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2026年10月5日月曜日

クールジャパンをめぐる疑問にコメントします。

■クールジャパンをめぐる疑問にコメントします。

クールジャパン機構と、クールジャパン政策と、コンテンツ政策はそれぞれ別物です。

コンテンツは成功、クールジャパンは途上、機構は検証が必要、がぼくのスタンスです。

 

Q1. 機構の失敗を検証しろ

ぼくは機構の設立に関わっていないし(2013年の政府決定後に知財会議で聞いた)、

運営にも関わってもいません(何のポジションにもついてない)。

逆に、評価・検証しろと求めていた側で、10年間唱える急先鋒でした。

24年に知財本部で検証議論が行われたが不十分となり、

なぜかその後も赤字幅が広がって、今日に至ります。

その結末は政府が検証する運びと聞くので、結果を待ちます。

機構の設立には賛成でした。原資は税金でなく産投(NTT株の配当など)で、

乏しかったコンテンツ支援にいい材料でした。アナウンス効果もあったでしょう。

正負の両面を評価すべきと考えます。

 

Q2. 吉本の関わりを総括しろ

社外取締役として吉本興業が関わる事業が

機構の出資を受けることには賛成しました。

ぼくは機構と無関係なので推すことに疑問もありませんでした。

コンテンツ・ビジネスの挑戦にとって有益な資金方策でした。

しかしビジネスの失敗はありました。

関与が指摘されるLPマザーはNTT:吉本=2:1のNTT主導事業でした。

子ども向け映像教育という新市場を開拓する事業でした。

が、成功に至らずサービスは終了しました。

ぼくはマザーの役員ではありませんでした。

サービス終了前にぼくは吉本の役員を退任していました。

コンテンツでは通常の高リスク事業であり、機構の出資で可能となった挑戦であり、意義はありました。

 

Q3. クールジャパン政策を検証しろ

クールジャパンは食、観光、化粧品、伝統工芸品なども対象とする広い政策です。

ぼくはこれを進める「クールジャパン官民連携プラットフォーム」のメンバーではありません。

ぼくは自分が関わるコンテンツ政策とクールジャパン政策が

離れてしまったことに繰り返し疑問を呈しています。

また、クールジャパンの範囲が不明確な点を正そうとしています。

その上で、過去の政策の検証・評価を求めています。

同時にコンテンツが先兵となって後に続く食、観光、伝統工芸などの産業は、

幅も厚みも大きく、今後の本丸と言ってよい。

つまりクールジャパン政策は失敗しているのではなく、

途上にあるというのがぼくの認識です。

 

Q4. コンテンツ政策は成功と言えるのか

コンテンツ、取り分けマンガ・アニメ・ゲーム・音楽・実写のポップカルチャーは

日本のメイン文化であり、その発展はぼくが役人時代から最も注力してきた政策領域です。

メディア整備、技術開発、人材育成、権利・制度整備、そして資金手当。

政策は多岐にわたります。

2000年ごろから知財本部や総務省、文化庁、経産省の委員も務め、

2010年からは座長職に就いています。

2010年当時、国内市場は縮小し、海外売上も減っていました。

政府は海外+デジタルへのシフトを鮮明にしました。

国の会議や業界を通じ、海外+デジタルのメッセージが繰り返し発せられ、施策も伴いました。

その後、海外+ネット市場は急拡大し、海外売上は自動車に次ぐ2位の地位を占めるようになりました。

全て政策の帰結とは申しませんが、効果はあったと見ます。

ただ、その評価・検証は十分とは言えません。

 

Q5. なぜまだIP360が必要なのか

コンテンツは成長産業から基幹産業へと呼び方が改まるほど成熟してきました。

しかし支援措置は伴いません。

主要国は産業支援を四半世紀以上続け、

日本のコンテンツ予算は米仏韓の1/5~1/15という規模です。

まずそれらと戦える規模に産業政策を強化せよ、が産業界の意見で、

ぼくらPPPも年1千億円予算を提言しています。

コンテンツが国の戦略領域と認知された今がラストチャンスで、

これを逃して劣勢になる危険のほうをぼくは重視しています。

なお、資金手当は政策のごく一部です。

インフラ、技術、人材、制度、さまざまな施策を数十年単位で推進してもらいたい。

そしてこれも長年求めている、政策の司令塔機能を構築してほしいです。

 

Q6. コンテンツに国は介入するな

コンテンツと国の距離感は重要な課題です。

支援するが内容に介入しない。

経産省が「作品の中身に口を出さない」という方針を強調しているのもその意思表示です。

著作権制度や海賊版対策など国にしかできない役割もあります。

人材育成も国は機能を強化すべきです。

国にはコンテンツに高い関心を持ち続けてもらいたい。

ぼくが最重視するのが「自由」と「教育」です。

政党など政治に呼ばれ主張するのは、表現の自由を死守することと、

初中等からの創作教育を拡充すること。

この2点が日本の表現文化を支える礎であり、産業の基盤です。

2026年9月28日月曜日

コンテンツは成功、クールジャパンはまだ

■コンテンツは成功、クールジャパンはまだ


クールジャパン機構に関する批判がXでぼくにも及んでいまして、ぼくは機構の運営に携わっていないので経緯など不明なことが多いものの、それが「コンテンツ政策」への非難につながるのを懸念しています。

コンテンツは成功、クールジャパンはまだ、がぼくの評価です。


2010年当時、国内コンテンツ市場は縮小し、海外売上も減っていました。

世界市場は伸びているのに。

海外展開も遅れ、5年で映画は1割、ゲーム2割、放送3割の減少でした。

当時すでに業界が海外にシフトしていたというわけではありません。




第2次安倍政権で政府は機構やJLOPや海賊版対策など色んな手を講じつつ、海外+デジタルへのシフトを鮮明にしました。

コンテンツ海外展開への支援が明確となった後、5年間で海外市場は3割弱拡大。

アニメは3.6倍、映画は4.3倍、放送は4.3倍を見せました。

新規に海外展開に取り組む企業も増えました。

その後 海外市場+ネット市場は伸び、海外売上は自動車に次ぐ2位の地位を占めるようになりました。

全て政策の帰結とは決して申しませんが、政策の効果もあったんじゃないですかね。




政府はコンテンツを成長産業から基幹産業へと呼び方を変え、戦略17分野に組み込み、首相はAI・半導体・コンテンツと唱えるまでになりました。

しかし。コンテンツは主要国が産業支援を四半世紀以上続け、日本のコンテンツ予算は米仏韓の1/5~1/15という規模です。

まずそれらと戦える規模に産業政策を強化せよ、が産業界の意見で、ぼくらPPPも年1千億円予算を提言しています。

コンテンツが国の戦略領域と認知された今がラストチャンスで、これを逃して劣勢になる危険のほうをぼくは重視しています。



なお、コンテンツ政策とクールジャパン政策は分かれています。クールジャパンは食、観光、化粧品なども対象とする広い政策です。ぼくはこれを進める「クールジャパン官民連携プラットフォーム」のメンバーではありません。

コンテンツ政策は特に海外展開の面で成功したと考えます。一方、クールジャパン政策の成果はまだ判然としません。両者を分けて評価したいところです。

ぼくは知財本部クールジャパン政策の議論ではコンテンツ政策との連動強化と、過去の政策の検証を主張しています。今後も求めていきます。

2026年9月21日月曜日

無職になります。

■無職になります。


9月末日をもってiU学長を退任することになりました。

iU構想から約10年。開学から6年半。多謝。


打ち立てたものはブログ「iUというバウハウス」に記しました。

https://ichiyanakamura.blogspot.com/2026/04/iu.html


学長くんメッセージとして900本近いビデオを遺しておきます。

https://www.youtube.com/channel/UCDZ5aAZ_TuGz058tdYNQizg

 

人生初の無職です。無職という名刺を作ります。

社会人になったときには島耕作さんは課長でした。

彼いま社外取締役です。

ぼくは社長、会長、そして社外取締役も経験し、無職です。

ようやく追い越します。

 

次、どうするの。

まずはハローワーク。そしてタイミーに登録。

それから考えます。

問題はあります。

役所の委員とか学会の理事とか、

職業じゃなくて引き受けてる役割があって、

その肩書の欄に何て書くか。

 

そこも「無職」でどうすか。

って相談したんだけど、役所は前例がないと渋る。

学会に相談したら、「年金生活者」でどうかと言う。

だが年金は月ン万円しかくれなくて、

生活できないんで、虚偽になります。

じゃ「年金受給者」でどうかと言う。それも職業ぽくないよな。

「ハローワーカー」とか「タイミーさん」とかかなぁ。

 

ふと気づいたんだが、学生のあいだって

成人してても無職とは呼ばないよね。

学生は学生だ。

だからも一回 学生になればいいのか。

肩書に〇〇校1年生とか。おさまりよくないですか。

そうしますか。

質問です。

どこか入学できるいい学校、ありません?

2026年9月14日月曜日

■源孝志監督「木挽町のあだ討ち」。

■源孝志監督「木挽町のあだ討ち」。


「京都で、映画で、集う会」という、文化庁や京都府や京都市や映画業界や学術ら映画好きの月イチ飲み会がありまして、そのお題。

今回は清酒「神聖」の酒場、伏見にある「鳥せい」で開かれるというので駆けつけることとし、その前に二条駅脇の館で観ました。

神聖の経営者、山本さんは高校の1年先輩で、野球部創設メンバー。正捕手でした。ぼくは補欠でした。以来40年、挨拶もできず不義理につき。

しかし店から絶品の差し入れをいただき、しこたま不義理をしました。

 

さて、映画です。東映京都撮影所の作品。源監督のNHKドラマ「スローな武士にしてくれ」「京都人の密かな愉しみ」にも通じる、京都への愛情を感じる映像美で、京都が作った江戸の映画です。時代劇に未来を見ました。

キャスティングでは、作兵衛の北村一輝さんが朴訥な下男から乱暴な博徒まで見事に演じられました。が、渡辺謙さんがこの役を強く演じたがったそうです。歳が合わず、年長の金治役に収まったとのことですが、こうした事情をうかがえるのも京都関係者の飲み会だから。

 

ぼくはこの素敵な映画に喜び、すぐさま永井紗耶子さんの原作小説、直木賞受賞作を読みました。驚きました。映画と全く異なるんですもん。

映画は刑事コロンボばりのサスペンスドラマで、主人公の総一郎(柄本祐さん)が話して話して立ち回って展開する。あだ討ちのアクションとそれに至る物語が中心です。

小説には総一郎は登場せず、それよりも、木戸芸者、立師、衣装さん、小道具さんなどが語る身の上話が中心です。芝居小屋という悪所の周りで底辺を生きる人たちの生い立ち、生きざまが切々と描かれていて、その豊穣な低みから、あだ討ちにこだわる武士という支配階級のバカバカしさを浮かび上がらせる。

 

ちなみに冒頭から現れる木戸芸者は「一八」という名で、自分の名前とかぶるので親近感を抱きつつ、しかも役者の瀬戸康史さんはかつて舞台「彼女を笑う人がいても」で、「中村伊知哉」という役名を演じられた。今もってなぜそんな役名だったのか不思議でいずれ問い詰めたい。

芝居小屋という悪所にも惹かれます。吉本興業や漫才というジャンルも悪所で、その磁場に引き寄せられる才能にぼくは魅入られてかつて仕事をしました。大崎洋前会長の「居場所」はそれを描く名著です。

 

「映画は小説の一部に光を当てて、うまいこと映像として解釈しはった思いました。ぼくは映画観てから原作読んで、二度美味しかったんですけど、小説読んでから映画を観たほうがよかったんか、どっちがよかったんかな、と考え込んでますねん。」

と感想を述べたら、映画関係者から、

「ほなもう一回観はったらよろし。」

と一刀両断の血しぶきで終わりました。京都、伏見、寺田屋の近くどした。

2026年9月7日月曜日

経産省 with PPP

 ■経産省 with PPP




PPPシンポ「エンタメ産業のこれから」@デジハリ。

経産省梶直弘文化創造産業課長、

コナミデジタルエンタテインメント石原靖士執行役員と。

エンタメクリエイティブ産業研究会やIP360の反響は。

コンテンツ予算1千億円の可能性は。

AI+海賊版の具体策は。

日本版KOCCAの見通しは。

あれこれ伺いました。





政府予算によるコンテンツ支援がバズっていて、額が大きいだの小さいだの、それならアーカイブ支援しろだの批判もあります。

政府がコンテンツを戦略17分野に組み込み、支援することを決定したのは、AI・半導体や創薬・医療などと並び、官民投資額を増やすことで経済波及効果が大きいから。34兆円投資により10倍の効果を見込んでいます。

成長戦略、国際競争力増強策という産業政策であって、保護・弱者支援という文化政策ではないことに注意すべきです。





一方、日本の予算額は主要国に比べ断トツに低く、産業政策的には勝負にならない。PPPとしても年1千億円を提言しました。2年前の4倍増なので夢物語と見ていましたが、政治の後押しもあり、実現が見えてきました。

とはいえ農水の補助は3.2兆円、半導体やGXは2兆円。コンテンツはそれでも1/20~1/30です。

議論の中で、韓国は20年続けているという指摘がありました。日本はここから。増額とその長期継続が大切です。





海外展開で一つのポイントが回収率。

ゲームはコンソール=プラットフォームを押さえていて、海外の売上からの収入=回収率は9割。一方、アニメは5.5%、マンガ=出版は8.0%と低い。海外に収入が留まっているのです。その分野のプラットフォームをどう組み立てるかが課題です。



AI・海賊版対策の強化策も議論になりました。PPPとしても協力してまいります。

コンテンツの司令塔機能は知財計画に「一気通貫の新たな支援体制を構築する」と明記されました。これも注目・期待してまいります。


今回は経産省の巻。このあと知財本部、文化庁とシンポを続けてまいります。