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2017年3月30日木曜日

デジタル人材育成拠点をつくろう。

■デジタル人材育成拠点をつくろう。
クールジャパン人材育成検討会@霞が関。スタート。
ATカーニー梅澤さんデジハリ杉山さんセガゲームス松原さん元気ジャパン渡邉さんなど。
ぼくはデジタルコンテンツ特区の人材育成構想としてCiPの紹介をするとともに、学校の壁を打ち破る「デジタル超学校」構想についてプレゼンしました。


東京港区竹芝にポップとテックの集積する拠点を作るコンテンツ・イノベーション・プログラム、CiP構想を進めています。 
ウォーターフロントの1.5haの土地を再開発し、コンテンツ、メディア、IT、IoTの先端を集め、デジタルのテストベッドと、クラスターを2020年、オリンピック直前に開業します。


TechとPop、シリコンバレーとハリウッドを合体したような、でもユルくて、おもしろくて、みんなが集う、日本にしかできない街にしたい。研究・教育からビジネスまで一気通貫で行える場です。
政府クールジャパン拠点として位置づけられ、既に10件以上の産学官プロジェクトが進んでいます。


ぼくが所属する大学院、慶應義塾大学メディアデザイン研究科KMDの一部が入居し、スタンフォードなどの大学や研究機関にも合流を呼びかけています。マンガ・アニメの専門学校にも入居してもらいたい。同時に、プログラミングを子どもに教えるNPOにも参加を促しています。子どもから大学院まで。


お金の後ろ盾も大事。起業を支援するファンドの誘致・創設やビジネスマッチングの活動も活発にしたい。ブロックチェーンを使った起業特区も考えています。母体のCiP協議会には、通信、放送、音楽、アニメ、ゲーム、学校、ベンチャー支援など約60の企業・団体が参加しています。


ここは国家戦略特区の認定を受けており、これまでやっちゃいかんとされていたことを打ち破る、21世紀の出島にしたい。


電波特区、著作権特区、ロボット特区など、さまざまな規制緩和を導入したいと考えています。
たとえば電波特区として、ロボット向けに電波を発射する世界初のIoT放送局ができないか。


孤児著作物を蓄積してここなら見ていいという著作権特区、アーカイブ特区を作りたい。経産省の支援で、その基盤となる音楽分野のデータベースを構築しています。


デジタルサイネージ特区。おもてなし多言語サイネージを整備する総務省の実証実験をいま竹芝で展開中です。街開きすれば、屋外広告規制などを緩めて、道路にプロジェクションマッピングする、といったことも実現したい。


スポーツも開発します。技術で人体を拡張し、誰もが超人になれる「超人スポーツ」も進めています。2020年にはオリパラと並んで超人スポーツの世界大会を開く計画で、竹芝でも会場を用意したい。これは内閣官房オリパラ室に支援いただいています。


世界オタク研究所を作ります。アニフェスなど世界で開かれる日本の文化ファンが集うイベントの動員数は年間総計2千万人。それらを主導しているのは、MITやスタンフォード、北京大学など一級の大学のオタク連中。そのコミュニティの総本山を竹芝に作る。この構想は経産省がサポートしています。

そうしたプロジェクトを走らせながら新しい教育機関を置きます。そこに参画するKMDは2008年にできたメディアデザインの教育・研究のために2008年にできた大学院で、メディアのデザイン、テクノロジー、マネジメント、ポリシーの文理融合をモットーにしています。

同時にKMDは産学連携の「リアル」プロジェクトで、つまりスポンサーとともに、サービスやビジネスを作り出す研究スタイルをとっています。さまざまな企業主導のプロジェクトに学生たちを放り込んで成果を上げさせて教育する、という手法です。

そのKMDの教育・研究手法を持ち込みます。既にKMDは英RCAや米Prattなど海外のアートスクールやシンガポール国立大学などと連携していますが、竹芝にはスタンフォード大学にも同居してもらえるよう誘いかけているところです。

ただ、東京のデジタル開発という面では竹芝はきっかけにすぎません。政府クールジャパン構想としては、竹芝の他に羽田の開発も重視されています。羽田を再開発する主体は現時点では決まっていません。それが見えれば、竹芝・羽田直結のプランを描きたい。

竹芝・羽田の間にはJR品川周辺の大開発が待っています。竹芝の10倍程度の広さがあり、特区で開発した先端を社会実装するにはいい地域になりそう。さらに北上すれば秋葉原や東大に至る。ベイエリア一帯のデジタル・ベルト構想が描けます。

渋谷の再開発も賑やかになってきました。昨年、渋谷クリエイティブタウンという社団法人が発足し、渋谷のメディア化、コンテンツ化を目論んでいます。ソーシャルゲーム、J-Pop、ファッション、NHKなどが集結する町。そこでは竹芝と並んで総務省のサイネージ実験も展開されています。


東京をタテヨコに結んで、広域デジタル拠点を構成できないかと夢想しているところです。


京都でも構想があります。映画業界や京大、立命館らが人材育成と産業支援の拠点を作るというCiPに似たプランが動き始めました。大阪でも大型のエンタメ拠点の整備が進められています。沖縄も同様です。そういう拠点との連携を進めて、点を線に、面にしていきたい。デジタル生産・発信列島へ。


韓国にモデルがあります。人材育成のコンテンツコリアラボCKLと、起業支援のクリエイティブエコノミーリーダーCEL。韓国政府が大きな予算を使って運営しています。産業界と政府とソウル市が連携して作ったメディア集積地、デジタルメディアシティDMCもあります。


CiP協議会は韓国政府・コンテンツ振興院と連携するため、さきごろソウルで協定を締結しました。大統領弾劾で揺れる韓国ですが、そういう時期だからこそ、文化面・経済面での長期的な連携に道を開いておくというものです。


シンガポールに隣接するマレーシア・ジョホールバルの「イスカンダル」という開発地域では、政府がメディアの教育・研究拠点を整備しています。ロンドン大学が中心的な役割を果たしているのですが、そこともCiPは協定を結び、連携することとしました。


このようにして、東京、アメリカ、ヨーロッパ、アジアをつなぐハブになれるといいと考えています。



CiPは純民間として走り出して、その後プロジェクトごとに政府に支援いただいています。が、シリコンバレーやハリウッドの迫力、韓国の気迫には太刀打ちできません。MITやスタンフォードやシンガポール国立大学も遠い存在です。国家戦略として、より大きなデザインを描けないものでしょうか。


たとえば研究教育では、デジタル超学校・超大学とも呼べるような、テックとポップという日本の強みを凝縮した、そのマネジメントとポリシーも合わせた、機関をデザインしたい。


大学や研究機関の枠を超えた、強いプレイヤーの集合体で、授業は全部MOOCsのようなバーチャル。だけど、企業と直結してサービスや製品を実装して、起業支援じゃなくて、もっとリアルなビジネス、リアルな産業にしていく特区の環境。そんなかんじ。

クールジャパン・知財本部ではポップ系の人材育成構想が論じられるようになりました。一方、経産省・産業構造審議会では、デジタルのテクノロジー系の人材育成策が検討されるそうです。ポップとテックの構想を融合して、大きな国家戦略にしてもらいたい。


そんな妄想を続けています。

(イラストはピョコタン画伯です。)

2017年3月27日月曜日

シェアリングエコノミー中間報告

■シェアリングエコノミー中間報告

 シェアリングエコノミー検討会議。中間報告書がとりまとめられました。ポイントをピックアップしてみます。

 まず、シェアリングエコノミーの特徴として、7点が整理されています。

1) B2CからC2Cへ
2) プロのサービスからアマチュアのサービスへ
3) シェア事業者はサービス提供主体ではない(サービスを提供する個人が責任を負う)
4) タテからヨコへ(業法での品質管理ではない)
5) 既存リソースの一時的な市場化メカニズム(活性化されていない資産の市場化)
6) 提供者と利用者との信頼(どちらも相手の信頼度を吟味せよ)
7) 事後評価の仕組み(信頼メカニズムとしての提供者・利用者相互レビュー)

 的確な整理です。

 情報通信白書によるシェアエコ市場規模の推計は、2013年で世界で150億ドル、2025年には3350億ドル。国内市場は2014年度233億円、2018年度に462億円だそうです。

 しかし、日本は諸外国と比較して、シェアリングエコノミーの認知度や利用意向、利用率が低いことが明らかになっています。

 これも情報通信白書によれば、Airbnbのような民泊の利用意向は中国(84.2%)、韓国(77.6%)、米国(55.0%)、英国(44.2%)、ドイツ(31.6%)、日本(31.6%)。

 Uberのような自家用車ドライバーサービスは、中国 (86.4%)、韓国(71.5%)、米国(53.5%)に対し、日本の利用意向は31.2%。

 また、シェアリングエコノミーのデメリット・利用したくない理由として、日本は「事故やトラブル時の対応に不安がある」が特に多くなっています。


 これを踏まえ、シェアリングエコノミーの発展を促すのが会議の使命。新体験の提供と経済成長への貢献、資源の効率利用、共助の仕組みの充実、イノベーション創出などの効果を実現するための施策として、以下3点の方向性を検討しました。

1) 自主的ルールによる安全性・信頼性の確保
 事業者団体による自主的なルール整備を促す。

2) グレーゾーン解消に向けた取組
 法令(業法)の適用が不明確な場合が多いため、その解消を図る。

3) 自治体等による先行的なベストプラクティスの構築・共有
 シェアリングエコノミーのメリットを社会全体に浸透させる。

 自主的ルールに関し、「シェアリングエコノミー・モデルガイドライン」の基本原則として、①安全であること、②信頼・信用を見える化すること、③責任分担の明確化による価値共創、④持続可能性の向上、の4点を挙げています。


 そのうえで、サービス提供に関するリスク等を自己評価することとし、弁護士等を活用して明らかな法令違反を調査することや法令違反とならない根拠を明確化すること等を求めています。

 シェア事業者が遵守すべき事項として、連絡手段の確保、利用規約の策定、法令遵守、評価の仕組み、相談窓口の設置、漏洩等に対応する体制の整備、従業員の教育といったことがらを求めています。

 ここでのポイントは、これを政府が規制として下ろすのではなく、民間が自主的ルールを講ずることが前提になっていること。政府はその環境を整え、支援するというスタンスです。官民連携のいわゆる「共同規制」の中でも、かなりマイルドなアプローチ。よい姿勢と考えます。

 会議では、これを補強し、個別のシェア事業者が自主的ルールに適合していることを証明する「認証」の仕組みを導入すべきとの提案がありました。認証のビジネスモデルや運用体制をどう構築するかは今後の宿題です。


 もう一点、この会議のポイントになったのはグレーゾーン解消策。従来型のサービスごとに定められた法令=業法との衝突問題です。現行法の規制が適用されるかどうか不明確なため、サービスの提供や行政との連携が進まないことをどう解決するか。

 これに対しては、「グレーゾーン解消制度」「企業実証特例制度」の活用を推奨することとなりました。これは産業競争力強化法に基づく措置で、事業を所管する大臣が、事業者の新たな挑戦を支援する立場に立って、規制を所管する大臣と協議を行う仕組みです。

 この仕組みはぼくも会議に参加して初めて詳しく知りました。民間のチャレンジを推奨する、こうした制度をきちんと使うことは大切です。
 

 さらに会議は、政府の規制改⾰推進会議等の場で、シェアリングエコノミーの推進に関し、 国家戦略特区等の活⽤も含め、幅広く議論することを求めました。この中間報告をテコに、政府での政策優先順位が上がることを期待します。

2017年3月23日木曜日

著作権制度の改正論議、大詰めにて。

■著作権制度の改正論議、大詰めにて。


文化審議会著作権分科会WG。「柔軟な権利制限」の議論大詰め。3類型にして権利制限をやや「利用者側」に寄せようという作業です。ほぼネット利用への対応であり、必要な法整備。知財本部での議論を元に審議会で制度を具体化するものです。

ぼくは著作権は「制度よりビジネス」を標榜してきました。制度改正に何年もかかって、かつその効果が小さいのが通常だから。それより実サービス、実ビジネスで著作物の生産・流通・消費を増やすことのほうが効果的であり実効性が高いと考えてきたからです。

ただ、今シーズンの制度論議は、久しぶりにぼくも参加してみたところ、「大きな見直し」に向けて勢力が注がれていて、意味のあるものと考えています。政府・委員はじめこの問題に汗をかいているかたがたに敬意を表します。

ぼくは今回の審議会の方向性に賛成ですし、事務局にもよく整理してもらっていると考えます。審議会では激しい議論がありながらも、コンセンサスが取れそうです。しかし私の関心は既にその後にあります。発言はしなかったので、メモしておきます。2点あります。

まず第一に、これが法律として成立するのかどうかです。
これが利用者、権利者、産業界などステイクホルダーの理解を得られるのか、はもちろん重要ポイントです。法律となるためにはその環境整備が必要です。

国会・与野党にも本件についてはさまざまな意見があると聞きます。慎重派・推進派がなお割れているとか。かつてより著作権制度に対する注目度が高くなっていることも感じます。政府提出の法案が成立するには、政府と国会との間でかなりの調整が必要です。

また、そもそもこれが政府の成案として、内閣法制局を通って提出されるのかどうか。実はこれが一番気になっていることです。というのも、5年ほど前に同様の議論が審議会で行われ、いったん結論に達しながら、内閣法制局を通らないというできごとがあったからです。

今回議論しているのは、ネット上のコンテンツ流通の利便性を高める方策ですが、これはある程度、これから生まれるサービスや利用法を先取り想定して制度を作る必要がありますが、内閣法制局は、空想ではなく「実態」に基づいた法律を死守しようとするため、バッティングするわけです。

実態を先取りした著作権制度が作れないため、ネット検索サービスが日本で立ち上がらなかったという見方があります。だからチャレンジするため政府で議論しているのですが、実は壁は政府内にあるのです。

これらに対し、ぼくらができる、体外的なメッセージや動き方はないのか。これが第一のポイントです。

もう一点は、知財計画が求めているガイドラインの策定です。
「柔軟性のある権利制限規定に関連して、予見可能性の向上等の観点から、対象とする行為等に関するガイドラインの策定等を含め、法の適切な運用を図るための方策について検討を行う。」(知財計画2016)

法律にはざっくりしたことしか書かないので、細かいことは裁判で白黒つける、のが著作権制度のやりかたでした。通常の行政法のように、役所が解釈したりコンメンタールを書いたりしなかったんですが、今回、事前に白黒つけやすいようにガイドラインを作ろうというものです。


これは法案策定後の作業でしょうが、より細かい解釈や考え方を、審議会の委員やステイクホルダー、場合によっては立法府や司法の参加も得て作っていく努力をするのがよいと考えます。これまでの枠を広げる取り組みをすべきタイミングだと考えます。

2017年3月20日月曜日

シェアリングエコノミー、規制から振興へ

■シェアリングエコノミー、規制から振興へ

 シェアリングエコノミー検討会議。
 内閣官房IT戦略室が主催。遠藤政府CIOがヘッド。総務、経産、厚労、国交、環境各省も参加しています。中央大安念教授が主査です。ぼくは東大・生貝直人さんらと並び委員を務めました。

 総務省・情報通信白書2016は、日本はシェアリングエコノミーの認知度が他国に比べ低いことを指摘しています。
 民泊は米87%、独86%、中91%、韓91%に対し、日本は72%。
 Uberは米85%、独80%、中91%、韓82%に対し、日本は48%。

 そして、その原因として、事故やトラブル対応など安全・信頼性の不安が高いことが指摘されています。利用面・需要面への対応、不安解消策が求められる状況です。

 昨年、政府が検討した際には、参入規制、情報提供義務、海外への規制適用など規制色の強い議論からスタートしました。

 しかしその後、シェアリングエコノミーの意義を強調し、振興するとともに自主規制で対応するという方向に舵を切りました。賛成です。振興と安全のバランスを図るスキームを作りたい、その思いから始まりました。

 会議冒頭、シェアリングエコノミー協会からプレゼンがありました。自主ルールと認定審査の組み合わせ、シェアリングシティ振興策について。自主規制を行う民間のベースはある、ということです。

 そして東大・生貝さんが官民による「共同規制」について説明しました。政府規制、民間自主規制の双方に難しさがあり、その間のグラデーションを解説。生貝さんはこの分野の第一人者になられましたね~。

 これに関し、産総研・持丸さんがコンサルと認証は別法人にすべきと主張。大学の博士号はコンサル(教育)と認証(授与)とが一体となっている、と鋭い!ご指摘。

 シェアリングエコノミーの場合、業法をどう適用・緩和するかが一つのポイントです。ただ、シェアリングは「業」じゃない「C2C」が柱になるため、業法の枠を超えるところからの議論が必要です。

 ここでは消費者保護が重要課題ですが、提供者も利用者も消費者である、という点に立つことも大事となります。

 これまではB2CのBを規制すれば効率的に回る、という業法の世界だったのですが、C2C、特に提供するCと利用CとPFの3極をどう制御するか、ということです。

 さて、サービスの水準を確保するため、事業者が自主的ルールを作る仕組み、サービス提供者を認定するような仕組みに議論が進みました。そして、そのためのガイドライン・モデルが検討されることとなりました。

 官民のある程度の合意のもとで、公的規制色の薄い共同規制の仕組みを作る。自由な米西海岸的アプローチと、従来の日本の業法的な規制アプローチの中間のどこかに落とし込む工夫です。

 もう一点、重要なのは、ビジネスの自由度です。

 業法で規制されているクロの領域と、ビジネスOKのシロの領域はいいとして、そうではないグレーゾーンが問題。そしてそこにシェアリングエコノミーのうまみもあります。しかしグレーだとシュリンクしてビジネスが起こりにくいのが日本。

 実は、そのグレーゾーンを解消する制度を盛り込んだ「産業競争力強化法」なる制度が施行されています。現行規制が適用となるかどうか不明の分野について、事業計画が適用されるか否かを省庁に確認してシロクロつけたり、規制緩和措置を提案したりできるスキームです。

 こうした制度の活用と、措置の拡充策もテーマとなりました。日本型のシェアリングエコノミーが元気に回るよう、知恵を絞り、アクションを起こす。その認識のもと、議論が進められることになりました。

 (つづく)

2017年3月16日木曜日

改めて、青少年ネット対策。

■改めて、青少年ネット対策。

総務省にて、青少年安心安全インターネット利用環境タスクフォースが開催されました。
ぼくが主査を務める会議で、内閣府、文科省のほか、安心ネット促進協、モバイルコンテンツ審査・運用監視機構EMA、メルチメディア振興センター、電気通信事業者協会TCA、テレコムサービス協会、教育関係者、弁護士などが参加しています。

安心ネット対策は2008年ごろから本格化し、ぼくも世話人として安心ネット協を立ち上げたり、EMAの理事を務めたりしてきました。フィルタリング対策などによりガラケーでの不安はかなり低下したのですが、スマホに移行することで新たな問題が生じ、新たな対策を講じています。

実態に合った使いやすいフィルタリングの実施、情報リテラシー教育強化策、保護者対策、ケータイ販売店対策等がテーマとなっています。

高校生の保護者は、Facebooktwitter、ニコ動、LINEYouTubeいずれも許容度が高いが、小学生の保護者はFacebooktwitter、ニコ動の許容度が低いそうです。ただこれまでフェイスブックは小学生~高校生を一律で扱ってきました。

フィルタリング対策は、安心協、EMATCAが共同検討を続けています。安全性・利便性のバランスを取り、SNSを使いたいというニーズに合わせた新しいフィルタリングの仕組みを開発中です。

これを受け、TCA=通信キャリアは、各キャリアのフィルタリングのサービス名称やアイコン・アプリを統一するとともに、新しいフィルタリングサービスを提供する方針。業界としての努力を見せています。このタスクフォースの大きな成果だと考えます。

ただ、iOSAndroidOSレベルの対応が必要となってきます。AppleGoogleとの調整もポイントとなる点がガラケー時代との違いです。SIMフリーやMVNOをどうするかも新たな課題となっています。

安心協はリテラシー教材を整理し、プラットフォームを構築するとともに、保護者向けの啓発を強化する方針。マルチメディア振興センターは、ネット安心講座eネットキャラバンを講師3000人規模で推進、これまでの受講者は230万人に上ります。がんばってます。

ケータイ販売店の団体、全携協の治良事務局長によれば、店頭でのフィルタリング説明に時間がかかり、対応が不可能になっているとのこと。リテラシーやフィルタリングの認識を事前に持っておいてもらうことが重要と指摘。同意します。

森亮二弁護士は、学校でのフィルタリング推奨・義務付けを行えば効果が格段に高まるというデータに基づき、学校との連携強化を求めました。同意します。

これまで情報リテラシー教育策と教育情報化策は別々に進められてきましたが、デジタル教科書の制度化など教育情報化が本格化するに際し、これらを総合的に推進する必要性が高まっています。超党派の国会議員による議連が進める教育情報化推進基本法にも、リテラシー教育強化の項目が盛り込まれています。


デジタル教科書教材協議会DiTTも情報リテラシー教育対応を強める方針としています。情報リテラシー教育と教育情報化の関係者が連携を深め、総合対策を採っていくべき。改めて、あれこれ提案してまいります。よろしく!

2017年3月13日月曜日

な~んにも残らへん巨大な新喜劇はレガシーとなるか

■な~んにも残らへん巨大な新喜劇はレガシーとなるか

KMDフォーラムで、レジェンド板尾創路さんが、リオ五輪の閉会式で安倍首相が登場した際「服脱ぐの早すぎ!」とツッコミました。土管の中でじっと待っていた安倍さんが、雨に降られて早く脱ぎたかったんじゃないかと思いましたが、「間があかん」との指摘です。

「ぼくら芸人にできるのは、「間」だけ。」という板尾さん。ここでボケる、ここでツッコむ、という「間」は、磨きをかけた芸人のみが体得している。安倍さんに「間」を教えて差し上げればよかったですね。

ちなみに、あの土管、KMDの学生だった清水佳代子さんの「シミズオクト」が作ったものだそうでして、家にあったでかい土管がなくなったと思ったら、リオ閉会式で現れた、とのこと。(シミズオクトにはKMDフォーラムに多大なる協力をいただきました。)

板尾さんに、よしもとが2020東京の開会式をプロデュースすることになったら何をするか伺いました。「そら数千名の芸人を総動員するんでしょう。でもそうなると巨大な吉本新喜劇ができるだけ。」との回答。

巨大な吉本新喜劇。いいですね。開会式でなくてもいいので、見てみたい。2020東京のレガシーは、新国立競技場や新アリーナじゃなくて、「全国民の笑い」のほうがいい。

サニーサイドアップ次原悦子社長は、同ステージで、「五輪開会式なんていらない」としつつ、「健康」がレガシーになればいいと指摘しました。うむ、箱モノやイベントなんかより、みんなでスポーツに参加して、健康や長寿のレベルが上がるほうが五輪開催の価値があります。


さて、フォーラム後も「巨大な新喜劇」がぼくに響いています。それがレガシー=遺産になるのかどうか。というのも、むかし、新喜劇のベテラン俳優が「な~んにも残らへん」芝居を目指すと言っていたからです。

爆笑してもろて、ああおもろかった、けど「な~んにも残らへん」のが吉本新喜劇の価値であると。それを至上とする気高さについて、学生だったぼくは、自分はそんな境地に到れるだろうかと考え込んだ記憶があります。

観客からすれば、新喜劇は、とりあえず笑ろてこましたろ、けど「芸」なんか求めへん、論評の対象にもならへん、ということであり、それは純粋なパンクだと思います。

先日、吉本興業創業者・吉本せいさんの生きざまを描く藤山直美主演「笑う門には福来たる」を見ました。よしもとの話を松竹新喜劇が描くという感動的な座組みで、大阪松竹座の館内をホンワカワッハ吉本新喜劇のテーマが流れてて、キュンとなりました。

ぼくのツボは、藤山直美さんが井上竜夫オマージュで「おじゃましまんにゃわ」をやってくれたこと、いま寛大さんが「ちょっとまってね」をやってくれたこと、ミヤ蝶美・蝶子がプチ漫才をやってくれたこと。・・まぁそれはいいんですが、

松竹新喜劇は松竹ですから、お客さまは、いい芝居、うまい芝居を求めます。「爆笑」にとってそれはノイズですが、そのノイズを期待してくる観客も多い。しかし、そんなもんおまへん、というのが吉本新喜劇。

愉快だがな~んにも残らへん、というのは、アメちゃんみたいなものか、と思いました。甘いけど、なくなったら腹もふくれてへんし、何も残らへん。ビキビキビッキーズでアメちゃんを客席にまいていた人が、新喜劇の「すっちー」になって乳首ドリルを披露しているのは必然だったのです。


な~んにも残らへん巨大なものを遺す。そんなパンクなこと、何やらやってみたい、気になっております。


2017年3月9日木曜日

運命背負いイスカンダルで

■運命背負いイスカンダルで
この男、エイドリアン・チェオクという。かつてKMDの同僚であった。いまロンドン大学の教授と兼務で、「イスカンダル」にて運命背負いSEX ROBOTの開発をしている。怪しい友人であります。

イスカンダルはいま旅立つ宇宙の彼方ですが、それは「ジョホールバル」地域を開発するマレーシア政府のプロジェクト名でもあります。98年W杯の初出場を野人岡野が決めた歓喜の地、シンガポールから車で30分の隣接地、ジョホールバルは開発ラッシュなのです。

マレーシア政府はここにシンガポールの3倍、東京都に匹敵する面積の開発構想、イスカンダル計画を2006年から20年計画で進めています。香港と深センの補完都市構想にモデルを置いて、シンガポール+イスカンダル圏を作るという大構想。


大学、病院、電子・機械等の工場のほか、ハローキティタウンやイオンも進出しています。レゴランドもあります。その右側に隣接するのが、エイドリアンが所長を務めるイマジニアリング研究所。


イマジニアリング研究所はマレーシア政府等が設立したデジタルメディアの研究機関で、大阪大学、ロンドン大学、マレーシア工科大学等と提携しています。ギリシャ、カナダ、ロシア、イタリアなど多国籍の研究員がいます。来てみたらオマエも一員だと言われました。


SEX MACHINEチェオクの学生たちに研究デモを見せてもらいました。舌に電気信号を加え酸っぱさを伝えたり、熱で甘みを伝えたりする。味のデジタル化や~。完成したらバーチャルレストランを開設するという。


鼻に突っ込むデバイスに周波数やら何やらを送り匂いを伝えるシステム。まだ人体では試していないという。誰が最初に試すかモメている模様。好き、こういう研究。


チューするとくちびるにリアリティーが互いにネットで伝わるデバイス。
思いついたものを「実装する」ことは、尊い。


ここにはインキュベーション施設もあり、研究開発・人材育成・起業支援のエコシステムを強く意識しています。ぼくらのデジタル特区CiPとジャンルも仕組みも共通してまして、協業できないか可能性を探ります。


先日、豪州の学会で講演したエイドリアンの写真を見たら、裃すがたでした。豪州に着いたら、着られるものが直前に東京のドンキで買ったパーティー衣装しかなく、それでしゃべったという。パンクやの~


エイドリアンに連れられ、マレーシア工科大学の授業で一席。この大学、アジアのランキングで慶應の50位ぐらい上位。「慶應のエラい人に、ランキングどうやって上げるのって聞いたら、国内順位しか興味がないんだって。スゴいね。」って言われた・・・

ところで隣町、シンガポール。東京湾の再開発でもあるCiPの参考とばかり訪れているのですがね、




東京湾の夜も2020にはこんな感じになっていてもらいたいもんなんですが。倉庫ばかりじゃなくて。元はシンガポールも倉庫ばっかりだったそうで。


さて、今回のサイネージは空港の36面、この1点にしときます。


ニッポンの食はずいぶん市民権を得た模様ですが、


屋台のこの店がミシュラン一つ星に輝いたことに地元民は沸いていました。

2017年3月6日月曜日

2020年、ポップ&テック

■2020年、ポップ&テック
2016年11月26日(土)、慶應義塾大学三田キャンパスで、「KMDフォーラム」を開催しました。大学院・慶應メディアデザイン(KMD)のフェス。ぼくが今年の当番教員でした。


テーマは「2020年、ポップ&テック」。ポップ、テクノロジー、教育、ビジネス、スポーツ、デザインなどの最先端の人物を招きつつ、2020を問いました。



大学の「プラットフォーム力」をデザインしてみたかった。デザイン、テクノロジー、マネジメント、ポリシーの4本柱と、産官学連携のリアルプロジェクトというKMDの哲学を活かし、いろんな人が参加して、みんなで創る日常をイベントとして体現してみました。


お越しいただいた主なかたがた:
ライゾマティクス斎藤精一社長、シン・ゴジラ樋口真嗣特技監督、XJAPAN SUGIZOさん、ホリプロ堀社長、吉田沙保里さん、遠藤利明前オリンピック大臣、伊藤達也元金融大臣、福田峰之衆議院議員、吉本興業木本公敏さん、サニーサイドアップ次原悦子社長、
C Channel森川亮社長、夏野剛さん、水口哲也さん、谷田光晴さん、筑波大学落合陽一さん、政策大学院大学牧兼充さん、東京大学稲見昌彦さん、一橋大学石倉洋子さん、板尾創路さん、おかずクラブ、トータルテンボス、はんにゃ、タケト、大西ライオン、イシバシハザマ、もう中学生、デッカちゃん、
内閣官房、内閣府、総務省、経産省、文科省代表。マンガ家、起業家、子どもたち、学者、学生、ドローンパイロット、力士、着ぐるみ軍団、女子着物集団など。
もちろん稲蔭正彦、古川享、石戸奈々子らKMD教員も。


この、大臣からデッカちゃんまでというラインナップこそが、KMDという大学院の示せる価値でしょう。みなさんどうもありがとう。


西校舎での特別企画「2020 ぼくらの開会式」では、リオ五輪の閉会式を担当したプロデューサなどメディア・アート分野を代表する5名が「デジタルテクノロジーが描く2020年未来の表現」と題し、開会式の提案を披露しました。


宇宙空間を使う壮大なプランが相次ぎました。総務省山田真貴子官房長はじめ、フロアからも各提案に対し的確なコメントが寄せられました。全てのプランを同時に実現すればいい、とぼくは考えました。


同ステージで、お笑い芸人、女性社長、ギタリスト、国会議員らが登壇し、産業や文化について議論しました。異色対談ということで化学反応を狙ったのですが、意外なる案の定、話は建設的に弾みました。


リオ五輪の閉会式、「マリオの服脱ぐの早すぎ!」と安倍首相にダメ出しする板尾創路さんの横で、サニーサイドアップ次原社長は「五輪でみんなが健康になることをレガシーにすべき」とし、「開会式なんかやめればいい」と提案。


そうか、やめてもいいのかも。宇宙プランか、やめるか。客席に並ぶ五輪関係者たちを前に、極端な提案がぶつけられるのも、このイベントの価値であったのでしょう。

西校舎「ワークショップコレクションミニ」では、よしもと芸人7組も参加して、子ども向けワークショップを実施。芸人の鋭い渾身のボケに対し、よい子がスルーで返すというツッコミを見せていました。


南校舎では、ARを用いた超人スポーツ「HADO」でレスリングの吉田沙保里選手らが対戦会を披露しました。「誰もが技術を身体に装着すれば、子どもでも吉田沙保里に勝てる。」昨年、超人スポーツ協会を設立した時からぼくが使っているキャッチフレーズです。


このステージ上で、6歳の男の子が吉田さんと対戦し、見事勝利を収め、キャッチを実現してくれました。ありがとう。


同時に、教育情報化に関するシンポジウム、起業家の卵たちのビジネスコンテスト、スペインIE Business Schoolとの協力による起業イベント、スタンフォード大学と共催の「IT政策研究会」なども開催されました。


会場には21台のデジタルサイネージを設置し、放送波を使った通信サービス実験を行ったほか、世界の国々をイメージした着物 数十着のおねえさまがたがお越しになり、百体の着ぐるみ軍団がそれに対抗しました。規制をクリアして場内でドローンを飛ばし、鉄道模型も展示し、とにかくあれこれやりました。


このイベントを企画し、ブッキングし、調整し、実行したのは、学生たちです。ステージにも学生たちが立ちました。留学生たちは開会式の提案ビデオを披露し、東京まりん氏は東京の夜のマラソンコースを提案。ビジネスコンテストに挑んだKMD学生チームは審査員の夏野さんらにボコられてくれました。

スポンサーはTBS、CANVAS、シミズオクト、Dlife、CiP協議会, デジタル教科書教材協議会、融合研究所、デジタルサイネージコンソーシアム、ニューフォリア、ぷれこす、SHARP、クラウドポイント、NTT IT、 三菱電機、KATO、東京コンテンツプロデューサーズ・ラボ。


協力はNECディスプレイソリューションズ、TV番組「しまじろうのわお!」、ソニーマーケティング株式会社、超人スポーツ協会、よしもとクリエイティブ・エージェンシー。

 お世話になりました。

 レポートをここにまとめておきます。