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2014年2月28日金曜日

採点競技にウェアラブルを

■採点競技にウェアラブルを
 竹内智香さんがスノボ・パラレル大回転で銀を獲得したのは朗報でした。
 女子アルペン種目初のメダルです。男子を含めてもコルティナ・ダンペッツォの猪谷さん以来58年ぶりの快挙。さらに今回、採点競技以外でのメダルはこれだけです。
 残り7個のメダルは、フィギュアスケート、スノボハーフパイプ、スキーフリースタイル、ジャンプ、ノルディック複合。今回ぼくはジャンプが採点競技になったと感じました。日の丸飛行隊の頃の記憶では、最長不倒距離=王者で、着地した時点でおおよそ順位がわかりましたが、近頃のは飛行距離にあまり差がみられず、飛型点が成績を左右します。
 競技自体にも選手にも罪はありません。だけど、速さ、高さ、強さを競う純スポーツの中で、採点競技に傾倒するのはどうなんだろうと思うんです。
 冬は採点競技が多いしね、という人もいます。数えてみました。採点種目(含むジャンプ)は全体の1/4です。そう多いというわけではない。日本は採点競技に注目してるからそう感じるだけなんじゃないですかね。
 で、全98種目のうちスキーアルペン、クロスカントリー、スノボ回転、スピードスケート、ショートトラック、バイアスロン、ボブスレー、リュージュ、カーリング、アイスホッケーを数えたら74。採点競技以外に222個のメダルがあったのです。
 222個のメダルのうち、1個取れた。よかったね。ということです。でも221個のメダルを逃したことを受け止めるべきなんじゃないでしょうか。

 これも14年前、シドニー五輪の際、アスキーの連載に寄せた文章 “中村伊知哉@LANTIC“「オレの声が聞こえたか高橋」から、抜き出してみます。
 http://www.ichiya.org/jpn/ASCII24/23.PDF
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 今回、シンクロや体操や柔道をめぐって、審査員の採点や審判の判断が物議をかもした。アメリカ人は一般に、体操のようなコンクール系が好きだが、私はどうも陸上や水泳のように客観判断できるものと違って、試合を見た後スグ結果がわからず採点を待つ種目には得心がいかない。エンタテイメントとしては楽しいが、競技性としては大食い選手権の方が上だと思う。
 柔道も似た面がある。ミスジャッジが試合を左右するというのは、選手と観客以外の審判という他人に全ての競技結果を委ねてしまっている構造的な欠陥だ。誰か権威のある偉い人、しかも別に自分が選んだわけでもない人の裁断を待たねばならないなんて、非インターネット的ではないか。
 これは絶対的な神を受け容れる欧米人にふさわしいシステムなのではないか。プロスポーツでも、いかなるミスジャッジにも彼らがしぶしぶながら従うのは、信心深いからではないか。審判に殴る蹴るの暴行を加えたりする日本のプロ野球は地上のものとは思えないな。
 その点、大相撲の軍配差し違えは大変な制度だ。神事でありながら、行司の下した判断に土俵下から文句つけて、協議してくつがえしたりする。権威が分散していて、公正で、ネット的。高度な統治システムだと思いませんか。欧米には真似できまい。相撲を五輪正式競技にせよ!
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 相撲を正式競技にしろと言いたいんじゃないくて、採点システムどうにかしろよというのが趣旨ですが、
「モーグル上村愛子が4位でメダルならず 採点が明らかにおかしいと世界中から批難殺到」
 http://bit.ly/1d9ERLt
毎度毎度こんな記事が登場しますよね。だけどそもそも採点競技という時点で、批判しても無力感が漂うわけです。

 葛西さんの銀は素晴らしい。でも距離は葛西さんのほうが飛んで1番なのに、最後、何かの判定、天の声をみんなで待って、結局よくわからないけど負け、って、競技としてどうよ。って思ってしまうのです。
 近所の小学生がテレマークごっこをしていました。カッコばかり競ってないで、遠くへ飛ぶようにしようよ、子どもたち。と声をかけたい。壁に激突しても最長不倒距離飛んだ人が優勝、にしようよぼくたちは。でも恰好を競うのを優先して、誰か偉い人に評価してもらう世の中にしているのは、大人たちです。
 飛型点重視は安全重視なんですよね。事故の事前回避。安全志向の日本人との親和性も高いのでありましょう。だとすれば、事故が起きるスキー回転や滑降にも、リュージュやボブスレーにも、「滑型点」を導入するのがいいのかな。
 イヤです。
 フィギュアスケートの専門家複数が「浅田真央が最終組であの演技をしていたらトップ得点が出た」と指摘していました。それは競技としてヘンすぎませんか?

 要するにぼくは、採点競技は、名前もどう選ばれたかも知らないジャッジ=官僚に全て委ねられていて、選手も観客もその決定に従う、その構図がイヤなだけなのです。

 もちろん採点は明確な基準に基づき客観的・科学的に行われます。芸術性のポイントが高いとされるフィギュアも、実は技術点の世界だとされます。
「キム・ヨナ八百長疑惑に荒川靜が反論!」
 http://www.cyzo.com/2014/02/post_16159.html

 採点競技もこういう図解があるならどういうことかがわかります。であれば、これをリアルタイム+機械的に出し、演技終了時に結果が明確となるなら文句は減ります。
「Hanyu Falls Twice, but Still Wins Gold」
 http://nyti.ms/1h7Fc0w

 ウェアラブルコンピュータを装着して、ポイントを自動判定するシステムを開発しましょう。身体データをリアルタイムに取得して、ポイント表示するのです。センサーだけで結構。シューズ、スキー板、スノボ板、ウェアの数カ所にセンサーと発信機能をつければ、回転、高さ、スピード、ブレぐらいは簡単に測れますよね。
 それは採点に携わる専門家の職を奪うものです。ごめんなさい。

 ITの利用は身体能力の向上にも認めたい。超高機能ゴーグルで距離と風向きを観測する。その指令に基いて弓を引っ張り矢を射れば、ぼくだってアーチェリー選手になれる気がします。
 通常競技はあくまで純粋な肉体の能力を競うものに留めるとすれば、パラリンピックはどうでしょう。技術が身体を拡張して、健常者、いやオリンピック選手以上に活躍できる世界を示す。パラリンピックの趣旨にも合致するのではないでしょうか。
 サイボーグ装置+ウェアラブル機器を装備して超人的なパワーとスピードを競うサイボーグ五輪を実現させたい。
 KMD「サイボーグ五輪」デモ、今日と明日、日吉にて開催します。お越しください。
 http://bit.ly/1bR6wTd
 長々と、宣伝でした。

2014年2月27日木曜日

ソチが問う東京の覚悟

■ソチが問う東京の覚悟

 ソチ五輪が閉幕して気が抜けております。ぼくは五輪好きです。スポーツに明るくはありませんが、「国の覚悟」と「採点競技」の2点が気になって、ヒトコト発したくなるのです。
  
 ブツブツ言う前にほめます。
 よくやりました。金。フィギュアスケートが美を競うものだとすれば、その頂点にアジアの男子が立つのは事件だと思います。しかもフィギュア男子、金銀銅ともアジア人でした。チャンは中国系、テンは韓国系。美の頂点を独占。大変なことで、またヘンなルール変更にならないかが気がかりです。
 羽生くんの金は日本のファン層の厚さが後押ししたという分析があります。日本の大会が常に満員で選手とファンの間に濃密な関係があるのに対し、海外ではガラガラという差は大きいと。羽生くんも初音ミクもコスプレも和食も、ファンが育てたもの。それがクールジャパンの基盤です。今後の人材育成もファン層の維持がポイントになります。
 浅田真央さんの結果は残念でしたが、女王ソトニコワも、リプニツカヤも真央さんが好きで尊敬していると話しています。閉会式では真央さんフリーの使用曲、ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」が演奏されたといいます。
 スケーターとして名と映像を歴史に刻んだんですね。トリプルアクセルの歴史というこの映像を見ると真央さんの凄さがよくわかります。(最後の伊藤みどりさんが圧巻なのもわかります。)→  http://bit.ly/1hjvsQI
 スノボハーフパイプの結果は、ベルリンオリンピックの棒高跳び、2位西田3位大江友情のメダルを思い起こさせました。ハーフパイプ中高生と羽生くんのお肉食べてるんか気になる十代トリオが明日の日本に希望を抱かせました。
 以上。

 さて、気になる1点目、国の覚悟。
 メダルのことを強調すると、決まって五輪はメダル競争じゃない、努力やひたむきさが大事、という声が飛びます。フリーで魅せた真央ちゃんのラストダンスは世界の涙を誘い、メダルを超える値打ちがありました。それが五輪の意義なのです。
 さいでございますか。それならぼくは五輪に興味はありません。五輪が他の大会とは比較にならぬほど国の威信をかけて総力で激突する平和な戦争だからこそ、ぼくは血がにじむほど拳を握り声を張って応援しますし、他国の選手であっても素晴らしい姿には涙を流すほど入れ込みます。
 アメリカに住んでいた14年前、シドニー五輪の際、アスキーの連載に寄せた文章があります。
 “中村伊知哉@LANTIC“「オレの声が聞こえたか高橋」
 http://www.ichiya.org/jpn/ASCII24/23.PDF
 抜き出してみます。
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 オリンピックのメダル数は国力を明示する。経済、文化、人口、食糧事情、政治力、気合い、などを総合した力。たとえば今回のメダル上位10ヵ国は、米露中豪独仏伊キューバ韓英。日本は15位。なんとなく納得がいく。
 国旗や国歌をかけて闘うというのは、オリンピックやサッカー・ワールドカップやボクシングのタイトルマッチぐらいしかない。物流やネットで国境がなくなり、産業はボーダーレスとなり、通貨も統合され、仮にいずれ国際紛争も減少すれば、国家が存在することを確認できる場は稀になる。
 だから高橋尚子は大変なことをした。 (略)
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 今回、ロシアのメダルは33(金13)。前回は15(金3)。総数で倍増、金は4倍増。覚悟と戦略による躍進だと思います。
 日本は8(金1)。前回は5(金0)でした。メダル獲得ランクで前回の20位から17位に上昇しました。躍進したと見ればいいのでしょうか。でも今回は中国12位、韓国13位。劣っています。満足していていいのでしょうか。
 クロカン男子独占のロシア、女子独占のノルウェー、スケートでメダル21を取ったオランダなど見るにつけ、今回はチームの技術と戦略が大きかった。その点、日本はどうだったでしょうか。
 クロカン女子でノルウェー3人が一度もスキー交換をせずフィニッシュしたのに対し、日本は2回もピットインしました。勝てるわけがない。それはひとり選手の能力が問われるものではなく、組織としての技術力、情報力、そして戦略の結果なのでしょう。
 8個のメダルのうち、雪は7で、氷は1。橋本聖子団長は「反省している」と語っています。氷の1が金だったから七難隠しているといいますか。パシュートでオランダと韓国の決勝戦を見ていて、かつて清水vsウォザースプーンの戦いなんて日本が金争いをしていた遠い日を涙目で想う次第です。

 負けてヘラヘラすんな、と喝破したおじさんが叩かれていますが、共感する点はあります。参加してがんばって感動してありがとう。その優しさは日本の美徳で、だから日本はいい国です。でも、普段はそれでいいけど、五輪がそれでいいのか。
 ただ、喝破するおじさんへの批判もわかる。おじさんの論拠は「税金を使ってるくせに」なんだが、国のJOCへの年間補助金は25億円にすぎません。この間のくだらない都知事選の費用50億円の半分です。もっと国費を出してから厳しくしたい、と感じます。
 夏季冬季2年ごとにこれだけ熱中させてくれるイベントに、ぼくは年1000円払う用意があります。国民全員で1000億円。そうは行かないとしても、その1/10ぐらい出してもいいんじゃね?
 国としてどこまで本気かつうことですね。ロシアは韓国のショートトラックの王者やスノボ大回転のアメリカ人を帰化させて金を取らせました。本気でした。東京五輪に向けて、日本はそんな覚悟を抱き、戦略を描けるでしょうか。
 かつて五輪といえば、赤字に白抜きでCCCPとかたどったジャージの、いかつくて無表情な大きい人たちが、世界はまだ恐ろしやを表現していました。ところが今回、スタイリッシュでポップなBOSCOのユニフォームをまとったお兄さんお姉さんがにこやかにメダルを重ねてゆき、すっかりイメージを変えました。東京五輪に向けて、日本はどんなソフトパワーを発揮するのでしょうか。  (明日につづく)

2014年2月24日月曜日

国際公共経済学会

■国際公共経済学会
  ベルギーに本部を置く国際学会。その日本支部の理事を務めていまして、2013年大会の実行委員長を仰せつかったので、慶應義塾大学日吉キャンパスで開催しました。
 テーマは「2025年のICT」。ぼくが委員長だからデジタルに引き寄せたのは面白味もありませんが、普段は遠くに眺めているアカデミズムの場を自ら設置することにしたのは2つ理由があります。
 まず、今、ということ。この20年に一度のデジタルの変革期に公共経済学として注目する価値はあるだろうということ。もう一つは、未来展望。それが欠けているだろうという問題提起です。
 かつて、未来の情報社会像に関する空想がたくさんありました。高度情報社会、ニューメディア構想、マルチメディア、ギガビット社会・・妄想がありました。そして、その多くは実現し、むしろ現実が空想を超えてしまいました。
 そのせいか、このところ、未来を展望する気力が失われています。メディアが改めて激動期に入ったところ、未来を再度描くのもアカデミズムの役割ではないか。
 でも、アカデミズムだけではムリ。技術、ビジネス、政策といった多角的な観点から描こうとすると、それら最前線の方々の知恵をいただく必要があります。そこで、アカデミズムの枠を超えた有識者のかたがたにお越しいただいてセッションを企画したものです。
 アカデミズムがプラットフォームになり、場を提供する。これをやりたかった。

 セッションとしては、ビジネス、教育、電子書籍、インフラ、社会といったパネル討論を用意しました。特にぼくが注目したのは、「2025年のデジタル教科書」と「2025年のICT社会」。 
 前者はぼくも登壇したのですが、同じく白石真澄さん、石戸奈々子さんと並んで登壇した武雄市の代田昭久教育監に、反転授業+iPad教育の直接伺いたかったのです。授業で一斉学習し、家で復習という学習パタンを反転し、iPadを家に持ち帰って映像素材で予習、授業ではディベート。デジタル技術で授業の構造を変える取り組みをいち早く取り入れています。
 そのデジタル教材を先生と塾が協働で作っているとのこと。それは画期的だなぁ。代田さんは言います。「教員は正解を教えるものだったが、反転授業・デジタル学習は先生のファシリテート力が問われる。」そう、先生の役割はますます大事になりますね。
 「学習指導要領は「教える」時間を規定する。だが、どれだけ学び、どれだけ理解が進んだかが大事。反転教育はそれを問うものだ。」そう、反転授業では家で映像で教わるんですもんね。「米国立訓練研究所によると、平均記憶率は、講義の場合5%、他人に教える場合90%。授業の中身も、講義から協働へ。」
  ただ、一筋縄ではいかない。タブレットを学校から家に持ち帰らせる仕組みを導入する際、保護者からの反対意見もあったといいます。中には「そんなものを家に持ち帰ったら強盗に入られる」という声が実際にあったそうです。
 「全国の学校を変えるには、まず小中学校の1割、3000校が変わる必要がある。その前に、その1割、300校が目標です。」いいですね。われわれDiTTは100人の先導先生を募っていますが、まず300人に増やしましょう。

  もう一つ。2025年のICT社会も面白かった。東洋大学松原聡教授の司会で、代田さんと共にやってきた武雄市の樋渡啓祐市長、DeNA南場智子さん、参議院議員片山さつきさんらが議論。
  南場智子さんは「ウェアラブルとAR」「オープンソースコミュニティへの参加貢献」の2点を重要な方向として指摘しました。12年前に技術として期待されたものが現実のものになってきたということでしょう。
  同時に南場さんは、国よりもアップルやグーグルのレギュレーションが問題と指摘。そう、ぼくも国家とグローバル企業とのガバナンスは最大問題に発展すると考えます。
  片山議員は、2025年を展望することに関して、政府のイマジネーション不足を指摘しました。発言を求められたぼくも、今こそ空想する意味と必要性を申し上げました。
  それに対し樋渡市長は、「空想は不要であり、目の前の課題を解決すべし」と断言。うむ、この日も樋渡さんは図書館改革やiPad反転授業を報告していました。いずれも難事業。目の前に横たわる大きな岩盤を打ち砕き前進している。
  その目からみれば、空想する呑気さは許されません。ぼくは空想し、樋渡さんは実現する。それでいいのかもしれません。

2014年2月20日木曜日

デジタル十大ニュース2013

■デジタル十大ニュース2013
デジタル十大ニュース2013、ネット投票結果が出ました。
 総数6118票の投票、ありがとうございました。( )は票数。

1位:バルス祭り 14万tweet 世界記録塗りかえる (1927)
2位:特定秘密保護法とNSA通信傍受 (735)
3位:3Dプリンター低価格化で身近に (680)
4位:オープンデータ進展 (644)
5位:冷蔵庫に入る若者たち~炎上相次ぐ (555)
6位:ホリエモン出所 (472)
7位:あまちゃん・半沢直樹、テレビの底力 (235)
8位:4K8K/Hybridcast次世代テレビに期待感 (196)
9位:大阪市・荒川区・武雄市が2015年度までに子どもにタブレット配布 (188)
10位:ウェアラブル・コンピュータ時代到来か (151)

 ネット選挙、医薬品ネット販売、鉄道ICカード相互乗り入れ、LINEトラブル、ドコモiPhoneらが惜しくも選外に。

 今回で3年目になります。最初の年、2年前(2011)はスマート革命を示すものでした。マルチデバイス、クラウドネットワーク、ソーシャルサービスのネタで埋め尽くされました。
http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2012/01/2011_14.html

 去年の十大ニュース(2012)は、スマートの明暗を示しました。スマートテレビ、LINE、ビッグデータ、といった次の市場が見えた一方、ガチャ、炎上、家電の落ち込みといった影も見えました。
http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2013/01/2012_26.html

 そして今回の十大ニュースです。みなさん、どう読みますか。ぼくは2点感じました。
 まずはビヨンド・スマート。
 4K8Kはマルチデバイスで、タブレット教育はクラウド+ソーシャル教育。スマート革命本番です。が、同時に3Dプリンターやウェアラブルが入選しました。モノのネット化と、ネットのモノ化。リアル、モノ、アトムへの回帰。もはやスマホやソーシャルの次が求められる状況が明らかになっています。

 もう1点は、光がさしてきた、ということです。
 4K8Kやタブレット教育といった新市場が提示された一方、あまちゃん半沢でテレビが底力を見せました。ホリエモン出所への投票は、いろんな復活や創造への期待感と、それを許容する社会の余裕を感じさせます。
 秘密保護法や冷蔵庫炎上といった影も忍び寄っています。しかし、秘密保護法に対してオープンデータ=情報公開という光が対抗し、冷蔵庫炎上に対してはバルス祭りが元気にしてくれています。明るいですよね。

 今年はどうでしょう。デジタル十大ニュース2014を楽しみにしております。

2014年2月17日月曜日

コンテンツ政策、3つのお願い:自民党本部にて

■コンテンツ政策、3つのお願い:自民党本部にて
自民党知財調査会コンテンツ小委員会、ポップカルチャーとクールジャパン政策について。保岡興治、小坂憲次、福田峰之、土屋正忠、渡海紀三朗、細田健一、柴山昌彦、瀬戸隆一、白石とおる、伊藤信太郎その他多くの国会議員との議論の模様です。

 ぼくのプレゼンについて補足。政治リーダーのみなさんに3つお願いがあります。

1 政府主導より、民間の後押しをお願いしたい。
 クールジャパン推進機構というファンドが作られるなど、コンテンツ業界は政府の姿勢を受け止め、さらに東京五輪も招致され、活気づいています。そして既に民間では動きが出ています。
 ポップカルチャー分科会の提言に沿い、みんなでつながって攻めよう、ということで、さっそく9月にパリでイベント、Tokyo Crazy Kawaii Parisを開催。自らプラットフォームを作って進出するという試みが始まりました。稲田朋美クールジャパン担当大臣にもお越しいただきました。
 音楽業界も海外展開に本腰を入れています。例えば1800に及ぶほぼ全てのJ-Popアーチスト情報を集約・発信するデータベース、Sync Music Japanを構築し、海外発信しています。これは音楽業界の委託で私の研究室が運用しています。こうした動きをご承知おきください。

2 国民全体の創造力強化を。
 教育の充実です。私が関わるNPO「CANVAS」は、デジタル技術を使って、子どもがアニメ、音楽、ゲーム、ロボットを作るという活動を10年以上続けており、日本はこうした活動の先進地になりました。しかし、需要は急増していますが、供給不足です。学校の情報化を進め、学校で行うべきです。教育の情報化は日本は後進国。コンテンツ政策の観点からもぜひお願いしたい。

3 政府の一体化を。
 知財本部最大の功績は8省庁が前のめりに議論に参加するようになったことです。内閣・経産・文科・総務・外務・国交・農水・法務。コンテンツ政策にはさらに警察や公取も絡みます。その前に、IT本部との一体化も不可欠です。他方、これは官僚のコントロールにも限界があるということ。政治のリーダーシップをお願いしたい。フランスの文化省、韓国の未来創造科学省のような組織が日本にあってもよいと思います。

 日本最大の課題は、自分のことがわかってないということだと思います。
 アドビの調査によれば、世界から日本が最も創造的という評価を受けながら、自らを創造的と考える割合が最も低い、という結果が出ています。世界の評価に対し、自己評価が低く縮こまっている。日本は創造性を自ら活かす努力をすべきでしょう。それには国民の認識を変えていく必要があります。空気、です。政治に空気を換えてもらいたい。

 以下、質疑です。記憶によるメモなので不正確なところもありますが。

○韓国の競争力をどうみる?
 韓国は戦略が明確。金大中政権以来、1) コンテンツと家電などソフト・ハード融合戦略で、2) 海外展開に集中し、3) 政府が強力に支援。見習うべきところは多い。総合力では日本が勝るので、戦略・戦術の問題と考える。

○海外展開策は?
 流通に力を入れる。日本企業はネットを使いこなせていない。また、海外の放送枠も不足。アメリカでは中国語が数十チャンネル、韓国語が13チャンネルあるが、日本語はわずか1チャンネル。

○韓国への対抗策は?
 アジアでJ-PopがK-Popに押された理由を聞くと、「だって韓国の歌手は、呼べば来てくれるもん」という答えが返ってくる。要は「出て行く」ということかと。ただ、欧米などの市場は、韓国と張り合うというより、韓国と組んで、東アジア市場を拡大するという戦略もアリではないか。

○ネックは何か?
 著作権処理や海賊版など課題は挙げられる。だが一番の問題は「やる気」だと考える。これまで国内市場で食えていたから海外進出にはインセンティブが乏しかった。もはやそういう状況ではない。もう一つは「プロデュース力」。コンテンツを生産する力はあるが、それを海外ビジネスに変えるマネジメント。国際プロデューサー不足は従来からの課題だが、それは必ずしも日本人である必要はない。

○経済・文化だけでなく政治にも関わるのでは?
 ジョセフ・ナイ教授のソフトパワーはまさに国際政治論。コンテンツは、産業政策としてよりも、文化政策、政治の側面のほうが重要度が高いと考える。政府が関与する理由は、産業よりも文化、国内よりも国際関係に求められるのではないか。

○コンテンツを多面展開すべきでは?
 戦後、ハリウッド映画やテレビドラマでコーラを飲んだりジーンズをはいたりするようになった。コンテンツを先兵にしてリアル産業がうるおうのは定番。その点、政府は自覚的になっており、経産省がコンテンツ産業と他の産業のマッチングを図っている。その機能を強化されたし。

○次のヒントはあるか?
 東京五輪を活かしてほしい。五輪に集中して、海外への情報発信、国内のインフラ整備、コンテンツの拡充を進める。音頭さえ取ってもらえれば、知恵はいくらでも民間が出す。

○日本語がネックでは?
 留学生は来日するときには日本語ができるようになっている。アニメをネットで見て学んでいる。その多くが著作権法違反なのが痛いけれど、そうして配信されていることのメリットもある。日本語を海外に学んでもらうことも大切ではあるが、多言語展開することも重要。また、標識やサインなどに見られる日本の表象文化は、今後、世界が映像化していく中で強みを発揮するのではないか。

○ネットには炎上のような問題もあるが?
 日本は炎上大国。それはネットの陰の面だが、国民一人当たりの情報発信量が世界一であることの裏返しであり、強みの発露とも受け止められる。

○コンテンツに表れる民族性をどうみる?
 ポップカルチャーやクールジャパンなるものは、最近の日本が急に発揮した姿ではなく、1000年以上にわたって培われてきた大衆文化が現代に見せている姿。これからも新しい技術が登場するたび、そうした文化が花開いていくよう、土壌を肥沃に保つことが重要と考える。

○日本文化の他の側面は?
 日本在住の外国人に、自国に持ち帰りたいものを聞くと、こちらが気がついていないものを教えてくれることがある。例えば、給食当番は自ら「おもてなし」をすることを体験する優れた教育システムと評する人が多い。また、海外の警察は民衆から恐れられていることが通常だが、日本の交番は誰もが気軽に相談に向かう。これを自国に広めたいという外国人もいた。まだまだ身の回りに自分たちが認識していないものがたくさんありそうだ。

2014年2月14日金曜日

それでもクールか!? 「アウトバウンド」の巻 その4

■それでもクールか!? 「アウトバウンド」の巻 その4

ニコ生「クールジャパンを斬る!!」それでもクールか!?「アウトバウンド」の巻その4。
 やまもといちろうさん、竹内宏彰さん、青木美沙子さん。
 ライブはコチラ。→ http://www.youtube.com/watch?v=VU4BX1_ex5U

中村
 ニコ生のみなさんからの声を聞いてみましょう。コメントをホワイトボードに書き込んでもらいました。
 「安倍政権は本気でクールジャパンやる気あるのか」。これ後半のテーマですね。「サービスってお金になるのか」ってのがありますけども

やまもとさん
 サービスってひとことでくくられたらきついですがね。

中村
 「日本の「おもてなし」で海外でビジネスできるのか」。ありますかね?

竹内さん
 仕事柄アメリカやヨーロッパに頻繁に行きますが、最近向こうで流行っているレストランは竹内調べだとかなりの確率で日本人シェフだったり、日本人がサービスやってると思います。どちらの国も今までそのような「おもてなし」サービスがこれまでなくて、料理についてのおもてなし、店員さんのサービスなどがウケている気がします。お寿司とかは対面でおっちゃんが握ってくれて、かなりエンターテイメントしている。

中村
 目の前で握ってくれるとか、お好みやきなど自分で作るのはウケるんです。

竹内さん
 映画「マトリックス」のプロデューサーがお好み焼に感動したので、下北沢の店ごと買いたいと言っていた。(笑)

中村
 「韓国を意識しないとだめなのか」。これもよく聞かれる。

やまもとさん
 クールジャパンって言った時に韓国の後追いだって議論はあったじゃないですか。

中村
 だいたい韓国に抜かれた時に、「政策」ってでてくる。

やまもとさん
 韓流ブームがあったときに韓国コンテンツが、

中村先生
 J-popに対するK-popとか、

竹内さん
 ゲームは韓国にやられていないので、

中村
 やはり分野によって違うんですかね。ひとくくりでコンテンツって言っちゃうとマズいんですかね。

中村
 次のテーマに行きましょう。本題です。
「政府は何をすべきか」。
 政府がもっとやるべきだって人もいれば、やめとけって人もいるんですよね。力を入れるべきものはあるかもしれないし、やめた方がいいかもしれないものもあるかもしれない。
 アンケートで聞いてみましょう。

○ユーザーアンケート:政府はなにをすべきですか。
 四つの選択肢からお答えください。

 1産業支援
 2著作権保護
 3人材育成
 4何もするな



竹内さん
 2番目の著作権保護ってどんなイメージなんですか。

やまもとさん
 ゲームだと、マリオカートの亜流がいっぱいつくられている・・

竹内さん
 そういうのを政府ががんがん取り締まると。

やまもとさん
 海賊版があまりに流通してしまっている状況をどうしてくれんだってのは昔からあって、知的財産権のパイラシー対策ってものすごく有効なんです。アニメだとファンサブがそうですよね。

中村
 国内的には著作権保護をしていって、コンテンツ業界が収入増えるようにしましょうってことと、海外に対しては海賊版対策をやりましょうってのが2大テーマでしょう。

竹内さん
 そもそも日本のコンテンツって海外の海賊版対策ってやってないと思うんですが。

やまもとさん
 業者単体ではかなり頑張っている会社はありますが、全体としての取り組みはほとんどやってないです。がんばらないといけないけど、できないんですよね。

竹内さん
 なんでできないんですかね。

やまもとさん
 政策レベルで主導権を取れてないからですよ。

中村
 政府も関係機関もずいぶん動き出してはいるんですが、実績はまだですね。
 青木さんはカワイイ大使だったということですが、カワイイ大使って何なんですか?

青木さん
 日本のカワイイを伝えるために3人が指名されて、ロリータは私なんですけども、あとは原宿ファッションと制服ファッションでした。海外でも人気がありますので、外務省に任命されて、海外のイベントに参加して、日本を好きになってもらうっていう活動です。

中村
 基本的にイベント参加なの?

青木さん
 イベント参加で、基本的にギャラもないです。

中村
 ギャラないの??ここで文句言っといた方が良いと思いますが。
 ということで、アンケート結果がでました。
 あいたたた、やっぱり「何もするな」が一番だ。
 でも僅差で2,著作権保護。
 思ったよりも3.産業支援が低いな。
 で4.人材育成という順番です。

やまもとさん
 人材育成は根幹部分で大切だと思います。

竹内さん
 ぼくも全く同感です。今日はじめてやまもとさんと意見が合いましたね。 (つづく)

2014年2月13日木曜日

それでもクールか!? 「アウトバウンド」の巻 その3

■それでもクールか!? 「アウトバウンド」の巻 その3
ニコ生「クールジャパンを斬る!!」それでもクールか!?「アウトバウンド」の巻その3。
 やまもといちろうさん、竹内宏彰さん、青木美沙子さん。
 ライブはコチラ。→ http://www.youtube.com/watch?v=VU4BX1_ex5U

中村
 アニメに集中してお話いただいたんですけども、他のコンテンツのジャンルはどう見る?

やまもとさん
 ゲームは壊滅しました。とりあえず。

中村
 ゲーム、ダメ?音楽はどう?

竹内さん
 もともと市場として弱い。でも、「きゃりーぱみゅぱみゅ」とか、「Perfume」とか「初音ミク」とか、日本の象徴として海外に出て行く可能性はあると思います。

やまもとさん
 出て行くってなったら国内、海外のユーザーから支持されて出て行くのは分かります。ただ、ご指摘いただいたのは上澄みのごく一部であって、ほかの多数は回収できるのかって話です。今のままだったら次が作れないじゃないですか。

竹内さん
 回収モデルを作っていけばいいんでしょ?

やまもとさん
 今ないじゃないですかって話です。それをどうやって作るんですかってところが、

竹内さん
 「初音ミク」のケースで言いますと、ファンがフィギュアを買います。これは立派な回収モデルですよね。

やまもとさん
 例えばフィギュアが250億円くらいの市場があるとして、そのうちのロイヤリティーはいくらで、それに対してどれくらいのマージンレートがあって、自活して次の作品作れるようになるんですか、と。

竹内さん
 ミクとかで言うと、作品に対しての投資はほぼキャラクターとボカロのソフトなんじゃないですかね。オールドビジネスのスタイルだったらそういうコストを考えるんですけど、ミクの場合は英語版が出るってなってますし、今までのモデルとはかなり違ったものになってゆくと思います。

やまもとさん
 初音ミクのお話は分かるんです。これは成功したモデルだし、ユーザーもいっぱいついているから。けれども、それ以外の代替品がどれほどアメリカに出てます? 日本でトップに近い支持を集めた初音ミクでさえ、たいした知名度を獲得できているわけではない。ぶっちゃけ、知的財産の国内と海外の収支は赤字なんですよ。国内で出て行っているコンテンツを1とすると4入ってきているんです。初音ミクやその他の作品も頑張ってますけども、

竹内さん
 「キティーちゃん」、あれ、「初音ミク」より売れてますよね。

中村
 「点」でしかないというのが課題なんでしょうね。

竹内さん
 反論する人って、ダメダメダメをいうけれども、可能性のあることも出始めている。青木さんはカワイイ大使ということですが、海外でビジネスになっているものなんですか?

青木さん
 まだ私たちの市場はビジネスにはなってないと思います。私たちのようなロリータファッションが好きな女の子たちって最初はアニメが好きで、そういうコンテンツから日本に興味を持って、インターネットでいろいろ見て、ファッションにたどりついて、カワイイってなって、

中村
 やっぱコンテンツが先なの?

青木さん
 そうですね。まずコンテンツで日本に興味をもってからって感じなので、そこで人気が出ないとファッションまでたどりつかないですね。

竹内さん
 ユニクロって、海外での店舗展開ではかなり一番良い場所押さえてますが、ショーウィンドウには日本のアニメのキャラクターTシャツが並んでいるんですよ。2~3年前にフランスユニクロに行った時に日本の有名なゲームクリエイターがサイン会やるって言ってました。
 買うお客さんはアニメや漫画を支持する人が日本のプロダクトであるファッションを買うということで、経済効果に影響を及ぼしていると思うんですが。

中村
 ロリータファッションはそもそも西洋のものじゃないですか、それを日本で青木さんたちが特殊な発展をさせたわけです。それが海外で受けているのはなぜだと思いますか?

青木さん
 勘違いしてほしくないことは、私が着ているのはコスプレではなくファッションということです。
 アニメのキャラクターになりきるのがコスプレであって、私たちはみなさんが普段ユニクロを着るのと同じように、私たちはロリータファッションを着る、ということの違いがまだ浸透していない。
 海外の方もそれを分かっていない方が多いということもあって、でも海外だとアニメから入ってきている方も多いので、ギャップがあってどうしていいのかなというのはあるんです。

中村
 ロリータとコスプレという全然違うものがファッションとして注目されているということですよね。他に何かそういうのありますか。

青木さん
 ロリータファッション以外だとキャラクターものですね。キティーちゃんとか、キャラ弁などのお弁当も人気がありますね。

中村
 ロリータファッションが人気があって、注目している国はどこなんですか?

青木さん
 今は中国が一番人気ですね。

竹内さん
 そもそも中国にロリータって過去あったんですか?

青木さん
 ないですね。お店もない。
 今フランスとアメリカに日本のブランドが進出してるんですけども。

中村
 つまり、中国が注目していても、日本のブランドはそこでビジネスをできていないということですね。

青木さん
 はい。

竹内さん
 フランスはどうなんですか。ある意味ファッションとか、アートに関しては先鋭的な国じゃないですか。

青木さん
 フランスも日本人になりたいっていうロリータファッションを楽しんでいる方もいらっしゃいますので。

中村
 こないだ(Tokyo Crazy Kawaii Paris)にもいっぱいいましたよー。

青木さん
 ジャパンエキスポでも人気で。

中村
 日本を本場だと思ってるのが不思議。

竹内さん
 再編集ですよね。いろんな文化の。 (つづく)

2014年2月12日水曜日

それでもクールか!? 「アウトバウンド」の巻 その2

■それでもクールか!? 「アウトバウンド」の巻 その2

  ニコ生「クールジャパンを斬る!!」それでもクールか!?「アウトバウンド」の巻その2。
 やまもといちろうさん、竹内宏彰さん、青木美沙子さん。
 ライブはコチラ。→ http://www.youtube.com/watch?v=VU4BX1_ex5U

中村
 コンテンツ産業って海外に売って行く競争力あるんですかね。

やまもとさん
 日本製のアニメでも、作画など制作の一部作業は海外でやってたりするわけですよ。いろんな国の人たちが作っていて、それでも仕事を取りまとめている日本だけがクールと言われることに対して、竹内さんどうですか?

竹内さん
 それは厳密には違っていて、演出、監督、キャラクターデザインは基本的に日本のスタッフなんです。それで色をぬったりする彩色や動画部分をかつては韓国、最近ではベトナムがやっている。それはプロダクトでも一緒で、AppleのiPhoneだってコンセプトはアメリカで作って、中の部品は日本製だったりするじゃないですか。でもAppleカッコいいってなるのと僕は一緒だと思うんです。プロダクトをどこがまとめあげて出すか、これがクールになるというのは良いことだと思います。
 韓国の人たちは日本に負けたくないと思ってアニメを作ってきた。でも最近の韓国の人は日本のアニメは見ていないんです。彼らは直接アメリカの音楽とか映画とか、ハリウッドを真似して作ってグローバルに展開する。だからクールであるというのはふんぞり返っているのではなく、目標になって、それを超えようとする、そういう切磋琢磨が良いんです。

中村
 それが長期的な競争力が保てるかということです。一時はフランスでも日本のアニメって席巻してたんですけど、地上波のテレビから追い出されていったというのがあるじゃないですか。

竹内さん
 それはあります。それは日本でも行われました。地上波のテレビで海外の映画を流さなくなりましたけど、それはやっぱりテレビ局の人が作ったものを流しましょうっていう考えがあって。でもお客さんからすればメインのメディアじゃなくても欲しいものを見れる環境はいっぱいある訳じゃないですか。ニコ生だってそう。

やまもとさん
 でも、ライセンシングの問題があって、実際に海外で流通する時の日本のコンテンツは高額なんですよ。4倍位するんです。

竹内さん
 良いことじゃないですか。

やまもとさん
 いや、そう単純な話じゃないんです。何よりも、まず素材自体が安くならないから買い付けできないんです。海外でも受け入れられるように、吹き替えや設定を変えなきゃいけない。例えば、日本国内では大丈夫でも、トルコで十字架が立ってる建物は法禁なわけですよ。海外マーケットを見てものを作ってるかと言われれば日本はまだまだ弱いと思う。

中村
 そこは韓国の方が力を入れているということですか?

竹内さん
 文化解放政策以降、コンテンツをグローバルに拡げるためのお手本の国をそれぞれ研究して国際戦略を展開してます。サムスンがデザイン力でプ家電市場を席巻したように、最初から世界を市場とみてやっています。日本はそれができてないのが残念です。

やまもとさん
 韓国は他のプロダクトやサービスにコンテンツを乗っけて輸出していくわけですよ。じゃあ日本でそれやれって言ったところで、やんのかと。トヨタがアメリカでの宣伝で初音ミク使ったって、それがどうしたって話になるわけです。
 そういった売り方も含めた取り組みも踏まえて全体をコーディネートしていかないと、日本が自身を「クールです。だから買ってください」と言ったところで売れないわけです。日本のコンテンツは、ただでさえ高いから。心臓部分は日本がやってます、それが価値です、という主張それ自体はその通りなんでしょうが、その価値を皆が認めてくれる位のバリューがそこにあるのかと。
 高い値段でも日本製が欲しいんだってなるかというと、今のコンテンツ界隈では必ずしもそうはなってないから、海外市場においては、例えばフランスでの競争に敗退して、東南アジアでも枠が少なくなっていってるのが実情だと思いますね。

竹内さん
 例えば日本のアニメは英語圏では、クランチロールという会社がサイマルキャストといって日本で放送した数時間後に字幕つきで流してます。アメリカのユーザーは基本的に無料で見られます。HDで見たい人は月7ドルくらい払うといろんな番組が見られちゃう。
 昔、日本のアニメを海外で見ようと思ったら、平日の夜中の深夜帯の枠とか、それこそ放送されないものは買わないといけなかったってことがあるので、広がりはありますよね。作っている身からすると利幅が薄くなってきてるんで、そこは悲しいことはありつつも。

やまもとさん
 ファンサブ問題で、向こうが勝手に翻訳して、ネットで共有してしまうことへのディストリビューターとしての対策はあると思うんですよ。一方でその仕組みが持続的かっていう問題は別問題になるわけですよね。要は安い値段で日本のコンテンツを叩き売るようなことだと意味ないじゃないですか。そこに政府がこういう形で後押ししますよって言ったところで、制作サイドは多少助かるかもしれませんけど、流通サイドは潤わないって話になるわけじゃないですか。

竹内さん
 すいません、割り込みますけど、クリス・アンダーソンが「FREE」で言ったみたいにコンテンツは長期的に見るとタダ、フリーになりますよね。タダと自由という意味合いで、今の僕らのアニメ業界は配信は宣伝としてどんどんやりながらその周辺でビジネスをする。例えばフィギアやカードを売ったり、それがグローバルで新しい流れになる気はしています。

やまもとさん
 ふつう、それは逆で、ビジネススキームからすると儲かったあとで後追いでそれらを模倣したフリーのものが出てくる。広告宣伝代わりに無料でばら撒くのはいいですが、原資はどこにあるんですか。要はコンテンツの商売があって、収益が上がっているからこそ、その広告宣伝戦略の一環として、フリーミアムのものがあって、広告戦略として成り立つ、これは自然だと思うんです。逆に、まずフリーになっちゃってて、

竹内さん
 でもそれは、今はハリウッド映画でもその流れに乗っかってるわけです。これは流通とかプロデューサーが仕掛けられる市場の流れから逆行してます。その中でコンテンツの価値がどう生き残って行くかということになっていく。

やまもとさん
 フィギアなどの周辺の二次利用で儲けるって、次に続きますかって話ですよ。

竹内さん
 続くと思います。

やまもとさん
 続いてないじゃないですか。何が続いてます?

竹内さん
 まず、聖地巡礼を含めた観光が作品にかなり紐づいてます。日本に来てもらって、日本語のブルーレイ買って行く外国の若者がすごく増えてます。周辺のおもちゃやフィギュアなどもどんどん海外の人に買っていただいてます。
 これは今までアニメを作ってきた人たちからすると、おもちゃとかって海外で売るのは大変だったわけですよ、当然アメリカは国土が広いし、流通網は持ってないと。そういうものがAmazonに乗せたりして売れてきている。完全に今そこで潤ってるわけではないんですけども、

やまもとさん
 だから、何度も申し上げているように、だんだん縮小再生産になって続かないじゃないですか。

竹内さん
 いや、続いてる、作っているんだもん。

やまもとさん
 そうじゃなくて、日本である程度回っているものが海外で英語化されて海外用にされて、海外の人たちが買うようになりましたと。そん時のロイヤリティーは4パーセントから6.5パーセントだったわけですよね。どれくらいの市場ボリュームがあって、アメリカ向けの別の作品をつくるだけのボリュームはあるんですかと。
 DVDは国内で売れます、例えばある作品が2000本から3000本売れます。その仕事で儲かった中で再生産していくことはできると思うんですよ。それは日本国内の市場でだけ回転しているのであって、海外に出て行く時のコストや海外でディストリビューションしていくコストを日本の会社が次回も仰るような二次利用メインの事業で回収できるのかってのが一番の問題だと思うんです。

竹内さん
 それは問題ないですね。海外のディストリビューションコストってのは昔よりかからなくなってきました。それにアニメや漫画がそのビジネスの中に閉じてないんですよ。今日青木さんもいらっしゃってますけども、コスプレはアニメ作品に相まって海外に広がってますよね。
 どこでマネタイズがあるかは議論のあるところですけど、少なくとも海外の人がキャラクターを見て、知って、そういった格好をビジネスとして売るとか、コスプレとかでフィギュアが売れるという流れも出てきます。ここは完璧じゃないにしても、今までにないビジネスの可能性がでてきたかなと・・   (つづく)

2014年2月11日火曜日

それでもクールか!? 「アウトバウンド」の巻 その1

■それでもクールか!? 「アウトバウンド」の巻 その1

  ニコ生「クールジャパンを斬る!!」それでもクールか!? 二回目の放送「アウトバウンド」の巻です。
 慶應義塾大学メディアデザイン研究科(KMD)のポリシープロジェクト、略して「ポリプロ」がお届けするニコ生、学生が運営しています。今回は手作りの会場、私が所属する融合研究所のオフィスです。
 ご出演は、やまもといちろうさん(イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役)、竹内宏彰さん(株式会社テイク・ワイ)、青木美沙子さん(日本ロリータ協会会長)。
 日々のニュースに多角的な意見で斬りこんでいるやまもといちろうさんと、アニメ界の敏腕プロデューサー竹内さんは、クールジャパン政策やポップカルチャー政策への態度が対極。イケイケの竹内さんとアンチのやまもとさんによる明快なバトルがステキです。
 カワイイ大使、青木さんがいちめんお花畑の風情をただよわせ、その間でぼくがボーッと役立たず。
 「日本はクールなのか?」「政府は何をすべきなのか?」8回に分けて文字にします。
 ただし。このニコ生のライブ感は文字にすることには限界がありまして。出演いただいた3名の意図が正しく反映できていない面はあります。すみません。
 ライブ感が気になる方は、コチラをどうぞ。
 → http://www.youtube.com/watch?v=VU4BX1_ex5U

中村
 前回はクールジャパンの総論ということで、稲田朋美クールジャパン戦略担当大臣とホリプロの堀社長=音事協の会長という政府と民間のドンにお話をいただいたんです。その時はクールジャパンに対する期待と課題だとか、政府な何をすべきで、何をすべきでないのかということを議論いただいたのですが、今回は「アウトバウンド」、海外に何を持っていけばいいのかということです。
 そもそも日本はクールなのかということです。日本はよくクールだと言われてますが、それは本当なのかと。

竹内さん
 めちゃめちゃクールだと思います。仕事柄20年くらい前から海外にアニメを持っていって売り歩いていますが、その当時からアメリカやヨーロッパでは日本のアニメや漫画は、一部の見ている人たちがカッコいいと言っていて、今もその流れは続いている。

中村
 でも、自分でクールって言うなって声は結構ある。

やまもとさん
 そうなんです。俺カッコいい、って言う自画自賛なっちゃうじゃないですか。おかしいですよね。てめーで俺クールでしょって言わなくたって、他の人にクールだって言われれば良い話で、なんで自分からクールって言っちゃうんですか。

竹内さん
 僕は自分がクールなのではなく、アニメ作品がクールだと言っているわけで、僕が本当にこう、すかした感じで「ジャパンアニメーション、クールでしょ!」って言ったら、「そりゃお前自分で言うな」ってなりますけど、こんな暑苦しい汗かき男がクールでしょって

やまもとさん
 でも、「俺がプロデュースしたアニメ、クールでしょ」って自分で言うのも変でしょ?

竹内さん
 それは微妙にあるんですが、もっとクールなアニメを先輩方がプロデュースしたんで、そこに負けたくないという思いでやってるって感じです。


中村
 青木さんはクールジャパンはどう受け止めてるんですか?

青木さん
 私もカワイイ大使で外国を廻っていて、海外で日本のファッションは人気があると感じます。クールというか、カワイイと思います。

やまもとさん
 カワイイ大使と言われることについて、ご自身では違和感ないですか?辛くないですか?

青木さん
 違和感ありますよ。自分がカワイイと言ってまわっているようなものじゃないですか。すごい恥ずかしいですが、一方的に言われて就任したので。

中村
 これから何を売っていくべきなのかというのを番組をアンケートをとっていただきましょう。

○ユーザーアンケート:クールジャパンで何を最も売り出すべきですか。
 四つの選択肢からお答えください。
 1コンテンツ
 2ファッション
 3フード
 4サービス

中村
 コンテンツは漫画や音楽、ファッションはロリータやコスプレ、フードは日本食、サービスは接客とか「お・も・て・な・し」ということですね。
 これまでの日本のイメージと言えばトヨタ、ホンダやソニーとかの製造業でしたけど、これらはクールジャパンですかね?

やまもとさん
 自分たちでクールだとは言わないですよね。この海外から日本製品イイねとは言われることはあっても。

竹内さん
 でも昔から日本のウォークマンとか、車ってカッコいいっていわれてましたよね。

やまもとさん
 プロダクトと日本のイメージが紐づいて、プロダクトを支持する海外の人が「日本はすごい」という話をしているというのはありましたね。未だに韓国製が日本製だと思われたりするわけですよ。

中村
 さて、アンケートの結果です。
 1番目がコンテンツ、2番目はサービス、3番がフード、4番目はファッション。
 番組を見ている人はコンテンツに期待しているみたいです。
 この順番で議論をしていきましょうか。  (つづく)

2014年2月10日月曜日

ポップカルチャー政策とは?:自民党本部にて

■ポップカルチャー政策とは?:自民党本部にて
自民党知財調査会コンテンツ小委員会に出席し、ポップカルチャーとクールジャパン政策について、保岡興治会長、小坂憲次小委員長、福田峰之事務局長ほか多数のかたがたと議論しました。まずはぼくのプレゼンからメモしておきます。
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 コンテンツとクールジャパンの政策動向を共有したい。クールジャパンという言葉が生まれて10年。失われた20年の間に、日本に対する海外の認識は産業国から文化国へと変化した。
 世界での日本語学習者数は1998年の210万人から2009年の365万人へと急増し、その最大の理由がアニメ・マンガにあるという。私のゼミにも10名以上、各国から留学生が来るが、志望動機はソニーでもトヨタでもなく、アニメとファッション。
 注意すべきは、クールジャパンは日本が評価してプロデュースしたものではないということ。2002年、米ダグラス・マッグレイ氏が日本が文化力を発揮していると指摘し、ハーバードのジョセフ・ナイ教授が、ソフトパワー論の一環で日本はポップ力を活かすべきと指摘した。日本がそれを消化しようとするまで10年を要した。

 クールジャパンと呼ばれる日本のコンテンツ、ポップカルチャーの特徴を、6つ挙げてみる。
1 輸入:マンガもアニメもゲームも、元々の技法や基礎技術は海外から輸入して、その上で文化の花を咲かせたもの。
2 多様:マンガもアニメもゲームも、上下左右にあらゆるジャンルが開拓されている。和洋中これだけ多彩な食べ物がある国はない。
3 自由:宗教や社会の規範が緩い。暴力表現・エロ表現の規律が緩い。だから日本アニメが海外で叩かれるが、それが人気の元でもある。日本ではどんな格好も許される、と西洋人も中国人もうらやましがる。
4 大人と子どもの文化の境界があいまい。大人がマンガをむさぼり読むのが力の源。大衆・庶民が支えてきた。
5 参加:誰もが表現者として参加する。誰でもピカソ力。道を聞かれて地図を描ける人は世界にそんなにいない。だれもが縦笛をふける国はない。数十万人ものアマチュアマンガ家とファンがトップクリエイターの下にコミュニティをなすコミケだけで年間売上が映画産業の1/3に達する。
6 技術と表現のドッキング。ものづくり力と文化力、の双方を持ち合わせている。農業社会や工業社会は土地や資源を持てる国の社会。情報社会は技術と表現を持てる国の社会。典型が初音ミク。ボーカロイド技術とアニメ表現。さらにそれをニコニコ動画というSNSでみなが参加して育てた。
 技術・表現・ネットの組み合わせで世界に進出する、のが一つの戦略。任天堂のファミコンも、ソニーのウォークマンもそう。ハードウェアの技術と、ファミコンソフトやCBSソニーのコンテンツの組み合わせ。それを世界の流通を押さえて80年代に世界制覇した。いまGoogeもAppleもAmazonも同じモデルで、ただし流通をネットに置き換えて世界征服しているが、日本にできないものではない。

 これを踏まえ、政策はどうすればいいか。政府での政策立案の場はいくつもあるが、長期戦略のとりまとめは知財本部が担当。短期戦略として、この政権はクールジャパン推進会議を設置、特に海外展開策を練っている。
 知財本部では、従来、国内重視で産業を支援し、そのためにもコンテンツのプロを育成する人材育成策を重視してきたが、ここ数年で大きく戦略を転換している。
 海外展開に軸を移して、産業界を助成する以上に、制度やインフラの整備に力を入れる。プロだけでなく、国民全体の教育に力を入れる。という方向だ。
1 海外展開。放送番組の海外配信に取り組んだり、海賊版や違法配信の取り締まりを強化したりする。
2 基盤整備。通信放送のネットワークを整備してコンテンツの流通を促す。そのための規制も緩和する。電子書籍のような新しい産業基盤を整える。
3 人材育成。教育の情報化を推進して、ポップな創造力と表現力を底上げする。

 一方、短期戦略として、クールジャパン推進会議が置かれた。ただしクールジャパンは概念があいまいで、コンテンツのほかにもファッションや食、観光その他のジャンルも含まれる。そこで、コンテンツ分野の海外展開策を切り出して考えるため、ポップカルチャー分科会が設置され、私が議長として意見とりまとめた。
 「飛び出せ、日本ポップカルチャー」とタイトルがつけられた提言は3つの柱からなる。
1 みんなで:政府主導でなく、クリエイター、プロデューサー、ファン、みんなで進める。
2 つながって:ネットの力をいかしてつなげる+コンテンツだけでなく、食、ファッションなどの総合力を発揮。コンテンツ「を」売る、という戦略から、コンテンツ「で」みんながうるおう。コンテンツを先兵にする。
3 そだてる:人材を育てていく。

 中長期政策として、6月に知財政策ビジョンが策定された。知財本部設置から10年、今後10年を展望した政策を考えるものだ。さらにその要約を「基本方針」として初めて閣議決定してもらった。
 そこには二つの背景があった。まず、ここ1-2年の急激なメディア環境の変化だ。スマホ、タブレットなどのマルチデバイス、クラウドネットワーク、そしてソーシャルサービスといったメディアの刷新が世界的に進んでいること。もう一つは、グローバル競争で他国に後れを取っていること。競争力を活かせていない、という認識だ。

 この基本方針のうち、コンテンツについては2つの柱からなる。
 まず「デジタル・ネットワーク社会に対応した環境整備」。具体的には、
・コンテンツ産業に資源を重点配分する。優先度を上げる。
・放送番組の二次利用を促進するため権利処理を円滑化する。
・ネットを使ってユーザが作るコンテンツを増やす。
・デジタル教科書・教材を整備するための措置、教育情報化を推進する。

 もう一つは「ソフトパワー強化」。
・海外の放送枠を確保したり、リスクマネー供給を促す機関を設置したりする。
・国際的に通用するクリエーターやプロデューサーを育てる。
・ソフトパワーと連携してビジット・ジャパン事業を推進する。
・海外での模倣品・海賊版対策を強化する。

 今回とりまとめを担当し、大きな方向性が3点整理できた。
1 プライオリティの向上:資源配分の重点化、優先度の向上を訴えた。農業・工業社会から情報社会に移行する中で、コンテンツ政策や知財戦略が重要だと確認。
2 政策転換:プロが作るコンテンツだけでなく、みんなの力を活かす。コンテンツビジネスだけでなく、国民全体の問題として捉える。みんなが映像や音楽を産み出す創造力を後押しする。政策の視点をコンテンツ産業12兆円から、GDP470兆円に拡げよう、という見方。
3 推進体制の整備:政府の一体的な取組、総合的体制の整備、もビジョンに明記。

 この3点の方向で進めていただきたい。

2014年2月6日木曜日

新都知事様、「海の特区」はどうです?

■新都知事様、「海の特区」はどうです?

 マック赤坂さんはじめ多くのかたがたがデッドヒート中の都知事選であります。
 脱原発、脱成長、脱五輪を目指すのか、目指さないのかが問われているようです。
 誰もデジタルやソーシャルのことなど唱えません。正直、ピンと来ません。
 アジアで初めて2回めの五輪を開催する都市がどういう姿を世界に示すのか。あるいは1940年に五輪を返上した都市が2回めの返上を成し遂げるのか。よく見えません。
 アドビの国際アンケートでは、最もクリエイティブな都市として東京が30%を獲得。ニューヨーク21%、パリ15%、ロンドン8%、ベルリン7%を抜いてダントツであります。世界はわかっている。だけど東京ご本人はどんなクリエイティビティを発揮するのでしょうか。
 国連統計によると、都市圏の人口で東京は世界一。2位デリー、3位サンパウロ、メキシコシティ、ムンバイ、ニューヨーク、上海を上回っています。予算規模を国家予算で比較すると、インドの下、インドネシアの上、フィンランドやギリシャより大きい。大きな国です。

 じゃあ公約を考えてみよう。
 ということで、KMDの授業で知事選マニフェストのプレゼン大会を開きました。
 4つの学生チームが提案したのは、以下のプランです。(ぼくが脳内解釈しちゃってる部分もあります。)

1 女性海上都市
  女性の力を活かす。オンデマンド育児、夜間医療、エンタメ、教育施設を備え、研究開発や情報処理など女性向けの業務を集積する都市を東京湾の船上に創りあげる。毎日がクルーズとなる。

2 23区バトル
 23区の隠れた都市資源を再発見し、プロデュースするプランをソーシャルメディア上で闘わせる。勝者のプランは実行する。ニート対策として行い、企画から雇用・実施までニートを優先して採用する。

3 ロボットシティ
 アシモ、ルンバ、その他の業務用・家庭用ロボットを1万体投入し、防犯、清掃、介護等の業務につかせる。クルマの自動走行も実用化し、ロボットによるライブイベントやスポーツも開催。

4 デジタルバレー
 シリコンバレーの次っぽいのを作る。スマートでクラウドでソーシャルの次の次に来るIT、ウェアラブルでユビキタスでM2Mの次に来るやつ。そしてクールジャパンの次の次に来るコンテンツ、教育や医療やビッグデータやウェブマネーの次に来るやつ。その産業支援。


 うむ。
 一つ一つはショボかったりしますが、トータルでみれば諸君、悪くない、と思いましたよ。
 まず、海を活かすという点。東京の大いなる特長は海です。海のある首都って他にありますか。ワシントンDC、ロンドン、パリ、ベルリン、ローマ、マドリード、モスクワ、北京、ニューデリー。ないよね。大きな首都って東京だけじゃないですか。明治政府が海洋都市を首都に据えたのは英断だったと思うんです。東京は海を持っている。これを活かすべきです。
 そして、さらに活かされていない資産を活かす。女性とニートです。安倍さんが熱心な女性力の活用は東京も進めましょう。そしてニートたち、オタクたちよ、日本のネット力を引きこもりつつ世界に発揮しているみなさんの力をリアルにも活かしてくれまいか。
 一方で、既にある強みを活かす。ロボットやデジタル技術ですね。政策資源を投下し、それらが活躍し、増殖する場を創りだす。担当教授としては、ポップ度が薄いので、ガンダムやナルトやミクやゴスロリや回転ずしなどニッポン代表たちにも集中的に活躍していただきたいと申し添えます。
 これらを総合的に特区として実施すればいかがか。総コストは1000億円から2000億円の間でしょう。案外ロボットシティの費用がかさみますが、予算規模12兆円都市からすれば小さな話です。
 東京湾とベイエリアに施策を集中させます。総務省にかけあって特殊な電波をもらい、オークションにかけてデジタルバレーの原資とします。フリーwifiで世界中のテレビを4K8Kで見られます。文科省にかけあってデジタル教育特区とするとともに著作権特区を定め、二次創作のメッカにします。国交省と警視庁にかけあって屋外表示規制を解除します。街中のデジタルサイネージに3カ国語翻訳もつけます。
 特区プロジェクトリーダーはマックさんなのか、家入さんなのか、ドクターさんなのか、議論の残るところです。 もちろん知事選に当選されたら兼務となります。


 さて、実は学生にもナイショだったのですが、似たような構想をぼくは内々あたためておりました。東京オリンピックに向けて、港区のベイエリア、竹芝地区にデジタルの技術、人材、産業を開発する拠点を形成しようとするものです。これは明日(2月7日)開催する「デジタル新年会」で発表する予定ですので、改めて報告申し上げます。

2014年2月3日月曜日

超党派議員のみなさま、教育情報化をよろしく。

■超党派議員のみなさま、教育情報化をよろしく。
2013年11月、「教育における情報通信(ICT)の利活用促進をめざす超党派国会議員政策勉強会」という長い名前の会議の第1回会合が開かれました。国会議事堂の裏側、国会議員会館にて。自民党遠藤利明衆議院議員、民主党石橋通宏参議院議員、公明党山本博司参議院議員(財務大臣政務官)ほか、自民、公明、民主、維新、みんな各党の代表の集まりです。
 5月には自民党「情報化教育促進議員連盟」が一人一台タブレットPC等の導入の促進、 デジタル教科書・教材の充実・普及を柱とする「教育のICT化に関する決議」をとりまとめましたが、今回はそれを超党派の会合へと拡げたものです。そう、この件は与党・野党を問わず、議会全体で推進していただくことを望みます。
 その場にて基調講演を仰せつかったので、いつもの論調ながら、お願いをかねてアジってきました。以下、そのメモまで。
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 小中学生計1000万人がデジタル環境で勉強できる環境を。民主党政権で政府は2020年という目標を据えたが、われわれは民間団体として5年前倒ししてほしいという活動を続けている。
 OECDテストで2000年に日本は1位だった算数の順位がみるみる落ちた。何とかできないか。授業が面白いという日本の子どもは世界平均の30ポイントも低く、役立つという子どもは20ポイントも低い。何とかやる気を高められないか。それをデジタルが手助けできないか。
 カネがかかるという批判も受ける。かけましょうよ。日本はGDPに占める公教育のコストはOECDの最下位で、カネをかけていない。仮に1000万人に1万円かかるとして1000億円。かつての道路予算の1/100。未来への投資として高いかどうか。その判断は官僚にはできない。政治にしかできない問題。
 21世紀に必要な力は、OECDでもEUでも文科省でも、情報活用能力やデジタル能力が最重要ということで一致を見ている。もう議論の段階は過ぎ、実行の時期。私のような学者や官僚の時期ではなく、政治の決断と実行の時期だ。

 情報化のメリットやデメリットの議論を続けているのはもう日本だけだ。韓国は小中学校でデジタル教育を全面的に導入しつつある。端末は何でもよいと決めたため、教材はクラウドが前提で、標準化も進んでいるという。しかも、授業、宿題、保護者の連絡にソーシャルメディアを活用。日本ではまだ利用は皆無に等しい。日本の3歩ほど先を行っている。
 小学校のPCは6.5人に1台で、1人1台は遠い。文科省・総務省はがんばっていて、20校で実証研究を行っているが、これを早く100、1000校へと拡げていかなければならない。わたしたちの協議会でも独自プロジェクトを進めているし、NTTのように企業単位で取り組んでいるものもある。
 9月には大手教科書会社など13社がデジタル教科書のプラットフォーム「CoNETS」を発足。教科書会社という本丸が手を組んで動き出した。ベネッセは小学生の通信教育にタブレットを導入し始める。今年の東京おもちゃショーでは、子ども向けタブレットやスマホが大手玩具メーカーから一斉に出展。小さな子を持つ親はデジタル世代。どんどん使わせる。2-3歳児が小学校に入るころ、デジタルのベテランとなっているはずで、与えるかどうかという議論はもう陳腐だ。

 デジタル化による効果、成果も問われ続けているが、成果はもう出ている。総務省の調査では、ITだと楽しく学習できるのが95%、コンピュータを使うとわかりやすい90%という結果が出ており、文科省の調査では、ITの利用あり・なしで理解度テストをすると6ポイント程度の差がみられるという。使い始めた学校からはデジタル教材を増やして欲しいという声が92%に達し、現場からも求められている。
 こんな成果や評価は求めようと思えば永遠に求められる。もちろん、授業を向上させる研究は必要。紙と鉛筆の授業の研究は今も行われている。デジタルの授業の研究も100年は必要だろう。だが、導入するかどうか、のための成果はもうよかろう。それは政治判断の問題だ。
 不安はある。授業が画一化する、先生が要らなくなる、読まなくなる、書かなくなる、のめりこみすぎる、目が悪くなる、などだ。全て簡単に反論できる。授業は多様になり、先生はますます重要になり、よく読むようになるだろう。ただ、それら指摘の大半は、デジタルだからというものではなくて、アナログでも同じ問題があるというもの。デジタルは単なる道具。授業の中でどう使わせるか、という問題。デジタルとアナログを、それぞれの長所を活かしてどう使うか、の問題だ。

 政治的・制度的にデジタル教科書は高いハードルがある。法律上、教科書は「図書」つまり紙とされていて、デジタルは教科書になれないという問題だ。本年度の政府・知財計画では、その位置づけや検定との関係を検討して、必要な措置を取る、と明記された。だが、まだ検討もスタートしていない。
 他方、国よりも早く動き出す自治体が現れてきた。大阪市、東京都荒川区、佐賀県武雄市は、2014ー2015年度には域内の全小中学生にデジタル機器を配布すると宣言した。われわれの2015年という目標もあながち夢ではなくなってきたと心強く感じている。
 われわれ協議会は今、1)この分野を先導する100人の先生を選んで応援すること、2)100人の首長に名乗りをあげてもらうこと、3)1人1年1万円程度の安価なサービスメニューを用意して自治体に提示すること、の3点に力を入れている。民間は民間としてできることを推進する。
 政治リーダーのみなさんには、1)予算の拡充、2)制度の整備、3)そして教育情報化は重要というメッセージの発信、この3つをお願いしたい。教育情報化がまたも行政改革レビュー、仕分けの対象になっているが、これは政府・財務省がどう考えるか以上に、政治がどう判断するか、の問題ではないか。ぜひ強く推進していただきたい。  以上。