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2017年10月30日月曜日

東京おもちゃショー2017

■東京おもちゃショー2017

東京おもちゃショー2017
1531071コマ35000点の出展
来場者16万人。
おもちゃ業界は少子化の中8000億円規模を保ち、大人向けなど新市場を開拓しています。
今年はビッグサイトの西館から東館にちょいと場所を移しました。

Pop & Tech
ものづくり&クリエイティビティ。
遊び&教育。
そこにふんだんな愛情を注ぐ、世界一のイベント。
2010年から毎年ぼくは観察を続けています。
昨年の模様はこちら。



今回で10回を迎える日本おもちゃ大賞。
受賞商品を見てみましょう。
ボーイズ・トイ部門大賞「ベイブレードバースト」タカラトミー。
シリーズ1000万個、小学生一人3個持っている定番。
オーソドクスな商品が輝きました。



ガールズ・トイ部門大賞「ラブあみボンボンメーカー」アガツマ。
大小のボンボンとタッセルを作る。
毛糸や羊毛フェルトで作る。
作る系のオーソドクスです。



コミュニケーション・トイ部門大賞「地球まるごとすごろく」メガハウス。
平面じゃなく巨大な球体のすごろく。
最大6人が遊べるコミュニケーション玩具。



エデュケーショナル・トイ部門大賞「にほんごえいご二語文も!アンパンマンおしゃべりいっぱい!ことばずかんSuperDXセガトイズ。
二語文を覚えられる機能と、英語も学べる教育性。
おしゃべりの数2200種類。53ページ。
PICOのセガトイズから。



共遊玩具部門大賞「くみたてDIYはしるぞっ!ねじねじアンパンマンごう」セガトイズ。
セガトイズがアンパンマンでダブル受賞。
10個のネジで安全に工具作業の体験ができる。
組み立てて、動かす。作る系。



イノベイティブ・トイ部門大賞「蒸気がシュッシュッ!トーマスセット」タカラトミー。
蒸気が出るプラレールのトーマス。
テレビと同じように給水塔から水が入り、27種類のサウンドとおしゃべりで遊べる。



ハイターゲット・トイ部門大賞「FORMANIA EX vガンダム」バンダイ。
造形、彩色、パーツ、ライトアップ。
凝りに凝った大人のガンダム。




惜しくも大賞を逃した優秀賞からいくつか。
「ラジオコントロールレーシングテトラル」シー・シー・ビー。
昨年、コミュニケーション、イノベイティブ、ハイターゲット3部門でドローン攻めを見せたシー・シー・ビーは8台同時レースが可能なレースもの。
ドローン、定着しました。



「小学館の図鑑NEO Pad」タカラトミー。
音声の内容やカメラの作動などが字幕や画像でも表示されるなど、優しい工夫が評価されました。キッズ用タブレットも定着しました。



「コード・A・ピラー」マテル・インターナショナル。
プログラミングの基礎を遊びながら学ぶロボットキット。
プログラミング学習ブームの中で、ロボとの組み合わせは人気絶大。
昨年から注目されていた商品です。



Bots New Characters VR DRAGONBALL Zメガハウス
スマホでVR体験できる「没入」シリーズ、とうとうドラゴンボールZが登場。
かめはめ波を打つ、夢の行為が実現です。



これは われらが超人スポーツ「HADO」の簡易VR版ですね。
これでおうちで練習して、HADOを対戦しに来てください!



ベイブレード、ボンボン、すごろく、アンパンマン、トーマス、ガンダム。
大賞受賞作は、テッパンの大物、オーソドクスへの回帰が目立ちました。
一方、優秀賞はドローンやタブレット、プログラミング、VRなど、先端系でした。
STEMを標榜する教育ものも目を引きました。



今年の目玉、ソニーの参戦です。
ソニーがロボット玩具を発売。
といっても動き回るキューブで、IoT的。
チームリーダーの田中さんに話をうかがいました。



このところソニーはブロック状電子タグMESHや、ロボット・プログラミング学習キット KOOVなど毎年のようにスゴいガジェットを打ち出し、デジタル学習の世界を切り拓いています。
世界でプレゼンスを高めてもらいたい。



toioは高度なロボット型工作ツールであり、「プログラミング教材としての可能性も視野に入れている」といいます。
そして、「おもちゃ」という体裁をまとって買い手の敷居を低くする。
ただ、おもちゃは逆に、安心で壊れず安い、という高い評価ハードルも待ち受けます。
がんばって、ソニー。



オーソドクス回帰と先端の開拓と。
おもちゃはがんばっています。
勢いのあるソニーの参入もあって、まだまだ目が離せません。

また来年。

2017年10月26日木曜日

超☆野球! 横浜DeNAベイスターズにて。

■超☆野球! 横浜DeNAベイスターズにて。
超☆野球プロジェクト@横浜DeNAベイスターズCreative Sports Lab - the BAYS
旧関東財務局の場にて、4日間にわたる超人スポーツハッカソンを開催しました。
これまで超人スポーツはスポーツ開発を続けてきましたが、今回は「野球」に絞り、その拡張を試みたんです。
おもろかった!


超ピッチング、超バッティング、超ファングッズ、超観客席、超ボール、超MRの6チーム、研究者、学生、銀行、広告代理店、メーカーなど38名。
野球は、拡張します!
開発した結果は、ベイスターズの試合の場で披露します。


審査員はDeNA南場会長、岡村ベイスターズ社長、ライゾマ齋藤精一社長、1→10澤邊芳明社長、DeNA井出元選手、ベイスターズ木村洋太IT部長、東大稲見教授とぼく。
球団トップ、アスリート、クリエイター、学者、ガチの審査であります。


優秀賞「超ピッチング」。
右でテークバック、左でスロー。200kmの豪速球を、投げたい。
超スポっぽいバカっぽさ。だけどさすが井出さんは形になっています。


ぐ~っと引っ張って、ピュン。ぼくもやってみたが、身体が拡張する手触り感はありつつ、そう簡単に剛球を投げられるわけじゃない。


でも練習すれば、ぼくでも超人になれるかも。
それが超スポ。
(これはライゾマ齋藤社長)


もう一つ優秀賞「超ファングッズ」。
駅を降りて球場に向かうファンがみな青く光るグッズを身につけ、互いにシンクロして、街頭や球場や店が青く染まっていく地域プロデュース。
町や道路をデジタルで彩ることはぼくも仕掛けたいんですが、いろんな規制の壁があります。でもファンが自分で光るぶんには勝手だもんね!


ブルーライト・ヨコハマん。
これには南場オーナーも岡村社長も「やろうよ!」とのこと。
ああ、やるんだ。
じゃあ、やって。
DeNA、おもろい会社です。
応援しようと思いましたベイスターズby阪神ファン。


「超バッティング」。
投げるボールの軌道と打撃ポイントを瞬時に予測するシステムと、その信号で手足の筋肉を刺激して、スイングを促したり止めたりする仕組み。
プロ向けトレーニングシステムですね。


ボールの軌道を予測して示すシステム。
って、ピッチャーからバッターへは瞬時だから、それよか守備に使えるんじゃないかと思ったが、それだとバッティングの瞬間からの映像をどう捉えるかが問題で、それはどこにどういうカメラを据えるか。といった楽しい技術論になって、そうやって盛り上がるのがスキです。


とはいえ紋付だとなかなか思い通りにならないんだコレが


「超観客席」。
ランナーが本塁に突入するとき椅子やフロアがドタバタ揺れる。
ホームラン打ってチームメイトとハイタッチするとき手袋が同時にイェ~イって揺れる。
フィールドの選手と観客席とがシンクロする触覚システム。


「超ボール」。
誰でも魔球が投げられる、光ったり消えたりするボールです。
光っているのに、回転数によって消灯する。
赤くなったり青くなったりする。
LED+光ファイバで表面が彩られる。
ちょい薄暗いフィールドで光るボールで遊んで、消えたら、魔球になるよね。
投球でも打球でも使えるよね。


ぼくが超スポに参加した最初の動機は、ぼくでも魔球が投げられるようになること。
案外これ近づいてるんじゃないか。
耐久性があって触感がよくてプログラマブルな光るボールは、球界を変えるかもしれんよマジで。
ということでぼくは高得点つけました。


「超MR」。
ホロレンズでカワイイ観戦。
スターマンとキララが選手の情報やルールや応援歌をつぶやくの。
発展させて、スタジアムの選手の顔認識でピロピロと情報を出すの。
うん、この観戦法は実現するでしょう。




ハッカソン前に開かれたベイスターズ・プログラミングワークショップ。
選手の応援動画を子どもたちが作って、この後の巨人戦、バックスクリーンに流すという企画にもいたく感心しておりまして。


いい仕事してます、DeNA
日本シリーズ進出、おめでとうございます。

2017年10月23日月曜日

2020に向けITインフラの整備が進んでいます。

■2020に向けITインフラの整備が進んでいます。


2020年に向けた社会全体のICT化推進に関する懇談会」幹事会@総務省。
坂村健さんが主査。
2020Tokyo大会に向けたIT基盤の整備策をたたかわせています。
ぼくはデジタルサイネージや高度映像配信などの立場で参加しています。

大人数の会議でして、政府は総務省、経産省、内閣官房、国交省、スポーツ庁、観光庁。
東京都やオリパラ組織委。
通信、放送、メーカ、商社、広告、ソフトハウス、大学などなど。



東京都は東京マラソンなどでNICTVoiceTraなど多言語翻訳システムを導入、デジタルサイネージやペンダント型翻訳機を利用。
都バス案内のサイネージ設置も進めているそうです。

総務省は数々のアクションプランを展開中。
多言語翻訳技術の実装、オープンデータの利用推進、放送コンテンツの海外展開促進、無料公衆無線LANの整備、5Gの実現、4K8Kの推進、サイバーセキュリティ対応など。



IoTおもてなしクラウド事業について、竹芝や渋谷で行った実証実験の報告もありました。
デジタルサイネージによる多言語情報提供、音楽イベントのチケットレス入場など。
ぼくもデジタルサイネージコンソーシアムやCiP協議会として代表参加しました。

マイナンバーカード利活用策の一環で、チケット適正転売のシステム実証についても報告がありました。
6月から音楽業界をあげて取組みが始まったもので、ぼくも会長として携わっています。
関係者が一つのテーブルにつくという点で貴重な動きであり、前進させたく存じます。


高度な映像配信システムについては、実証実験を10ヶ所で行い、4K8Kの配信プラットフォーム作りを進めます。
こちらは映像配信高度化機構として取り組んでいます。
理事長として関わっています。

映像配信高度化機構の吉沢事務局長によれば、2020大会を4K8Kパブリックビューイングで利用する意向は77%を示したそうで、そのための技術仕様やサービス・ガイドラインを策定することとしています。
18年平昌、19年ラグビーW杯、20Tokyoに向けて実装を進めます。

この会議の下に、スポーツICTのタスクフォースが置かれ、報告がありました。
1.デジタル・スタジアム:wifiAR/VR、サイネージの整備
2.高度映像配信:4K8Kパブリックビューイング
3.データ利活用:データ取引市場等の整備
3点を進める。 
やりましょう。

ぼくからはクラウド型デジタルサイネージ、4K8K配信システム、チケット適正転売システムなどの整備状況を補足しました。
気がつけば、デジタルサイネージコンソーシアム、映像配信高度化機構、CiP協議会、超人スポーツ協会などなど自分が代表を務める多くの活動がみな関わらされています。

というのも、本件がビジネス振興ではなく「インフラ整備」策であり、ぼくの活動の多くもインフラ整備だから。
ネットや地デジの次のインフラ、4K8KVRAR5GIoTなどなど、2020Tokyo後のレガシーを、この際ぐっと整えましょう。

報告を受け、議論もありました。
デジタルサイネージが災害時に役立つといったことの周知が進んでいない(読売新聞・地野委員)。
インフラ整備は進んでいるが、ビッグデータとオープンデータの連携、データ利活用の方策が手薄(東大・須藤委員)。
御意。

スタジアムのIT整備には格差があり、対応したくないというスタジアムのオーナーも多いという指摘もありました。
最高水準のスタジアムをホメて公表するのがよい。ホメて伸ばそう。

坂村主査が締めました。
都市機能をITで向上させるのは世界的な課題であり、日本の動きにアメリカは関心を寄せている。
2020大会に向け、マイナンバーをどうヒモつけていくか、PDSや情報銀行をどう結びつけるか、これらは国の役割。がんばろう。


2020大会というわかりやすいアイコンのおかげで、スマート後を担うインフラの、多面的なIT対応がダンゴムシのように転がり始めました。

この際、産官学、行けるところまで行こう、てなノリです。

2017年10月19日木曜日

文学部解体?

■文学部解体?
 室井尚さん著「文系学部解体」。
 横浜国大の教授が国の文系学部・学科の縮小・廃止要請に反発する書。
 そのパンクさには敬服。ご出身の京大・西部講堂が産んだロック文化や映画研究会の活動を引き合いに、大学が文化や知識の発信源だったことを説く点には同意します。

 筆者の同級生の紹介。京大卒で初めて吉本興業に入った男や、レコード会社に就職して太田裕美さんと結婚した男。どちらもよく存じ上げる尊敬する先輩たちであります。

 しかし、この本には根本的な疑問があります。

 90年代からの国立大学の「自由化」「法人化」と学長のガバナンス強化を、押し付け・間違いと断じています。

 では「規制維持」「非法人化」がよかったんでしょうか。そしてそのために筆者らはどんな努力をしてきたんでしょうか。

 ぼくが身をおいた大学はMITもスタンフォードも慶應も私学ですが、MITやスタンフォードの文系教員たちに、自由化・法人化は間違いだという意見を、どう説明できるんでしょうか。
 
 外部から大学に来た教員たちにより、会議の開始時間が正確になるなど厳しく管理されるようになった、法令遵守が求められるようになったとあります。それは単なる正常化と思うのですが。世間にどう主張すれば理解されるんでしょう。

 博士号を持っていない教員が多いが、それは「その人の研究の中身や質とは何の関係もない」とあります。
 マジですか?

 国立大学への税金投入批判に対し、納税者の意志とは関係ないと断じておられますが、それでは賛同は得られません。

 財務省が文科省にかける圧力に対し、大学人が「ウチに税金回せ」と胸を張って言えなければ勝てません。

 いま文系大学が新たにできるとして、インフラや福祉や初等教育の予算を削ってもカネを回すべきだ、とどう主張できるのか、という問いだと思います。

 国は税金は維持しろ。でも考えを押し付けるな。
 ・・これを達成する方策ってあるんですかね。税金を脱して知を守る方策を練るとか、国の考えを改めさせる作戦を練るとか、そういう工夫ってないんですかね。

 ぼくも文系学部解体には疑問はあります。知を守るべきだと考えます。守るべき知の内容も方向も主張に同意します。


 でも、ではどうするのか、どうあるのがいいのか、について、世間を味方につける知恵が求められるんだと思います。

2017年10月16日月曜日

教育版JASRACを作ります。

■教育版JASRACを作ります。


デジタル教科書教材協議会DiTTが著作権シンポを開きました。
デジタルの教科書・教材を巡る著作権問題がいよいよ焦点となってきました。

登壇者は文化庁著作権課秋山課長補佐、高井崇志衆議院議員(前)、つくば市総合教育研究所毛利所長、ベネッセ小林さん、文理工藤さん、山田弁護士など。

ぼくは知財本部や文化審議会の場でデジタル教科書の制度化を唱え続けてきました。
DiTTとしても提言を発してきました。
そしていよいよデジタル教科書の制度化が動き、著作権論議も政府で本格化してきました。
ぼくらの成果の一つです。

しかし制度が動いても、著作権処理には難問が山積です。
そこで201612月、DiTTは著作権WGを作り、議論してきました。
このほど中間報告を取りまとめた次第です。

DiTT著作権WG中間報告


制度面では、1)デジタル教科書が正規の教科書と認められ、著作権の特例も適用、教科書を作製することが楽になります。2)遠隔教育での教材も補償金を支払えば利用できるようになります。
この法案が成立すれば大きな進展です。

同時に超党派の国会議員連盟にて、「教育情報化推進法」が策定されています。
デジタル教科書はじめ教育情報化全般を推進する基本法で、これも実現すれば全国の自治体が計画を作ることとなり、大きな進展となります。

これら政府の法案と議連による法案はいずれも国会提出前の準備段階です。
政府と議連の双方に早く提出してもらいたい。
民間として応援・サポートしたい。
提出後も早期の成立を期し、これも民間として応援したく存じます。

この制度が実現した後、著作権の処理や著作物=教材の利用をスムーズにするよう環境を整える。
これが民間=DiTTの次の役割です。
中間報告では、
1)デジタル教科書教材の適正な流通
2)権利者への正当な対価の支払い
3)システム化等による簡便な処理
の3原則を立てました。

そして、DiTTのアクションは、次の3点としました。

①組織化 権利者団体と包括的に向き合う教材制作の団体を作り、権利団体や教育機関と補償金や権利処理方法などの協議を進める。 

②システム化 権利者・教材制作者・利用者(学校等)が簡便に権利処理できるシステム(データベース・アーカイブ)の仕組みを作り、実証を行う。 

③啓発 著作物の正しい利用について学校・教育委員会の研修・啓発を行う。

ざっくり言えば「教育版JASRAC」を作ろう、というものです。
権利処理を一元化し、教材の製作や利用が特段の手間をかけずにできるよう仕組みを用意するものです。

DiTT菊池尚人理事は自らの経験を踏まえ「放送番組の権利処理を一元化する放送版JASRACaRma(映像コンテンツ権利処理機構)が形になるのに10年かかった。今回は10年も待てない。」と指摘します。
そのとおり。2020年の新制度稼働をにらみ、早急に手当てせねば。

しかし、この問題の解決は難しい。
教材の場合、1)権利者(文章や写真の原権利者)と、2)制作者(入試問題、問題週、教科書などを作る企業)と、3)利用者(学校など)の三方の利害を調整する必要があるからです。
連立方程式を解く作業です。

それ以上にぼくが難問だと思うのは、著作権の問題の「わかりにくさ」です。
正直、制度がどうなっていて何が課題なのかを説明するのに骨が折れます。
DiTTの中間報告も、取りまとめておいて何ですが、読んでもわかりにくい。

学校現場や実際に教材を利用する子供や保護者に理解を求める、この対策の必要性を認知してもらうことが最大の難題だと考えます。
対策のプライオリティーを上げて、それこそ国会で法案を早く成立してもらう上で、社会認知は不可欠ですから。

政府の会議でも、民間での議論の場でも、教材にかぎらず著作権の話になると、とたんに専門家による専門用語の重箱隅つつきになりがち。
デジタル化で全ての人が著作物の利用者+製作者+発信者となり、著作権法が「みんな」の法律になったのですが、ややこしいんで、困ってしまうのです。

文化庁秋山補佐は、学校での著作物利用を巡る課題として、著作権処理に多くの手続費用がかかることに加え、教育現場で他人の著作物を極力使わないようにしているなど利用の萎縮が起きていることや、許諾を得ずに利用してしまっていることを挙げます。
これも「わかりにくさ」が大きな原因です。

わかりにくい制度を、わかりやすく運用・利用できるようにすること。教育版JASRACの意義は、ここにあります。


議論は白熱しました。
まず、教材のデジタル化を巡る著作権問題への指摘がありました。

文理・工藤さん:著作権処理にはコストがかかる。教材会社はそのコストを下げようとする。これは教材そして教育のレベルに直結する問題だ。

ベネッセ・小林さん:包括的な権利処理と補償金の組み合わせで事態は好転する。しかし、デジタル教材の料金規定がないため、いま著作物一件当たりのデジタル使用料は、紙の教材に比べ3倍程度になる。歌詞を使う場合、60倍になったりする。

(会場の河合塾のかたから、金額コストや許諾されないという問題以上に、許諾を求めても返事がない、誰が権利者かわからないという「時間コスト」が大きい、という指摘もありました。)

つくば市・毛利さん:デジタルで子供が自分でコンテンツを収集し、自分で制作・発信する授業を行うことが当然となる。著作権と学び方が直結する。しかし先生は、不適切な使い方をするのとは逆に、著作権を意識しすぎて「使わない」姿勢をとる。過度な萎縮が問題だ。

これを解決するため、政府は補償金を払えば自由に教材を使えるよう制度を改正する意向ですが、問題はその補償金の額です。
これを権利者・利用者等が協議して決めていく。
一人一件当たり50円とか、年間1000円とか、いろんな手法・金額が取り沙汰されているのですが、さてそれをどう設計するかが次のポイントです。

教育だから著作権料をゼロにしろという主張を聞くことも多いのですが、これに対しつくば市・毛利さんは「そんな主張はナンセンス。著作物の価値を認め、敬意を払うことが大事。安すぎて権利者と対立するのはよくない。」と言います。
教育側からのこうした発言は貴重です。

そのうえで毛利さんは「現場としては定額がいい。また、こうして著作物を使う、こうして作る、という著作権教育が重要だ。」と指摘。同意します。

さて、シンポでは「お寺問題」も提起されました。

文理・工藤さん:寺社仏閣の写真を利用する場合、著作権法の許諾は不要のはずなのだが、「慣例」で寺社におカネを払っている。使用料ではなく、志納金というお布施のような形での支払いを余儀なくされている。

これは関係者からよく耳にする話。
京都の有名寺の写真をデジタルで使おうとしたら、「バチが当たる」と迫られた、など。
法的には支払い不要ですが、法律よりバチのほうが怖い。
料金規定もなく、言い値で払う慣行が続いているそうです。
正規化・健全化に向けた行動、か。難問です。

高井衆議院議員:野党がスキャンダル追求ばかりするので与党は国会の会期を短くしたがる。法案が店晒しにされる危険性がある。この臨時国会で通したい。超党派議連による推進法も同様に早期に通したい。法案はもうできているので、提出と審議を早めることが大事。

DiTT菊池理事:その上でDiTTとして教育版JASRACに向けたシステムを構築したい。教育関係団体、権利者団体に、教材会社=DiTTの枠組みが加われば可能だろう。

これらを踏まえた政官+民間のアクションが重要です。
DiTTは今後も議論とアクションを続けてまいります。

よろしく。

2017年10月12日木曜日

ソウルDMCはVRとeSportsのメッカになってました。

ソウルDMCはVRとeSportsのメッカになってました。

ソウル・デジタルメディアシティDMC。
放送局やアーカイブ、インキュベーション施設などを集積した韓国政府・ソウル市が産官連携で作り上げた町。ポップテック特区のCiPと連携していくこととなりました。

DMCには2年前に訪れ、レポートしました。が、VRやらeSportsやらインキュベーションやらかなり拡張しています。
「デジタルメディアシティ@ソウル、やるなぁ。」


ゴミ捨て場だった57万㎡を再開発してメディアの制作・研究開発機能を集積。前回訪れた際440だった入居社は現在476。入居企業には減税措置などがあるそうです。映画のロケ地としても使われ、アベンジャーズ2はここで撮られたとか。


場を仕切るソウル産業振興院によれば、構想以来、大統領は3人、市長は4人変わったが、企画・実行委員会が一貫した方針で運営しており、揺るがないとのこと。韓国は官の力が強いが政治の揺れ幅が大きい。そことの距離感は悩ましいですね。


シティ内にはこうしたキオスクやビル全面を使ったサイネージ、全域の無料wifiなどインフラも整備されています。ぼくらのCiPにも参考になります。


今回驚いたポイント1は、「デジタルパビリオン」。
中小企業が開発したVR等の新技術を展示し、ユーザに触れさせるテストベッド。そこにたくさんの「超人スポーツ」を発見しました。


バーチャルスキー。
案内してくれたソウル産業振興院のかたは、日本にはスキーをしに行くと話していましたが、平昌冬季五輪も近づいてきて、スキー熱も高まっている模様。


VRレーシング。
HMDをつけて、24人が同時に走ります。疾走感のあるドライビングに慣れるまでけっこう時間がかかり、全身に力が入ってしまう。かなり酔いました。


バーチャルアーチェリー。
ぼくが超人スポーツの説明をする時いつも「何キロメートルも先にある的を射抜くアーチェリーの道具」を開発したい、と話すんですが、できていました。


VR野球観戦。
ゴーグルをつけて一塁スタンドから実際の試合を観る。居間にいながら臨場感。超スポでもスポーツ観戦方法の開発をうたっており、これは有力な回答。


もう一つ驚いたポイント、eSports。
SPLEXというソウル産業振興院が運営する施設内に昨年、CJメディア社が韓国最大のeSports専用スタジアムを設置していました。

650席の会場は毎日、試合が組まれ、ケーブルやネットで中継。格闘やRPGなど韓国製ゲームが使われています。
日本eSports協会の理事を務めるぼくとしては、こうした環境を日本も早く作らないとますます水を開けられる、と焦ります。

1試合の賞金は最大1億ウォン。1000万円。日本では消費者庁の規制で賞金額が10万円に抑えられていて、こうした大会が開けない。この状況を打破すべく、コーエー襟川会長らと運動しているところです。


プロのeSportsプレイヤーが8球団(球団と呼ぶそうです)が結成されていて、KT、SKT、サムソンなど通信、IT、メーカーがスポンサーになっているそうです。


スタジオではeSports番組の製作・配信が行われていました。スタジアムとスタジオ、プレイヤーと観客、ゲーム会社とスポンサー、こうした環境をCiPでも整えたいものです。うらやましい。


同じSPLEX内には、メディアコンテンツセンターなる製作・編集施設が設けられていました。アニメ、映画、放送、VR、音楽。ソウル産業振興院が運営していて、安価に使えるそうです。


録音・録画、編集などの9スタジオと、サロン。
こういうのを行政が用意しちゃうのが韓国。

でもこういう施設、CiPにも作りたいなぁ。