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2012年10月29日月曜日

ストリートの思想


■ストリートの思想
  元バンド仲間、東京芸術大学の毛利嘉孝さん著「ストリートの思想」。
 3年前の書物なのですが、このところの反韓流や反原発デモに見られるストリート感の背景を文化研究の文脈で描いていて、改めて注目の書です。読後メモ。

●左翼が敗北した背景として、1)イデオロギー批判が機能しなくなったことに加え、2)支持基盤たる正規雇用者が既得権者になったこと、3)大学知識人がフリーターという時代の分析対象を代弁できなくなったことを挙げる。
 →1)は当然として、2)3)が案外大きい。
  正規雇用者vsフリーターという新たな格差構造に回答を出せていません。
  3)の大学知識人の保守化は、90s以降の大学の再編や非自律化にも起因します。
  その一つの帰結が「京大カンニング事件」でしょう。

●左翼的なものに代わる「ストリートの思想」とは、突発・一時・流動的、テキストよりAV、ボトムアップの実践、複数の無名の人々が作り出す、と規定する。
 →ネットと現実の都市空間とが相互作用し、集合性・匿名性が発揮されます。
  07年 下北沢再開発反対、08年 リーマンショック派遣村、そして今年の反韓流、反原発というストリートのプチ盛り上がりは、日本でもソーシャルメディアがインフラとして効いてきたと見るのがいいでしょうか、まだプチと見るべきでしょうか。

●最近のストリートは、怒りだけでなく、参加の楽しみ、空間共有、文化創造の混じった祝祭性がある、とする。
 →官邸前の反原発デモはそのモデル。傾向はまだ続きそうです。

2000年以降国家に代わって登場したネグリ=ハートの「帝国」:「グローバルな政経複合体」が08年リーマンショックで弱体化。
 →それが「連結した多様な主体」に取って代わられるのでしょうか。とすれば帝国の寿命は短かかった。

08年渋谷区の宮下公園ナイキ化に反対したJUST DOITE(どいて)運動を紹介。
 →ストリート的なるものを代表してきたナイキが反ストリートに位置づけられた(リーマンショックの)「2008年性」が面白い。
 ストリート思想は、ナイキ=黒人的な路上文化と、ネット=白人的な室内文化とが融合する面白さですが、両文化を世界のどこより個人が違和感なく受け入れた日本でJUST DOITEが起きた、その変化に毛利さんが着目したことに注目です。

●オタク的思想はアニメ・ゲームを文化の中心に据え、ストリート思想は音楽・ファッション・日常生活を基にする。オタクは国家を既定視するが、ストリートは抑圧的な暴力装置とみる。として区分する。
 →この線引きへの共感覚が立ち位置を分けますね。

96年の橋下政権・六大改革を小泉政権の原型とみる。
 →はい。ぼくは橋下行革で政権を離れ、小泉政権でまた政策に関与するようになりましたけど。

●ストリート思想に至る源流として、日本のパンクロックシーンを回顧し、中でもフリクション、ウルトラビデ、アーントサリー、EP-4、じゃがたらに言及している。
 →う〜ん、リスクを取るリストアップだねぇ!

●ぼくのいた京大西部講堂やビートクレイジーを指して、社会に対し違和感を表明する新しい政治のあり方と指摘。
 →そうか、ぼくらのアレは政治だったのか!!

●当時の空気感を伝えるものとして、岡崎京子「東京ガールズブラボー」を引用している。
 →あれ、少年ナイフも登場するんですよね。「ヘルタースケルター」では伝わらない世界がありました。

2012年10月25日木曜日

モノのインターネット


モノのインターネット
  アゴラの合宿で、村上憲郎さん、西和彦さん、池田信夫さんと一緒に「物のインターネット」と題するパネルセッションを持ちました。スマートグリッドをサカナに、物と物がつながるネットの展望をお話したんですが、ぼくも久しぶりに未来志向のネタで楽しみました。自分のコメントを整理しておきます。

1 やっと来たかユビキタス
 ネグロポンテが唱えた「アトムとビットの結合」。アトム=原子=物理空間と、ビット=情報空間とが結合するという概念は、90年代にアトム→ビットとして実現しました。インターネットです。現実の営みがネット上でも行われるようになるということです。
 そして2000年代には逆運動、ビット→アトムが期待されました。情報が現実空間にせり出してくる。そう、「ユビキタス」です。
 ところが、ユビキタスを日本は「いつでも、どこでも、誰とでも」と誤訳してしまった。だからユビキタスが実現したような気になっていた。違うんです。それはユビキタスではなくて、「モバイル」です。モバイルとユビキタスは、3点で別物なのです。
1) モバイルは「いつでも」、ユビキタスは「いつも」。モバイルはユーザの意志によってオンとオフがあるのですが、24時間ず〜っとつながっているのがユビキタス。2)モバイルは人と人、P2P。ユビキタスは物と物も含む。M2M3)だから、モバイルはモバイル端末がある。スマホやタブレットでスマートになったが、やはりモバイル。ユビキタスは、てぶら。ウェアラブルコンピュータが近い。
 総務省のデータを元に計算すると、過去10年の日本の情報発信量は30倍増加。今後10年で世界の情報量が300倍になるという予測もあります。爆発的です。でもこれらはP2Pのコミュニケーション。物と物がつながるなら、一人100個のモノがあるとして、100×100にはなるのではるかに情報量が増えるのは確実。
 故マークワイザーがXEROX当時にユビキタスコンピューティングを唱えて20年。12年前にはウェアラブルもずいぶん注目され、ゴーグル型のディスプレイもあれこれ提案されましたが、とんと来ませんでした。恐らくテクノロジーよりもファッションの問題だったんでしょうね。かっこいいウェアラブルが現れなかった。デザインの重要性が今も問われています。
 スマートメーターというファッションやデザインが前面に出ないインフラ的な地平からユビキタスが再登場してきたのはうるわしい。コンピュータを現実空間に埋め込んで視界から取り除き、賢く、静謐な社会を作るというユビキタスの概念にふさわしい。
 この点、日本はテストベッドとして適しています。八百万の神々が隅々に静かに棲んでおられるのですから。あらゆるモノが命を宿しているのですから。だからロボットペットが受け容れられ、マイコン炊飯ジャーが使われる。いらっしゃいませとしゃべる自販機が街角にたたずみ、電車の改札はアッチからもコッチからも来るおさいふケータイに反応して扉を毎秒、黙々と開け閉めしているのです。

2 スマグリってネーミングどうよ
 発送電の分離が取りざたされていますね。ハードソフト分離とハード間競争の設計になるわけですが、それが当たり前の通信分野は自由化から30年。ぼくは通信自由化当時、郵政省の担当として通産省から自由化推進、規制緩和徹底をさんざん責め上げられたわけでして、逆に今、ヘイ通産省、この30年ナニやっとったんじゃ、と問い詰めたいが、まぁそこは言いたくない30年分の自己弁護があるんでしょう。
 電力料金はこの15年で2割の低下。それなりに努力は見えるんですけど、通信コストの劇的なダウンから見ればおぬしまだまだじゃな。しかし、イノベーションは起きています。PC、家電、クルマ・・電気を使う側です。供給側に目覚ましい進歩はないが、利用側が革新を見せているのです。
 ところで、西さんがソーラー発電+蓄電池の5万円ホームセットを紹介していました。
 ええっ?それってイノベじゃね?
 11年前、西さんとぼくらのチームがMITで提案した100ドルPC構想が途上国の教育情報化を推進する大プロジェクトに化けました。ダウンサイジングが教育を変えるという発想。日本政府には響かなかったけど。
 で、電力もダウンサイジングでみんなが発電するようになると、スマートグリッドや代替エネルギー事業などを飛び越えてしまいませんか。インターネットが電話事業をグズグズにしたように、電力会社も急激に液状化しませんかね。
 さて、みんながスマートメーターでつながると、そのデータは誰のもの?という問題が起こります。電力会社は囲いたがり、ユーザは自分の情報と考える。センサー=モノが発する情報を社会としてどう活用するか。オープンデータ問題です。
 MITのパティ・マース教授は、10年前、エージェントソフトをユビキタスに埋め込んでいくに当たり、技術よりプライバシー管理のほうが難問になるだろうと予想していました。そのとおり、技術を経て利用のステージに至るやいなや、技術を社会が円滑に受け容れる仕事が難しくなってきています。
 ところで村上さんがスマートメーターをスマメ、スマートグリッドをスマグリって呼んでたんですけど、スマメもスマグリも今一つ普及しないのは、そのネーミングに問題があるんじゃないですか。メとかグリとか言われてもナニのことだかピンと来ませんから。なんかこう、国民総エレキないい名称はないもんですかね。

2012年10月22日月曜日

情報通信白書2012


情報通信白書2012

 情報通信白書2012が発表されました。

 スマホ効果7兆円がクローズアップされていますが、
 http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20120718_547302.html
 厳しい実態も多く指摘しています。
 ぼくは編集委員として携わっていましたが、その目から見たポイントをいくつか挙げてみましょう。

1) インフラ:優位性が縮まり、ネット普及率が他国に抜かれつつある。モバイルネット普及率も先行していたが、差が縮まってきている。

2) 産業:ハード企業の売上成長率は米欧韓中に劣る。ソフト企業も2011年は米欧韓がプラスor横ばいだが日本はマイナス。

3) 輸出:ICTサービスの輸出/GDPは調査対象25か国中最下位。ハードウェアの輸出の落ち込みも大きく、内需型に。

4) 利用:公的分野のICT利用が低迷。公的機関への個人ネットアクセスは調査対象18か国中最下位。

5) ユーザ:WEFによる「消費者洗練度」は最高評価。今後の競争力の源はユーザにあり。

6) トレンド1:スマート革命のイメージとして、マルチデバイス×クラウド×ソーシャルへのメディア変化と、「ビッグデータ」の活用とを合わせて記述。ケータイ・ネット・コンテンツ後の姿を模索。

7) トレンド2:スマートテレビ、放送・ソーシャル連携をクローズアップ。地デジ・融合後の姿を模索。

8) トレンド3:1020代が「楽しみ・話題性」の点でソーシャルメディアの評価が新聞・雑誌を上回ったことに注目。

9) トピック:第3章として「大震災からの教訓とICTの役割」。昨年は震災直後の編集だったので、改めて総括。

2012年10月18日木曜日

メディアイノベーターて誰や?

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■メディアイノベーターて誰や?
 ぼくが所属する慶應義塾大学メディアデザイン研究科、略してKMDは、メディアの革新家「メディアイノベーター」を育てると看板に書いたあります。
 メディアイノベーター。
 かっこよろしね。
 関西弁でいうと、シュッとしてまんな。
 ほんでも、ぼくは名刺にそんな肩書き恐れ多てつけてません。
 うちの教授陣もつけてへんのとちゃいますか。
 ちゅうか、そんなん名乗てる人、見たことありません。

 それおかしないですか。大学院はどんなひと育てる言うてるんでしょうか。
 メディアイノベーターゆうて。
 メディアや表現に革新をもたらしたひと。
 ジョブス、ゲイツ、ブリン、ザッカバーグ。当確ですな。
 ネグロポンテ、アラン・ケイ、エンゲルバート、ティムバーナースリー。
 マードック、CBSムンバスCEOCCTV、アルジャジーラ、Canal+とか作らはったひと。
 ディズニー、エジソン、マルコーニ、リュミエール兄弟、グーテンベルク。
 コンテンツクリエイターとなると、枚挙にいとまがありません。

 日本人で考えてみよか。
 いうことで、ゼミ生集めて、日本のメディアイノベーターを列挙してみました。
 敬称略です。

メディア
 井深大(ソニー)、松下幸之助(松下電器)、稲盛和夫(第二電電)
 夏野剛(iモード)、西村博之(2ch)、川上量生(ニコ動)
 南場智子(DeNA)、田中良和(GREE)、笠原健治(mixi
 山内溥(ファミコン)、久夛良木健(PS)、大川功(CSK/SEGA)、井上大佑(カラオケ)
 高柳健次郎(テレビ)、正力松太郎、田中角栄(テレビ産業)、渡邉恒雄(新聞)、吉田秀(広告)
 初音ミク

表現
 アニメ 手塚治虫、田尻智、宮崎駿、富野由悠季
 マンガ 白土三平、つげ義春、萩尾望都、竹宮惠子
 ゲーム 宮本茂、坂口博信、堀井雄二
 映画  小津安二郎、北野武
 小説  紫式部、坪内逍遙、三島由紀夫
 音楽  筒美京平、水木一郎 
 アート 葛飾北斎、村上隆
 テレビ 円谷英二、ジャニー喜多川、秋元康
 お笑い 松本人志
 演劇  出雲阿国、土方巽

 う〜ん、どうでしょう。勢いで列挙してみたものですが。
 この人が抜けている。
 この人はふさわしくない。
 ご意見おありやと思います。
 ご指摘いただければ幸いです。

2012年10月15日月曜日

ル・アーブルの靴みがき

ル・アーブルの靴みがき
  アキ・カウリスマキ監督「ル・アーブルの靴磨き」。
 カウリスマキ×ル・アーブルとあれば、観に走らねばなりませぬ。
 港町、ベトナム人密航者と組むおちぶれた靴磨きの妻が死の床につくかたわら、ガボンから密航してきた少年を、追いかける警視の目をごまかしつつロンドンに脱出させようと、訳あってパン屋を開いた女や亭主を亡くした飲み屋の女や食料品店の亭主に助けられつつ、リトルボブのライブを開くなどの苦労をするうち、2つの奇跡が起きる話。
 フィンランド人なのにとってもフランス映画っぽい人間模様や皮肉が満載です。
 靴磨きったって、靴を磨くのは、冒頭に射殺されたギャングと、タバコふかしてダベる神父の二人だけ。今どき革の靴に値打ちを置くなんていうのはそういうヤツらだというメッセージとカウリスマキの立ち位置を説明なしに表現してるんだと思います。
 映画の主題たる密航者にしたって、いつまでたっても解決しない欧州の移民問題や、このところの通貨危機、抜き差しならない極右の台頭、結果としての今年の仏大統領選など、政治的に読もうとすればいくらでも場末のバーで論じることができるネタの集まり。
 それより、映像にまずニヤリとするのは、正面を向く人物をやや下から撮るわざとらしいバストショットの連続。そんなに小津安二郎がおスキですか。
 ノルマンディーの町を舞台にした映画としては、ジャック・ドゥミ「シェルブールの雨傘」、クロード・ルルーシュ「男と女」のドーヴィル、カンヌ映画祭パルムドール受賞作が挙げられますが、本作品はノルマンディー色が最も濃いですね。カルバドスとアニス酒をさりげなくあおる人たち。

 密航する少年を警視が見逃す。病む妻が恨めしく窓の外を見つめる。2つの奇跡が交錯するその舞台は、クロード・モネが「日の出」で描いた港です。批評家の批判にさらされ、不評に終わった第一回印象派展示に出展され、印象派の名前の由来になった作品ですね。今はパリOECD本部の近く、マルモッタン美術館に収められています。
 ぼくがいちばん好きな画家、ラウル・デュフィを生んだのもル・アーブルです。神戸で展示会が開かれたのはまだぼくが大学生でした。魅入られ、その後あちこちの国の美術館で見回りました。パリ市立近代美術館、長さ60メートル、高さ10メートルの「電気の精」は毎年のように見に訪れています。ニースのデュフィ美術館が閉館したという知らせに驚き、移設先を尋ね歩いてたどり着いた時には小躍りしました。
 そのデュフィの生まれ故郷には2度訪れたことがあります。ノルマンディー上陸作戦後の射撃と空爆で破壊され、ル・アーブルの中心市街は廃墟となり、連合国軍によって解放されたときには、ル・アーヴルはヨーロッパの都市で最大級の惨状を呈した都市だったといいます。コンクリートの父と呼ばれた建築家オーギュスト・ペレが再建した町は、復興と都市計画のシンボルです。2005年には世界遺産に登録されています。
 ペレの作品はコンクリートを剥き出しの状態で仕上げる「打ち放し」が多く、コルビジェやアンタダらにも影響を与えたといいます。中心街は碁盤目で、幾何学的に配置されています。その中で威容を誇るのがサン=ジョゼフ教会。ペレ最後の作品です。100mを超える尖塔には鮮やかなステンドグラス。その光にたたずむと、他の都市にはない荘厳な心地になります。
 ル・アーブルのもう一つのウリは、アンドレ・マルロー美術館。パリのオルセー美術館に次ぐ印象派コレクションの殿堂です。外光が鮮やかな白いオープンスペースには、デュフィ、モジリアニ、ルノアールらの素敵な作品が収められています。
 創設は1961年。当時、マルローは文化大臣でした。作家であり、軍人であり、レジスタンスであり、政治家であるマルローのことはここでは書ききれませんが、そういう人物に10年近くも文化大臣を担わせ、その名を冠した美術館を作る。ポンピドーセンターを作ったり、ミッテラン図書館を作ったりする。為政者が「文化」を遺していく。フランスの文化に対する姿勢に、改めてため息が漏れます。

 カウリスマキ監督の作品に、あれこれとル・アーブルの個人的な記憶が行き来し、ふくよかな余韻が広がりますます。そんな記憶はなくても、映画としてきちんと完成しているので、おすすめではありますが。

2012年10月13日土曜日

デジタルサイネージアワード2012

■デジタルサイネージアワード2012

 第3回となるデジタルサイネージアワード。
 昨年は1) 面白くて、2)役に立つ、3)みんなの サイネージへの進化を反映してくれました。

 今年の応募は50作品。濃いのが揃っています。
 特徴は「参加」と見ました。参加型のサイネージ。元来、デジタルサイネージはプッシュ型の屋外メディアとしてとらえられていたのですが、インタラクティブで、ユーザが働きかけたり、コンテンツを発信したり、ライブ参加したりするタイプが中心の座を占めるようになった。その傾向がアワードからも明らかになりました。街角のタッチパネルも、日本は韓国に比べてタッチする人が少ない印象でしたが、最近はみな物怖じせず触りまくってません?スマホやタブレットのおかげですかね。今年またサイネージが一皮むけた気がします。

 各作品を見てみましょう。
GOLD賞(1作品):
■バカルディジャパン BACARDIAR HAPPY HALLOWEEN
FacetrackingARテクノロジーにより、手のジェスチャーアクションだけで仮装“体験できる装置を開発。渋谷PARCOの向かいに位置するファッションビルを占拠してハロウィンイベントを開催した。
 僅か6時間のイベント開催中に約2,000パターンもの仮装体験が生成。この様子は、会場の屋外看板・壁面ビジョンへリアルタイムに送出され渋谷を行交うターゲットへ広くアピールすることに成功した。」
 インタラクティブでライブ参加型。仮装のテクノロジーとポップなデザインの結合です。


SILVER賞(3作品)
■インテル 透過型ディスプレイを搭載した次世代自販機のコンセプトモデル
「この次世代自販機は、内部に置かれている実物の商品が透けて見える大画面の透過型ディスプレイを搭載しています。また、内蔵カメラとインテル独自の匿名ビデオ解析ソリューションによって、正面に立つ人の性別や年齢層を推定し、その人に合ったコンテンツをリアルタイムに表示できます。このように、内部の商品や買い物客の操作などと連動したコンテンツを表示し、インタラクティブ性に富んだ新しいショッピング体験を提供できます。」
 日本型モデルの代表、自販機サイネージ。ディスプレイを透明にすることで新しい表現が誕生しています。内蔵カメラによるインタラクティブも搭載。

アサツーディ・ケイ 等身大アイドル「あ〜ん」サイネージ
”CMのリサイズ””動くポスターの域を超え、駅サイネージの特性をフルに生かしたビジュアルアイデアを開発。サイネージのサイズや奥行きまで計算に入れ、リアルサイズの人間を収納したようなトリック的映像で通行人の強いアテンションを獲得。サイネージを展示/掲示の「面」的なメディアから、出来事が発生する「場所」的なメディアと捉え直し情報拡散の起点とした。」
 デジタル技術とポップカルチャーとを組み合わせるのもまた日本モデル。技術力と文化力の総合で海外市場を切り開きたい。ぜひ世界の人たちに あ〜ん してきてください。

■ノングリッド  ライブエイジングミラー
「女性なら誰でもが気になるバストのエイジングを、生活習慣に関する問診によりと写真撮影により分かりやすくシミュレート。4歳から69歳までの延べ40,000人以上の詳細なデータを元にした説得力あるビジュアルと明るく華やかなデザインで、体験者が楽しくエイジングと向き合えるようになっている。」
 自分の1030年後のバストの変化をシミュレートしてブラを選ぶ。「使う」サイネージです。これはあったら気になって試してしまうなぁ。ぼくがブラを選ぶわけではありませんが。

BRONZE賞(4作品)
日テレ アックスオン/CJ PowerCast Inc./d’strict アミューズメントウォール
10m×3mスケールの「アミューズメント・ウォール」広告では、全画面を使用した「大型ウォールデザイン広告」に加え、120インチの音声出力も備えた「動画映像による広告」、来場者が写真撮影などで参加できる80インチのマルチタッチスクリーンによる「インタラクティブ機能広告」を兼ね備え、来場者の参加やインタラクティブ機能により、より長い時間の広告視聴を誘う、アミューズメント性と広告の融合が最大の特徴。」
 ダイバーシティ。大型参加インタラクティブ。

ノングリッド Lolipunk interactive mirror
Mirrorで撮影された画像はオフィシャルサイトに自動的に転送された後、各画像ページからボタンひとつでFacebookRenRenWeiboなどのSNSに投稿することができたため、イベントの認知拡大に一役買った。また、10日間の開催期間中、Mirrorを通じて日本の関係者と現地のファッションキッズの間に交流が生まれ、盛り上がりを見せた会場ではおよそ350枚もの写真が撮影された。」
 香港、九龍エリア。海外市場開拓の息吹を感じます。ミラーからサイトへ、そしてソーシャルへ展開、そしてライブ参加型。

■大分駅1000人駅長チーム  大分駅デジタルサイネージ〜1000人駅長〜
「高架化に伴い新しくなった大分駅が317日に開業するのを記念し、大分県内外から約1000人の記念駅長を募集し、同駅構内新設のデジタルサイネージ13面にて放映した。専用サイトから投稿された顔写真に制帽を合成し、一人当たり10秒を2回表示、約2週間放映した。今回新設したDSは、駅構内の柱に60インチマルチディスプレイを横2面に取付、14セット設置した。駅構内の広告を全面的にサイネージ化したのは、JR九州管内の広告装置では初めてである。」
 シンプルな参加型サイネージ。

■丸紅テクノシステム/ピーディーシー/三井不動産  世界初!ソーラー蓄電サイネージ
「世界初のソーラー蓄電サイネージ。太陽光発電と蓄電池を備えたデジタルサイネージ。太陽光利用の環境配置と節電運用が可能。災害・停電時には、地デジ公共放送、緊急情報の約10時間放映機能や携帯電話、パソコンの充電にも対応している。防塵・防水機能を持つ液晶ディスプレイを採用しており、屋外設置に対応。」
 これは参加型という趣旨ではありませんが、震災から1年を経た日本サイネージの一つの回答です。

審査員特別賞
tha ltd.  FRAMED*
「デジタルアートを日常の空間に」をコンセプトにデザインされた、新しいカテゴリーのインテリア・デバイスです。世界中の作家たちの作品をその場で購入できる、オンラインアートギャラリーサービス「FRAMED GALLERY」。55インチ縦型LEDディスプレイと高性能PCユニットを薄型ボディに凝縮した、超スクエア・フォルム。iPhoneによるインテリジェントなコントロールシステム。様々な設置スタイル。」
 中村勇吾さんの作品。これはデジタルサイネージなのか?という疑問が飛び交う作品。そうです、これはデジタルサイネージです。テレビでもPCでもケータイでもないからです。定義不能性がサイネージの特性なのです。しかるにもはやタブレットやスマートテレビなど、コンピュータやテレビとサイネージの境界線もなくなってきました。それを美しく悩ませる作品。


 今年は他にもPDCの「東京スカイツリー大型クラウド150台」などトピック的なものも豊富にありました。ぼくが直接関わっているものとして、デジタルえほん/ダイヤモンドが病院やJRなど800施設で展開した「希望をはこぶ人」や5300面を子どもの作品でジャックしたCANVAS「街中こどもテレビ」も応募しました。
 さて、来年はどんな進化をみせてくれるか。

2012年10月11日木曜日

スマートテレビ/通信放送融合展

■スマートテレビ/通信放送融合展
デジタルサイネージジャパンと併催のIMCで、スマートテレビ/通信放送融合が熱くたぎっていました。
サイネージとスマートテレビは融合していくので、現状をチェック。

スマホやタブレットを
セカンドスクリーンにする
フジテレビの「テレコアプリ」。
音響IDをタブレットが検知して
通信コンテンツを同期するタイプ。 




日テレのJoinTV
データ放送を活用し、
同じ番組を観ているFacebook上の友だちが 
TV画面上に表れる。



NHKもハイブリッドキャストを展示。
タブレットをTVとウェブの2画面分割。
上が放送、下が通信、な〜んだ。 






ラジコもがんばってるよ!






TBSが一味変わった展示。
スマホで番組中継するシステム。
けっこうキレイ。
もう実用に供しているとのこと。



ぼくが参加している
「マルチスクリーン型放送研究会」もブース展示。
在阪キー局によるスマートテレビの提案
「女子アナ解放区サワリや」です。


 




TV見つつタブレットで
女子アナをさわってアップにしたり、
ユーザ投票で女子力を競ったり。
コテコテの日本型スマート・コンテンツ。


 

MBSABC、関テレ、ytv、テレビ大阪 
5局のアナウンサーが参加してるところがミソですね。
新しい風を大阪から。

2012年10月8日月曜日

CEATEC 2012

■CEATEC 2012

 CEATEC 2012に行ってきました。あんまり元気を感じないんです。なぜなんだろう。
 出展624社というのはリーマンショック前の3割減だそうで。折しも今回は日中関係の悪化に伴い、中国企業が22社が出展中止。海外からの出展はピークの半分以下だそうです。だけど、漂う秋風は出展数だけの問題じゃないですね。有力メーカの経営問題からくる停滞感もありましょう。そして、メディアの変動が踊り場にさしかかっているという点もあるのでしょう。
 過去3年のブログ日記を引っ張り出してみて、考えてみます。

2009
 マルチメディア放送、3D、そして日産の「ぶつからないロボット・カー」がトピック。
 リーマンショック後ですが、日本企業が4割減る一方、韓国ブースが増加し、勢いの差をハッキリ感じました。攻め時の戦況の読み、と言いますか。

2010
3Dオンパレード。メーカも通信会社も3D。全く関心がなく、ビジネスも来ないと見ていたぼくは別の領域に注目。1)融合デジタルサイネージ、2)スマート配信(電子書籍プラットフォーム)、3)ソーシャル視聴(放送マルチスクリーン)の3つ。特に、どのブースもサイネージ表示が進化してきたのと同時に、放送とSNSのつながりが出てきたこと。大きく動くことを予感させました。

2011
マルチデバイス、融合ネットワーク、ソーシャルサービスの3面同時構造変化がくっきり表れました。テレビ+タブレット+スマホで放送+twitterのモデルなど。さまざまな新型サイネージも。この年は、かなりワクワクしました。メディアが1520年ぶりに次のステージに転換したぞ、と。震災後+原発対応ということで、省エネ、エコ、グリーンもテーマに。

 そこで2012です。眺めてみます。
キーワードは「スマート」。 
スマートTV、スマート家電、スマートハウス、スマートストア、スマートシティ。 
通信・メーカともにスマート押しです。
例えば、茶の間のテレビ+スマホ、タブレットのマルチスクリーン。
日本型スマートテレビとして期待される形です。
 
  スマートTVボックス。
 通信会社もテレビに力を入れます。 
 HTML5でのマルチディスプレイ連携。


 
 スマート家電。
 白物も全部つながって、スマートハウスへ。
 総合家電メーカの苦悩が浮かびます。




東芝のスマートシティ:Community Energy Management System
原発ゼロ問題に揺れる中、電力供給とITの結合に注目が集まります。



つなぐ、という姿勢は鮮明になりました。
一方、0910と主役を張った3Dは勢いなく、 
4KSONY、東芝など少数。




 シャープのように高精細・大画面を突き進んだメーカが苦しんでいる一方、そうじゃない方向、スマホ、タブレットや電力管理のスマートメーターなど、小型のマルチデバイスをくっつけていく、それにソーシャルなサービスを重畳していく、というイメージがおぼろに浮き彫りになっていました。
 スマートはとりあえず呪文ですな。10年前の「e」のようなもの。フォンもテレビもハウスもシティも、とりあえずスマートつけときゃ安心、という風情。でもまだ実像はない。どれも前期印象派のぼんやりした筆致で、写実にはなっていません。まだ数ヶ月前の、放送局が軒を連ねるIMCやデジタルサイネージジャパンのほうが具体像が見えました。
 3面同時の構造変化は過去2年で明確になったものの、次のサービスとビジネスモデルの設計が追いつかず、そこにメーカの苦境、終わらない円高、国際摩擦、という濃い影が差し込んでしまったということなのでしょう。

他方、今回の主役はクルマでした。
ITとクルマの結合は10年来のテーマで、カーナビやら自動操縦やら、広がってきましたが、エネルギー問題のおかげでEVが仲立ち役になって、クルマそのものがクローズアップ。ITEVをつなぐスマートシティの提案です。


ま、クルマの業界のほうがおカネありますしね。






三菱。
EV+スマートテレビ+エネルギーです。





富士通。
全方位立体モニタシステム。







そしてトヨタが初参加。
クルマと街と家の結合です。
人とクルマ、人と人がつながる。
クルマもソーシャルです。



 自動車産業がここに力を入れ、クルマが大きなスペースを占める。新しい風が吹いているようにも見えます。ただ、クルマはITのユーザ。結局、イノベーションはユーザからもたらされるのということなのでしょうか。ITやデジタルの業界がユーザに主導権を渡すということなのでしょうか。
 業界は自信がなく、踏み込むのか、様子見か、迷っている。ぼくにはなんとなくそんな感じに見えました。いや、実際はそんなことはない。ひょっとするとそれは、ぼく自身がITの次の展望に明確な実像を描けていない、その心象風景を投影させているだけ、ということなのかもしれません。