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2011年8月11日木曜日

教育の情報化ビジョン


■Kids 教育の情報化ビジョン
  2010年5月から開催された文部科学省「学校教育の情報化に関する懇談会」が2011年4月、「教育の情報化ビジョン」をとりまとめました。
 まず、21世紀を生きる子どもたちには、生きる力、情報活用能力が求められるとしています。そこで情報通信技術を活用し、一斉学習に加え、子どもたち一人一人の能力や特性に応じた個別学習、子どもたち同士が教え合い学び合う協働学習を推進することとしています。
 このため、1)情報教育:子どもたちの情報活用能力の育成、2)教科指導における情報通信技術の利用、3) 校務の情報化を進め、併せて、教員の研修や養成その他の教員支援も充実させる考えです。
 これを踏まえ、政府による実証研究や官民連携体制の構築などを進めつつ、総合的・計画的な推進を図ることとしています。
 自治体や学校の現場、さらには関係業界にも配意しつつ、前向きなプランができたと思います。ぼくは日本では教育の情報化がずっと議論されてきたにもかかわらず、進展度が遅かったことに対し失望し続けてきました。しかし、この懇談会が一助となって、政府内だけでなく教育界や産業界でも議論が高まり、われわれの「デジタル教科書教材協議会」も設置され、政府としても新しい教育環境を整備する目標を設定するに至ったわけです。この事態を高く評価します。懇談会を設置し、政府の姿勢を強く示した時点で、大きな目標は達成していたとも言えるでしょう。リーダーシップを発揮したスズカン副大臣はいい仕事をしました。

 ただ、ぼくは委員として参加しながら、ある種アウェー感を抱いていました。それは、ぼくのバックグラウンドであるITやコンテンツの領域と政策形成の手法が結構違うなぁと感じたから。微細に文言を詰める調整作業に時間を要した点です。教育委員会や現場の先生方に政策を浸透させるために「文章」が重要だからです。学習指導要領にしろ、臨教審などの答申にしろ、文字の記述を中心として動いてきた行政の特徴ですね。
 例えばぼくが座長を務める知財本部コンテンツ調査会や総務省のコンテンツ懇談会などでは、もちろん事務局(官僚)はプロとして文言を精査し詰めてきます。でもぼくを含め委員たちは「てにをは」レベルまで気にすることはあまりありません。
 どんな美辞麗句や美文や論理的で正義の答申よりも、一つの具体的な措置や施策のほうが重要事項となる行政領域では、直接的でスピーディーなアクションをより重視することになります。そういう意味では、ぼくから見れば、今回、ビジョンがまとまったこと自体の意味は薄く、その中に記述された「学びのイノベーション事業とフューチャースクール推進事業の連携」、「推進協議会の設置」、「教材の開発」、「情報活用ノートの開発」、「コンテンツ制作ワークショップの開催」といった施策をどう具体化するかがより重要となります。
 そういう点では、この教育情報化の領域では、全国の教育現場に対し着実に浸透させていく重厚な行政と、新しい成果を次々に生んでいく迅速な進取の政策との相乗や調和が求められます。
 なかなか、むつかしい。

 ところで、震災のため、懇談会の最終回は3月14日から4月14日へと一ヶ月延期されました。このため、最後はシャンシャンでお開きとなる想定だった会議が、震災後の影響を受け、かなり意見が噴出しました。ぼくも以下の3点を指摘しました。
1. 教材のデジタル化とクラウド化が一層重要。教科書や校務書類が流れた被災地も多い。
2. 緊急時の避難場所となる学校を含む全国的ネットワークの再点検が必要。
3. 流言飛語から身を守る情報リテラシー教育の充実が重要課題に。
 國定勇人・三条市長は、震災を受けて教育情報化に関する緊急アピールを出してはどうかと提案していました。いいアイディアです。議論をして文言を調整するより具体アクションを重視する政治家らしい姿勢。ただこれも国としてまとめようとすると文言調整で時間がかかることでしょう。有志でどんどんやるしかないかもしれません。国は大きく動き出しましたが、国を頼りすぎず、自治体、民間企業、学校現場、学界など関係者がそれぞれの持ち場で動きを早めていく必要がありましょう。

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