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2015年11月30日月曜日

「居酒屋の誕生」

■「居酒屋の誕生」


 飯野亮一著「居酒屋の誕生」。
 京の着倒れ、大坂の食い倒れ、江戸の呑み倒れ。
 単身の男性が極端に多かった江戸は、外飲み文化が極度に発達した。
 いくつかピックアップします。

 居酒屋の割合は、200年前も今も、東京は550人に一軒だったそうです。
 江戸の人々はそんなに飲み屋がスキだった。
 江戸市民と東京都民の飲酒量を比べると、アルコール換算すると変わらないといいます。
 江戸の人々はそれほど飲んでいた。

 安酒なら一合で4文ほど。50円程度。安い。
 上酒で25文。300円程度。そこそこ。
 まあ、それなら飲むよなぁ。
 居酒屋は朝早くから営業していて、早朝から客が飲んでいたとか。
 ああ、今も築地界隈でお目にかかりますな。
 信長・秀吉時代に滞日した宣教師ルイス・フロイスは、「日本人は前後不覚に陥る異常な酒の飲み方をする」と評しています。外国では蔑視される行為が日本では自慢だったりするわけです。

 200年前に開かれた大酒会では、菊屋のおすみが2升5合を飲み干したという記録。
 女性の大酒飲み自慢というのは、豊かさの現れではないでしょうか。
「四十八癖」には、長屋の女房が昼の支度が面倒だからと、居酒屋から熱燗、ふぐの煮物、マグロの刺身を出前させ、近所の人と酒盛りを始める記述があります。
 時代劇に登場する女性たちより幸せそうです。

 鶏の鍋だけでなく、鹿や猪も18世紀には麹町あたりで供されていたといいます。
 マグロは下魚としてないがしろにされていたとか。ぜいたくです。
 西洋の食堂ではまず料理を選んでからワインを注文しますが、江戸の居酒屋では、今の居酒屋と同様、とりあえず何か酒を頼み、酒のあてとしての肴を注文していたそうです。
 主役が酒なんですよね。


 2020に向けて「酒飲み文化」を打ち出せないかな、と思っているのです。

 竹芝を酒特区にしますかね。

2015年11月26日木曜日

ワークショップコレクション2015

■ワークショップコレクション2015
  ワークショップコレクション2015、渋谷にて2日間にわたり開催しました。デジタル系、アナログ系、150のワークショップが集まる世界最大の子ども創作イベントです。
 これまでのワークショップコレクションはここにメモしてあります。




◯2014
   http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2014/10/10.html
◯2013
 http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2013/05/10.html
◯2012
 http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2012/07/2012.html
 http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2012/07/2012_12.html
◯2011
 http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2011/04/2011_07.html
 http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2011/04/2011_14.html
◯2010
 http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2010/03/2009.html
 http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2010/03/2009_19.html



今回はメイン2ビルのほか、渋谷11スポットで子どもが街をハック!
メイン会場は取り壊し前の東急不動産本社ビル、壁・窓・床・天井など空間全体を子どもに開放!ラクガキOK!
こんなの最初で最後だよ!!

 

ワークショップアワードは、今年も季里さんNTV土屋敏男さんNHK中谷日出さん面白法人カヤック柳澤大輔さん石戸奈々子さんとで審査。
この入口のラクガキアートイベント「#BICTION」が東急不動産賞を受賞しました。

 

アワード優秀賞は渡辺裕樹・山内佑輔さん「小学校の図工の時間」。
小学校の図工の先生が授業を展開。学校は面白い!
CANVASはこんな授業を学校でやろうぜと始まった団体。
ワーコレはそれを示そうぜと始まったイベント。
それがワーコレに逆上陸。すばらしくて涙!

 

アワード最優秀賞はコモジラ研究所「手作りプロジェクションマッピング!」。
粘土を使って物体を作り、そこに投影するアニメを制作。
描いた絵がリアルな立体の上で動きます。

 

リアルとバーチャル、アナログとデジタルの自然な融合。
 

通りすがりのVISCUIT原田博士がハマって、熱く語ってくれました。

 





今年の目玉、Making&Codingエリア。
ロボット、電子楽器などプログラミング学習16ブースが大集合。
CANVASが本家となってプログラミング教育が広がり、今やブームになっていますが、これを見てなけりゃモグリと呼びます。

 

コルグのlittleBits。
電子モジュールをマグネットでつなげて、Scratchで操作。
モーターを回したりLEDが光ったり楽器の演奏ができたり。
コントローラーを自作してみたの巻。

 




組み立てて、プログラミングして、動かす。
「むつかしくないよ?」と子どもたちは言います。
プログラミング「を」学ぶんじゃなくて、プログラミング「で」作る。

 




モノにセンサーや電子部品を組み込んでいって、リアルな空間をプロデュースする。
IoTも、子どもたちが作る世界になります。急速に。

 

3Dプリンティングコーナー。
プログラミング学習は、ロボット、IoT等と同化して、リアル世界と融合する。
その手触り感が大切です。

 






この翌日の日経社説にこう書かれました。
「子どもにプログラミングを教えるNPO法人CANVASは、ドローン(無人飛行機)やロボットの操作など、デジタル時代のものづくりをみすえた教育に取り組む。」
「こうした人材の育成に、企業は積極的に関わるべきだ。」
そのとおり!

 

Scratchの伝道師、プログラミング学習PEGのリーダー、阿部さんは、ドローン飛ばし係なので、隔離されてました。
ドローンは規制より活用を!



 




今年の(ぼくの)目玉その1、CiP特設コーナー。
みらいの竹芝の街を子どもたちが建設します。
よし、それをぼくら大人が実現してやろうじゃないか!

 




けっこう縮尺を合わせた簡易ジオラマに、子どもたちが自分の建物・施設を創作して、未来を建設してくれてます。
国家戦略特区の威力をふんだんに使わないと実現しそうにありません。

 





そうそう、海なんです。
竹芝は。東京は。
海を活かす設計、みんなでやりましょう。

 


今年の(ぼくの)目玉その2,超人スポーツ特設コーナー。
世界ゆるスポーツ協会☓超人スポーツ協会「ピカリバブル」。
バブルで激突しようぜ。転がろうぜ。未来が見えるぜ。

 

超人スポーツ協会☓日本ブラインドサッカー協会「超ブラインドサッカープロジェクト」。
目隠しで見えない。音を頼りにする。うまく割れるかな?

 

Meleap「HADO」。ウェアラブル武器を装備して、バーチャル世界でドラゴンを倒す。
超人になれ!

 

ところで、安心ネット協、GREE、DeNAが今年もネット安心利用のゾーンを出展。ありがたいことです。
GREEはデジタルえほん社のコンテンツを使ってくれてます。

 

DeNAは、CESAと合併したソーシャルゲーム協会JASGAが作った「じゃすがんの冒険」。
ネットの安全安心のために、地味な汗もたくさんかきましょう。









ではまた来年。

2015年11月23日月曜日

コンテンツ特区:CiPをどうする?

■コンテンツ特区:CiPをどうする?

  東京港区竹芝にデジタル・コンテンツの集積特区を作る「CiP」。推進母体のCiP協議会事務局から理事長(ぼく)に対し質問が3つ来ました。
1 東京・日本の未来をどうみる?
2 その将来性を伸ばすにはどうする?
3 CiPで実現したいことは何か?
 回答を書いたんですが、サイトに載せるには長すぎると却下されました。ごめんなさい。仕方ないので、ここに全文コピーしておきます。


1 東京・日本の未来

 Adobe社の主要国調査によれば、世界一クリエイティブな国は日本と評価されている。当然だ。そして世界一クリエイティブな都市は東京だという。みんなよく見ている。私は東京に住み、第一の故郷は京都、第二はパリ、第三はボストン。いずれも最高級の都市だが、東京は図抜けている。
 都市の時代である。リチャード・フロリダ「クリエイティブ都市論」によれば、経済生産のメガ地域の首位は広域東京圏(2.5兆ドル)。これはドイツ1国の規模に匹敵するという。イノベーションを特許数に基いて測ると、最も突出するのがNY、SFと並んで、東京。続いてボストン、パリ、大阪/京都だという。東京にはハイテク企業が集結している。
 そして東京は、ポップカルチャーの本場として若者の憧れとなっている。マンガ、アニメ、ゲーム、J-POP、ファッション、和食、デザイン、建築、さまざまな文化がソフトパワーとなって海外の耳目を集めている。

 世界の駅の乗降客数トップ3は新宿、渋谷、池袋。電車ネットワークが稠密だ。遅れるとあやまってくれるし。光ファイバーの普及とケータイの無線も最高位。インフラは盤石だ。
 ミシュラン星付きレストランは、パリ64軒に比べ東京は266軒と断トツ。私の事務所から100m圏内に17か国のレストランがある。どこもうまい。そんな場所は他にない。
 コンビニでコピーができて公共料金が支払えて小包を送って洗濯物を出してトイレが借りられる。公衆トイレにウォシュレットがついている。どの通りにもある自販機が壊れておらず、ビールも日本酒も、カップ麺もおでんも、バナナも、パンツも買える。
 酔っぱらって道端で寝ていても身ぐるみはがされず、タクシーにケータイを忘れてもドライバーが届けてくれる。
 いい町じゃないか!

 課題は3つある。
 まず、世界に先駆けて高齢化する社会の幸せをプロデュースできるか。お年寄りにとっても安全で便利でエキサイティングな町でいられるか。これがクリアできれば、東京は21世紀中、地球をリードできる。
 2つ目は、国際化・多様化。東京のスゴさは、日本人コミュニティがむさぼってきた。諸国の多様なかたがたをおもてなしし、共存し、価値を共有することができるか。
 3つ目は、夏が暑すぎること。8月、私はすさまじい東京を逃げ出して、パリでこれを書いている。私の事務所の中で熱中症が発生したが、これは事務所のせいではなく、東京のせいだ。2020五輪のマラソンは、あの炎天下を走らせるつもりか?
 戦後70年。日本は軍事国家を捨て、経済に生きようとした。だが、GNP主義も行き詰まった。次は何だろう。GNPP(Gross National Pop Power)やGNSP(Gross National Soft Power)、つまり文化国家を目指すのだろうか。
 2020年には、その答えが見えているだろう。


2 将来性を伸ばすには

 3つある。

1)    強みを伸ばす。
 最大の強みは、テクノロジーとポップカルチャーとが併存していること。高い技術力をもつ企業群と、文化を生み出すクリエイターやユーザが集結している。これは比類がない。その総合力を磨いて、世界から人とカネを呼びこむ。
 そのためには、緩和と集中が必要だ。法規制や業界ルール等の縛りをできるだけ緩くすること。そして、持てる人材と資金とを集中投下すること。東京一極集中の是正が今も叫ばれるが、それは東京を弱めることではない。
 逆に東京への資源投下を強化して、NY、ロンドン、パリ、上海、ソウルに対抗しなければ、日本が沈下する。地方は東京や海外との連携を強化してこそ浮上するのであって、東京を強めて自分も強くなれ。
 CiPはそのためにある。テクノロジーとカルチャーの集中拠点を作り、国内の主要都市とも連結して、新時代の増殖炉となる。
 カギを握るのは大学だ。シリコンバレーや東海岸でアメリカの大学がIT分野で果たしたようなプラットフォーム機能を日本の大学が果たせるかどうか。われわれの宿題である。

2)    自由を維持する。
 日本ポップが海外で人気を博す理由の一つに、表現の自由さがある。宗教や階級の規範が緩く、エロ・暴力をはじめ海外では許されない表現がまかり通る。これは社会問題のもとであると同時に、コンテンツの国際競争力の種でもある。
 制服やロリータファッションは、欧州やアジアの若い女性が自由の象徴という評価を与えている。自国では憚られる服装が日本では許される。そこにはわれわれが認識していない、自由という磁場が存在する。
 江戸は居酒屋の密集地であった。江戸市民と東京都民の飲酒量を比べると、アルコール換算では変わらないという。早朝から酔っ払っていたそうだ。200年前の大酒会では、菊屋のおすみが2升5合を飲み干したという記録がある。自由だった!
 それがどうだ。アニメ表現は規制され、レバ刺しはご法度、学校はケータイ禁止で、官邸に1個落ちただけでドローンは法律ができて、TPPで二次創作がしづらくなるかもしれない。
 それがスタンダード?だとすると、非スタンダードで競争力を維持するのが戦術だ。竹芝は、国家戦略特区なのである。

3)    海。
 東京は、海を持つ。米英仏独伊加、他のG7は首都に海はない。防衛上、当然であろう。中露にもない。常任理事国の常識であろう。印西伯にもない。大国はみなそうだ。なのに東京は海を持つ。海を持って輝く首都はシンガポールと北欧などごくわずかだ。
 日本は海洋国家だった。陸路より海路を活かすため、江戸を首都にした。ところがどうだろう。今、東京は海を活かしているだろうか。埋め立てて埋め立てて、亡き者にしてきたのではないか。川だってそうだ。蓋をして、首都高を通して、亡き者にしてきたのではないか。
 使おうよ。他国にできないことなんだから。水運を活性化させる。水上に無数の船やドローンを飛ばして街を作る。水面を活かして巨大スクリーン空間にする。水辺でいつもいろんな民族の言葉で歓声が上がっている。
 他にも活かせていない資源があるはずだ。掘り起こして、プロデュースしよう。


3 CiPで実現したいこと
 
 世界のどこにもないクリエイティブ空間をつくる。東京にしかできない、新東京をつくる。
 研究開発、人材育成、起業支援、マッチングのコンパクトな一気通貫クラスターをつくる。
 とはいえ官製の無機質な場ではない。シリコンバレーのようなマネー空間でもない。もっとこう、血と肉と、音楽と、もうもうとしたテンションが凝縮したカルチェ。
 メディアラボのような梁山泊、ワークショップコレクションのような創作活動の集積、500スタートアップスのような起業エコシステム、ニコニコ超会議やコミケのような異種格闘技リング、それらが一体となって、毎日、市が開かれいている、そんなところ。

 そこは、ソウルのCKLみたいな研究教育拠点があって、フランクフルトのECBのようにカネを握っていて、カサブランカのマルシェのように混沌で、バルセロナのビーチのように水しぶきが上がって、ブエノスアイレス・カミニートのように音楽とダンスが常である。
 ミラノ・モンテナポレオーネのようにシュッとした男女が闊歩して、シンガポールのように政府が本気で、パリ・ラビレットのように子どもたちが駆け回り、京都・先斗町のように絶品のメシと酒があって、そして、Big Hero 6 サンフランソーキョーのように西海岸と東京が混ざったようなクリエイティビティにあふれる区域。

 そこは、国家戦略特区なのだ。往年のライブやCMが「ここだけ見られる」秘蔵アーカイブがある。不偏不党を逸脱した放送が行われる。外では使っちゃいけないIT機器を使ってグフグフと何かが仕掛けられる。
 この界隈で開かれるマラソン大会は、選手ごとにドローンが飛び、応援するランナーの映像をずっとスマホで追いかけられる。特殊な電波を割り当てられて身体機能を強化した超人たちがスポーツ訓練にはげむ。
 学校じゃ禁止されるデバイスを使ったウルトラ英才クラスが開かれる。給食当番や掃除当番は自律ロボットが担当する。免許がないけどエアカーに乗っていい。窓の外は屋外広告規制を無視した巨大スクリーン。海面を巨大なスクリーンにした映画祭が開かれる。等身大のガンダムが水上を飛んでいる。
 レバ刺しが喰える。

 京都と沖縄とを結んで、映像を制作・編集・発信する。慶應義塾大学や東京大学と、政府系研究機関と、スタンフォード大学を結んで、共同研究機構を作る。オックスフォード大学やシンガポール国立大学にも入ってもらう。
 小さい空間なんだけど、そんなもろもろが、コンパクトにギュっと詰まった、これまでにない面白いクリエイティブ・カルチェ。
 きっとできる。そして、ここにしかできないと思う。

2015年11月19日木曜日

ミラノ万博に来てみた。2回め。

■ミラノ万博に来てみた。2回め。
 ミラノ万博を訪れたメモをここに記しました。http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2015/09/blog-post_3.html

http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2015/09/blog-post_10.html
 それから2か月、また来ました。

 

デジタルとアナログの組み合わせが展示の主力。
特にチェコ館がよかった。

 



デジタル表示も工夫と進化がみられました。
リトアニア館。

 



コートジボワール。
大阪万博のときは「象牙海岸」でした。とても怖かった記憶があります。
今回は、怖くない。

 

ブルネイ館の内装が出色でした。
ざるで空間装飾。
おかねかけなくたって、これでいいんだよね。

 


トルコ館のしつらえが素敵でした。
屋外にブースを点在させたパビリオン。

 








ポーランド館、チョコのジオラマとデジタル。
3DCGで上映したポーランドの歴史が重すぎました。

 



日本館は約2時間待ち。
最高級の人気。
並ばない。

 


イギリス館、蜂の巣を表現していると思われるが、その意図ぼくには不明。

 




アメリカ館、肝心なものが壊れている。
米英は食の祭典には力をお入れでないのでしょうか。

 






他に訪れた館は、中国、ラオス、カンボジア、バングラデシュ、キューバ、ベラルージ、コンゴ、ベニン、ウズベキスタン、キルギス、ガンビア、スリランカ、ザンビア、赤道ギニア、タンザニア、ポーランド、イタリア、ハンガリー、エストニア、トルクメニスタン。



今回のぼくのテーマは「子ども公園」の訪問。レッジョ・エミリアが企画・運営と聞きまして。

 



天井の管からしたたる水を受け止めて、それを地面に戻す。また天井からしたたってくる。水のエコ。
実に単純で、とても楽しい。うまいなぁ。

 

自分の陰が木になって、枝や芽が生えてくる。
自分のポーズの木ができる。美しいデジタル。
単純で、楽しい。

 

自転車をこぐと、噴水が湧き上がる。
単純で、楽しい。
ぼくもやってみたら、子供だけです、ときっちり叱られた。

 

カプセルに、メッセージが入っている。
釣って、メッセージを受け取る。
自分のメッセージを描いて、池に戻す。
コミュニケーションが、つながる。

 

自分の体重が、どれだけの食べ物とどれだけの動物に相当するかを学ぶシステム。

 



それぞれの傘の中にただよう香りが、どの植物のニオイかを嗅いで回る。
嗅覚系。
なかなかむつかしい。


最後のコーナーは、単純に、野菜に乗って遊ぶ、身体系。

 




トイレの中には、その上の景色を覗ける潜望鏡。子どもたちは、トイレに入ったり、上のカメラに駆け上ったり。

2015年11月16日月曜日

「クール・ジャパン!?」

■「クール・ジャパン!?」

 鴻上尚史さん著「クール・ジャパン!?」。刺激的です。
 NHKクールジャパンは10年目になります。ぼくは5人の御意見番の一人。これまで出演したのは60本!最近の日本スゲぇ番組の先駆けですが、ホメてるばかりじゃなく、辛辣な外国人の視点に驚くことも多い。そこが魅力です。

 本書にはさまざまなネタが登場します。ママチャリ、納涼、100円ショップ、コンビニ、マン喫、ゴスロリ、ラーメン、おもちゃ、食べ放題、ゆるキャラ、水族館・・多くがぼくが出演したときのものです。

 ぼくが出演したテーマ。ポップカルチャー:マンガ、アニメ、ゲーム、音楽、カラオケ、秋葉原、制服、ファッション。食:麺、どんぶり、居酒屋、レストラン、家庭料理。に加えて、友達、夏、子育て、女子、恋人、礼儀、歳、涼む、マナー、出会い、といったものも。「クール」の幅が広いでしょ。

 NHKの番組で、フランス人がマンガを「コーチングのいらない唯一の日本文化」と評した件。お茶お花空手歌舞伎など日本文化代表はコーチングが不可欠。クールジャパンは海外から入ってきた日本評だが、クールとされるものはいずれもコーチング不要で広がっていった文化ではないかな。

 クールジャパンなる言葉は2002年のダグラス・マッグレイ論文が嚆矢とされますが、マンガアニメゲーム等のエンタメコンテンツから、食、ファッション、デザインへと波及し、日用品やライフスタイルにも広がりをみせた。番組の守備範囲も実に広くなっています。

 鴻上さんの本が紹介する洗浄器付き便座、100円ショップ、自販機、コンビニなどのスゴさは知っていましたが、番組を通じて海外の評判を知ったものもたくさんあります。
 たとえば、居酒屋ブーム。飲みながら食事し、食事しながら注文するスタイルが海外では新鮮であること。
 たとえば、水族館。日本人の水族館好きがハンパなくて、ハイテクな文化を築いている。
 たとえば、犬。人犬一体の文化を築いていて、日本の犬が海外で人気を博している。

 日本ポップカルチャーの特徴として、ぼくは多様性、庶民性、大人子どもの文化融合、技術融合を挙げることが多かったのですが、番組を通じて、「自由」と「輸入起源」にも気がつきました。

 自由。鴻上さんの本が紹介するゴスロリやコスプレが典型です。フランス人が日本は自分の着たいものを来て街を歩いている、自由だ、と評した話。食べ放題や飲み放題は日本だけ、という話。居酒屋スタイルも自由さの現れ。そうか、ぼくたちは、自由だったんだ。

 輸入起源。アニメもゲームも元は舶来技術。制服もゴスロリも洋装を日本が発達させたもの。コンビニもアメリカのビジネスを日本が発達させ、今や輸出産業に。クールとされているものはほぼ輸入・加工して輸出しているものではないでしょうか。

 鴻上さんが紹介する食べものクールも、日本起源のオムライス、インド人がおみやげにするカレールー、調理パン、みな輸入モノの発展系。中国にない中華丼も、王国とされる高みを築いたラーメンも。

 銀座を行く人にカラオケ機で一曲たのむと、日本人はみんな歌う、外国人は歌わない、という実験のお話。ぼくも逆の結果を予想していたので、スタジオで驚きました。なぜだろう。音楽の授業が充実しているからか? 以来、シャイと自己規定していたぼくらは実はそうではないのでは、と考えています。

 「ステージ」という回でも、日本人は議論や主張は苦手だけど、歌ったり演じたりする表現の敷居はとても低い、という面が明らかになりました。「ネットコミュニケーション」の回では、ネットでの発信や絵文字コミュニケーションが異常に発達していることが明らかになりました。この番組は日本人の自己認識を問いかけます。

 鴻上さんは「世間と社会」という切り口で整理します。日本は世間と社会とにコミュニティやコミュニケーションが分かれる。欧米には世間がなく全てが社会。これによる行動・言動の差が生じるというもの。これでストンと落ちることも多いです。

 一方、日本にはないけどいいなぁと思うことも。たとえば、デーティング・ピリオド。西洋人が本格交際するまでに何回かデートする(H含む)お試し期間のこと。これを知った時はぼくも衝撃でした。お前らそんなのアリだったのかよ。早く教えろよ。

 G8でパスポート取得率が最下位は日本24%、次がアメリカ35%。「自分の国を出る必要もつもりもない国民」と鴻上さんは評します(イギリスは70%)。自らを知らなくて済む田舎者が、外からホメられて戸惑う姿をクールジャパンと呼んでいる、のかもしれません。

 鴻上さんは、昨今のクールジャパン騒ぎについて「官主導の売り込み戦略に反発するのは当然」とします。同意です。この番組のおかげでクールジャパンの認識は広まった一方、官が乗り出したことで「色」がついた面はあります。これをどう考えるかもぼくらの課題。

 鴻上さん「政府ができることは「場」の提供」としつつ、「クールジャパン機構が出資するTokyoOtakuModeが販売するフィギュアにどぎつい物があるという理由で、サイトから商品と写真が消えた。政府は場の提供ではなく「判断」をしている」と批判します。そして、「これがフィギュアというアートだと胸を張って言う文化的矜持が官僚にも政治家にもない」とします。さきごろ春画展が大英博物館で成功したのに、国内では強く残る自主規制が邪魔をしている事例がありましたが、民も含めて考えるべき課題かと思います。

 「演劇、映画、小説、アニメ、マンガ、ダンス・・・あらゆる分野で、客観的な立場に立って「場」を用意できる日本人プロデューサーがいない。」「ここに政府がやるべきクールジャパンの仕事がある。」御意。人材、特にプロデューサ育成が課題であり続けています。難問。

 「クールジャパンを海外で展開する時に一番大切なことは、「早急に成果を求めない」ということ。」「政府はなにもしないでくれ、という人だけの世界になると、欧米・韓国の税金を使った場作りに負けてしまう。」これも御意。しかし成果を上げねば施策が打ち切られてしまう。悩ましい。

 10年続いているNHKクールジャパン。外国人たちのストレートなコメントを受けつつ、クールジャパンをどうするのか、ぼくもしばし考え続けたく。みなさま、引き続き、よろしく!

2015年11月12日木曜日

ドレスデンとマイセン、そして日本

■ドレスデンとマイセン、そして日本



 プラハを通るモルダウがエルベ川となり、チェコ、ポーランドの国境近く、この街に流れ、広重えがくアウグスト橋が新旧市街を分ける。
 西はゲルマン民族の街、東側はスラブ系民族の土地。
 戦後は東独の雄として、西独との対立に悩む。
 プロテスタントvsカトリックの南北問題も抱える。
 ドレスデンを訪れました。

 

45年2月、敗戦が決定的なドイツの息の根を止めるため、英米軍が空爆で85%を焦土と化したドレスデン。
広島・長崎級の非常な殺戮の跡。
歴代君主を描いた100mの「君主たちの行列」を形作るマイセン陶磁器タイルは焼け残りました。
その数、2万4千。

 2万4千。あなたわたしがスキ。スキスキスキのキッス。
(本文と関係ない)
 https://www.youtube.com/watch?v=8e7j7m6CidQ

空襲で完全破壊されてから60年後、再建された世界最大のジグソーパズル、フラウェン協会。
30万個の瓦礫の3D写真を撮影、コンピュータでCG把握し、全体の43%が創建時の石材を使用して再建されたといいます。

 



プロテスタント界で最も中心的な教会堂が、同じプロテスタントの米英軍によって、終戦間近の時期に、「無意味に」破壊されました。
ドイツは過去と決別し、東西の壁を壊し、ドレスデンは再建しました。
広島は原爆ドームを遺し、日本はお詫びを続けます。

 



壁を壊し、街を壊す「進撃の巨人」を、旧東独の人たちは、どう読むのでしょうか。

 







 20年前に訪れたチェコ・ピルゼンによく似た黒壁の町並み。
だが走る車は最新型で、東西差はありません。
トラムが走り、セグウェイの一群も通ります。
未来さえ感じます。

 

中にはサイネージがあります。
2面なのはもはや世界のスタンダード。

 



屋内はデジタルがいっぱい。

 




6年前、フランクフルトのスーパーのレジにサイネージがついていると聞き、わざわざ見に来たことがあります。
結局みつかりませんでした。
今や旧東独でもデジタル満載。
結構結構。

 


ビンリサイクル案内DS。
暮らしに根付いています。






やはりこうしたアナログサイネージの迫力にはかないませんね。
 

聖十字架教会。

 




ドレスデン近くのマイセンは白磁の王者。
古く伊万里に憧れ、徹底的に研究してコピーして技術を作り、発展させて今に至ります。
日本の美と技術が貢献したのです。

 







マンガアニメゲームラーメンロリータのように海外発祥のものを発展させて日本が本番になったのをクールジャパンと(ぼくは)呼びますが、マイセンはその逆。
ジュードー的。
逆クールジャパンと呼ぶかな。

 



18世紀初頭、アウグスト2世がこのアルブレヒト城に錬金術師ヨハン・ベトガーを幽閉してマイセンを作らせました。
製造法という知財の流出阻止には、これほどの装置が必要でした。

 



マイセン工場のトイレは、非マイセンであった。

 








ドレスデン郊外、ピルニッツ宮殿内には、230年前に日本から来たという椿がいます。
ここの名物です。
これを眺めていると、日本が世界に貢献できるのは、デジタル技術や進撃の巨人より、今もなお、椿や伊万里なのかな、という気がしてまいります。