Twitter

2012年1月30日月曜日

IT復興円卓会議「ボランティア」(3/6)


IT復興円卓会議「ボランティア」(3/6)

 IT復興円卓会議ニコニコ生放送、【第5回:ボランティア】。3回目。http://live.nicovideo.jp/watch/lv59798260
富士通野口直昭さんボランティアインフォ藤代裕之さん情報支援プロボノ・プラットフォーム会津泉さん、菊池尚人さん・中村伊知哉。

(菊池)富士通はなぜボランティア活動に動かれたのでしょうか。

(野口)実際に現場に行ってその空気感を直接肌で感じると言うことをしないと、色々なところでお客様と接する仕事であるところの我々は何も語れまいということで、私が役員に提言をしました。ただ、新入社員を送り込むということは申し上げていません。

(中村)企業の社会貢献活動をCSRと言いますが、企業とボランティアというところで言うと、今一つしっかり噛み合っていないのではないかとも感じています。

(野口)仰る通りだと思います。CSRとボランティアはイコールなのかニアリーなのか、誰もわかっていないのではないかと思います。

(会津)敢えて申し上げると、企業のボランティア活動を横につなげるコーディネーションが全然出来ていないのではないでしょうか。なので、一部地域だけが支援を受けられず取り残されるという事態が起こるのです。これはIT業界に限ったことではありません。事前に枠組みが出来ていないと難しいと思いますが、どうしても実際にやり易いところ、ポイントを稼ぎやすいところに企業は目を向けがちです。それがいけないということではなく、更にもう一歩前に進めるとどうか、というところを企業は考えないといけないのではないでしょうか。

(藤代)「ボランティア」という言葉が問題を内包しているとも考えられます。「ボランティア」と聞くとどうしても「お金・タダ・無料提供」というような、美しいストーリーを求められてしまうのです。私は企業戦略としてCSRを捉えればよいと思っています。例えば被災地ではamazonを使ったことが無い人がたくさんいたと思いますが、この支援活動を通じ、東北のamazonユーザーは増えていくでしょう。グーグルもそうですよね。支援を通じて、サービスのユーザーは増えていくでしょう。そういったことが覆い隠されてしまうのが問題です。

(中村)CSV(created shared value)という、ポーターが提唱している概念があります。意味としては企業の本業に近いところで社会貢献をすれば、利益が本業に還ってくるというようなことなのですが、そういったリアリティのある話をしなければダメなんじゃないでしょうか。

(会津)もう一つリアリティということで申しますと、今回の震災は企業のBCP business continuity plan)を考えている人たちにとっては非常に良い訓練になったと思います。ただ、これを一過性のものとしてしまうと災害のたびにあたふたすることになってしまいます。特に日本では災害がよく起こりますので、震災で学んだことに継続性を持って企業は取り組んでいくべきだと考えます。

<質疑応答>
QNPOと社会福祉協議会がそれぞれボランティアを募集しているようですが、棲み分けはできているのでしょうか? 社会福祉協議会はボランティアが休止したりもしているようですが、ボランティア活動の情報発信は現在どのように行われているのでしょうか?

(藤代)社会福祉協議会の主業務は、高齢者の見守りと障害者のための政策実行です。そして災害時のような緊急事態においては、災害ボランティアセンターをつくることです。従って、現在は復興のフェーズにあるので、災害ボランティアセンターをクローズしているのです。

(菊池)あまり報道されてはいませんが、地方自治体で激甚なところの管理職は、燃え尽き症候群やうつ病などで現場を辞したりしている状況もあるようです。そしてそもそも社会福祉協議会も藤代さんが言われていたように成り立ちが高齢福祉のための組織なので、あそこにボランティアを受け入れさせようということ自体が極めて難しいのではないでしょうか。それよりは自主防災組織など、より防災に適したボランティアの受け入れ組織を再構築する方がよいのではと思います。

(会津)今ここは東京のスタジオで、被災地ではない場所です。そもそもあれだけの被害を受けたということは、物だけではなくシステムや組織も含め、様々なところが壊れているということです。従いまして現状の被災地自治体の問題点を、安全であるこの場所から議論することに私は抵抗を感じます。阪神淡路大震災の際も自治体職員の方で自殺をしたりうつ病になったりした方は多数いらっしゃいました。ですので、こういった議論は、今までの災害で培った経験をベースとしたうえで、行政の仕組みや国の仕組みを一緒に考えていくべきでしょう。

QTwitterを使って情報発信を行っている仮設住宅の自治会があります。そのようなまとめサイト・ポータルサイトを作るようなボランティアはないのでしょうか?
(賀沢)まさに外部の方かたらグーグルに作っくてくれ、というお話を頂くことがあります。しかし、我々がやるというよりも、既に「道具」は揃っているので、こういったものが自然発生的に出てくる社会というのが強い社会だとも思います。とはいえ、そうなっていくまで待つのかどうかは判断が難しいところですが。

2012年1月26日木曜日

デジタル授業@台北

■デジタル授業@台北
忠義国民小学校@台北のデジタル授業を見学しました。
政府5実験公立校の1つ。電子黒板+1人一台PC+無線LANです。
 

四年生国語。文章の組み立てを電子黒板で考え、生徒各自PCで作業して、グループ討論。
電子黒板では4画面でみんなの考えを共有し、生徒どうしが討論。
先生はコーディネイト役です。
ITの導入で授業がインタラクティブになったといいます。
課外授業にも持ち出して、PCについているカメラで観察ノートをつけたりしています。


ペン入力でとことん書かせます。PCでも読む・書く、に力を入れています。
田中真紀子さんが著書で「デジタルだと読まない・書かない」と批判していますが、
台湾でもそれに対する回答を出そうとしています。
タブレットPCを近く導入するのですが、ペン入力をどうするかが課題だといいます。


驚いたのは2点。
まず、このPC、家に持ち帰るのだそうです。
教科書もノートも全部この中。宿題もコレで行う。
カバンにはPCのみが入っている。デジタルランドセルです。
カバンが5キロから3キロへと平均2キロ軽くなったとのことです。


 

日本ではほとんど学校管理で学校での充電。
持ち帰りか否かの議論はまだあまり聞きません。
私は持ち帰り設計+家庭ブロードバンド化を進めることが必須だと思っているので、とても意を強くしました。



 

ところが、もう一つ。
紙の本使って宿題してる子もいるんです。PCを持ち帰らない。
デジタルに不安な親とは話をして、「どっちでもいい」ことになってるんですと!
紙かデジタルか。日本でも論議が続いていますが、「どっちでもいい」は現時点では懸命な解決策。
日本でもしばしこの柔軟な手法を採用しますかな。実は、とても難しいのですが。

おや、イスにLenovoのCMアリ。これは日本でアリかなぁ。
学校と企業との距離感は、日本とは差があるかもしれません。



 



さて、肝心な成果は。
校長先生・教頭先生に聞いたところ、子どもたちの創造力とやる気の向上に効果大だとのこと。
作文の独創性やディスカッション力に顕著に現れているそうです。
プレゼン力や表現力がついてくるのはこれからだろうとの評価。
一方、学力の成績はデジタル導入でそれほど変わってはいないとのこと。

先生は当初80%が不安を感じていたが、60%ぐらいまで下がっているとのこと。
ただ、テスト、採点、管理はクラウドに移行しているそうで、業務負担の軽減には役立っているようです。
「これを推進するには、各校に教務、IT、授業の3リーダーが必要だ」とのコメントあり。



 

保護者・生徒の評判は上々だそうです。
当初、保護者からは、「視力に悪影響が出ないか」、「手書き力が落ちないか」、「持ち帰るとゲームばかりやらないか」といった不安が表面されていたが、説明会を繰り返したりしたそうです。
今では反応がよく、IT利用を増やせとの意見が出ているとのことです。今のところ視力への影響も見られないそうです。
台湾行政国家科学委員会 陳所長は「台湾の学校は家庭との関係を非常に重視している。家庭を情報化に巻き込むため、親による推進母体を作っている。親がみな子どものPCを「買う」ことに合意した学校もある。」と話していました。参考になります。
一方、教頭先生から「デジタル教科書の著作権やデジタル教科書の法的定義の問題は日本ではどう扱われているか」との質問を受けました。

著作権問題はようやく論じ始められたところですが、まだ政策レベルに達していません。
定義問題はまだ議論の俎上にも上がっていません。
定義問題は国家予算や負担方法に直結するので、なかなか政治的です。
イスにLenovoがCMを乗せたり、親が買うことを同意させたりしている台湾のほうが状況が深化しているようですね。

2012年1月23日月曜日

IT復興円卓会議「ボランティア」(2/6)


■IT復興円卓会議「ボランティア」(2/6)

 IT復興円卓会議ニコニコ生放送、【第5回:ボランティア】。2回目。http://live.nicovideo.jp/watch/lv59798260
富士通野口直昭さんボランティアインフォ藤代裕之さん情報支援プロボノ・プラットフォーム会津泉さん、菊池尚人さん・中村伊知哉。

(菊池)政府・行政とボランティア団体の連携というのは、うまくいっていたのでしょうか。

(藤代)そこは考え方が難しいです。政府・行政となると組織が大きいので、意思決定に時間がかかってしまう特徴があります。勿論、彼らも一生懸命やっているのですが、どうしても行動に迅速さを欠いてしまう局面もありました。また、政府・行政は「平等主義」に立っています。具体的には、物資が90個あり支援されるべき人たちが100人いた場合、支援を受けられない人が10人出てくるケースがあったとしたら、彼らは不平等になってしまうことを優先的に考え、その場合物資の配布は行わないです。こういった状況があり、amazonのような物資をネットでP2Pで届けるサービスなどと比べ、支援活動としてどうしても差がついてしまうという事実がありました。

(菊池)ボランティアの取り巻く状況で、阪神大震災と今回の東日本大震災の違いはいかがでしょうか。

(会津)まずボランティアの総数が、立ちあがりも含め今回の方が少ないです。原発の問題や遠方すぎる等の色々な要因が重なっているのではないかと思っています。また、ITですと阪神淡路大震災はパソコン通信がありました。深く継続的に情報を共有するということで、当時はとてもパソコン通信が活躍しました。一方今回の震災ではSNSは確かに役に立ったのですが、継続的に情報を理解してコミュニティを形成して、というところまでは行っていない部分もあるのではないかと思っています。

(中村)それは阪神淡路の時の教訓をまるで活かせていないということなのでしょうか。

(会津)いえ、勿論ある部分ではとても進歩しています。例えば私たちは携帯が役に立ったかどうかの現地調査を行いましたが、通話・メールそれぞれで51%が役に立ったと回答していますので、携帯は役に立ちました。そして携帯を使っている人の数も増えていますので、量的に見てもITの有効性は言えるだろうと思います。しかし、有効性を質的に考える際、皆出来ることはやるのですが「本当にして欲しいけれども出来なくて困っている仕組み」を作れているかということに関しては、まだまだ現状のITでは至っていないのではないでしょうか。

(中村)それは今回の震災があまりにも大きいから、もしくは場所が遠い等という理由から来る不足感なのでしょうか。

(会津)いいえ、準備不足だったのではないか、ということです。これは決定的に。

(野口)3月と4月に、新入社員300数十名が現地入りし、瓦礫撤去などの支援活動を行いました。加えて、一般社員数十名も現地での支援活動を行いました。従いまして、「まずは現地に行く」という活動もしているという実績があります。そしてITベンダーとして様々な活動を行っていますが、特にボランティアに関したことで申し上げますと、仙台市の災害ボランティアセンターに個人ボランティア受付のシステムを弊社からご提供差し上げました。このような、適した機関に適した使われ方をするITの仕組みは必要なのではないかと考えています。

(賀沢)我々が得意とするのはインターネットを使ってサービスを行うことですから、そこで何か出来ないかと考え、安否情報を扱うに至り、パーソンファインダーをリリースしたのです。とはいえ、最初は情報が何も入らない、現地がどうなっているかすらよくわからないという状態でした。そんな中、ツイッター上でPicasaを使って名簿情報の共有をしたらどうかというアイディアを呟いている方がいまして、それを実現しようとしました。そういったことは個人でやるよりも企業の看板を出して行った方が迅速かつ情報浸透の期待も出来るのではと考えたのです。途中、画像の供給量に対して情報入力が社内的に追い付かなくなったりもしたのですが、またインターネット上で誰かがアイディアを投げかけてくれ、解決に至りました。最終的には約5000人の方がボランティアとして約14万件もの情報を入力してくださいました。従ってパーソンファインダーはグーグルだけで創られたとは思っていません。ITの利点として、試しにやってみるということが可能だということ、あとはネットが繋がっていれば参加が可能でして、今回は結果として社会全体として分業が可能になったと思います。これはITを使った新しいボランティアの形なのではないかと思いました。

(中村)企業としては、本当にボランティアだったのでしょうか。社命などではなく。

(賀沢)はい、実際として社命ではなく勝手にやっていました。

(会津)我々は当初から考えていたことなのですが、例えば首都圏から情報発信をするとして、果たしてそれがどういう形で被災地で使われていたのかが見える仕組みが無いということでした。もしそういったフィードバックがうまく発信側に戻れば、より良かったのではないかと思います。

(中村)その実現のネックとなっているものは、技術的なシステムよりも、人的なことの方が大きいのでしょうか。

(会津)敢えて言うと両方ではないでしょうか。今のITの特徴を理解していれば、組織としては超えられなくとも超え易いことはあるかもしれません。災害というのは非常事態ですし、一方的に国や制度のせいだとしてしまう在り方もいかがなものかと思います。

(賀沢)実際にどうだったのかのフィードバックを得るということはとても重要なことだと認識しています。どういう使い方をされていたのかがわかれば、よりその使い方に最適なサービスを創ることが可能になります。ですので、被災地でのIT利用の調査等は積極的に行うべきだと考えています。

2012年1月19日木曜日

台北業務日誌

■台北業務日誌 
台北は街中が国旗であふれていました。
そうか、建国百年なのですね。おめでとう台湾。
ただ、こんなのを日本が作ったからって怒る人もいれば感謝する人もいるので論議には気を遣います。
日本と台湾とのツンデレは、人によってツンばかりだったりデレばかりだったりしますので。 




この近い国に、改めて日本を見て歩きます。
まずはオタクビル。変わってないな。
5年ぶりの台北です。

5年前はテレビで中日優勝おめでとう、とやってたのが新鮮でした。
中日ファンが多いのは郭源治のおかげ?今回も中日優勝のタイミングです。


アニメイトに向かうタクシーの運転手がニッポンのド演歌CDをかけていたので、唄わせてもらいました。
あああああナガサキわあ今日も雨えだった。
この街に似合いますね。



 

16:00に「夕焼け小焼け」が街に流れていました。
日本の17:00です。
東京でも同じ時刻に流れているはず。
なんだろう。

同じ時刻に同じ曲を共有する申し合わせや企みがあるのでしょうか。
防災行政無線が日台間でネットワーク化されてるとか?まさかね。

 

でもやはり、ポップは土着のもののほうが面白い。


 





土着ポップは、やはり食いものですね。
これはシンポで配られたお弁当。
鶏ソテー、白身魚天ぷら、ソーセージ、厚揚げ、ピーマン、青菜、ウリ、干し豆腐、干し小魚、その他現地の人に聞いてもよくわからないもの。
中でも和でもない、台湾です。 


目当ての豚足屋へ。
昼・晩・昼と連続3回通い、

お店の人に笑われましたが、
その値打ちあり。
5品とビール大瓶でも900円にしかならない。
この店34種全メニュー頼んでも9200円。

 

シメに激辛火鍋。
得体のしれぬ臓物をこれでもかと喰いました。
地元のひとにあきれられるくらい辛くして。


 



さて、本業のキッズプロジェクト。
eLearningシンポ@台湾大学。日中韓台で連携して教育情報化を進める手段を論議中。みんな同じような悩みを抱えています。
台湾では情報化に対し教育部(文科省)の動きが鈍く経済部(経産省)が突き上げてるそうです。日本にも似たような構図ありますよ。
台湾ではクラウドは「雲」、デバイス・端末は「端」で済ませています。「雲端」でネットワーク全体。日本もそうすりゃどうでしょう。


ぼくも日本のデジタル教科書についてプレゼン。
「ケータイで "教え合い学び合い"入試カンニングが行われた京都大学は李登輝さんの母校」と話したのが一番ウケました。


 


シンポ会場ではデジタル教科書関連の展示。
マルチデバイスで高校生向け授業実験中。
映像・音声・文字が簡単に編集できるすぐれものアプリが目を引きました。
先生がマルチメディア教材を作れるとのふれこみ。


 

それ以上にぼくは デジタルえほんやサイネージコンテンツ制作への可能性を先に感じました。
個別にビジネス話をしましょう。
とコソコソしてたら台湾小学館のかたがきて、
ドラえもんの多言語版づくりでもう使ってるよ、とのこと。
やはり2国は近い。
 


さて、ポップ、キッズと並ぶ本業のネット。
サイネージ巡り。
いやもうアジア的にがんばっておられて、
ムダに増えているかんじが致します。


 




地下鉄に潜っても、
シュッとしたモデルがあちこちに見られましたので、
足を運ぶ値打ちはありましょう。




 


世界一の超高層として建設された「台北101」でも、
3×3面サイネージや、
タテ4面サイネージ、ヨコ4面サイネージなど、
多彩なモデルが試されています。


 

そういやUNOの専用DSが街中にど〜んと置いてあって、
中国語でCMが。
これは新しいですね。
日本に逆上陸したりするでしょうか。
開発途上、を感じさせる台北サイネージでした。

2012年1月16日月曜日

IT復興円卓会議「ボランティア」(1/6)


■IT復興円卓会議「ボランティア」(1/6)

 IT復興円卓会議ニコニコ生放送、【第5回:ボランティア】。
121日、今回も赤坂の飲み屋街にある融合研究所特設スタジオからお届けしました。6回に分けてログを届けます。
http://live.nicovideo.jp/watch/lv59798260

パネリスト:
野口直昭(富士通株式会社 東日本復興・新生支援室総括リーダー
賀沢秀人(グーグル株式会社 シニアエンジニアリングマネージャー)
藤代裕之(ボランティアインフォ アドバイザー/ジャーナリスト
会津泉(情報支援プロボノ・プラットフォーム代表理事
菊池尚人(モデレーター)
中村伊知哉(モデレーター)

(中村)第5回目のテーマは「ボランティア」です。「なぜボランティアなの?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。東日本大震災では寄付のような身近な支援も含めて様々な形の自発的な支援活動が生まれました。これまでIT復興円卓会議で扱ってきたテーマは、第一回が「ITと行政」、第二回が「メディア」、第三回が「通信・インフラ」でした。これらは、ITユーザーよりもITの提供側の話が中心となっていました。しかし前回放送した第四回は「ソーシャル」をテーマにし、議論が提供側のことよりもユーザーの動きが主軸に変わってきた印象があります。そこで今回の放送では、ユーザーの動きに焦点を当て、ソーシャルメディアに代表されるITが、震災のための自発的支援活動にどのような影響を及ぼしたのかを話してみたいと思っています。実際に被災地に行って瓦礫を片付けた、炊き出しを行った、物資を送った、寄付をした、被災地で食事をとるなどの消費活動を行った、パーティーを予定していたが被災地を慮って消費を自粛した等、自発的支援活動には様々な形がありますが、これらを広くボランティアと捉え、ITはそれにどう役に立ったか、これからどういう形でITは役に立つのかということを議論します。従って、本日の主役はユーザーの皆様、我々一人一人となります。本日は被災地と実際向き合って運動をしていらっしゃるゲストをお迎えしておりますので、まずはその実情をふまえてお話し頂きます。主に「ITがボランティアの役に立ったのか」ということを本日の前半で議論し、「今後ボランティアの力を全国で活かすためにはどうすればよいか」ということを後半で議論します。従って、前半は被災地のこれまでの話が中心、後半は全国のこれからの話が中心という構成となります。

<アンケート> 「どんな被災地支援を行いましたか」
 ・現地でボランティア活動を個人として行った
 ・現地でボランティア活動を組織(会社)で行った
 ・寄付情報発信などの後方支援 
 ・何もしていない
→後方支援・何もしていないが一番多く、続いて個人として行ったが10%程度
→組織として行ったが0%

<アンケート> 「支援をする動機はなんでしょうか」
 ・惨状が伝わって来たから
 ・ある種の自己満足から
 ・みんながやっているから
 ・会社や所属団体がやるから
→惨状が伝わって来たからが一番多く、続いてある種の自己満足からが30%程度

(賀沢)「ある種の自己満足」と回答した人が意外にも多かったですが、ボランティアに行った人は他人から「それって自己満足じゃないの?」と言われてしまうこともあると思います。そこに対する一種の照れ隠し的な気持ちの表れなのではないでしょうか。いずれにしても何かに突き動かされていたという意味で、惨状が伝わって来たと回答していた人たちとの違いはあまりないのではと思います。

(中村)そうですね。ボランティアに参加していないと回答した人たちも、どう参加したらいいのかがわからないだとか、今賀沢さんがおっしゃられていたような「照れ」もあったのかもしれませんね。

(会津)そこに関しては、ボランティアに参加する余裕が現実的にあるかどうか、ということもあるのではないでしょうか。自分の生活に全く余裕がなければボランティアもできないでしょうし。

<アンケート> 「被災地支援にITを活用しましたか」
 ・した・しない
→したが過半数だが、圧倒的多数ではない(53.2%)

(藤代)震災当時、物資を送るというサイトは数多くありました。その中で私たちは、被災地には物資だけではなく人間も必要だろう、多くの人間を被災地に送ることこそが復興の近道だと考え、ITでボランティア情報を扱っていました。私たちはボランティア情報のデータベースを構築し、ヤフーさん等の大手ポータルサイトにその情報提供を行うということをしていました。実際数多くの方がヤフーさんを見て被災地に行かれたようで、その情報を提供していたのは私たちなので、私たちが被災地に人間を送ることに成功し多様なニーズに応えることが出来たと言えると思っています。ただ、課題は色々ありますので、それはまた後ほど議論させて頂ければと思います。

(会津)自分たちがプロフェッショナルなことで世の中の役にたとう、という考えが出発点で活動をしています。最初は、被災直後、例えばある団体が支援活動をしたいが被災地に行く手段が無いという状況がありました。そこで私たちは情報を使って支援をしようとしている在京の団体に声掛けを行い、団体同士の横のつながりを作りました。そして、被災地に行けないため被災地の状況がわからないという企業を自治体と繋ぐ、ということも行いました。更に自治体と省庁の間に入って情報をおいかける、ということもやっていました。そして最後に被災地の実態行動調査、この場合はITを使えたのかどうか、ということになりますが、いつどこでだれが何をどのようにITを使ったのかということを調査しました。

2012年1月14日土曜日

■デジタル十大ニュース2011

■デジタル十大ニュース2011
 2011年がやっと過ぎ去りました。
震災、原発、アメリカの格差デモ、ヨーロッパの経済危機、そしてアラブの春。
2012年、日本にも春は来るのか。
来ます。
われわれが元気を出せば。
自粛の2011年を吹っ飛ばして、新しい幕を開けましょう。
という趣旨で、1月10日、「デジタル新年会」を開催しました。
スペースシャワーが運営するThe Diner@渋谷にて。
IT、通信、放送、ソフトウェア、メーカ、コンテンツ、官庁、大学などデジタル関連500名のかたがたにお越しいただきました。

 竹中ナミさん、池田信夫さん、水口哲也さん、季里さんらに登壇してもらったほか、情報発信と海外展開をユニークに実施しているキュートな二人をご紹介!ということで、TOKYO PANDAさんと伊藤羽仁衣さんとミニ・トークショーを開催。
TOKYO PANDAさんは、中国在住の医者のタマゴ。中国語で書くブログが中国人女性に大人気のファッション・カリスマブロガー。伊藤羽仁衣さんは『情熱大陸』に出演するなど新進気鋭のドレスデザイナーで、ほしのあきさんらのウェディングドレスも彼女の作品。

さて、その場で、「デジタル十大ニュース 2011年」の投票結果を発表しました。
年末からサイト上で集めていたネット投票の結果は以下のとおりです。
1位 スマートフォン急激に普及 上半期出荷台数は1000万台超
2位 スティーブジョブズ氏死去
3位 復旧作業や安否確認にソーシャルサービスが活躍
4位 通信・放送融合法制が施行
5位 震災後 TVのネット配信が一時実現
6位 facebookの加入者 日本で1000万人突破
7位 タブレット端末 各メーカーから出揃う
8位 地デジ、被災三県除き整備完了
9位 DeNA野球参入に楽天が反対
10位 サイバー攻撃相次ぐ

マルチスクリーン(スマホ、タブレット)、融合ネットワーク(融合法制、地デジ)、ソーシャルサービス(ソーシャル、facebook)のメディア3分野構造変化が見事に表れたラインアップでした。
1位はスマホ。夏野さんが言っているように、日本のガラケーはスマホだったので、日本でのインパクトはそう大きくはありませんが、するとウリはソーシャルということになります。3位にソーシャルが入りましたが、一層定着しますね。スマホが重要なのは世界同時進行ということ。日本が培ってきたガラケーの資産が世界でも生きるチャンスととらえるべきでしょう。
2位はジョブスでした。これが1位だったら「バンザーイ」「おめでとう」って言いにくいところでしたが。ありがとう。
融合法制が4位に入ったのはなかなかプロっぽい評価ですが、ぼく的にはこれが1位。電波法制定後60年ぶりの構造改革でしたので。
5位のネット配信、最初にNHKをiPhoneでUst配信した広島の中学生はどうしてる? それから京大カンニング事件でデジタルな教え合い学び合いを示した浪人生もどうしてるかな?

パーティー現場で投票した結果は以下のとおりでした。ジョブスが1位で。
1位 スティーブジョブズ氏死去
2位 スマートフォン急激に普及 上半期出荷台数は1000万台超
3位 facebookの加入者 日本で1000万人突破
4位 復旧作業や安否確認にソーシャルサービスが活躍
5位 タブレット端末 各メーカーから出揃う
6位  地デジ、被災三県除き整備完了
7位 震災後 TVのネット配信が一時実現
8位 通信・放送融合法制が施行
9位 サイバー攻撃相次ぐ
10位 DeNA野球参入に楽天が反対

発表の舞台で、2012年は何がニュースになるでしょう?という質問があったので、こう答えました。
「GREEが巨人を買収しかしDeNAが反対!」
「ジョブス、実は生きていた!」
今年もよろしく。

2012年1月12日木曜日

TED×Kids@Tokyo「未来の教室」

■TED×Kids@Tokyo「未来の教室」
  2011年 10月1日、「TED×Kids@Tokyo」にてプレゼンをしました。ヤノベケンジさん、原丈人さん、竹村真一さん、米倉誠一郎さんらと。ぼくのタイトルは「未来の教室」。2100年の教室を設計してみよう、というもの。
 トークをベタ打ちしておきます。  

・どこでもドアがあったとしましょう。
・100年前の外科医が今の手術室にやってきた。どうでしょう。立ち尽くすんじゃないでしょうか。当時とは医療技術が様変わりだから。
・100年前の事務員が今の先進オフィスに現れても同じでしょう。仕事はコンピュータとネットだから。
・じゃ、学校の先生は? たぶん何事もなく授業を始めるでしょうね。教えるスタイルや教室の環境はほとんど変わっていないから。
・ぼくが子どものころ、学校は先進地でした。テレビは家にあったけど、ピアノ、顕微鏡、プール、街で一番すてきなものがある場所でした。
・今はどうです?ゲーム機、薄型テレビ、ケータイ、家にあるすてきなものは学校じゃ使えないんじゃないですか? 学校のほうが遅れてはいませんか? 日本の学校を世界一の学びの場にしませんか?

・例えば2100年の教室を設計してみましょう。壁も床も天井も360度みな映像ディスプレイ。それが世界中とつながっています。それは技術的には今でもできます。
・海底の探検に出かけてみましょう。理科の授業。海の底を実体験できる。カニや貝を実際に触るような疑似体験もできる。
・海外の子どもたちとつながって一緒に音楽を作り、一緒に演奏する。それぞれ土着のリズムやメロディがあるから、楽しいでしょうね。
・子どもオリンピックもできるんじゃないですか?各国の子どもが映像でつながって、ヨーイドン。
・社会や歴史の勉強で、時空間を超えるってのもやってみたい。自分と同い年のおとうさん、おかあさんが画像で登場して、そのころの街に出かけて、一緒に学ぶ。技術的には2100年にはできそうです。

・でも一足飛びにそこまで実現するのはムリですね。ではどこから進めるのか?それは、デジタル教科書を実現することから。デジタル教科書。紙の教科書とは別の、コンピュータで学ぶ教材です。
・学校には電子黒板が導入されつつあるが、さらに生徒一人ひとりもデジタル端末を持ち、インターネットでつながって学ぶ環境を整備するところから始まります。ランドセルがデジタルになるというイメージですね。一人一台のコンピュータと、インターネットと、デジタル教科書。
・するとどうなるのか? おもしろくて、つながって、べんり、になります。
おもしろい。教科書がゲームのようになる。楽しい。そして自分で映像も音楽も作れるようになるので、創造力や表現力を養うことができる。
・つながる。どこに住んでいても、ネットで世界最先端の、最新の知識を得られる。先生と生徒みんながつながって、教え合ったり学び合ったりする。さらに、家や地域ともつながって、教室や学校をオープンにする。
・べんり。何度も繰り返し練習できる。自分のペースに合った教材が配信され、進んでる子はどんどん先に進める。採点や成績管理など先生の仕事も自動化される。

・全ての子どもがデジタル端末で学ぶ環境。政府は昨年、2020年を目標に実現することを閣議決定しました。いま6.6人に一台という状況なので、一人一台への道は険しい。
・しかし世界はもっと早く動いています。韓国は2013年には小学生全員のデジタル教科書を達成する見込み。日本とは7年の差ができてしまうんです。
・南米ウルグアイは既に2009年に達成しています。全ての子どもが使っているこの端末は、
・MIT、マサチューセッツ工科大学が開発した$100ドルパソコン。世界35か国130万人の子どもたちが使っています。
・これはその最初の設計図、2001年に描かれたものです。実はこれはアスキーという会社を創業した西和彦さんと私のチームが作りMITに提案したものなんです。日本から提案されたものが世界的プロジェクトに育った。しかし日本はその10年間、動かなかったんです。
・しかしやっと昨年、政府も動きだした。そこで民間も、ということで産業界に呼びかけ協議会を作り、120社の企業と、全ての子どもがデジタルで学べる環境づくりに動き出しました。
・私が事務局長を務め、現場の先生含めさまざまな方に協力をいただいています。政府の目標は2020年ですが、私たち民間としては5年前倒しして、2015年には達成したい。

・紙をなくそうとしているわけではありません。紙には紙の、えんぴつにはえんぴつの良さがあります。そこにデジタル端末も導入して、アナログとデジタルの両方を使いこなそうということ。
・江戸時代の寺子屋は、いろんな年齢の子が、個別の進み具合に応じて、教え合い、学び合っていました。それをデジタルの力で復活させる、ということかもしれません。
・でも、反対の声もあります。田原総一朗さんは「デジタル教育は日本を滅ぼす」という本を書きました。画一的で正解だけを求める、先生が不在の授業になるというんです。
・逆なんです。ツイッターなどをしているかたはよくおわかりのとおり、ネットの世界は画一どころか多種多様なひとがいて、正解のない問題を話し合う創造的な世界に飛び出すってことでしょ。
・先生はいらなくなるどころか、教えるだけじゃなく生徒どうしの考えを交換させるコーディネイターの役割も担う、ますます大事な存在になるんです。
・そんな話をしたら、田原さん、よくわかった、そう言って今やぼくらのアドバイザーとして推進役となってくれてます。話せばわかってもらえるんですが、まだ実態や成果に乏しいからそういうことになるんですね。

・既にデジタルの機材や教材を使っている学校もあります。ケータイで授業やってるところもあります。当たり前ですが、生徒も先生も、使ってみれば、もっと使いたい使わせろという声が圧倒的。
・だから、いま最大の課題は、教材や授業を開発して、先生や子どもたちに使ってもらって、成果を生んでいくこと。デジタルに触れてもらうこと。子どもたち にケータイ持たせるな、なんて行ってる場合じゃない。そのために、政府も、われわれ民間団体も、全国の学校で実証研究を進めています。
・いまごらんいただいているのは、そうした課外活動を一堂に集めたイベント「ワークショップコレクション」。毎年、慶應のキャンパスで開催しています。
・私は、100ドルパソコンをMITに提案したあと、2002年にNPOを日本で作り、子どもたちがデジタル技術で創造力・表現力を高める活動を全国展開しています。
・地域の新聞を作る、アニメを作る、音楽を作る、ロボットを作る。日本の子どもたちにそういうことをさせると、世界最高水準です。元気のない日本がいま世界に誇れる力は、実は、若い世代のクリエイティビティーなんですよ。
・マンガよんでアニメみてゲームやってケータイいじってる。あれは実は、世界がデジタル社会に移行することに向けて鍛えているってことなんですよ。実は。
・今年2月に開催した際には2日で6万2千人が参加しました。世界最大の子ども創作イベントです。日本はこういう活動の本場なんです。
・新しい技術で子どもたちの創造力やコミュニケーション力を高めたいと思う保護者が多い。需要は多いんです。
・でも、供給が不足しています。子どもたちに世界一の教育環境を整えてやりましょうよ。彼らは必ず使いこなして行ってくれますよ。
・復旧に向けて、道路や橋を建設することも大事です。しかし、復興に向けて、いや100年後の発展に向けて、子どもたちの世代に投資する。それが我々世代の宿題だと思います。

2012年1月9日月曜日

霞ヶ関あれこれ


■霞ヶ関あれこれ
古賀茂明さん「官僚を国民のために働かせる法」を読みました。改めて旧通産省(現経済産業省)は多士済々だなぁと感じた次第です。
ぼくは80-90年代の郵政・通産戦争の最前線にいました。90年代初頭には郵政省(現総務省)の通産担当に就き、直接交渉を任されました。
TPPで政治家から堂々と叩かれている宗像直子担当室長は、エネルギー政策で有名な澤昭裕さんと並び、当時のカウンターパート。その後の担当が岸博幸さん! ケンカしたくない相手ばかり。ボコボコにされつつ、こういう人たちが国際交渉するなら国民としては頼れるなぁと思ったもんです。
松井孝治さん鈴木寛さん藤末健三さん安延申さん小城武彦さん・・今もつながっているOBは通産の方が自分の出身の郵政よりうんと多い。通産は人材供給工場でした。
青木昌彦先生に誘われ経済産業研究所の上席研究員を務めていたことがあります。郵政出身を身内に迎え入れる。懐が広かった。ITチームは池田信夫さんと泉田裕彦現新潟県知事。パンクですねぇ。あの一瞬、霞ヶ関には期待が持てました。
しかし経済産業研究所はお家騒動もあってバラバラに。お家騒動は人材が豊富だから起きるんですよね。旧郵政ではお家騒動ってありませんでした。小泉郵政大臣vs役人というバトルはありましたが。
一方、通信・放送融合とか、ハイビジョン/ISDN否定とか、コンテンツ政策樹立とか、ぼくは毎度まいど役所内で反主流の旗ばかり掲げて、またオマエかと言われ続けていたのに筆頭補佐まで登ったのは、恐らく他の役所ではあり得ない。郵政っていうところは、正しくなくても健康な組織だったんだと思います。

一口に霞ヶ関と言っても、それぞれカラーがあります。
現政権を牛耳っている財務省の前身、大蔵省は全省庁の予算に是非を下す究極の許認可官庁。求められる資質は人々の話をにこやかに吸収する聖徳太子力と、冷酷に断を下す織田信長力。
一方、通産省は権限のない分野を拓く狩猟族。税金で留学しMBA取って民間に出ちゃえるギラついた度胸のあるひとの行くところ。
ぼくのいた郵政は10円切手を頭下げて売り歩く前垂れ精神。上半身(頭脳)より下半身(足腰)。のっそりのっそり津々浦々を歩きます。すこぶるぼくの肌に合っていました。
ぼくはコミュニケーションや表現に関心があったので、てゆーかそれしか興味がなかったので、郵政・通信・放送・コンテンツってとこに就職しようとし、郵政だけ受かったから入りました。公務員志望というわけではなく、大蔵にも通産にも興味がなかったのです。
だから霞ヶ関でくくられるのには違和感があります。上山信一さん(運輸)、溝畑宏さん(自治)、岡本行夫さん(外務)、寺脇研さん(農水 ※まちがい文部)らの話を聞いていても、ぼくとはじぇんじぇん違うなぁと思うのです。あんまり霞ヶ関論に加わらないのは、入省当時「三流官庁」と揶揄されていた役所の出身だからというより、マスコミで論じられている霞ヶ関とぼくの感覚がズレている点があるからです。

例えば古賀さんが課長のころ所管財団をつぶしたとき、局長が「省益に反する」と非難した逸話があります。しかし90年代中盤に郵政省が規制緩和をグイグイ断行したのは全く逆で、権限を離すのが省益となったから進んだのです。
通信・放送分野は、権限を手放すことで業界が活性化し、メディアも産業界も支持しました。それで担当者の評価が高まり、人事にもプラスとなりました。だから規制緩和のドライブがかかったわけです。
CATV外資規制撤廃の折など、自民党から「そこまでやるこたああるまい」とストップがかかるほどでした。当時ぼくは大臣官房の規制緩和担当で、規制当局に「緩和策を出せ」と迫る側だったのに、もういいよ!って止めなきゃいけないぐらいの勢いでした。(規制緩和というのは、既得権の破壊でもあるので、役所としては規制強化する以上に仕事としては大変になることも多いのです。)
政策評価メカニズムが重要です。今も、権限を手放さない役所を叩くより、手放したやつを大々的に持ち上げてやればいいんです。実名でホメてあげて、出世させてやる。叩いても叩いても、いい答えは出てきません。
TPPにしろ東電処理にしろ電波競売にしろ、断行することで担当が出世するように組み立てれば政策は進みます。そうじゃなくて、役所を叩いても、殻にこもるだけなんです。霞ヶ関ってのは特殊なムラですが、しょせん人の集まりでして、フツーにくすぐってあげればいいんだと思います。

2012年1月7日土曜日

バントの夢

■バントの夢

ちかごろ、バントをする夢を見ます。

高校球児でした。京都の国立高校の野球部創設メンバーです。
弱小で、夏の大会予選、初戦18-0でコールド負けなのに被盗塁数27の日本記録を作ってしまうようなチーム。当日の新聞に、相手の盗塁記録ではなく当方の被盗塁記録と書かれていたことを覚えています。
(そのチーム、2年下には前原誠司さんが入ってきました)
しかも、ぼくはそんなチームの補欠だったのです。中学ではピッチャーを務めていたのですが、高校に入って大会前に腰を壊し、回転がきかず、ボールを投げることができなくなりました。バットを振るのもうまく行かなくなりました。役立たずで、足手まとい。鬱々としていました。どん底でした。

でも、回転いらずのバントだけは得意でした。確実に球を殺して転がしました。
それは一冊の本のおかげ。巨人V9のヘッドコーチを務めた牧野茂さんが書いた野球教本です。バントはバットの芯を握り、先端15cmに球を当てるべくバットを押し出す。クローズドスタンスに構え三塁線に転がしてサードに捕らせる。とありました。芯を外して押し出してぶつける。それまでのセオリーはバットを少し引いて下に回転させるというものだったのですが、全く違います。ぼくは芯を握った右手の少し右側で球をつかむ感覚でバットを押しだし、腕をしびれさせつつ球を殺すコツをつかみました。部活が休みの日は天下一品の本店近くにある北白川バッティングセンターに行ってバントの練習を続けました。めっちゃバントうまいヤツ、と認知されるほどになりました。かなり自信がありました。

でも、役立たずです。守れず打てずバントだけなんて。代打、バント。なんてありませんから。歴史上も長嶋監督が代打淡口とバントのポーズで告げたときぐらいでしょう。だから試合では一塁や三塁のコーチボックスで「バッチコイ バッチコイ」と怒鳴るだけ。その大声が買われてその後「応援団長やれ」となりましたが。
役立たずで役立たずで下働きの日々。バントだけうまいぞ。ふだん学校で見せ場がなく女の子に見向きもされないけどスマブラだけは誰にも負けない、みたいなささやかなプライドを磨くため天下一品の本店近くに向かうのでした。野球にバントというものがなかりせば、すぐに部を辞めていたことでしょう。

夢というのは、上手なバントではありません。球にかすりもせずキリキリ舞いとなる夢です。
レッドソックス時代のペドロ・マルチネスのように、スピードが変わらず浮かんでから落ちて逃げる魔球のような閃光にスリーバント空振りアウト、たたずむぼく、の図です。チョーすごい相手にはなまじっかな訓練では歯が立たないや、という夢。ある種すがすがしい寝覚め。とてつもない力にねじふせられる願望なのかもしれません。

実際、そんなこともありました。大学との合同練習で、1アウト3塁2ストライクノーボールの設定、次のボールどうする、のぼくの打席。打席ったってぼくにできるのはバントだけでして。大学生の投手がすごい落ちるカーブ(昔のドロップ)を投げてきて、そんな球、高校じゃ見たことない、思わずバットを引っ込めて見送り、絶対ストライク!だが、審判の情けかボールの判定、次のアウトローの直球をピッチャーとサードの奥にプッシュバントで転がして1点入ったことがありました。監督にはほめられたものの、ぼくはそのすごいカーブの軌跡を今も記憶しているほどショックで、実戦であんなのが来たらとても歯が立たない、代打バントなんて奇跡の舞台があったとしても、それでバント失敗じゃシャレにならん、なまじっかな自信は邪魔でしかないと強く思ったのでした。

それは35年も前のこと。それが形を変えていま枕元に現れるというのは、何か慢心を戒められているのでしょうか。
今度の休み、バッティングセンターに行ってきます。バントの練習してるオッサンがいたなら、ぼくです。

2012年1月4日水曜日

反省、2011年

■反省、2011年



 1年前、ブログで「反省、2010年」と記しました。
 今年は昨年の自分のブログを整理することで反省してみます。

1) まずは震災
 直ちに提言をまとめてみたり(「復興八策」、「震災から一週間」、「有事のコンテンツ政策」)、関連イベントや被災地訪問を行ったり(「3回沖縄国際映画祭」、「非日常と寄り添ってみる」)しましたが、自粛ムードが腰を落ち着けるのに耐えられず(「大文字山が縮んで見えた」、「一億総びびり」)、復興に向けたアクションとして、IT復興円卓会議を主催したり、与党や政府と協議したりしてきました。
 4月に慶應で「IT復興円卓会議」を行った後、ニコニコ生放送のシリーズを続けています。

「復興八策」
「震災から一週間」
「有事のコンテンツ政策」
「第3回沖縄国際映画祭」
「非日常と寄り添ってみる」
「大文字山が縮んで見えた」
「一億総びびり」
IT復興円卓会議-1 総括」
IT復興円卓会議ニコ生「行政」-1/4


2) メディア激動
 メディアが20年ぶりの激動を迎えたのも2011年が歴史に刻まれる側面。
 まず「「マルチ・メディア」から「マルチなメディア」へ」と題してまとめてみましたが、その兆しは「京大カンニング事件にみるこの国の劣化」にも表れていました。「NHK技研公開2011」、CEATEC2011」でもその動きは明確です。
 自分自身としても、「ぼくのデジタルノマド」や「武雄市MY図書館」でその変化を感じ取っていた次第。
 他方、これに対し政府は「知財計画2011などの対応を見せますが、「著作権3判決、国はアテにならない。」といったふらつきも続いています。

「「マルチ・メディア」から「マルチなメディア」へ」
「京大カンニング事件にみるこの国の劣化」
NHK技研公開2011
CEATEC2011
「イコールソーシャル政策」
「ぼくのデジタルノマド」
「武雄市MY図書館」
「知財計画2011
「著作権3判決、国はアテにならない。」


3)デジタルサイネージ
 新メディアを代表するデジタルサイネージは、メディア激動と震災の両面からモロに影響を受けました。
 「デジタルサイネージ白書 序」で示した傾向は、「役立つサイネージ」、「つながるサイネージ」、「新・日本型サイネージ」といった姿に具現化し、「デジタルサイネージジャパン2011「デジタルサイネージアワード2011」のような明確な形を示しました。
 いよいよ日本のサイネージが本番を迎えようとしています。

「デジタルサイネージ白書 序」
「役立つサイネージ」
「つながるサイネージ」
「新・日本型サイネージ」
「デジタルサイネージジャパン2011
「デジタルサイネージアワード2011


4) デジタル教科書
 デジタル教科書の運動は、「DiTTビジョン2011」の策定、「DiTT、初年度成果報告会」や「特別シンポジウム-東大・京大・慶應 前3学長 1/3」の活動を経て、13学校での実証研究に入るなど、新しい局面に入りました。
 政府も「教育の情報化ビジョン」を策定し、前進しています。民間サイドでも、スマホ×デジタル教科書プロジェクト」、New Education Expo 公開授業」「がばいiPadワークショップ」など多様な取組が生まれてきました。
 2012年はそろそろ成果が問われる時期となります。

DiTTビジョン2011
DiTT、初年度成果報告会」
「特別シンポジウム-東大・京大・慶應 前3学長 1/3
「教育の情報化ビジョン」
スマホ×デジタル教科書プロジェクト」
New Education Expo 公開授業」
「がばいiPadワークショップ」



5)デジタルキッズ
 子どもの創造力・表現力活動は定着しつつあると言っていいでしょう。「ワークショップコレクション2011」は来場者が6万人を超える世界最大の子ども創作イベントへと成長し、「よしもとワークショップ@表参道」のような横展開も広がっています。デジタル教科書運動と合わせ、学校現場や家庭内にどう組み込んでいくかの段階に入っています。「東京おもちゃショー2011」のように、産業界との連動も重要となっています。
 なお、まだ詳しくは書いていませんが、20111月に設立した「株式会社 デジタルえほん」の活動が今年本格化します。既にアプリをいくつか開発していますが、アアア〜ッ!!と驚く仕掛けを仕込んでますので、ご期待を。

「ワークショップコレクション2011
「よしもとワークショップ@表参道」
「東京おもちゃショー2011


6) ポップパワー
 クールジャパン熱は冷めず、「Japan Expo 2011」のような賑わいもある一方、「スゴい!NAVERウェブマンガ」のように海外の攻勢もすさまじい。今年はTPP論議も本格化。正念場でしょう。
 ぼく自身の表現も変化を見せました。NHKクールジャパンや「NHKらくらく塾」のようなテレビシリーズもありますが、ラジオ番組「中村伊知哉のThis is IT」やニコ生シリーズ IT復興円卓会議では自ら企画・脚本に携わり、それらをベースにした新書:新世紀ITビジネス進化論の出版や、ITメディアのコラム:もういっぺんイッてみな!の連載開始など、Paid MediaよりOwned Media Shared Mediaに力を入れました。今年はデジタルえほんの企画を多発し、自らMedia Ownerとして発信していきます。
 同時にライブも増やしました。「評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている、のか? 」、「ホリエモン、最後の授業-1 「5勝4敗くらいかな」」、ニコファーレKMDフォーラム2011」など。今年はまた別の形でライブしていきますんで、そちらもよろしく。

Japan Expo 2011
「スゴい!NAVERウェブマンガ」
NHKらくらく塾」
「中村伊知哉のThis is IT
「評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている、のか? 
「ホリエモン、最後の授業-1 「5勝4敗くらいかな」」
KMDフォーラム2011