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2021年6月28日月曜日

シリツで目を蘇らせてみた。

■シリツで目を蘇らせてみた。


ちくしょう  目医者  ばかりでは  ないか

先生! シリツ をして 下さい

目のシリツをしてもらいました。

よく見える。世界が一変しました。





みんな、こんなに見えていたのか。

東山を塗り込める新緑。

渡月橋の下に浮かぶオス鴨の青い頭。

伏見の鳥居の朱。

平等院の屋根に鎮座する鳳凰の金。

これまでの薄ぼんやり白くフィルターのかかった画面はウソだったのか。

地デジでHDになり、もうSDには戻れない。

4KになるとHDには戻れない。




かつて薄ぼんやり美しいと感じた光景を、今いちど見直さなければなるまい。

ブルターニュのパルドン祭。

ビンタン島の夜に飛ぶ無数のホタル。

コッツウォルズの鄙びた村。

フェズの迷宮。

コルティナダンペッツォのミズリーナ湖。

ブエノスアイレス・カミニート地区、色とりどりの町並み。




しかし、見えなくてもよいものも見えます。

鏡に映るぼくはこんなにシワ深い。

部屋の隅にこんなにチリがたまっている。

ここのオフィス案外安っぽい壁紙だったんだ。

解像度が高まることで、失うものもある。

それは進化なのか?

モザイクがあるからこそ興奮していたことはないのか?



シリツというのは、白内障の治療です。

シリツといっても、片目につき15分程度。

注射器のようなもので自然のレンズをチュッと抜いて、

注射器のようなもので人工レンズをチュッと差し込む。

テクノロジーです。

創作物が埋め込まれた人機一体の私です。

ビフォーからみれば、アフターは超人です。



テクノロジーで視覚を強化した超人としては、フランス人003フランソワーズ・アルヌールがいます。

意図せざる戦場の状況が見えてしまい苦悩することもあります。

ドイツ人004アルベルト・ハインリヒは照準眼を持ちます。

右手はマシンガン、左手は手裏剣、太ももはミサイルです。戦わざるを得ない目です。



15分で超人になれるなら、がんばればもっと超人になれましょう。

手足や脳も強化できましょう。

大谷翔平の4シーム。

大坂なおみの弾丸サーブ。

松山英樹の1Wショット。

ぼくにだってできるかもと思わせてくれます。

超人スポーツがリアリティを得ました。





それ以上に得たものは、これまでの年月で失ったものを取り戻すことができるという感覚です。

社会人になるころまでぼくは視力2.0で、人一倍見えていた。

今よりも世界は明解だった、はずです。

それが徐々にボケ始め、0.1を割るところまで来ていた。

ジョジョにつき、さほど苦悩はありませんでした。


職場が替わる際の検査で目が引っかかり、注射器でチュッとやってみたところ、30年前の世界が蘇ったのです。

老化して衰えた。しかし老化したからこそ引っかかり、うんと取り戻したわけです。

そんなことあるんだ。

池江璃花子さんが白血病から蘇った。そんな苦労も努力もしていないけど、白内障で蘇った。


テクノロジーの進化で、肉体は改造され、世界は美しくも汚くもなる。

未来の超人化を期待させ、過去の栄光を呼び覚ます。

チュッとしてチュッとする15分の2回で、ぼくが感じたことです。

リアリティーに変化があれば、また報告します。

2021年6月24日木曜日

新版 超ヒマ社会をつくる5 超ポップ戦略

■新版 超ヒマ社会をつくる5 超ポップ戦略


 近著「新版 超ヒマ社会をつくる アフターコロナはネコの時代」。その一部を、しみ出します。

 第3章「超ポップ戦略」から。

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○クールジャパンは外来語


漫才の頂上決戦、M1グランプリ2020はマヂカルラブリーが制した。しゃべらずに暴れ倒すボケにツッコミまくる芸は、漫才か否か論争を巻き起こした。20年の歴史をもつこの大会が中川家からミルクボーイまで育んだかけあいしゃべくり表現を覆すパンク。

とはいえ漫才には、音曲、踊り、どつき、ぼやき、古くからさまざまなスタイルがあった。かけあいしゃべくりに固定するのは、ポップを捨てて伝統芸能へ逃げ込む道となる。様式をひっくり返し、多様化するのがポップカルチャーの要件だ。コロナで逼塞する中、ポップな漫才はあえてパンクな表現を覇者とした。

芸人もアーティストもクリエイターも巣ごもらざるを得ない。泰平とうらはらの難儀な時代に生まれる表現がある。ジャズもパンクも抑圧から生まれた。[グッド・タイムズ・バッド・タイムズ](レッド・ツェッペリン)

吉本芸人たちは自宅劇場と称して、次々とスマホでネタを繰り出した。新種の笑いが生まれた。星野源がインスタに投稿した「うちで踊ろう」がアーティストや政治家などを巻き込んで動画、ダンスなど数珠つなぎに表現を生んだ。アバターでの音楽ライブも作られた。

巣ごもり需要で世界的に活況となったeスポーツでは、F1、テニス、NBAのトップ選手が参加して、リアルスポーツとの融合が図られた。室内マシンで自転車をこいでタイムを競うバーチャル・ツール・ド・フランスが開催され、五輪をバーチャル開催する可能性を見せた。

コロナは新しい表現、新しいエンタメを生んでいる。いまも沸々と見えない芽吹き、聞こえない胎動があるはずだ。ネオ・ルネサンスが現れてくることを望む。


 超ヒマ社会は、めくるめくエンタメ社会である。ポップでクールなエンタテイメント人生となる。テクノロジーでエンタメは、ポップカルチャーはどう拡張するのか。超ヒマ社会では、エンタメは、ポップカルチャーはどう活きるのか。

 大阪出身の女性バンド「少年ナイフ」。80年代にぼくがディレクターを務めた。90年代、マイクロソフトのCMでローリング・ストーンズの後釜に座り、ニルヴァーナの世界ツアーのパートナーも引き受けた。世界で最も有名な日本のバンドだった。
 その人気を上回るアーティストが登場した。初音ミクだ。2012年ロンドン五輪の開会式で歌ってほしい歌手の国際投票で一位を獲得した。本番ではポール・マッカートニーがヘイ・ジュードを歌い、実現はしなかった。だがこれは、日本のデジタル・ポップが世界的な定着をみたことを示している。

 ロンドン開会式ではジェームスボンドが女王陛下を空中からエスコートした。Mr.ビーンがシンセサイザーを演奏した。デヴィッド・ベッカムがアシストして、ポールが登場。クール・ブリタニア。よかったね。そこでぼくはロンドンの学生1000人に聞いてみた。2020トーキョーは誰が開会式の壇上にふさわしい?

 残念ながら政治家の名は挙がらない。残念ながらアーティストもスポーツ選手も挙がらない。挙がったのは、ガンダム、孫悟空、ピカチュウ。彼らが日本人かどうかは知らん。けど、日本を代表することはできる。日本はキャラクターの国だから。ハラキリ、カミカゼの闘う国というイメージはもうない。トヨタ、ホンダ、ソニーの闘う企業のイメージもない。ナルト、デスノート、ワンピース、ブリーチ、ユーギオー、セーラームーン、コナン、グレンダイザー、カウボーイビバップ、ランマ。日本はポップカルチャーの国なのだ。

 2016年リオ五輪の閉会式。キャプテン翼、ドラえもん、パックマン、キティちゃんに次いで、土管から安倍マリオが登場した。かつてマンガ・アニメ・ゲームは国の規制対象でしかなかったが、今や国宝であることを地球の裏側で示した。

 

 ガラリと顔が変わった。今世紀の初めには、変わっていた。

 香港で会った高層マンションに住む20代の女性「日本に住みたいです。」なぜ?「だって日本人はみんな一軒家に住んでいるから。」ぼくは一軒家に住んだことはないけど?誰が住んでるの?「ドラえもん。」おう。「ちびまる子ちゃん。」ああ。「クレヨンしんちゃん。」うん。「アラレちゃん。」

 ねぇ日本の総理大臣、知ってる?「知らない」。ソニー、トヨタ、ホンダのCEOは知ってる?「知らない。知ってるの、その人たちだけ。」ドラえもんやアラレちゃんが「日本人」かどうか、こっちが知らない。が、彼女にとって日本の顔だというのは定かだ。

 前川陽子さんのキューティーハニーをバックに踊りまくる男ども。日本の女子高生のコスプレ衣装を着た女たち。ガングロもヤマンバいる。コスプレ、かぶりもの、ビジュアル系、キワモノ、ロリータ、ゴスロリ。マンガコーナーでは、フランス語訳だけでなく、日本語版のオリジナルもずらり並ぶ。アニメDVDに群がる腐女子風、PSPで最新ゲームを試す子ども、刀、ぬいぐるみ・人形、そしてライブ。たこ焼きに長蛇の列。ラーメン、カレー、ギョーザ丼、牛丼、うどん、おにぎり。

 初夏にパリ郊外で開かれる「ジャパンエキスポ」の会場だ。マンガ・アニメ・ゲームを中心とするポップカルチャーと、書道や武道・茶道・折り紙などの伝統文化を合わせた、日本文化のフェスティバル。2001年にスタートし、2019年には4日間で25万人が足を運んだ。

 ロサンゼルス「アニメエキスポ」35万人、バルセロナ「マンガバルセロナ」15万人、ロンドン「ハイパージャパン」13万人。欧米・アジア各地で開かれるポップカルチャー祭は会場のキャパオーバーに悩む。2020年はコロナで延期・オンラインを余儀なくされたが、コロナ後は戻る需要をどう裁こう。フランクフルト大学の日本学科は教授が2名しかいないのに、日本のポップカルチャー熱で学生が500人もいる。キャパオーバー。


 スタンフォード大学ロバート・ラフリン教授は1998年にノーベル物理学賞を受賞した。そこでぼくは聞いてみた。ノーベル賞を取って一番うれしかったことは?「オートモのサインをもらえたことだ。」AKIRAスチームボーイ大友克洋さんか?「大友さんにファンレターを出し続けていたがなしのつぶてだった。ノーベル賞の報告をしたらサインが送られてきた。ノーベル賞はスゴい。」ノーベル賞より、大友さんのほうがスゴい。後日ぼくは大友さんにラフリン教授がそう言っていたと話した。大友さんは誰のことか覚えていなかった。

 アメリカでもヨーロッパでも日本のマンガが現地コミックをしのぐ人気をみせる。古来、横書きで左とじの本を読んできた欧米では今、右手で開く右とじの日本マンガの翻訳版が書店に並ぶという文化史的な現象が進んでいる。

 パリ郊外、デファンスの書店に入った。フランスのマンガ、バンド・デシネのコーナーよりも、日本マンガのコーナーのほうがうんと広い。その一角にアルファベットで「YAOI」と書いてある。下に小文字で「Boy’s Love」とある。BLはともかく「やおい」という言葉を知る人は日本人でも多くあるまい。だがデファンスの子どもたちが最初に知る日本語は「やおい」なのかも知れない。日本では絶滅した、いや駆除したはずのガングロやヤマンバがここでは生きながらえる。その文化の伝搬力、浸透力たるや。

 尖閣問題に怒った中国人は「リーベングイズ(日本鬼子)」と激しくののしった。日本のネット民は萌えキャラ「日本鬼子(ひのもとおにこ)」を作って先方を膝カックンにした。その時期に北京大学の政治学部でぼくが講義をしたところ、数十名の博士課程の学生たちから日本のアニメ、ゲームについての質問攻めにあった。そんなにスキなら尖閣騒ぎ止めてくれと頼んだ。彼らに、好きな日本人は?と聞くと、3位 宮崎駿、2位 ドラえもん、1位 蒼井そら、であった。海賊版で見ているという。おい政治学部。

 1936年に盧溝橋事件が起きた場所にある「人民抗日戦争記念館」。中国軍、日本相手にかくかく戦えり。残虐な絵がこれでもかと飾ってある。その売店には、テニスの王子様のキーホールダーやキティちゃんのペンがあふれていた。なんだいやっぱりスキなのか。    

 櫻井孝昌「日本が好きすぎる中国人女子」によれば、アニサマ上海では1万人の中国人が日本語でアニソンを熱唱するという。中国人女子はオタクという言葉にも、BLと腐女子をも誇りに思っているという。BL女子が実に元気だという。彼女たちを元気にしている。


 ダクラス・マクグレイさんがクールジャパンという言葉のきっかけとなった論文「日本のグロス・ナショナル・クール」を発表したのは2002年。グロス・ナショナル・クールとは、GNP(グロス・ナショナル・プロダクト、国民総生産)になぞらえた概念で、「流行文化力」とも称すべきクールな(かっこいい)価値を国力の指標にみたてたものだ。クールジャパンは外来語なのだ。

 冒頭、こう記す。「日本はスーパーパワーを再生している。政治経済の逆境というよく知られた状況に反し、日本の国際的な文化影響力は静かに成長してきている。ポップミュージックから家電まで、建築からファッションまで、そしてアニメから料理まで、日本は80年代の経済パワーがなしとげた以上の文化的スーパーパワーを示している・・」

 2002年には世界に日本のポップの力が認識されるもう一つの事件があった。宮崎駿監督「千と千尋の神隠し」がベネチア国際映画祭でグランプリ(金獅子賞)を受賞したのだ。八百万の神々が棲むユビキタスな空間を生き抜く少女の成長物語。この難解なアニメが名門の映画祭で評価された。世界の興行史上トップはジェームズ・キャメロン「タイタニック」だが、この作品が日本の興行成績1位を長く保った。日本のポップは審美眼のあるオーディエンスが支える。

 2021年正月は「鬼滅の刃」が公開からわずか2か月で千と千尋の興収を抜いたという大ニュースで明けた。約20年ぶりの首位交代。でもやはり日本はアニメなのだ。

2021年6月21日月曜日

iUの野望、文科省 落選!

■iUの野望、文科省 落選!



文部科学省がScheemDという大学教育DXのプロジェクトを進めています。大学によるデジタル教育のアイディアを募り、ピッチを行って、企業とマッチングすることで実装と横展開を図ろうとするもの。国が補助金をつけるのではなく、オープンイノベーションの機会を用意する企画です。


そもそもiUは地球のDXを推進するため、教育や研究を多くの企業と連携しながら推進すべく作った大学であり、大学そのものがScheemDの方向性と合致すると考え、ピッチに応募しました。今回、104件の応募があり、そのうち10件がプレゼン採択されましたが、iU落選しました。


採択されたアプリや教材などの案件はいずれも魅力的に見えますが、大学まるごと開発します的なiUのアプローチとは趣が異なっているため、今後も採択の見込みは薄い。もったいないので、採択されたらぼくが行ったであろうプレゼンを、ここに披露します。興味ある企業様、よろしく。



iU学長 中村伊知哉です。

デジタル技術を軸にイノベーション人材を育成するiUは、今後、先端技術を全実装する未来の学校の構築、参加型プラットフォームのi研究所の設立、その横展開としての超教育を進めます。

そのため、ファンド形成、海外連携規制緩和3点をお願いするのが本日の趣旨です。



20204月に開学したiUは、専任教員28名の8産業界出身客員教員も約300で、IT企業など産業界とのコミュニティをベースに教育・研究を進めています。



第一の柱がデジタルファースト

授業や会議のオンライン対応は当然で、キャンパスのオープン後もハイブリッド環境の構築にいそしんでいます。



デジタル学習環境を拡大するため自らウェブ、ソフトウェア、アプリ等を開発していく。

大学講義を共有するサイト「みんなの講義」を作ります。



履歴や論文、資格など学歴/キャリアのデータベースを作る企画もあります。

これらアプリやデジタル環境を企業と連携して実装していきます。



もう一つの柱がプロジェクトファースト

250の連携企業とともに既にさまざまなプロジェクトを構築しています。

学生たちはプロジェクトの中で学んでいく。

その上で4年間で学生全員が起業する「全員起業」がiUの最大の特徴で、デジタル分野での起業が主となるでしょう。



Society5.0の大学づくりに向け、1.教育テストベッド「未来の学校」、2.研究プラットフォーム「i研究所」、3.連携運動「超教育」からなる構想を推進します。

2030年には、デジタル・ビジネス分野でイノベーションを起こす中核となる教育・研究機関となり、国際ハブとして機能することを目指します。



まず2030年を展望した「未来の学校」モデルを構築します。

講義は全てオンライン、アーカイブ化する。

リアルのキャンパスもフル活用し、デジタルとの連結によるワークショップ、ものづくりなど、ハイブリッドの授業を充実させる。

教員・スタッフのデジタル勤務も徹底します。 



5G/6GIoT、ロボット/ドローン、AI/データ、8K/VR/ARなど次世代のデジタル技術を総動員してキャンパスに実装した「未来の学校」を開発します。

東京港区・竹芝サテライトは国家戦略特区のスマートシティに位置するが、墨田区の本キャンパスも技術実装のテストベッドとし、各要素技術を導入して利用します。


このモデルを他の学校等とも接続、連携します。

多地点を5Gで結び、8KVRで映像を共有しつつAI・ロボットを活用して学ぶ。

学校間でブロックチェーンを用いた単位相互認証を行う。

その他の教育実装が考えられます。



構想の2つめ。先端技術を実装した「未来の学校」を土台に研究所「i研究所」を創設します。

主にデジタル分野に着目しつつ「おもしろい未来をみんなでつくる」ラボとし、世界中の大学・研究所、地域、人材をつなぐ参加型のプラットフォームと位置づけます。 


課題、アイデア、技術、おカネ、スキル、人のマッチングの場。

大学・研究所フィールドプレイヤーの3コミュニティを形成します。

世界中の大学・研究所と連携するコミュニティ。

バーチャル・リアル問わずラボを設置して、世界各地をフィールドにします。

そして研究員100万人アサインすることを目標にします。



連携企業 250社とともに、学生たちの学習環境を高度化するとともに、プロジェクト・起業の可能性を広げ、大きなアウトプットを描けるようにします。

これを推進するため、公益的な性格をもつiUファンドも創設したいと考えています。



構想3。社団法人「超教育協会」との連携を通じ、iUの取組を多くの教育機関と連結・融合することにより、教育全体の向上・改革を図ります。

超教育協会は、経団連などの経済団体やIT、ソフトウェアなど30を超えるデジタル系の業界団体が集結した組織であり、傘下の加盟企業は8000社にのぼります。


AIIoT、ブロックチェーンその他Society5.0を代表する技術を教科、試験、学校など学びの内容・環境・評価を問い直す変化に結びつけます。

「超教科」、「超試験」、「超学校」を模索します。 



この構想を実現し、国内・海外にも横展開していくため、政府はじめ関係機関に以下3点を要望する。


これを推進する100億円規模のファンドを形成したい。

教育研究という公益性が高いファンドとなるため、それを実現するよう相談申し上げたい。


次に海外連携。海外の有力な教育研究機関と連携したいので、国のネットワークでご紹介を賜りたい。


そして規制緩和。ロボット・ドローンや電波の利用など技術の教育導入に際し適用される規制の緩和を望みます。


以上、改めてこのようなプレゼンの機会をいただき感謝申し上げます。 

2021年6月17日木曜日

新版 超ヒマ社会をつくる4 超テック戦略

■新版 超ヒマ社会をつくる4 超テック戦略


 近著「新版 超ヒマ社会をつくる アフターコロナはネコの時代」。その一部を、しみ出します。

 第2章「超テック戦略」から。

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メスにもなればドスにもなる


2020年はAC(アフターコロナ)元年。それ以前のBC(ビフォーコロナ)と歴史は分断される。AC2年は世界が引きこもり、静かに騒然とする幕開けだった。

20年前、ブッシュvsゴアが最高裁までもつれこんだ米大統領選は、トランプvsバイデンでアメリカの分断が極まったことを示した。現職大統領にあおられた暴徒が連邦議会の議事堂を占拠し、銃撃で死者も出た。オンラインのライブ中継を世界が目撃した。

あぁあそこそんな国だよね、とアメリカの劣化をさして驚かず眺める世界の視線に驚いた。フェイスブックもツイッターも大統領のアカウントを停止した。企業が国家元首にダメ出しする。しょーがねーなーとそれを見る世間の視線にも驚いた。

これに比べ緊急事態宣言が2度めとなっても日本はシーンとしていた。催涙弾も撃たれていないし流血事件も聞かない。しかし、感染封鎖と経済維持を巡る対立も静かに進行している。BCとACでの分断はこれから表立ってくるだろう。安保騒動、オイルショック、カルト宗教テロ、大震災など大きな事件はありながらも、先の敗戦に匹敵する難事を免れてきた日本だが、今回の辛苦は戦争に匹敵する。

ACとBCを分ける事案は起きている。AC元年は5G元年。4Gまでは高速・大容量の世代進化だった。5Gは超高速もさることながら、超低遅延で同時多数接続というIoT向けのサービス。人と人のコミュニケーションから、モノとモノの交信にシフトする。連続線上の進化ではない。のろし以来の通信が切り替わる分岐点だ。

5G普及と並行して政府はケータイ料金4割下げを業界に求める。1985年の通信自由化から35年、規制緩和を続けてきて、料金も非規制になったのだが、ここにきてやっぱ高すぎじゃね?という。参入したばかりの楽天もつらいね。

でNTTはドコモを完全子会社化した。同じく85年に公社から株式会社になったNTTは、強すぎるってんで1999年には分割され、暴れないよう首輪がはめられた。ところが気がつけば商売やデータはGAFAが握った。政府はデジタル敗戦の白旗を掲げた。5Gも他国に先行され、日本企業は海外でも振るわない。分散NTTが集約へ逆行することに政府は異を唱えずすんなりと再編が整った。通信自由化にもNTT分割にも関わったぼくには、時代が分断されたと映る。


 通信自由化の80年代、ぼくは官僚として国会答弁を書いていた。当時、政府は高度情報社会を目指していた。大臣、高度情報社会とは何だね?答弁「世界中の人が映像をリアルタイムに共有できる社会であります。」大臣、そうすればどうなるのかね?答弁「世界中のひとがわかり合って世界平和が訪れます。」えへん立派な答弁である。

 今世紀が始まった年の9月11日。ぼくはニューヨークのセプテンバーイレブンに巻き込まれ往生した。機嫌よくパフィーを聞きながらクルマを運転していたので、何が起きているかわからん。立ち寄った喫茶店で見たCNNで、えげつないテロだと知った。

 あわてて東京に電話したら、みんな夜のニュースでリアルタイムに飛行機が突っ込むシーンを見て、あわわとなっていた。アメリカ人は東海岸は通勤通学、西海岸は時差で寝ていて見ていない。日本人のほうが映像ショックが大きい事件だった。

 世界中の人が映像をリアルタイムに共有できる高度情報社会は到来していた。だけど世界平和なんてウソっぱちだった。映像を共有したら、憎しみが募って、テロじゃないか。その後、ネット界の反戦運動もむなしく、イラク戦争が勃発した。戦地ではGPSでのピンポイント爆撃やウェアラブル装備の兵士たちが、これでもかとデジタル技術で人を殺した。

 技術はもう手のひらにある。反戦も戦争も推し進める。ネットは為政者の味方であり、テロリストの味方でもある。ナイフのようなもので、メスにもなればドスにもなる。それを決めるのは、ユーザ。デジタル・ユーザの世紀が始まったのだ。

 2001年末、TIME誌の今年の人:パーソン・オブ・ザ・イヤー、ネット投票の2位はウサマ・ビンラディンだった。1位には田代まさしが輝いた。911の年、首謀者をさしおいて、のぞき事件を起こした日本人を世界トップに押し上げたのは2ちゃんねるの連中だった。連結した極東のユーザがエスタブリッシュな欧米のマスメディアをいてこました。個人はパワーアップした。マスメディアは相対化した。ヒエラルキーは崩れた。

 

 10年後の2011年、ビンラディンは殺された。パキスタンに潜伏し、ネットも電話も使わなかったが、隠れ家が特定された。都会の大邸宅なのに通信回線が敷かれていなかったからバレたのだ。秘密は筒抜け。オフラインも安全ではない。[シークレット](スラップ・ハッピー)

 同年、リビアのカダフィ大佐も殺された。元首なのになぜ大佐どまりなのか疑問だが、ドローンが爆撃したという。安全地帯はない。同年、エジプトのムバラク政権はフェイスブックやツイッターで数珠つなぎの民衆に倒された。自爆突入ミサイルも投入した。レーダーを読み合うIT戦争でもあった。

 2020年9月にカスピ海付近で始まったナゴルノ・カラバフ戦争。アゼルバイジャンはトルコ製のドローンでアルメニアの戦車160両をやっつけた。

 同じソーシャルメディアでイスラム過激派は世界から若い戦士を集める。中国は万里の長城ばりのファイアウォールを敷き、民衆の管理に躍起だ。外国企業の活動にも制限を加える。域内ブロック戦術を堂々と講じる。タコつぼ強靭化。

 農業社会は土地が資源。工業社会は石油が資源。情報社会はデータが資源。土地や石油を求め国家は戦争を繰り返した。だがデータは企業が握る。その覇者、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)は並の国家を超えるパワーを手にした。国家と企業の立ち位置は同列になった。戦争をせず権力を変えた静かな大革命だ。