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2022年7月25日月曜日

学長くんのコンテンツ10選

 学長くんのコンテンツ10



最近の経済系の学生はケインズも読んどらん。

メディア学生もマクルーハンを読んでない。

常識としての小説も映画も音楽も知らないよ。

という教授陣の声多数。

iU「読め見ろ聴け」選集を作ろう。

という話、しましたよね。

iUが選ぶ100作品、を作ろう。

んでまずぼくがきっかけを作ります。


マンガ、音楽、映画、漫才、その他の5ジャンルで各10作を選びます。

と宣言したんですが。

後悔しています。

難しすぎました。選ぶの。

でも選びました。

ぼくが選ばなければ選ばれないリストにすること。

全盛期の表現で、世界最高水準のものであること。

この要件で。

2022年の極私的なリストです。





日本の常識として、まずマンガの系譜を押さえたい。

つげ義春「紅い花」はNHK日本の100冊で唯一入れたマンガです。

大学教授がマンガとは、というお叱りも当時いただきました。

はい、マンガです。

12世紀以来、日本が独自に発展させた表現です。

戦後の非・手塚系の常識を選びました。


52年のまっぴら君、パンクな表現が新聞連載されていた土壌を称えます。

60年代のつげ兄弟による劇画という日本独自の領域開拓にも敬意を評します。

赤塚さんはギャグだけでなくキャラ作りという点でも新領域を開拓されました。

少女漫画というこれも独自の領域として、個人趣味で田渕さんを入れました。


岡崎さん一ノ関さん松本さんは、90年代以降、進化し成熟した領域で歴史に残る奇跡です。

ほしさんは鉛筆一本で一気に描ききった、成熟へのカウンター、つまりパンクの代表です。

次点は、川崎のぼる「巨人の星」林静一「鱗粉」谷岡ヤスジ「メッタメタガキ道講座」、野田サトル「ゴールデンカムイ」。






音楽、といっても戦後20世紀のポップのみです。

洋楽5、邦楽5。

洋楽は69年フランス、74年ドイツ、78年イギリス、81 多国籍、83年アメリカ。

いずれもパンクです。

無理やり国で分けましたが、時期は近く、あのころのパンク噴出な空気が今もスキです。

XTC Outside Worldを次点にしました。


邦楽は5060708090年代から一つずつ。

50-70年代はプロの作詞・作曲家が作りプロが歌うプロの時代。歌謡曲・アニソンから。

80年代からは自作自演の才能が爆発しました。どんとは永遠です。

次点は麻丘めぐみ「アルプスの少女」、少年ナイフ「ロケットに乗って」。







映画も戦後の洋画5,邦画5。

洋画も63年イタリア、65年フランス、72年スペイン、74年スイス、95年アメリカ、国で選びました。

パンクな作品を並べました。

欧州はみな表現の開拓。

トイ・ストーリーは、映画100年にしてフィルムを使わない製作手法の転換というパンクです。恐怖映画。


次点はイタリア・パゾリーニ「テオレマ」、フランス・ルコント「髪結いの亭主」、ドイツ・ヴェンダース「夢の夢の涯てまでも」、スペイン・エリセ「ミツバチのささやき」アメリカ・スピルバーグ「レディ・プレイヤー1」。


邦画は61年、63年、63年。日本映画の円熟期。

娯楽の主役がテレビに移る少し前の、世界に冠たる輝きです。

川島雄三がオズ、クロサワより評価されるときが来ると思います。

そこから育った世代としての北野さんと河瀬さん。

欧州の映画祭で高く評価された双璧です。


次点は円熟期の溝口健二「山椒大夫」、黒澤明「用心棒」、大島渚「少年」、マキノ雅弘「昭和残侠伝」。

そして新世代の岩井俊二「PiCNiC」、阪本順治「顔」。






日本独自ポップで、極度の進化をとげ、まだ海外展開していない分野として漫才に光を当てます。

60年代のいとこい、70年代Wヤング、80年代ダウンタウン。

90年代のコテコテ、ティーアップとメッセンジャー。

ここまで、基盤。

2000年代、M1王者3組。

そして今を切り拓く2組。





漫才までで疲れました。

ゲーム、アート、アニメ、小説、デジタル、フィギュア、CM、建築、おもちゃ、フード・・。

それぞれ10作を選ぶ作業をすべきところ、果てて、10ジャンル1個ずつ挙げました。

世界的にみて天下取ったよね、というものを並べました。


って書いている最中にも、対抗馬を思い出して、ランクインしたり次点に落ちたりという事例がいくつも起きていまして、ブレブレです。

「音楽の聴き方」レジェンド立川直樹さんも、選ぶのは苦痛とおっしゃってました。

なのでこれは2022年のぼくの一断面ということでよろしく。

あなたの10選を教えて。

2022年7月18日月曜日

音楽の聴き方

音楽の聴き方


立川直樹さん著「音楽の聴き方」。

最近の経済系の学生はケインズも読んどらん。

メディア学生もマクルーハンを読んでない。

常識としての小説も映画も音楽も知らないよ。

という教授陣の声多数。

iU「読め見ろ聴け」選集を作ろう。

という話を吉本興業・大崎会長にしたら「音楽ならもうあるよ」。

という本。


1975年の100枚と、2021年の100枚。

いやはや。

ぼく自身、聴いてない知らない曲が多くて、一つひとつチェックせねば。

と同時に、ぼくが選んでもゼッタイ入れるよねという曲も多くて、興奮。

沖縄国際映画祭に来られた立川レジェンドをつかまえて、思いをぶつけました。


75年、立川さん26歳の100選。

シド・バレットから始まる。

なぜですか?

「好きだったから」。

Gigoro Auntのベースが今もぼくの頭でリフレインします。

「そういう曲だよね」。

ジャケ写が載ってないのは権利問題?

「そもそも権利のありかがわかんないんだよ。」


デヴィッド・ボウイ。

京都で写真展を開かれた。

1980年だったか、銀閣寺前サーカス&サーカスでのP-MODELのライブ、ぼくの隣にハンチング姿のきゃしゃな外人が座ってました。

「ボウイや。」

ライブ中、騒然となりました。

焼酎のCM撮影で京都に来てたんですかね。

ぼく立川さんと会っていたのかも。


ピエール・バルー。

立川さんプロデュース「ル・ポレン」。

日本は元気でしたね。加藤和彦・高橋幸宏さんの趣味満載で。

81年。あのころがいちばん元気だった。」

ぼくはVivreの「M.de Furstenberg」が好きで、パリの公園も探しに行きました。

(横で杉山恒太郎さんがあきれる)


ブリジッド・フォンテーヌ。

「ラジオのように」はアート・アンサンブル・オブ・シカゴ色が強くて、一つ前の「B.Fontaine est」のどちらにするか迷います。どちらもバルーが参加していますが。

88年来日ライブ、観に行きました。

「やった。でも残念ながら、パワーはなかったね。」


ブライアン・フェリー。

武道館のセット、「去年マリエンバードで」的だったとか。

「ブライアンは、手品師はタネを明かさないとニヤリとしたけど、図星だったんだろう。」

ぼく昔、チェコのマリエンバードの場所をつきとめてパリからクルマ飛ばしたことがあります。

(横で杉山恒太郎さんがあきれる)


反面、ジョアン・ジルベルトキンクストーキング・ヘッズのように、入っていて当然なのにいないアーティストがありますが。

「選ぶ作業だからね。選ぶのは、難しい。」

情報量が爆発する時代、作る力より選ぶ力が大事になるのかもしれません。

DJは、選んで、組み合わせて、表現する。その力。


「前の晩にコステロを用意して通勤で聴くひとと、ストリーミングで聴く人は根本的に違う。」

「イヤホンでは内向きになる。音楽は空気を振動させて、エアで聴く。」

「音楽は人と人をつなぐもの。一緒に聴く。」

至宝のおことば。


「歌謡曲は作詞、作曲、編曲、歌手、すべてがプロ。だからスゴい。

 テクニクスの超高級機でレコードコンサートを開きたい。」

立川さんが選ぶ歌謡曲。iUでやってくれませんかね。


ぼくは趣味が狭くて、一時期のものばかりスキで、例えばヒップホップはわからないんですけど。

「ヒップホップにも、いいものと悪いものとがある。全てのジャンルがそう。だから、言えることは、『聴け』ってこと。」

かしこまりました。


情報、あふれます。

とっちらかすのがイヤで目の前をいつもキレイにする人いますよね。

「セルジュがそうだった。机の上をいつもキレイにする。」

ゲンズブールが潔癖症! 肉眼で観ておきたかったかたです。


立川さんが作った京都国際映画祭のテーマ曲。

ひらめきを吉本大崎会長に話したら、佐橋佳幸さん、TAKUROさん、Dr.Kyonらが参加して、京都の小学生も参加させて、どんどん形になったという。

聴き方も、選び方も、そして作り方も大切ですね。

引き続きご指導のほどを。

https://www.youtube.com/watch?v=Anh7mBQidyE

2022年7月11日月曜日

パラコンシステント・ワールド

パラコンシステント・ワールド

澤田純NTT社長 著「パラコンシステント・ワールド」。

油断してました。えげつない本でした。

IOWNというINSVIPNGNに次ぐ大型のテクノロジー構想の後ろには、こんなに深い思想と経営哲学があったのか。

文章も澤田さん自筆ですね。

NTT諸君は果たしてこれについて来ているのか、と思わせます。


DX流行り下のデジタル本でありながら、デジタルとアナログのあいだ、グローバルとローカルのあいだ、集権と分散のあいだ、矛盾・対立を許容しつつ双方をつなぐ、トレードオフからパラコンシステント(同時実現)へ、という書なのです。


京大出身の澤田さん(土木)が対談する福岡伸一(生物)山極寿一(ゴリラ)出口康夫(哲学)さんら京大出身者との話も、西田幾多郎や今西錦司ら京都学派を掘る本格的な代物。

生物学でいう「環世界」の多様性を受け止めるビジョンを掲げ、西田哲学の「絶対矛盾的自己同一」をよりどころにするという。


古代ギリシャ哲学以来の論理中心の世界が行き着くデータ至上主義への疑問、ホモジニアスな思想への疑問を呈し、東西融合の思想と技術を求めます。

IOWNの裏側にそんな思いが流れているとは。



92年、公文俊平・会津泉さんらGLOCOMメンバーが初めてインターネットをNTT幹部に紹介したが、NTT側が芳しくない反応をした話が登場します。

それまでの通信事業を全否定する技術だから当然です。

そのNTT側の事務局を澤田さんが務めていたそうで。


そのしばらく後、ぼくは会津さんから「この人偉くなるから」と澤田さんを紹介されました。

それから30年、すっかり景色が変わりました。

IPに移行し電話時代に終止符を打つ社長になるとは、偉くなるにもほどがありますな。


その公文先生が最近、ネット社会に失望していて、監視資本主義、社会格差、情報恐慌という課題に対応するため、技術、社会責任、情報信頼の3つを要望したそうです。

澤田さんはそれに応えるという。巨人同士の対話ですねぇ。



不易(つなぐこと)と流行(新技術)を両立させる。

リアルとバーチャル、自然とハイテク、都市と地方を融合する。

パラコンシステント。

IOWNはそれに応えるインフラと位置づけられています。

これまでのテクノロジー主導のビジョンとは性格が異なります。


ドコモにコムなどグループ再編、テレワーク強化に転勤廃止など、驚く経営改革も進めるNTT

技術と思想をつきつめて豪腕をふるう社長。

コロナ後の激動をどう舵取りされるのか、目を凝らしておきます。




参考 ブログ

IOWN構想」

http://ichiyanakamura.blogspot.com/2020/11/iown.html


NTT R&D FORUM2021

http://ichiyanakamura.blogspot.com/2022/01/ntt-r-forum2021.html


NTT再々編の中で、R&D Forum。」

http://ichiyanakamura.blogspot.com/2021/04/nttr-forum.html


NTT R&D FORUMが示す底力」

http://agora-web.jp/archives/2037770.html

2022年7月4日月曜日

民放連報告:2つの戦争の最中に

■民放連報告:2つの戦争の最中に

民放連デジタルネット研究会報告。

札幌テレビ、TBSテレビ、文化放送、日本テレビ、テレビ朝日、フジテレビ、テレビ東京、FM東京、東京MXTV、中京テレビ、関西テレビ、九州朝日放送。

今年も巻頭言を寄稿しました。



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 2022年春。人類は未曾有の試練にある。コロナとウクライナ。2つの戦争の最中にある。

 コロナは世の中のDXを数年は前倒しした。日本はデジタル敗戦を認識し、デジタル庁を作った。その土石流の中、テレビ・ラジオはどのような役割を果たしただろうか。主役たり得ただろうか。


 ロシアの侵攻は、スマホやSNSが普及して初、AI・データ駆動社会初の主要国が関わる戦争だ。サイバー攻撃、フェイクニュース、デジタル制裁。デジタルが主戦場となった戦争だ。戦火の中、放送はどのような役割を果たしただろうか。主役たり得ただろうか。


 2021年のネット広告費が4媒体を初めて上回ったとの報道があった。ネット2.7兆円に4媒体2.5兆円、ということより、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌が4媒体とひとくくりに扱われるようになった、のが一番のニュースだと感じた。NHKが同時配信を始め、著作権法も改正され、民放もスタートした、時にはもう場面転換していた。


 もはや通信・放送の二元論は用済み。0円だった市場が2.7兆円に成長した。それを取りに行かなかった30年を振り返る場面は終わっている。民放と公共、キー局とローカル局といった閉じた世界の二元論もグローバルなネットの渦に飲み込まれる。放送4兆円を含む、ネットも含む、情報市場70兆円の中で立ち位置を考える場面だ。

 

 政府・知財本部では、コンテンツ戦略としてプラットフォームとメタバースが論じられている。GAFAやネットフリックスに代表される米IT企業への対応と同時に、中国のIT企業も日本に資本投下してくることにどう向き合うか。メタバースやNFTのような新技術の波が押し寄せていて、これをどうとらえるか。これも場面転換を示している。放送業界の答えは何か。


 そしていよいよ総務省ではマスメディア集中排除や放送区域といった制度の根幹が論じられ始めた。メディア業界の構造変化も展望される。場面転換を迎え、自らの腹ぐくりが求められている。


 コンテンツ政策とメディア政策の融合も課題となっている。映像が全IP、全クラウドに向かい、さらにデータとAIが広告ビジネスの主役となっている。放送も5Gで送れるようになる。これらを総合的にとらえた戦略はまだ見受けない。


 90年代のマルチメディア、2000年代のネット・地デジからあと、大きな絵を描かずにやってきた、その帰結が今の混沌であろう。メディア全体を見通した戦略を民間サイドが描く。その努力が放送業界にも求められている。


 今回のレポートは、戦時の転換点を示す報告にあふれている。ライブ配信・アプリに新型デバイス。視聴データにメタバース。プロセスエコノミーにファンマーケティング。駅伝、五輪にフェス。そしてコロナ対策。各社の取組みがまばゆく多方面に拡散していて、戦火の先に光を見出そうとしている。きっと見出せると信じる。