
こうした取組が民間から生まれてきていることに心強さを感じます。先日行ったDiTT EXPOシンポでも、DiTT小宮山会長が「もはや議論のときではない。アクションを!」と話していました。こうしたアクションを応援したいと思います。