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2011年8月31日水曜日

大文字山が縮んで見えた


■Buenos 大文字山が縮んで見えた

 年に一度、小学校の窓から見える山に登りました。標高466m。登山というほどの苦行ではなく、ミニ遠足です。山道の木漏れ日、枝の先にアケビの実をみつけたりしてはしゃぎつつ、ほどなく行くと、階段のような床木が続き始めます。
 それぞれの上には年に一度、ツクツクボウシが鳴き始め、夏休みの宿題が気になり始めたころの晩、薪が置かれ火がくべられる。
 大文字山といいます。
 二学年下にいた前原誠司さんも登ったことでしょう。
 そこから北を望むと、妙と法の字が見えます。そのふもとには5歳下の妹が通う保育園があり、ぼくはよく自転車で送り迎えをしていました。
 それらを含む五山の送り火、今年はいつになく、山が縮んで見えました。
 「申し訳ない。」
 そうつぶやいているように見えました。
 今年の送り火は大揺れでした。地元だけでなく、全国の耳目を集めました。被災地の薪を焚こうとしたらセシウムが検出され、判断が二転三転、残念ながら結局、焚かれず終いとなったものです。
 誰も悪いひとはいません。
 善意が善意と交錯し、善意どうしがもつれあい、その結果、被災地の薪が焚かれなかったのです。
 陸前高田の薪に家族への思いや復興への願いをつづって燃やそうと発案したひとも、400本の薪に字を書いたひとたちも、「放射性物質は大丈夫か」と保存会や京都市に不安を表明したひとも、それを受けて中止を決めた地元保存会も、悪くない。
 中止をめぐり京都市を非難したひとたちも、それを受け新たな薪500本を持ち込むことを打診した京都市長も、協議を重ね受け入れを決めた保存会も、そしてその薪の表皮から放射性セシウムが検出されたため結局、断念することにした京都市も、悪くはない。

 では問題は何か。
 検出された放射性セシウム1キロあたり1130ベクレルという数値は、「干し昆布は2000Bq/kgで、すでにこの薪の表皮よりも多量の放射性物質を含んでいる」(藤沢数希さん:http://news.livedoor.com/article/detail/5782382/)「仮に表皮を1キロ食べ、全て体に吸収されたとしても取るに足らない線量」(丹羽太貫・京都大名誉教授(放射線生物学):http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110813ddm001040109000c.html)とあるように、微量であるにもかかわらず、「検出された」ということで中止判断がなされました。「市が専門家に問い合わせたところ、「国の基準がない以上、安全という見解は出せない」との回答だった」といいます。
 科学的な基準や判断の物差しがないわけです。では国が「薪をどのくらい焚いたら安全か」なんて基準を作ればいいのか。いや、国はそんなにコト細かに作りますまい。いろんな事象でコト細かく規則など作られたら窮屈で困る。だけど国民には、いや京都市のような大きな自治体でさえ、それを判断する知識と覚悟がありません。
 それは、「こうだ」と言ってもらえる専門家の層が薄く、いてもきちんと配備されていない、ということでしょう。原発問題に限らず、ジェネラリストはごまんといます。キャリア官僚が典型です。ぼくも現役時代はいかに有能なジェネラリストになるか腕を磨いていました。でも、高度な知識を備えた専門家が少なく、しかるべく処遇されていない。Ph.Dホルダーがバイトで食いつないでいる。だから専門家に頼りたい側も、いざというとき頼れる相手にたどりつけない。
 なにも日本ですべてを調達する必要はありません。世界中から専門家を呼び寄せて頼る、その気構えが重要です。
 この「専門家不足」が第一の問題。
 そして、第二の、より大きな問題は、次回に話します。
(つづく)

2011年8月29日月曜日

デジタルサイネージアワード2011


■Net デジタルサイネージアワード2011
2回を迎えるデジタルサイネージアワードの表彰式がデジタルサイネージジャパン2011の場で開催されました。
昨年の2倍となる67作品に応募をいただきました。
アワードとしても本格化。世界のサイネージを代表する賞に育ちつつあると感じます。
応募作を拝見すると、日本が世界のサイネージをリードしていることが読み取れます。
広告・販促メディアとして成長してきたサイネージが次のステージに移りつつあることがわかります。
ポイントは3点。
1) 面白くて、2)役に立つ、3)みんなの サイネージに進化しているんです。
1) 面白い
 ARやアプリで楽しませてくれるモデルがたくさん。
 今回、AR7作品、kinectを活用した企画やプロジェクションマッピングを活用したものもみられました。
2) 役に立つ
 災害にも対応し、公共・商業施設だけでなくオフィスや家の中でも働くサイネージが出現。
3) みんなの
 ソーシャルの情報を共有したり、学生が作ったりするものも登場。
 ソーシャル系は6作品、学生参加は711作品に上りました。

今日はそうした作品の中から、ゴールド賞はじめ10作品を表彰することとなりました。
日本のサイネージの広がりと奥行きを感じ取ってください。

■ゴールド賞
 東日本電信電話株式会社東京支店
「東京サイネージ」
 80数カ所で業務する社員全員が情報を共有する手段として導入。さらに緊急時の情報取得手段としての地上デジタル放送にも対応。
 街の広告ツールから、オフィスの情報共有機能へ。エンタテイメントから、仕事に役立つメディアへ。日本のサイネージが変化することを先取りしたモデル。



■シルバー賞
 JR東日本ウォータービジネス、PDC
「デジタルサイネージを活用した次世代自販機」
 世界で初めてDSを活用した年齢認証できる屋外型飲料自動販売機を開発。JR東日本主要駅50箇所に設置。通常の自販機の3倍以上の売り上げを上げる効果。購買者が自販機に近づくだけで年齢と性別が自動解析され、購買者の属性にマッチした飲料を液晶画面にお勧めするレコメンド機能がある。どの飲料がどの年代の性別で、購入されているか正確なマーケティンデータの取得が可能で、自動販売機の品揃えに貢献している。
 これぞ自販機大国ニッポンの面白いモデル。

 JR西日本コミュニケーションズ
「大阪駅デジタルサイネージ」
 今春新しい大阪駅構内に98面のディスプレイを新設。既存媒体と併せて127面のDSを広告媒体として展開。首都圏のサイネージと連動することを前提として設計し、ネットワークを最大限活かした広域サイネージシステムを構築。最新鋭のマルチディスプレイ 60インチLCDの縦12面連動などを活用した新しいサイネージ。


 シャープ
18面マルチデジタルサイネージ」
 JR東京駅八重洲中央駅改札に登場した首都圏で最大級のマルチDS。隣り合うディスプレイ間のフレームが6.5mmと狭額の60V型液晶ディスプレイを18面設置。フレーム間のつなぎ目が目立たないため、迫力ある330インチのハイビジョン大画面で惹きつける。複数のコンテンツを同時に放映するマルチディスプレイとして使用することも可能。



■ブロンズ賞
 NTTアイティ
「アンドロイドサイネージ」
 Androidタブレット端末を活用できるアプリ「ひかりサイネージLiteアプリ」を開発。その第一弾としてNTTドコモのGALAXY Tabとカマンジ・ジャパンのFM6002機種をアプリの動作対象とし、ラインアップに追加。今後も端末を増やしていく。
 家の中もサイネージ。ブロードバンドが普及した日本ならではのモデル。

 インセクト・マイクロエージェンシー
TIP.X TOKYOにおけるDS空間設計」
 ティップネスが20114月にオープンした新ブランド「TIP.X TOKYO」での映像コミュニケーション企画。会員への新たなクラブ価値の提案とサービスの可視化を推進。





 博報堂
Million Play Hanabi
 KDDIのスマートフォン ISシリーズのプロモーションとして、六本木ヒルズの壁面にtwitterアイコンやその場に来た人たちの顔写真をデジタル花火として打ち上げるイベントを行った。
 面白い、みんなでコンテンツを作るタイプのサイネージモデル。




 クロスオーシャンメディア
「みんなでつくる時報」
 都内のコンビニ店頭で、一定時間に時報を放映。1.一般の方からの写真投稿、2.イベントを絡めた参加型という観点で制作・放映。これまで広告提出場所として認識されていた街ナカのDSを街のコミュニケーションハブとして双方向な掲示板としての利用を促進させている。ネット上での人物合成時報とは異なる自分で作って自分で毎日みられる街ナカの参加型時報。

 富士フイルムイメージテック
Twitter連動 リアルタイム災害情報サイネージ」
 TwitterのメッセージをDSに表示するシステムを使い、災害情報と公共情報の表示を誰でも無料で行えるようにした。首相官邸、電力会社、各種ニュースメディア、地方自治体、安否情報などを無料で最新の状態で表示することができる。震災後の混乱期のナカ、医療機関、大型ビジョン、オフィスなどのさまざまなロケーションで利用された。
 役に立つ+みんなで作るサイネージ。


■特別賞
 立教大学
「デジタルサイネージアート 縦シネマ×身体×日本語」
 2010年度のDSアワードで特別賞を受賞した「縦シネマ」をアートと組み合わせた作品。65型の縦置きサイネージディスプレイを3つ並べ、映像、音楽、朗読による映像作品群で空間演出を施し、地下の小さなギャラリーをDSとアートの組み合わせならではの異空間に作り替えた。ビデオベースの再生システムにより美麗なハイビジョン映像を表示し、鑑賞者は真っ暗な小空間でほぼ自分と同じサイズのように感じる巨大な縦長ディスプレイに囲まれることにより、高い没入感を得ることができる。
 面白くて、みんなで作る。

2011年8月25日木曜日

DiTTビジョン2011


■Kids DiTTビジョン2011
  デジタル教科書教材協議会(DiTT)では、発足当初からビジョン作りが重要テーマとして掲げられてきました。昨年末、報告をまとめたのですが、本当はそれをビジョンと呼びたかったところ、議論が足りず生煮えではとの意見が多く、ひとまず「アクションプラン」と位置づけることとし、年度末まで議論を続けることにしたんです。それで今回まとまったバージョンが「ビジョン」。
 しかし、アクションプランと基本的な考え方は変わりません。まだ実体を伴っていないから議論を重ねても生煮え状態が続くという面もありますし、基本的な考え方はDiTT会員は既に共有できているからブレないという面もあります。

 内容はダウンロードのうえお読み頂ければと存じますが、簡単に構成を紹介しますと、日本は新たな学力に対応できていない」「日本の国際競争力と社会は低迷している」「日本の子ども達の学習環境は恵まれない」ことを示し、「これからの子ども達に求められる能力」「それに基づく授業などの実践例」「デジタル教育の3つのメリット:創造・共有・効率」「これからのあるべき学びの環境」を整理しています。
 これを進めるため、「民と官と利用者の三位一体」を強調しつつ、「まだまだスピードが遅い教育の情報化」を示す一方、「子どもたちは世界に先駆けてデジタルメディアを駆使している」状況を説明しました。
 そこで3つの目標を立てました。ターゲットイヤーは政府の目標より5年早い2015年。
 ・全教科のデジタル教科書・教材を開発小中学校の全授業の3割で利用
 ・教室内無線LAN整備率を100%に
 ・全ての小中学生1000万人に情報端末を配備
 そこでDiTTは今年、活動を本格化させ、政策提言、普及啓発を重点目標におき、WGを5つ設定し、全国の学校と提携、未来モデル授業を開発するプロジェクトを推進」する方針を掲げています。
 
 政府は2020年度に21世紀にふさわしい学校教育を実現するとしており、その動き、方向性には賛同します。ただし、普及は早めよう、その5年前に、まずハード・ソフトの普及を図ろう、という目標を立てたところです。
 これは民間だけで走るということではありません。官民連携で、政府の動きの上に民間が乗り、役割分担しながら日本全体の動きを早めていく考え方。このため、文科省・総務省・自治体はじめ行政機関と密接に連携しつつ、言うべきことはバシバシ言って行くということです。
 そこで、今回、最後に八か条の提言をまとめました。以下、参考まで。政府に対し申し入れをしたところです。政府がいやがることもみな並べました。やってくれるかどうか。これから、本番です。

1 目標の前倒し
21世紀にふさわしい学校教育の実現」の達成スピードを高め、一人一台の情報端末の配備、全教室への超高速無線LANの整備、デジタル教科書・教材の開発が2015年に達成できるよう取り組むこと
2 教育の情報化に関する政府予算の大幅増額
 教育の情報化対策に関する地方財政措置(H23.1,673億円)を2015年度まで段階的に単年度3,000億円程度まで増額するか、または次年度より実質措置率を100%近くまで高めるように図るとともに、長期的な予算措置と財源確保策を政府全体で早急に検討すること
3 官民共同実証実験の拡大
 政府が進める実証実験と民間の取組とを協調・連動して行い、国全体の重複回避、実験規模の拡大を図ること
4 連絡協議会の設置
 官民連携による教育情報化を進めるため、国、自治体、DITTその他関係団体による連絡協議会を設置すること
6 復興対策との連動
 防災や緊急時対策に資するべく、学校を軸とした地域情報共有体制を設計するなど震災復興対策と学校情報化との連動策を検討すること
5 教育クラウドの早期導入
 政府と民間は、教育クラウドの標準化・普及を推進する戦略を協議・立案すること
7 海外展開の促進
 機器、情報システム、教材などを民間企業が海外でも展開しやすくするよう、国際共同調査や国際共同実験などに取り組むこと
8 教育情報化臨時措置法の制定
 各種施策を推進するための支援法を策定すること

2011年8月22日月曜日

パリ、ラ・ヴィレットのデジタル科学館


■YouGo  パリ、ラ・ヴィレットのデジタル科学館
 パリ郊外、ラ・ヴィレットにある科学産業館。
 1986年に設立された国立の未来館です。
 空間デザインや色彩が好きで、パリ滞在中を含めこれまで20回は訪れています。
 そうは言っても2年前に訪ねた際にはさすがに展示内容が古びてきたと思っていたのですが、今回足を運んでみて改めて目を見開きました。すっかりデジタルサイネージ化されていたんです。展示コースが大幅にリニューアルされて、最新型の科学館に甦っていました。

 案内板は半透明スクリーンに投影するタイプ。
 








海洋生物の小型ディスプレイ展示や、









宇宙開発史の多面映像表示。









インタラクティブ・システムが豊富です。宇宙コーナーでは、床に動画を投影していて、ブースに入るとインタラクティブに映像が反応し、音声での案内が流れます。











テーブル型のインタラクティブ・システムも導入されています。









極めつきは海洋コーナー。4×3面の巨大スクリーンに動画を投影し、ポイントに立つと映像の説明がかぶされます。
スクリーンへの投影タイプ+インタラクティブの2点攻めです。ハードウェアにおカネをかけすぎず、コンテンツに力を入れています。






地球コーナーでは、めがねなし3D高精細インタラクティブサイネージ。先端の技術を惜しみなく投入しています。








映像コーナーは全面デジタル展開。映像編集コーナーも、フライトシミュレーターもありました。








ここに来た目的はサイネージではなくて、子どもワークショップコーナーをチェックするためでした。ぼくらのキッズプロジェクトとの連携策を考えているからです。
そのコーナーも拡大・充実していました。


日本にも欲しいなあ、こういうところ。

2011年8月18日木曜日

DiTT、初年度成果報告会


■Kids DiTT、初年度成果報告会
  2011425日、デジタル教科書教材協議会の成果発表会を明治記念館で開催しました。会場には500名、ニコ生中継は3万人の視聴でした。
 まず、ぼくからあいさつ。「設立以来10ヶ月。初年度目標は産業界のコミュニティ形成だったが、これは達成し、ビジョン、提言書などのアウトプットも出てきた。本年度は実験や検証にも力を入れる。とりまとめ中に震災があったため、平時に検討していたものを有事にどうするか見直ししてきたが、教材のデジタル化やクラウド化、学校現場の情報環境の整備、情報リテラシー教育がより重要な課題として浮かび上がっている。自粛している場合ではない。」
 
 活動内容は石戸事務局次長から報告がありました。会員数115社。委員会WG8個、計66回開催、1324人が参加。アウトプットとしてアクションプラン、提言書、ビジョンを発表。ウェブサイト等で情報発信。アランケイ、小宮山宏、藤原和博、陰山英男、田原総一朗、茂木健一郎、夏野剛さんらのインタビューも掲載。メディア48本、記事261本が掲載。
 初年度の立ち上がりとしては、活発と言えるでしょう。
 この日、発表された「DiTTビジョン」は次回報告しますが、併せて発表のあったアニメ「DiTTビジョン201X」はぜひごらん下さい。2015年ごろに実現しているであろうデジタル環境を想定し、こんな学習環境だったらいいな、というイメージを作成したものです。
 季里さんを監督に迎え、KMDやデジタルえほん社も参加して「えまきもん」風に作りました。気に入ってます。次は2050年バージョンを作りたい、とDiTT内で話しているところです。 

 文科省・齋藤生涯学習局参事官と総務省・安間情報通信利用促進課長からメッセージをもらったあと、パネル討論を開きました。壇上にはDiTTリーダー企業のほか、田原総一朗さん、藤原和博さん、三宅なほみさんら。ぼくと石戸さんが進行役。
 単純な質問を5問。
第一問「目標年次は5年前倒しか?」
 (目標年次は5年前倒しか?政府が一人一台環境を2020年を目標にしているが、DiTTはこれを5年前倒しすべきという目標を掲げている。これは是か非か?
2問「学力は向上するのか?」
 (デジタル教育のメリットは何なのか。まず第一に、学力は向上するのか?)
3問「授業は画一的になるか?」
 (田原さんの著書は「授業が画一的になる」恐れを指摘している。恐れはあるのか?
4問「紙の教科書はなくなるか?」
 (紙や黒板はデジタルに置き換えるのか?)
第5問「コストは税金でまかなう?」
 (コストを誰がどう負担するのか。税金でまかなうのがいい?)

 どれも簡単で、答えも容易に収束していくと思うでしょ?
 ところがこの世界、これで議論するとバックリ左右に割れるんです。○×の札を用意して掲げてもらったのですが、ぜんぶ意見が分かれるんですよね。運動を推進する側の面々でもそうなる。ましてや全国の保護者や先生方のコンセンサスを得ながら進めていくのはなまじっかなことではありません。そのリアリティーを共有したかったのです。
 挙げ句、「役所の作るプレゼン資料は文字が小さすぎて読めない」「iPadはなぜ売れないのか」「東芝は原発をどうする」など案の定、脱線に次ぐ脱線。誰が脱線させているかはもうしませんが。覚悟しておりましたので。司会がタジタジするぐらいでないとイベントは面白くないですしね。
 ただ、「そんな単純な質問では話が進まない」というコメントもありました。だけど、保護者や先生から聞かれる質問って、単純なものばかりなんです。それにすんなりと答えられずアアでもないコウでもないとやっていたから逆に日本は話が進まなかったんだろうとぼくは思います。
 断固、進むべし。
 最後に、復旧・復興、そして新しいシステムの建設に向けて新年度もよろしくということで総括してお開きに。

2011年8月15日月曜日

Japan Expo 2011


Pop  Japan Expo 2011
 性懲りもなく今年もやってきましたJapan Expo@パリ。
 昨年のレポートはここにあります。どうか先にお読みください。
 Japan Expo 2010 
 Japan Expo 2010、融合モデル

基調は昨年と同じなので、差分だけメモしておきます。

全体にコスプレが減った印象があります。もちろん、この手の熱いひとはいますが、濃い連中の割合が減ったって感じ。






ワンピース、ナルト、ピカチュウはいることはいるけど従来ほど目立たず、血だらけコスプレが目立ちます。






日系企業の出展が本格化すると同時に、草の根のお祭りテイストが薄れてきたということかもしれません。






イベントの拡大と文化アイデンティティの維持を両立させるのは難しい、そういう場面が近づいている感じ。

 






このかたがたはプロのアーティストだそうで。









昨年、最も注目したニコニコ動画のブース、今年はうんと大きくなって、ステージもMCも用意されていました。参加者も気合いが入ってます。ニコ動の国際展開、本格化なるか。





目立ったのはファッション系です。ユニクロがアニメTシャツを展開していました。
クールジャパン戦略の柱、コンテンツ+ファッション=文化力×技術力のモデルとなるでしょうか。


 


着物や浴衣もプレゼンスを高めていました。今年は伝統工芸などへの回帰も目立ちます。ポップからの脱却か、裾野を広げる戦略か。
ちなみに今回ぼくは羽織ハカマで来ましたが、そんな格好のひとはたくさんいるので全く目立ちません。
オモテに出ても、パリではアフリカ、アラブ、インドの民族衣装のひとが多く、和服のぼくは東京にいるより風景に溶け込んでしまいます。快適・快適。

ビッグサイトが東京への来客を呼びかけていました。ネイルアート体験にはこのとおり長蛇の列。ポップ×観光の事例。






METI+楽天の「Village Japon」では、京都、岩手、奈良、北海道や倉敷市など自治体が出展。京都市単独でもブースを出すなど、昨年の自治体国際化協会の展示より踏み込んだローカルからの展開。ITは東京をすっ飛ばす装置。地域が直接海外と結びつけばよいのです。



音楽モノが減少しています。一昨年のPuffyAKB、昨年のモー娘。に次ぐタレントはなし。アミューズがPerfumeを当てる案があったが予定合わずとのこと。
その代わり?キュートンが会場を練り歩いています。椿鬼奴さんのことをフランス人はコスプレイヤーと思ってはいないでしょうか。

ニッポンがんばれ系も当たり前にありました。

 





批判もあるようですがこうやって乗り込んでくる韓国の姿勢は見習うべきと思います。






最後にKMDプロジェクト「SYNC MUSIC」をご紹介。音制連+音事協+音楽出版社協会による日本音楽の海外発信プロジェクトです。KMD修士学生の三浦くんが担当。現地女性にナンパされてました。

 


 
ではまた2012年に。

2011年8月11日木曜日

教育の情報化ビジョン


■Kids 教育の情報化ビジョン
  20105月から開催された文部科学省「学校教育の情報化に関する懇談会」が20114月、「教育の情報化ビジョン」をとりまとめました。
 まず、21世紀を生きる子どもたちには、生きる力、情報活用能力が求められるとしています。そこで情報通信技術を活用し、一斉学習に加え、子どもたち一人一人の能力や特性に応じた個別学習、子どもたち同士が教え合い学び合う協働学習を推進することとしています。
 このため、1)情報教育:子どもたちの情報活用能力の育成、2)教科指導における情報通信技術の利用、3) 校務の情報化を進め、併せて、教員の研修や養成その他の教員支援も充実させる考えです。
 これを踏まえ、政府による実証研究や官民連携体制の構築などを進めつつ、総合的・計画的な推進を図ることとしています。
 自治体や学校の現場、さらには関係業界にも配意しつつ、前向きなプランができたと思います。ぼくは日本では教育の情報化がずっと議論されてきたにもかかわらず、進展度が遅かったことに対し失望し続けてきました。しかし、この懇談会が一助となって、政府内だけでなく教育界や産業界でも議論が高まり、われわれの「デジタル教科書教材協議会」も設置され、政府としても新しい教育環境を整備する目標を設定するに至ったわけです。この事態を高く評価します。懇談会を設置し、政府の姿勢を強く示した時点で、大きな目標は達成していたとも言えるでしょう。リーダーシップを発揮したスズカン副大臣はいい仕事をしました。

 ただ、ぼくは委員として参加しながら、ある種アウェー感を抱いていました。それは、ぼくのバックグラウンドであるITやコンテンツの領域と政策形成の手法が結構違うなぁと感じたから。微細に文言を詰める調整作業に時間を要した点です。教育委員会や現場の先生方に政策を浸透させるために「文章」が重要だからです。学習指導要領にしろ、臨教審などの答申にしろ、文字の記述を中心として動いてきた行政の特徴ですね。
 例えばぼくが座長を務める知財本部コンテンツ調査会や総務省のコンテンツ懇談会などでは、もちろん事務局(官僚)はプロとして文言を精査し詰めてきます。でもぼくを含め委員たちは「てにをは」レベルまで気にすることはあまりありません。
 どんな美辞麗句や美文や論理的で正義の答申よりも、一つの具体的な措置や施策のほうが重要事項となる行政領域では、直接的でスピーディーなアクションをより重視することになります。そういう意味では、ぼくから見れば、今回、ビジョンがまとまったこと自体の意味は薄く、その中に記述された「学びのイノベーション事業とフューチャースクール推進事業の連携」、「推進協議会の設置」、「教材の開発」、「情報活用ノートの開発」、「コンテンツ制作ワークショップの開催」といった施策をどう具体化するかがより重要となります。
 そういう点では、この教育情報化の領域では、全国の教育現場に対し着実に浸透させていく重厚な行政と、新しい成果を次々に生んでいく迅速な進取の政策との相乗や調和が求められます。
 なかなか、むつかしい。

 ところで、震災のため、懇談会の最終回は314日から414日へと一ヶ月延期されました。このため、最後はシャンシャンでお開きとなる想定だった会議が、震災後の影響を受け、かなり意見が噴出しました。ぼくも以下の3点を指摘しました。
1. 教材のデジタル化とクラウド化が一層重要。教科書や校務書類が流れた被災地も多い。
2. 緊急時の避難場所となる学校を含む全国的ネットワークの再点検が必要。
3. 流言飛語から身を守る情報リテラシー教育の充実が重要課題に。
 國定勇人・三条市長は、震災を受けて教育情報化に関する緊急アピールを出してはどうかと提案していました。いいアイディアです。議論をして文言を調整するより具体アクションを重視する政治家らしい姿勢。ただこれも国としてまとめようとすると文言調整で時間がかかることでしょう。有志でどんどんやるしかないかもしれません。国は大きく動き出しましたが、国を頼りすぎず、自治体、民間企業、学校現場、学界など関係者がそれぞれの持ち場で動きを早めていく必要がありましょう。