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2011年1月29日土曜日

中村伊知哉のThis is IT


YouGo 中村伊知哉のThis is IT
  201012月、ラジオ日経で「中村伊知哉のThis is IT」なる番組をスタートさせました。
 
 タイトルは、もちろん、MJへのオマージュ。
 ITの話題をできるだけポップにトークしましょう、という。
 ITは「イット」。かつて森総理が「イット革命」おっしゃった、あのイットです。
 で、仰々しくぼくの名前が冠されているのですが、番組は石戸奈々子さんとの対談形式。
 勝手知ったる石戸さんとなので、基本テーマが書かれた紙一枚で、打合せもリハもなく30分しゃべります。

 これはメディア融合のプロジェクトでもあります。
 ラジオはラジオで聴く。放送がベース。
 ラジオNIKKEI 1 木曜日 22:3023:00です。
 ラジオ日経は短波。渋いですねぇ男のメディアですねぇ。

 ケータイでも聴けます。ドコモiモード、auEZweb、ソフトバンクのYahoo!ケータイで配信。
 そしてPCradikoOK
 ぼくの番組なので当たり前ですね。
 オンデマンドもやってます。
 Podcastingもあります。
 全方位でしょ。

 というわけでThis is IT
 テーマは、
 第1回・第2回 「デジタル教科書」。
 第3回・第4回 「デジタルサイネージ」。
 第5回・第6回・第7回 「メディア融合」。
 第8回・第9回 「ポップカルチャー」。
 
 この後はゲストシリーズにしようと思っています。
 どんなネタで、どんなゲストをお招きしたらいいか?
 ぜひリクエストください。

2011年1月26日水曜日

サイネージの課題

■Net サイネージの課題


 デジタルサイネージは産業としての発展が見込まれています。
 しかし、メディアとしては未成熟。課題も山積しています。
 そこで結成されたのが「デジタルサイネージコンソーシアム」。
 デジタルサイネージがメディアとしてサービスとして発展するためには、以下の問題点を解決することが必要だとして、会員からなる部会を設置、問題解決へ取り組んでいます。
1. 技術的な標準がない
送出方法の選択肢の多様化で、配信側ビジネスが成り立ちにくい
2. 広告取引の指標が不統一
テレビ広告では視聴率という定量的評価尺度があるが、デジタルサイネージでは効果測定方法が確立されていない
3. 権利処理ルールが未確立
著作権管理、意匠管理ルールが未整備である
4. 論理規定がない
倫理面、景観、環境への配慮が不可欠であるが、その規定がない

 このうち、1.技術的な標準や2.広告取引の指標に関しては、ガイドラインを取りまとめ、公開しています。
 3.権利処理ルールについても検討が進んでいます。
 ただし、これら対応はまだ始まったばかり。そして、新しい課題も生まれてきます。
 たとえば、「ビジネスモデル」に関する課題。
 まずはコストダウン。
 ディスプレイやプレーヤのコストダウンが重要であること、モニターの軽量化によって設置コストを下げること、運営コストを下げる必要があることといった指摘をよく受けます。
 1.の技術標準も同様の問題ですが、いかにコストを下げて普及を促進し、ネットワーク・メディアとしていくかがポイントとされます。
 2.の広告効果に関する声も多く寄せられます。
 どう測定し、評価し、ビジネスにつなげていくのか。
 コンテンツサイドからの要求としては、表示仕様が決まっていないこと、ディスプレイサイズがバラバラなのでコンテンツの流用ができないことを課題とする声もあります。
 また、広告とは別の利用を促す考え方もあります。
 医療機関や行政などの利用を広げ、サイネージの可能性を開拓するとともに、システムやコンテンツへの資金流入ルートを広告費や販促費以外に拡げておこうというものです。
 3.4.は制度に関わることですが、通信と放送の法制度を問題視するむきもあります。
 デジタルサイネージは融合メディア。そのビジネスが容易にできるよう、電波の利用やサービス規制をできるだけなくすべきという意見です。
 さらに、「総合プロデューサーの不在」という意見も多いです。
 デジタルサイネージは総合メディア。その企画、設置、運営に当たっては、施設や広告、コンテンツをトータルに理解し、計画・調整できる人材が必要。
 だが、そのような人材はほとんどいません。
 空間デザイン、通信技術、広告・コンテンツマネジメントを理解し、設計できるプロを育てる必要があります。
 サイネージを提供する側だけではありません。利用者側の問題もあります。
 サイネージの特性を理解しているクライアントや広告代理店の人もまだ少ないというのです。
 利用する企業内の部署のタテ割り構造を問題とする声もあります。
 広告、販売促進、経営企画を担当する部署の間で、まだサイネージに対する見方が定まらず、戦略的な使い方ができていないのです。

2011年1月24日月曜日

新居浜の戦略

■YouGo 新居浜の戦略


 愛媛県新居浜市。
 1990年開局のケーブルテレビ局「ハートネットワーク」。
 新居浜市と西条市の合計人口10万人エリアに対し、地域の放送局として充実したローカル情報を有線で提供するだけでなく、インターネット接続サービスやWiMaxなどの無線サービスも提供。
 さらにはデジタルサイネージにも積極的に取り組む異色の総合メディア企業です。
 大橋弘明社長は日本CATV連盟デジタルサイネージ委員会の副委員長も務め、業界の旗振り役でもあります。
 新居浜テレコムプラザ内に構える本社を訪ねてみました。以下、大橋社長談。

「ケーブルテレビは地域の安全・安心を確保するメディア。
 災害が発生したときには全国メディアが注目されるが、その後のフォローはケーブルテレビの役割です。
 仮設住宅の申し込みが始まりましたよ、支援金が届きましたよ、銭湯やコンビニが再オープンしましたよ、といったお知らせを届けるのはローカルなメディアの機能。
 ケーブルテレビ局は、ケーブルだけでなく、無線も使って、トータルなメディア・ステーションになります。
 ケーブルが遮断されても、ケータイ向けに情報を届け続けます。
 地域番組チャンネルをテレビだけでなく、ケータイや家庭内のデジタル・フォトフレームにもお届けします。
 既にWiMaxの免許を獲得していますが、地デジ整備後に使えることが期待される電波空き地「ホワイトスペース」も使って、広域に情報を伝えていきたいですね。
 ケーブル局の強みは、配信手段とコンテンツ製作力の双方を持つこと。
 WiMaxの強みも発揮し、工事不要でサイネージを設置します。
 ただ、ハードの整備・管理に比べ、コンテンツの管理が難しい。
 その点、ケーブル局は番組を毎日作っています。
 週イチしかコンテンツを作らないようでは、サイネージに流しても見てもらえませんよ。
 もう一つの強みは、地元経済界との親和性です。
 地域に張り付いてコミュニケーションを支えているので、クライアントへの営業も強い。
 サイネージを据える「カベ」を見つけては、オーナーを捜し、サイネージを提案します。
 ケーブルテレビは全国に点在しているから、業界としてヨコ展開し、サイネージを広げていきたいです。
 自治体との結びつきも大きいです。
 地域番組チャンネルに自治体も関わっているので、彼らもデジタルサイネージに興味を持ってくれています。
 この地域では、イオンのモールに42インチのサイネージを配備して、地域の動画番組と文字情報を表示しています。
 ケータイのクーポン展開も進めていきます。
 サイネージをネットワーク化して、サーバ管理するとともに、HD画質のCMなどのコンテンツも作ります。トータルソリューション。
 このような取組はケーブルテレビ業界全体の課題。
 食料品メーカーと組んで家庭にデジタルフォトフレームをプレゼントし、レシピや調味料の情報を届けるといった企画を練ったりしています。
 自動販売機にも注目しています。
 これをサイネージとして活用すれば、緊急情報の表示があちこちでできます。
 そこで自販機の組合とわれわれが業界同士で話し合ったりしています。
 業界としての取組が大事だと思います。」

2011年1月22日土曜日

福岡、バスと船

■YouGo 福岡、バスと船


 バスとデジタルサイネージに公共情報を配信し、携帯電話とも連携する実験も行います。
 福岡市内では市民の足としてバスが多く使われています。
「西鉄バス」は、グループ会社含め3000台以上という日本最大のバス保有台数を誇り、県内外にきめ細かなバス路線を構築しています。
 運転席後部、乗降口後部の2箇所に液晶ディスプレイを搭載し、車内サービスとして広告コンテンツを表示させます。
 広く県内外に移動するバスでは携帯電話やWiFiなど無線通信を使うのはコスト面、エリア面から効率的ではありません。
 放送波を活用することで大きな無線局から面的なサービスエリアに同一の情報を配信し、バスサイネージとしてのメディア化を狙う実験です。
 バス向けに番組を編成し、複数送信します。バスでは、その番組をダウンロードし、バスの路線や時間帯、場所などを加味しながら表示を行います。
 釜山と福岡を結ぶ船舶内にタッチパネル式の小型デジタルサイネージを設置し、観光情報を配信する実証実験もあります。
 博多港に停泊中の船舶は放送波で流れる最新のコンテンツをダウンロードすることで情報の更新を行います。
 福岡から釜山への船舶内では、韓国への観光客を見込んで韓国の飲食店やショッピング、美容室などの情報を日本語で配信し、釜山から福岡への船舶内では、日本への観光客を見込みゴルフや温泉、物産などの情報を韓国語で配信します。
 こうした試みは、放送と通信の境界領域であり、現在の法制度では本格サービスとするのは不可能。
 技術面、ビジネス面だけでなく、制度面でも非常にチャレンジングであり、政府で検討中の通信・放送融合法制の議論を実地で先取りするトライアルでもあります。
 世界でも放送波を利用し、デジタルサイネージや携帯電話にエンターティメント情報や公共情報を一斉配信するモデル例はないでしょう。
 「実証実験を通じて、ビジネスモデルが検証できれば、韓国や中国など、海外でもビジネスとして展開できる可能性が出てくる。その意味でも、アジアと親和性の高い福岡は絶好のスポット。」(エフエム東京 藤さん)

2011年1月19日水曜日

熊野めぐり


■Buenos  熊野めぐり
  うねうね道を進むバスの下、エメラルド色に澄んだ豊かな川。広い河原に釣り師が点在。狙いは鮎か、イワナか。上を向くと鳶が数羽、グライダーをしています。空は狭い。切り立つ濃緑の山波。さらに山波。さらにその向こう、奥のほうは紺色の山波。険しい。
 奈良県最南端、日本一広い村、十津川。壬申の乱以来、幕末まで古来、免租の集落。権力者の支配を受けず、独立した村落共同体として存在し続けました。建武の親政では楠木正勝が拠点とし、尊王は明治維新まで貫きました。幕末には勤皇の志士となるものも多く、過激派公家の思惑などから薩摩長州土佐等と並んで宮廷警護を命ぜられたそうです。
 このあたりが瀞峡。向こうには玉置山。
 35年ぶりです。中学2年生の夏休み、ここで2週間過ごしました。先祖を玉置山に持つ同級生の玉置君と一緒に。彼の本家に転がり込んでいたのです。20101月、「なかむら」酒造を一緒に訪れた、鹿児島大学で焼酎学を追求している玉置君です。

 この河原にテントを張り、河原を掘ると湧き出てくる温泉につかり、そこいらに生えているお菓子のように甘いトウモロコシやトマトを食っていました。夏。陽が昇れば近くの空き地に運ぶと、近所の小学生が集まっていて、やおら野球が始まる。
 こちとら京都の都会の野球小僧である、とイキんで入れてもらうも、小学1年坊主や2年坊主がやたらうまく、そいつらが二遊間を組む相手にダブルプレーかませられたりして歯が立たない。
 ぼくも高校球児時代、二塁を守ったことがありますが、一度もダブルプレーなんか完成したことがありません。天才・上岡龍太郎さんが弱い弱い70年代の阪神の試合でダブルプレーが完成したとき「すごいなぁさすがやなぁ阪神。ダブルプレー。できまへんでぼくらには。」とテレビで語った際、スタジオはギャグととらえましたが、学生だったぼくは「ほんまそのとおりでっせ」と叫びました。
 十津川での小学生との野球。照りつける太陽と、甘いトマト。強烈な思い出。あぁ、こういうヤツらが箕島高校行ったりPL入ったりするのか。エリートは、こういうとこで育つのか。ホームに帰った走者が石を拾って重ねる、それがスコアボードでした。
 天国って、こういうところかもしれない。
 山深く、奥深く、美しい聖地。35年、足を踏み入れませんでした。

 ついでに、熊野三山を回りました。
 熊野本宮大社。Jリーグのシンボル、やたがらすをまつっています。ここにはハガキの原点となった「多羅葉」の木があり、特別な黒い郵便ポストも置いてあります。郵便関係者としては、天照大神らを奉る社に負けず惹かれるたたずまいがありました。
 そこから那智へ。熊野那智大社は那智の滝を神とする自然崇拝からおこった社ですが、古い参道をたどり、冷厳な山頂から望む三筋の流れも、滝壺から仰ぐ岩肌のしぶきも、ナイヤガラの滝など足下にも及ばない神々しさ。
 そして熊野速玉大社。ここも神仏習合を体し、第一殿は熊野夫須美大神と千手観音、第二殿は熊野速玉大神と薬師如来、第三殿は家津美御子大神と阿弥陀如来、第四殿は天照大神と十一面観音を奉っています。
 平安後期に浄土教が盛んになる中、浄土とみなされるようになった熊野も、江戸時代に紀州藩が神仏分離政策を敷き、さらに明治の神仏分離令で衰退したといいます。でも、近代に背を向けたこの神秘な奥地は、パワースポットブームで新たな光が当てられているようで、老若男女の賑わいを見せていました。
 7月には那智の火祭りが執り行われます。そうだ、ここは柳町光男監督、中上健次脚本、「火まつり」の舞台。自然と人間と神が織りなす土着的な神話の世界と現実を融合させたその映画は、ぼくが社会人になった年の衝撃作でした。ここに来て映像が蘇りました。というか、25年間、記憶から飛んでいました。
 すると、ぼくが高校一年生のとき、芥川賞を受賞したばかりの中上さんを、高校の国語教師が招いてお話をしてもらったことを急に思い出しました。そのときには中上作品を知らず、なんやこのオッサン、でした。あのとき背筋を伸ばしきちんと同じ空気を呼吸しておけばよかった。
 中上さんが育ったこの地の空気を吸っておきます。そして改めて火まつりを見直してみます。

2011年1月16日日曜日

デジタル教科書教材協議会の発足

Kids デジタル教科書教材協議会の発足
 20107月、デジタル教科書教材協議会が発足しました。
 現在の会員数は116社。
 協議会は「全ての小中学生がデジタル教科書・教材を持つ環境を整える。」ことを目標に据え、その実現を図るため、課題整理、政策提言、ハード・ソフト開発、実証実験、普及啓発を進めることとしています。

 具体的な活動は以下の4つ。
 1)推奨スペックの検討:オープンに議論しつつ政府と連携し、標準ガイドラインを策定する。
 2)実証研究:ガイドラインを検証するため、数校で実証し、商用ベースへの展開を図る。
  3)普及啓発:家庭向け、学校向けの普及啓発を行う。
  4)政策提言:教育政策、情報通信政策等について政府・自治体等への提言を行う。

 「未来モデル委員会」、「普及啓発委員会」の2機関を置き、さらにその下にコンテンツ開発や授業方法開発、実験推進等のためのワーキンググループを作っていきます。

 「未来モデル委員会」は、デジタル教科書・教材に求められるモデル及び教育環境を検討します。
1)教育環境
2)コンテンツ:教科書、教材
3)ソフト:ノート、グラフ、お絵かき、音楽
4)ハード:タブレットPCPDA、新規
5)コミュニケーション:通信、コミュニティ管理
に関し、必要なスペックを議論し、ガイドラインを作成していく。

 「普及啓発委員会」は初年度 ―台、3 年後に ―台といった普及目標をたて、実行策を練ります。
 そして以下について検討・実施します。
1)ビジネスモデル、普及方策の検討
2)実証実験の企画・実施
3)その他課題の整理・検討
        例 学校現場のインセンティブ、教育上の問題、公的負担、海外事例研究

 これらのほか、教育、工学、政策そのほか内外の有識者に声をかけ、アドバイザリーボードを形成、活動の方向性を審議してもらいます。
 同時に、全国の学校の先生方とのオープンなコミュニティを作り、現場の声と開発部隊との意見交換、調整を進めていきたいと考えています。

2011年1月13日木曜日

デジタル教科書、総合政策

Kids デジタル教科書、総合政策
 コストをどう処理するかは一つの政策事例。その他にもさまざまな政策課題があります。
 2008年度の文部科学白書は、「高度情報通信ネットワーク社会における新たな展開」と題し、教育の情報化施策を規定しています。そのうち「第2節 将来の情報社会を担う子どもたちのために」では、以下のような項目が並んでいます。

1) 情報社会を生き抜くための教育の充実
 子どもたちの「情報活用能力」を育成する情報教育は、子どもたちが「生きる力」を身に付ける上で重要な教育であり、教育活動全体を通じて横断的に実施する必要があること等

2)「わかる授業」の実現と、子どもたちの興味・関心を高めるために
  ICTを活用した教育の推進のための環境整備
  教員のICT活用指導力の向上
  「確かな学力」の向上につながるICT活用
  先導的かつ効果的な取組に関する実践的な調査研究の実施
  教育用コンテンツの充実・普及
  教育情報ナショナルセンター(NICER)の整備
  デジタルテレビの教育活用の促進  等

3)校務の情報化の推進
 教員の校務を効率化し、児童生徒に対する教育の質の向上を図るため、校務の情報化を推進すること等

4)学校のICT化のサポート体制のあり方とその体制整備のための支援
 計画的なICT環境整備や教員の支援体制など、教育の情報化を計画的かつ組織的に展開するためのサポート体制を整備する必要があること等

5)子どもの携帯電話に関する問題への対応
  学校における情報モラル教育の推進等

 教育情報化政策の優先順位を高め、こうした総合的な政策を強力に推し進めていく必要があります。また、教育の情報化の主体は、現場であり、民間であり、先生であり、子どもたちです。その政策も現場サイド、民間サイドから政府に対しどんどん提案していくべきでしょう。

 例えばベネッセコーポレーションの新井健一さんは文部科学省の会議で総合施策を提案していたので紹介しておきます。
ソフト、サポート、研修のようなソフト面に対し、新年度から使えるタイミングで、必要な予算を実行できるようにする。
活用のための目標値を示す。(例:カリキュラムの50%はICTを活用する。ICTを活用した課題解決スキルの達成値等)
校長先生がリーダーシップをとれるようにするための研修を定期的に行う。
教員養成課程での単位義務付け、指導教官の研修を行う。
トータルに推進するための機関を設置する。
地域の住民が声を上げる仕組み、地域の活性化、開かれた活動、地域の大学やメディアの参画など、周辺を巻き込む活動、社会とのつながりを奨励する。
学校教育の情報化の目的を明確にする。

 ぼくも同様に提出しておいたので参考まで。
 「コンセンサスを得て、政策の具体的な目標を定めるべき。
  例えば、
20XX年までに世界一のデジタル教育環境を整える。
20XX年までに全小中学生にデジタル教科書・教材を行き渡らせる。
20XX年までに小中学校のカリキュラムの○%でデジタル教科書・教材が使われる。
 また、学校教育の情報化を進めるための政策マスタープランを形成すべきではないか。そのパッケージには、予算措置、民間支援措置、法制度手当て、推進機関、実験・トレーニングプログラムなどを含むとともに、ロードマップを描くべきではないか。
 本施策は、学校のみならず、家庭・地域等との連携のもとに進めるべきではないか。このため、社会全体の理解を得るための普及啓発活動に力を入れるべきではないか。
 本施策は、教育分野のみならず、医療情報化、行政情報化等の施策と連動させつつ進めるべきではないか。このため、IT政策、知財政策、科学技術政策などとの連携を強化すべきではないか。」

2011年1月10日月曜日

広島の挑戦

■Net 広島の挑戦 


 レトロな路面電車。
 ボディに「神戸市電」の文字。85年キャリアの現役電車です。
 古い京都市電、大阪市電、ハノーバーの路面から誘致された車両も走ります。
 かと思えば、2両編成の最新型「グリーンムーバ」も同じ路面を走っています。
 広島市立大学と広島大学は、この最新型車両4台の内部にデジタルサイネージを設置、WiMaxや無線LANを通じて情報を発信しています。
 路面電車のデジタルサイネージは全国初の試み。
 車両後部のディスプレイで、ニュースや大学のプロモーションを流しています。
 広島バスセンターや紙屋町地下街シャレオ中央広場には計4台の50インチ縦型タッチパネルを設置。
 画面を上下に分け、地場産品や観光イベントの情報を発信しています。
 ケータイとの連動プロジェクトもあります。
 パルコ前のウィルコムカウンターや平和記念公園のレストハウスに置かれた端末では、レストランのCMが流され、非接触ICカードやケータイでクーポン情報を落とし込んでいます。

 これらの取組は、広島市がコンソーシアムを組み、産学官連携で進めているものです。
 総務省「地域ICT利活用モデル構築事業」スキームを活用しています。
 観光振興、産業活性化、中小企業のICT化を狙いとしてデジタルサイネージを用いるものです。
 広島デジタルサイネージ推進コンソーシアムは、広島市、中国放送、中国新聞社のほか、産業振興センター、バスセンター、地下街開発、観光コンベンションビューローなどをメンバーとし、私もアドバイザーとして関わっています。
 2009116日、シャレオ中央広場で開かれた実証実験のオープニングでは、秋葉忠利市長が「日常生活を豊かにする電子看板の可能性を探るため、産学官の力を合わせ推進したい」とあいさつ。意気込みを見せています。
 実質的なリーダーである豊田麻子副市長は語ります。
「新しいメディアで地域を活性化したいと考えています。テレビのCMは高いけど、商店街の店主でも気軽に広告を出せる。コンテンツの制作も学生などに活躍してもらう。そんなモデルを作りたいです。店、住民、学生、そして場を提供している人々みんなを元気にしたいです。」
 コンテンツがカギでは?
「そのとおり。地元の新聞や放送などのメディアをフルに活用したいと思います。野球のカープ、サッカーのサンフレッチェともタイアップしていきたい。同時にイベントとも連携、フラワーフェスティバルや”ゆかたできんさい“、花火大会や平和記念式典など地域密着型のコンテンツを住民参加で拾い上げていくんです。」
 目新しさもある?
WiMaxLANなど全てのネットワークを駆使します。デジタルサイネージとケータイ、デジタルサイネージとウェブ、デジタルサイネージと紙媒体、といったメディアミックスも進めて、町をジャックしたい。インタラクティブは大事だと思います。あの人あそこで一体なにしてるの?という面白いしかけもプロデュースしたいですね。」
 課題は何か。情報政策課の天野課長に聞きました。
「まず運用コストを下げること。パワーポイントを住民が簡単にアップできるような仕組みを取り入れて、コストをゼロに近づけます。このため、たくさんのテンプレートを用意しようと考えています。地域らしいコンテンツ作りも課題です。新聞社、放送局との協力関係が重要ですね。そして効果測定。これが難しい。現場でアンケートを取ったり、温泉プロモーションでの来客数増加を測ったりしようと考えています。」
 意欲は広がりつつ、足下も固めつつのトライアル。
 地下街のディスプレイに表示されていたメッセージに「世界への思いをリアルタイムで世界に発信できます」とありました。
 平和都市ヒロシマのチャレンジだ。

2011年1月7日金曜日

福山の挑戦

■YouGo 福山の挑戦 


 「崖の上のポニョ」の舞台となった広島県福山市。
 ここに本社を置く株式会社アスコンは、チラシの製作や地元のフリーペーパー作りを本業とする印刷・広告企業です。
 その会社がビジネスを転換し、デジタルサイネージ企業に生まれ変わろうとしています。
 地域のCMを作り、スーパー等に置かれたデジタルサイネージで表示します。
 地域に密着した取材力と、チラシを作ってきたアナログのコンテンツ製作力を活かし、デジタル画面に展開するのです。
 文字や写真の見せ方はお手のもの、軽い映像情報も製作して乗せます。
 そこまではわかります。いまどの地域の印刷会社も広告会社も、デジタルコンテンツ企業への転換は念頭にある課題のはずです。
 だがアスコンが面白いのは、セットトップボックスも自ら開発し、面的なデジタルサイネージ・システムをも提供しようとしている点。
 紙メディアから入って、コンテンツ、営業・CM、さらにシステム開発といったハードウェアまで手がけ、トータルなサイネージソリューション企業になろうとしているのです。

 他地域への進出も始まりました。
 神戸大学の生協に「タダコピ」を3台設置、学生をターゲットにした広告事業も行っています。
 このタダコピ、アスコンとシャープが共同開発したデジタルサイネージとフェリカ端子のついたコピー機。
 コピー紙の裏面に宣伝が印刷されます。CM料があるので、コピーはタダ。そのCMは、ケータイのタッチで識別した学生、学部、性別等のユーザ属性に基づいて違うコンテンツがプリントされます。
 コンテンツはネットワークでサーバからコピー機にそのつど伝送される仕組み。
 コピー機の上には大きなサイネージ画面がついています。タダコピは行列ができるので、その待ち時間に動画CMを見せます。

 次のチャレンジは、放送の電波利用です。
 中国放送のデジタル波を使い、中国新聞のコンテンツやチラシ、タウン誌の情報などをテレビ端末に送る実験を行っています。
 夜中の時間帯を使って実証実験を行い、技術の可能性やビジネスモデルの検証を行います。
 テレビ番組に信号を乗せ、一日にギガバイト級の情報が送れるようになります。
 ブロードバンド通信だけでなく、放送の電波も通信的に使ってみよう。テレビやサイネージのデジタルネットワーク化を進めよう。
 放送や通信の産業構造にも影響を与えかねない可能性を秘めています。
 制度面でも整理すべき課題が発生します。
 地方から非常にインパクトのある動きが現れているということです。

 林征治社長の視野は広い。
「チラシの年間売上は1兆円。だが、それだけのゴミを製造しているということでもあるんです。紙をトラックで運搬し、印刷した油を燃やす。そうしてCO2を排出している。当社はチラシ事業から完全デジタルにビジネス構造を切り換えようとしています。自分の印刷事業部を潰すようなことを自ら行っているということです。でも、電波オリコミ、通信チラシに移行することで、CO2をゼロにする。ビジネスには正義がなければいけません。だから進めるんです。」
 瀬戸内海に船を出して魚を釣り、中国山脈の奥でコメも作る林社長の挑戦は続きます。

2011年1月4日火曜日

デジタル教科書のコスト問題

Kids デジタル教科書のコスト問題
教育の情報化、その最大の課題は、おカネの問題。コスト負担です。
 学校のICT基盤の整備が遅れた原因は予算措置のあり方にあるという意見が強いです。
 整備予算が「地方交付税交付金」であり、ヒモ付きでなく地方自治体の裁量があるため、もともと積算されている額のとおりに実行されず、他の用途に振り向けられてしまうという実情があります。
 だから計画どおり情報化が進んでいないうえに地域差も出ているというのです。

 これでは国ががんばって予算を獲得しても、全国的に進まないわけです。
 地方からも、「少なくとも学校のICT基盤の整備に関しては、地域差なく早期に完了させるために、地方自治体に任せるのではなく、国が主導して進めるべきではないか。」との声が上がっています。
 地方のことは地方に任せよ、という地方分権のトレンドの中で、どう全国政策との折り合いをつけていくか。悩ましい問題です。

 予算制度の問題もあります。
 日本では物品購入には予算がつくが、通信費、保守、メンテナンスには極めてハードルが高い。現場ではソフトは教材備品予算で購入していますが、1校数万円程度しかありません。また、研修に必要な予算もありません。
 ハードからソフトへ。ハコからヒトへ。かけ声はあるのですが、なかなか仕組みが変わりません。

 じゃあどうする。1台数万円はかかる情報端末を整備し、学校のネットワークを整備し、たくさんのデジタル教科書を配布します。相当な金額の予算措置が必要です。
 ただでさえ日本の財政は火の車。財務省によれば、国債や借入金などを合計した「国の借金」が2009年度末で9235億円となりました。2010年度予算の新規国債発行額は過去最高の443030億円で、当初予算段階から借金が税収を上回る戦後初の事態だといいます。「新しい予算を増やしてください」とは言いにくい。

 これに対し、ソフトバンクの孫社長は「八ツ場ダム一個ひとつより安い」と言います。
 情報端末12万円とみて、就学者1800万人に配れば、導入費は3600億円。確かに八ツ場ダム建設費4600億円より安い。翌年以降は小中学新入生200万人に配るので年400億円。
 なるほど、教育予算と、国土交通その他の予算との綱引きで、教育の情報化がより重要だ、ハコからヒトだと政治が判断してくれれば、必ずしも夢ではありません。

 しかしそう簡単には行きますまい。じゃ「子ども手当」から回せばいいと孫さんはアイディアを出します。
 2010年度に始めた子ども手当の半額支給は2.3兆円。一人月13千円。
 このうち月々280円を回せばデジタル教科書は揃えられるというのが孫さんの計算。「情報端末は6年リース」という。
 つまり280円×12か月×6年=20160円。なるほど、情報端末12万円とみて、6年分割タイプなのですね。ケータイ商売っぽいですね。

 ただ、これでは足りないかなぁ。情報端末は古くなるし壊したりもします。教科書代やアプリケーション代もしっかり組み込んでおく必要があります。月1000円ぐらいではなかろうか。
 13千円のうち1000円で最高の学習環境が子どもに与えられるならうるわしいことではないですか。
 てな話を田原総一朗さんに向けてみたら、そもそも子ども手当は廃止だ!と喝破されてしまいました。
 ポルトガルは子どもたちに情報端末「マゼラン」を配布していますが、その原資は「電波オークション」なのだそうです。日本でも電波オークションの議論が始まっています。その収益の使途としてデジタル教育、というのもアリかもしれません。

 というのは一つのアイディアであり、生煮えの議論なのですが、アイディアを出し合い、政策を構築していく努力は必要。
 まだ答えはありません。産官学で知恵を出し合いたい。

2011年1月1日土曜日

反省、2010年


Buenos 反省、2010

 賀正。
 2010年は大がかりな年でした。身の回りを振り返ってみます。
 この年は、「原口ビジョン」で明けました。原口一博 前総務大臣が200912月に打ち出した政策案への対応です。
 2020年に全世帯でブロードバンドサービスを利用することを目標とし、電子行政推進、利活用一括化法制定など野心的プランが打ち出されました。小泉政権下、竹中総務大臣が進めた通信・放送融合路線(松原懇による推進策)が時計の針を5年進めたとすれば、原口ビジョンはさらに5年進めるものです。
 その中でぼくは特に「デジタル教科書を全ての小中学校全生徒に配備(2015年)」「ホワイトスペース等を活用した市民メディアの全国展開(2015年)」に響きました。前者は役所を辞めて以来12年間メインテーマとしてきた事項、後者は20年追いかけてきたメディア融合の積み残しに当たるからです。

 無論それらは融合法制を仕上げることが前提となっています。松原懇以来、5年間 論議されてきた法体系は、紆余曲折を経て、秋の国会で「放送法等一部改正法」として成立をみました。地デジ後、PC/ケータイ後のメディア環境を整えるための山を越えました。当初、最も反対していた放送業界が、最後には最大の支持勢力になったことがこの問題の複雑さと状況の変化を物語っています。
 電波を巡る政策論議にタブーがなくなったのも進展でした。「ホワイトスペース」の議論が解禁されただけでなく、その開発・利用が「推進」されるようになり、特区も整備。「電波オークション」の議論もフラットに交わされるようになりました。
 融合法制を先取りして技術・ビジネスが試行される「ユビキタス特区」も成果を挙げつつあります。3月に福岡特区の視察ツアーを組んだところ、参加者70名。新ビジネスへの期待を感じました。4月に参加した韓国の政府系会議では、日本の融合法制や電波開放策に矢継ぎ早の質問を受け、海外の視線の熱さに驚いた次第です。
 同じく新ビジネスとして注目高まるデジタルサイネージも、6月の「デジタルサイネージジャパン」には13万人の来場者。いよいよ離陸期へという雰囲気。家庭内のフォトフレームにネット配信する「パーソナル・サイネージ」、教育・医療・行政など広告・マーケティングメディア以外で利用される「パブリック・サイネージ」という「2つのP」が2010年の特徴でしょう。

 コンテンツに関する政策も動きました。知財本部コンテンツ調査会の会長を引き受け、最初に取り組んだのが、自民党政権下で進めてきた政策の転換。「国内産業の総花メディア的振興」を、「海外展開、ネット中心、インフラ整備」に切り替えることで合意を得ました。
 一方、電子書籍元年とも呼ばれる中、アメリカの攻勢に対処するため、総務省・文科省・経産省の3省懇談会が開かれたのも一つの流れを示しています。政権交代後、「日本版FCC」論議が高まり、これに対しぼくは真っ向から反対、タテ割りの弊害を増す規制強化策より、「文化省」を設立し大幅規制緩和を断行せよと主張しました。
 これはあっちからもこっちからも叩かれましたが、結局政府としては日本版FCC論議は葬り、3省合同で政策を立案するなど融合的な対応をせざるを得なくなっていたのだと考えます。その成果が問われるのは2011年以降のことでしょう。

 コンテンツでは、7月、パリ郊外で開かれた「ジャパンエキスポ」も注目を集めました。10年前に3000人でスタートしたイベントは今回、18万人の人出。アニメのコスプレだけでなく、女子高生コスプレやガングロたちも目立っていました。業界がタコツボ的にブースを出す状況を脱し、アニメ・ゲームやファッション、食、家電などハード・ソフトを組み合わせたビジネスのプロデュースに視線が移りそうです。
 11月に呼ばれたフランクフルトの学会では、日本のポップカルチャーに関するとても濃密な論議がヨーロッパの研究者たちによって繰り広げられていました。そろそろ日本が世界規模で自ら体系的な情報発信をすべき段階。
 その意味で、3月に沖縄で開催された吉本興業プロデュースによる「沖縄国際映画祭」は意欲的でした。ぼくは映画祭のスーパバイザーとして、「World Wide Laugh」というお笑い映像を集め、世界発信するプロジェクトを担当。日本のお笑いも、世界へ。

 さて、2010年の新プロジェクトは「デジタル教科書」。原口ビジョンで火がつき、文科省が「学校教育の情報化に関する懇談会」を立ち上げ、IT本部も知財本部もその計画に明記するなど、一気に政策マターに躍り出た本件の受け皿を民間として用意すべく走り回り、7月末に設立しました。年末までに100社を超える企業が参加し、各種委員会やWGの立ち上げ、アクションプランの策定、政府関係者との意見調整などを進めています。
 4月に刊行した「デジタルサイネージ戦略」から間を置くことなく「デジタル教科書革命」を石戸奈々子さんと10月に出版。これに対し田原総一朗さんらが批判書を出版するといった動きもあり、対応に追われました。結果として、田原さんらとの対談のネット中継を通じて普及活動に注目が集まった面もありますが。
 2月に慶應義塾大学日吉キャンパスで開催した「ワークショップコレクション」には3万5千名の参加を得ました。前年の倍以上。子どもの創造力・表現力を育む活動には注目度が増しています。文科省は「コミュニケーション教育推進会議」もスタートさせ、こうした分野の教育に力を入れていますが、デジタル教科書を整備する動きと合わせて、学習・教育内容や手法を開発することも一層、重要となっています。
 ぼくがこうした活動を始めた原点、MITメディアラボの「MIT Okawa Center」を収容する建物が、構想から12年を経てようやく完成。オープニングに参加してきました。しかし、ぼくたちの100ドルパソコン提案から10年、もはや世界のデジタル環境は次のステージに移っています。新しい教育環境を設計したいところです。

 プライベートもちょこちょこと。NHK「となりの子育て」で子どもとデジタルについてお話したり、NHK「クールジャパン」で相変わらず日本のクールを紹介したりするのはプロジェクトがらみですけど、映画「日本のいちばん長い夏」に元外務次官役で出演したのは勢い余ってのこと。でも、自分にとっては厳しい挑戦でした。
 50を目前にして、アイデンティティーを見直してもみました。幼い頃を過ごした静岡に足を運び、家があったはずの場所とその周辺を歩き記憶をたどりました。8月には西安を訪問。京都人として長安を見る宿題を果たすべく。中学のやっかいな時期に夏を過ごした十津川村も訪れてみました。体内で、それらがじんわり化学反応を起こす気配がしています。
 そして、西陣で木工職人をしていた祖父を想いつつ、形見の袴など、和服をまとう機会を増やしています。2011年は、新しい自分のモデルを作ってみようかな。などと。