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2011年6月30日木曜日

評価経済社会 岡田斗司夫vsホリエモン

■YouGo 評価経済社会 岡田斗司夫vsホリエモン
  「評価経済社会」、話は続きます。
かつて堀江さんがフジサンケイグループと仲良く話をしていたころ、放送コンテンツをネットで流すと言っても放送側は拒否反応でした。でも震災後、IPサイマルラジオ「radiko」は区域外配信を断行。テレビも広島の中学生がNHK中継をiPhoneでUst配信して、それに押される形でいくつかの局がネット配信しました。あんなに無理と言ってたのに。(あの中学生、どうしてるんでしょう?表彰したいんですけど!)
その結果、世界中のひとが日本のテレビをネットで見た。地震から2週間で、世界のUstユーザが倍になったといいます。今後、メディア業界はこれを契機に変化するでしょうか?
堀江さん「NHKって評価経済。受信料というお金を取るシステム。そして震災でテレビはネットのコンテンツの一つにすぎないということが露呈された。ネットで放送しても問題のないことが分かってしまった。でも良いものにはお金を払う。みんなそうなればいい。ただし、それは民放が許さない。」
岡田さん「だったら民放は出演者がお金を出せばいい。タモリやみのもんたは毎日昼に番組出るなら一回200万円払う。それでもメリットを得られる人だけがテレビに出ればいい。タモリもみのもんたも、そうなったら払うだろう。そうすれば制作費が安くなる。それが評価経済だっ。」
堀江さん「フジテレビが一部そうしている。会員になった人が番組の観覧者としてテレビに映っている。」
岡田さん「局アナも出演料を自分で払えばいい。政治家もそうなればいい。今は維持費ばかりが膨らんでいる。国家もそうだ。国もダウンサイズして、維持費の小さい国が強くなっていく。議員も役人も自分でカネ払って仕事せい。」

じゃ、例えばぼくはどうしたらいいでしょう?ぼくは学生から授業料をむしって、家元システムみたいなやり口で暮らしているのだが、それはエセ評価経済で、慶應からのギャラはゼロにしなければならない?
岡田さん「そう。そのとおり。学校もそうなればいい。授業料が高すぎる。全部の教授にお金を払う必要はない。評価された教授にだけ払われるシステムを作るべきだ。」
聞かなきゃよかった。
だけど、そうするとごく一部の評価経済でお金が得られるひとと、そうでない大勢とに二極化しません?
岡田さん「すぐに人口の9割が職を失う社会が来る。評価された人が収入を得る。あとは国が基本的な収入を保障してやる。あとはバイトで補っていく。」
キッついなぁ。

岡田さん「ソーシャルでメディアリテラシーが求められているがそういう難しい技術を皆に求めるのは酷。ハードルが高い。情報の弱者・強者とは何か。それは所属しているコミュニティの自浄能力の差ではないか。ウソを訂正してくれる仲間がいるか。それが弱いコミュニティは間違った情報が沢山出回る。」
堀江さん「僕もジャッキー・チェン死亡っていう嘘を簡単にRTしたら、ジャッキーと仕事してたっていう友人が『ジャッキーは無事だ』ってメールくれた。」
岡田さん「ホリエモンすらそんなことがあるのに、国民全員が情報リテラシーを得るなんて無理!属するコミュニティの質が情報の正否を仕分ける力、早さに繋がる。」
震災後、ネット上の流言飛語が問題視されましたが、ツイッターのTLを追う限り、デマが流れても30分で収束します。でもそれは、誰をフォローしているか、どういうネットコミュニティに属しているかにもよるんでしょうね。コミュニティ所属力が問われるんですね。

ところで、改めてクールジャパン。政府はクール力を活かして海外展開を、と躍起になっていました。そこに震災。でも今回、海外が日本を見る目に驚きました。日本の震災対応、暴動もパニックもなく電車2列でまつ姿勢。これぞクール!という評価が海外メディアから寄せられましたよね。その後の原発のグズグズで評判をチョー落としてますけど。こういう「日本自信の評判」は評価経済的にみてどう?
岡田さん「援助してもらわないでやって行けるか、援助を受けて回復するかの瀬戸際。放射能をばらまいている今、国の評価を下げても援助を受けるという手段を選ぶ必要があるかもしれない。 」
堀江さん「廃炉しても最終的に燃料を処理しないといけない。そもそも日本の原子炉の廃棄物はフランスが請け負う予定だったがそれも無くなっている。福島を処理施設にするか、太陽電池プレートを敷き詰めるかなど今後が問われる。」
岡田さん「福島の沿岸を住める場所に戻すのか、別の用途に使うのか。そんな大事なことを決定する力を持っているのは、決定力あり過ぎて東京が持て余している都知事。彼を福島県知事にしよう。」
また厄介な提案を・・。(その後、石原さんは東京都知事に再選されてしまいましたがね)
岡田さん「みんなが職にあぶれてヒマになる。だから人力発電にすればいい。渋谷にモーターを設置して大きな柱を男がみんなで回す。どうだ。」
岡田さん、あいかわらずそんなことばかり考えてるんですね・・・

2011年6月27日月曜日

New Education Expo 公開授業

■Kids  New Education Expo 公開授業
 New Education Expo 2011。6月2〜4日に開催されました。
ぼくは初日冒頭、「デジタル教科書革命」と題し基調講演。デジタル教科書教材協議会が示した提言やビジョンなどをもとに、動向と展望を紹介しました。
教育の情報化は議論が絶えません。強力に推進する勢力がある一方、急速なデジタル化や教育環境の変化を不安視する教育現場や保護者の声もあります。これは教育情報化のイメージがまだぼんやりしているから。リアリティーが求められているのです。
このイベントでは、電子黒板やコンピュータなどの器具、デジタル化された教材コンテンツ、教室で使われるソフトウェア、教務の情報化向けツールなど、具体的な製品やサービスがふんだんに展示され、教育情報化の前線がリアルに共有されます。業界関係者だけでなく熱心な先生方もチェックしに来ています。

その場で行われた公開授業を見学してきました。
筑波大学附属小学校田中博史先生の算数・3年生。割り算の導入授業です。
生徒たちの後ろには、300人はいるでしょう、あふれんばかりの見学者。
電子黒板に4人の子どもの顔イラストが表示されています。
A君は困っていて、Bさんは笑っていて、Cさんは困っていて、D君は無表情。
アメ玉が12個ある。さあどう分ける。
生徒は、あれこれ試したり議論したりして、
2個、5個、2個、3個、という線に落ち着きました。
続いて、ABCDみんなニコニコしているイラスト。
生徒を指名して、みんなの前で分けさせると、3個ずつ置いていく子もいれば、1個ずつ置いていって結果3個ずつになる子もいます。
これなら、黒板やマグネットでもできるけど、電子黒板だとアメを消したり繰り返し表示したりするのが簡単。

田中先生は指導案の中で次のように記述しています。
「ICTをもっと気軽に使う。
デジタル教科書、デジタル教材が普及し授業の準備も楽になってきた。(中略)準備が大変な割には1時間しか使えないような教材づくりをしていたのでは意味がない。さらに普及しなかった原因として、これまでコンピューターやデジタル教材を使うと、パソコンならではの活用法を必ず求められてきたという点もあげられる。黒板やチョークを使う授業で、黒板ならではの活用法を求めたことがないように、パソコンならではを求める発想からそろそろ脱却してみるといい。教師がもっと楽に授業の準備をするための活用法ならばICTはもっと広がると私は考えている。(略)不便なら黒板に戻ればいいし、不便さを感じなければデジタルでやったものは、劣化しないで保存されるから他の教員とも共有できる財産となる。来年も再来年も使える。(略)ネット時代にはこれが全国レベルで共有されるようになる。」
リアルかつ的確な指摘です。

ぼくが心を奪われたのは、アメを4人に等分した後のこと。
「では、これを計算でできるかな?」と先生。
生徒たちがノートに書いたものを前面で紹介し、賛否を問います。
ア 4×3
イ 3×4
ウ どっちもいい
エ どっちもだめ
さあ。すると生徒たちはワアワア手を挙げてディベートです。
「アがいい。4人がいて、それで3個ずつ。」「3個のアメを4人に分けるからイ。」「3×4だと最初から3個って解ってるってことじゃん。」「4×3だって最初から3個って解ってるから、どっちもだめ。」「4×1個を3回やるってことだから、ア。」
各陣営が大変な意見の応酬で。すると、後ろに座ってた300人の業界人や先生たちもザワザワと議論を始めました。
なるほど、この授業のヘソは電子黒板やデジタル教材でのわかりやすい視覚効果ではなくて、そこからスタートした、定まらない答えをみんなで考える、この時間なのですね。
授業全体の7割の時間がこのディベートに当てられています。

そのときぼくは、自分が小4のときの国語の授業を思い出していました。
「アリとキリギリス」。
お話を読んだ後で、キリギリスが大変なことになったのはなぜでしょう、という設問。
選択肢は2つ。
ア 食べ物がなくなったから。
イ 遊んでばかりいたから。
クラスを2分する激論となりました。
ぼくはイを主張したのですが、主張しきれません。
最後にはとっくみあいをして鼻血を出すヤツも現れる始末で。
最後におっとりした年配の女性担任がケリをつけました。
「どっちも正しいね。」
ウの選択肢がなかったのですな。
みんなで「それ早よ言うてくれ!」ってどなった40年前をハッキリ覚えてます。
大切な授業の思い出。

さて、目の前の公開授業では、アが優勢になり始めました。
が、おさまりがつきません。
すると先生、今度は別の子が書いた式を前で紹介。
□×4=12
なるほど、これで納得。
というところでチャイム。授業終了。
でも、その後に手を挙げた女の子が聞きました。
「先生としては、どれが正解だと思ってるの?」
場内、かなりザワつきました。そうだ、ぼくも尋ねたい。
デジタルは正解ばかり追い求めると言う田原総一朗さんの顔を思い浮かべながら。
先生の答え。
「自分でこれと思ったのがいいと思うよ。」
うむ。  いい授業でした。

2011年6月23日木曜日

評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている、のか?

■YouGo 評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている、のか? 
  2011年4月5日、慶應義塾大学三田キャンパスで、「評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている」というトークショーを開催しました。岡田斗司夫さん、堀江貴文さんと。
このたび岡田さんが「評価経済社会」を含む3冊の本を別々の出版社から同時刊行したのですが、いずれも印税ゼロ。岡田さんの言う評価経済社会とは、「貨幣と商品を交換し合う貨幣経済社会に対して、評価と影響を交換しあう経済形態により現代社会を説明しようとする考え方」。よくわかるようなわからないような話なので、ホリエモンとクロストークしてみたのです。

まず岡田さんのビジネスモデル。印税を0にした。これは今までの出版業界でいうと異例の事態です。クリスアンダーセンがFREEで言及したように音楽業界ではプリンスの時代からその手の挑戦はありましたが、岡田さんの場合は、大学の講師料からあらゆる出演料までギャラを0にした。明らかに一線を画しています。一体どうやって生活をしていくのですか?
岡田さん「かつて物は価格を基準に選ばれていた。でも今は、食べログなどネットの口コミや店の評判を基準にして選ばれる。うちの会社は社員が社長に給料を払う。年間12万円で一緒に働く権利を得た人からお金をもらう。印税は取らない。ギャラも取らない。本を出したら5%くらいの人は凄く面白いと思ってくれる。そのうち5%はお金を払っても社員になりたいと思ってくれる。その方が印税より安定する。いちいち目先の金策に走らなくていい。ただし社員300人が上限。3年で引退という制度を設けている。」

なるほど、檀家に食わせてもらう宗教みたいなもの。ないしは立川談志のような家元システムですね。一方、堀江さんはある種、資本主義・貨幣経済の最先端にいた人。どう見ます?
堀江さん「株が紙幣の価値を越えるほどの流動性を持たせたかった。国家とは違う形で通貨を流通させたいと。逮捕された時、会社の株が紙幣の役割をしたら国家にならないかなんて話を検察のやつらにしてみた。ヒマだったんで。検察は、会社には軍事力や警察力がないから無理だと。じゃあロケットを持って、核弾頭積んだら?ミサイルになる。できる。ミサイルは命中力がないけど、核爆弾は抑止力として成り立つ。そう言ったら黙ってた。」

あなたそんなこと言うから・・・。
岡田さんは(当時)ツイッターのフォロワーが3万8千人。堀江さんは67万人。マスメディアと言ってもいい。だからこそ評価経済にリアリティーがある。でも、そういうことができる「プロ」はごく少数ではないですか。ほかにどんな人ができそう?
岡田さん「勝間さん。勝間塾という近い形を作り始めてる。」
堀江さん「瀬戸内寂聴さんも似たシステム。保険のおばちゃんもそう。保険のこと理解してなくても、友達でしょとか言って売り歩いて、500人集めたら一人1万円で500万円になる。」
ふうむ。
岡田さん「ビジュアル系バンドもできる。ファンの出資がメンバーに届きやすい形。」
ふうむ。
岡田さん「評価経済は出版したらスキャンしてデータをばらまいてくれたほうが、自分の知名度が上がっていい。出版社は困るけど、今やそういう海賊版を止めることはできない。」
堀江さん「本はCM。それ読んで有料メルマガに入ってもらうのがいい。福岡ダイエーは権利費を取らなかったんで商品を作り放題だった。それで町中にロゴがあふれて人気が出た。」

震災後、堀江さんは安否確認情報をリツイートで拡散するという情報共有メディアとなると同時に、ジャスト・ギビングという寄付サービスを用いて義援金集めに大きな役割を果たしました。それも評価経済というやつ?
堀江さん「震災で皆が参加する集合知の重要性がよくわかった。救出して欲しいといった情報をRTしてたら、情報系サイトが落ちたりして、そこでこういう機能があるサイトが欲しいとつぶやいたら有志が作ってくれたりした。フォロワーが多いと、動いてくれる人がいる。もうデカい会社は いらないと思った。」
岡田さん「評価は通貨のように流通しないといけない。だからソーシャルメディアと一体。三国志の時代はいいことをする人は「徳」があると評価され重用された。信長も人の評価を重視した。でも当時は評価が流通しなかった。ソーシャルメディアで評価が誰の目にも届くようにすべき。いずれ翻訳機能が高度化し、情報が一瞬で世界に届くようになる。」
堀江さん「情報が隠せなくなるから、あとでエーッてならないようにぼくも今のうちに情報をディスクロージャーしてる。小学一年生のときにウンコ漏らしたとか、そういう話ぜんぶ。」

そこまでコクらなきゃならんのかあ。
かなり覚悟しないとやっていけない社会のようであります。

この話、も一回つづきます。

2011年6月20日月曜日

知財計画2011

■Pop  知財計画2011
2011年6月3日、首相官邸で菅首相以下閣僚出席のもと知的財産本部会合が開かれ、「知的財産推進計画2011」が決定しました。
政権交代後、2回目の計画策定となります。
ぼくは前回からコンテンツ専門調査会長を仰せつかっていて、昨年の模様は以下に描きました。
http://ichiyanakamura.blogspot.com/2010/04/blog-post_14.html
http://ichiyanakamura.blogspot.com/2010/04/blog-post_15.html
http://ichiyanakamura.blogspot.com/2010/04/blog-post_16.html
http://ichiyanakamura.blogspot.com/2010/04/1_17.html
http://ichiyanakamura.blogspot.com/2010/04/2_18.html
http://ichiyanakamura.blogspot.com/2010/04/1_19.html
http://ichiyanakamura.blogspot.com/2010/04/2_20.html
http://ichiyanakamura.blogspot.com/2010/04/1_21.html
http://ichiyanakamura.blogspot.com/2010/04/2_22.html
http://ichiyanakamura.blogspot.com/2010/06/2010.html

今年はそれに上書きする形となります。
今年の柱は2つ。デジタル・ネット対応と、クールジャパンです。
アナログで総花的な支援策から、デジタル・ネットワーク政策への集中的な資源投下。
そして、国内重視から海外展開重視への転換。
その姿勢を明確にしています。
大きな方向性を決めていくのは簡単ではありません。
委員、知財本部事務局、関係省庁との間で、企画・調整の連続を経て、やっとまとまったものです。
関係者のみなさま、連日どうもおつかれさまでした。
内容は本稿のラストにつけておきます。

で、6月3日の朝。全閣僚がものものしく、いやスーパークールビズとかで かりゆしウェアのユルいかんじの大臣たちが並ぶ中、ぼくもテーブルにつき、調査会長として3点コメントしてきました。

1 今年はデジタル・ネットワークの分水嶺。
・15年に一度の大波が来ている。
・地デジが完成し、高速インターネットも全国化。
・スマートフォンやタブレット端末などTV、PC、ケータイに次ぐ第4のメディアが普及。
・日本は過去15年のデジタル化、ネットワーク化の世界的な波に乗り損ねた。
・今回の波をとらえないと未来はない。

2 クールジャパンのチャンス。
・震災後の日本の姿、暴動も略奪もない毅然とした国民の姿が世界から注目。
・その後の原発対応を巡り不安視もされ、風評被害も懸念されている。
・いまこそ正しく強い情報を自ら海外に発信することが最重要。

3 Just Do IT。
・問題はこの計画をどう実行するか。この後が本番。
・政治の働きを強く期待する。

実はこの3点目だけを言えばよかったのですが、空気飲むのが難しすぎまして、前振りもつけました。
だって、その前日、内閣不信任案が否決されてから、菅総理が続投に意欲を表明、退陣時期を巡り与野党・与党内対立へ、というビミョーすぎる朝でしたから。
官邸にはいつにも増して熱気を帯びた報道陣とカメラの放列。
だけど大臣たちは かりゆしウェアで、なんとなく平和がただよっており。
この内閣に提示して、この内閣が決定することが知財計画にとってどうなの、というタイミングだったんですよね。
でも、対外的に政策を推し進めるしかない。時間がありません。
ぼくたち民間は民間ですべきことをやります。
政治は政治で自らを復興していただきたい。


知的財産推進計画2011
(コンテンツ関係部分)
1.最先端デジタル・ネットワーク戦略
・成果イメージ 2020年
デジタル・ネットコンテンツビジネスの市場規模 
1.4兆円(2008年)→7兆円
・目標指標 2020年
書籍・放送番組の8割程度が電子媒体でも配信される
著作権侵害コンテンツの流通量を8割程度減少させる
日本のコンテンツのグローバル配信ビジネスが確立し、売上が1000億円を超える
児童生徒が授業の場において、1人1台の各種情報端末を活用してデジタルコンテンツを自在に利用できるようになる

1)コンテンツの電子配信を促進するとともに、我が国の知的資産をデジタル・アーカイブ化して活用する。
・電子書籍市場整備の加速化
・知的資産のアーカイブ化とその活用促進
2)デジタル化・ネットワーク化の基盤を戦略的に整備する。
・クラウド型サービスの環境整備
・プラットフォームの競争環境整備
・3D映像の促進
3)グローバルな著作権侵害への対応を強化する。
・インターネット上の著作権侵害の抑止
4)人財育成の根幹となる創作基盤を強化する。
・創作基盤としての二次創作の円滑化
・デジタルコンテンツの活用促進

2.クールジャパン戦略
・成果イメージ 2020年
日本にとってのクールジャパン関連産業の市場規模
4.5兆円(2009年)→17兆円(2020年)
・目標指標 2020年
アジア市場において、日本のコンテンツを核として、新たに年間1兆円の収入を確保する。
年間の訪日外国人旅行者数:861万人(2010年)→2500万人
我が国の国際見本市への外国人来訪者数:6.5万人(2010年)→30万人
諸外国におけるコンテンツ規制の解禁・緩和を実現する。
延べ1万人のクリエーターが小中学校を訪問する。
1)クールジャパンを発掘・創造する。
・映像を通じた発掘・創造
・対象国のニーズに即した展開戦略の策定
2)クールジャパンをグローバルに発信する。
・クールジャパン発信の仕組みの構築
・東日本大震災を踏まえた情報発信
・イメージ戦略の推進
・映像や放送の展開
・国際線での情報提供
・コンテンツを活用したクールジャパンの発信強化
3)クールジャパンの人気を拡大させる。
・東日本大震災を踏まえた日本のブランドイメージの回復
・クールジャパン大賞による顕彰
・クールジャパンのリピーターの拡大
・国際見本市の活性化と情報発信
・情報リーダー招へい
・地理的表示保護制度の導入検討
・ACTAの参加促進
4)クールジャパンの基盤を整備する。
・クールジャパン関連基盤の復旧・復興
・クールジャパンに関する諸外国の規制の緩和・撤廃
・在外公館によるクールジャパンの支援強化
・クールジャパンに関する文化関係者のネットワーク形成
・クールジャパンに関する拠点の整備
5)グローバルに通用する人財基盤を強化する。
・プロフェッショナル人財の育成
・若手クリエーターの育成
・クリエーターの裾野拡大

2011年6月16日木曜日

ワークショップアワード2011 後編


Kids ワークショップアワード2011 後編
最後に、各審査員が授賞した特別賞を紹介します。
http://www.wsc.or.jp/7th/award-kekka.html

審査員賞-季里さん:東京芸大「カントク!カオだらけです!」
カントク、今日のさつえいはモデルさんにしゅつえんしてもらいます。 モデルさん、どこにいるのかって?そこにいるじゃないですか。 いない?よーく見てくださいよ。ほら、いるでしょ、そこに。 みつけたら、サツエイはじめますよ!よーい、スタート!
こんかいはビデオカメラをつかいます。つかったコトないからシンパイ?ノンノン!しんぱいはごむようよ( ’^)/ たのしくサツエイしてみましょう。」(募集要項より)
栓抜き、ホッチキスなど、身の回りにあるふとしたモノを見つめてみると、顔に見えないこともない。選んで、セリフをしゃべらせます。ビデオやデジカメで撮って、みんなの作品をつなげてみると、面白いストーリーになります。構想、撮影、編集、鑑賞まで、短時間で経験します。

審査員賞-土屋さん:中京大「魔法の言葉 フリクタルフラクタル」
「いろんなワークショップに参加して楽しかったことや発見したことなどの体験を、体を使ったいろんなポーズであらわしてみよう! みんなのポーズが不思議な形の木に変化してスクリーンに映し出されるよ! いろんな色のいろんな形があつまってにぎやかな森の中には新しい体験が待っているかも! さぁ魔法の言葉をとなえよう」(募集要項より)
中京大学大学院・情報科学研究科のチーム。システム、メディア、知能などさまざまな分野での研究・プロジェクトを提案し続けています。今年は身体表現とデジタル技術のミックスでした。

審査員賞-中井さん:IAMASARチェンジャー 〜ARで君も変身だ〜」 
      「ARチェンジャーでかっこいいヒーロー/ヒロインに変身してみよう!変身はかんたんです。 マーカーを体につけて、カメラの前に立つと、あら不思議、スクリーンにはかっこいヒーロー/ヒロインに変身したすがたが!変身したすがたは、ウェブサイトでチェックできるよ。」
ヒーローの顔を自分で描きます。そして、四角いAR(拡張現実)マーカーを頭にくっつけて、大型スクリーンの前に立てば、画面に映った自分の頭のところにそのヒーローが登場。自分がヒーローに変身するしくみ。なるほどね!アナログとデジタル、バーチャルとリアルですね!
IAMASDITコースは昨年、14期生が優秀賞を獲得。今年は15期がチャレンジしてきたのです。やるねぇ。

審査員賞-中谷さん:オオクラテツヒロ「箱式」
「箱おじさんことオオクラテツヒロのナビゲーションで、展開図を使い、世界で1つだけの箱キャラ(ティッシュ箱)を作る知育ワークショップです。動物、恐竜、食べ物、花、車。ロボットなど各それぞれの子供たちの好きなモノを箱にデザインするワークショップです。」(募集要項より)
 これもワークショップコレクション常連のオオクラさん。あいかわらずの人気で、安定感も出てきました。








審査員賞-中村:NHKクリエイティブ「パソコンで「どーもくん」のミニアニメをつくろう」
「どーもくんたちNHKのキャラクターとNHKのカメラマンが撮影した素材やCGと自由に組み合わせてオリジナルの「ミニアニメ」をパソコンで作るワークショップです。カワイイ動物やきれいな景色、宇宙や恐竜のCG映像をバックにどーもくんたちを思い通りに動かしてください。できた作品は、CD-Rにして差し上げます。
テレビの映像ってどうやってつくるの?このワークショップを体験するとそのひみつがすこしわかります。映像をえらんで、音楽をつけて、文字や飾りを加えて制作する楽しさをぜひ味わって下さい。」
昨年ぼくは朝日新聞に一票を投じましたが、今年はNHKNHKライツ・アーカイブスセンターには今まで放送した70万以上の番組が保存されていて、そこから選び出した映像を公開しているサービスがNHKクリエイティブ。地デジが完成し、放送・通信融合がグッと進むべき今年、子どもが放送コンテンツを使って創作するという活動はとても重みを持ちます。NHKが本格的に動いてくれれば、他の放送局やコンテンツ業界など日本全体に広がりを見せるはず。学校でも活動が広がるかもしれません。ぜひ力を入れていただきたいと頭を下げてお願いする授賞です。

2011年6月13日月曜日

NHK技研公開2011

■YouGo  NHK技研公開2011
砧にあるNHK放送技術研究所。恒例、65回目となる技研公開。
地上デジタル放送が完成する今年の技研公開は、地デジ後を展望したものでもあります。
テーマの柱は、放送通信連携、スーパーハイビジョン、高度コンテンツ制作、次世代デバイスなど。

何と言ってもぼくは放送通信連携、つまり「融合」の新機軸に期待を寄せて足を運びました。
収監されるホリエモンが放送局の買収に動いた5年前、彼は「融合とは放送コンテンツを通信で流すこと」と喝破。
業界からは「そんな単純な話じゃない」とシノゴノ言われましたが、ぼくは当時、ホリエモンの指摘が最も的を得た見方だったと思っています。
放送局が持つ資産はコンテンツ力(ソフト)と電波力(ハード)ですが、電波は規制が厳しく例えば通信に流用するなどの自由な利用が許されていないし、そもそも放送局が自らの電波資産価値を最大化する戦略を採ってきませんでした。
一方、番組をコンテンツ資産とみなして多メディア展開することは、映画やDVDの二次利用ビジネスで行われていることであり、新ウィンドウとしてのネットやケータイに乗り出すことは自然な流れ。
他方、通信はつなぐことが使命だから、ブロードバンドやモバイルネットで不足するコンテンツを放送に求めるのも当然。
PCやケータイで、通信ネットワークを使って、コンテンツを売る、という構図です。
しかし、放送が通信に飲み込まれるような情勢に放送側が身構えていたわけです。

ところが2006年以降、事態は急転回し、海外ではサービスがうんと先に進んでしまいました。
その後、スマホやタブレット端末などデバイスも急速に多様化。
地デジとブロードバンドという放送・通信双方のデジタル化も完成し、総IPネットワークが見えてきました。
そしてサービス面でも「ソーシャル」が主役の座につき、コンテンツの地位が相対化されました。
「情報通信法」構想として論じられてきた通信・放送分野の規制緩和も断行されます。電波の使い道も大幅に広がり、制度的な制約が減じます。
つまり、5年前に想定していた融合像と、これから期待されるサービス像とが開きを見せているわけです。
・TV、PC、ケータイ以外の多様なデバイスで
・放送の電波も通信ネットワークも有機的に連動させ
・ソーシャルサービスを軸としたコンテンツ利用が行われる
という姿が実像を結びつつある。
そこにNHKがどういう解を提示するのかな?
これが今日の問いだったわけです。

NHK技研が見せてくれたのは、まさにその一つの回答。
「Hybrid Cast」という名のプロジェクトが、TV放送の画面に、多言語字幕をネットで送り込んだり、番組に連動したソーシャルサービスを表示したりするモデルを提示していました。
スポーツ中継で、地デジは大画面の表示を行い、多地点カメラからのさまざまなアングル映像を同じ画面内に通信で送る。そこには放送の番組と通信コンテンツを同期して提示する技術も使われています。
放送番組と通信コンテンツをミックスさせ、地デジとブロードバンドを両方使い、PCではなくTV画面に表示するというやりかた。
同じ番組を観ている友人のアイコンをTV画面上に表示し、彼ら彼女たちのつぶやきも見せるサービスイメージも提示していました。

もう一つは、マルチなデバイス、2スクリーンや3スクリーンを組み合わせるモデル。
TV画面では番組を観ながら、手元のタブレット端末やスマホで関連情報を表示したり、視聴者たちのTwitterを見せたり。
いわゆるアメリカのスマートTVがイメージするような、TV画面上に通信コンテンツが乗ってくるのとは違う アプローチです。
日本での事業展開を考えると、放送局が乗りやすいモデルであることが近道なので、TV画面を汚さずにマルチ・デバイス展開するこの形式は有望でしょう。
で、その技術はもうできている。
NHKのかたも「いつでもできますよ」とのこと。
ネックがあるとすればNHKの番組をネットで同時再送信することの制度的制約に引っかかるケースがあるかも、という点でしょうか。
同じコーナーで、同じコンテンツをTVで見たり、PCで見たり、ケータイで見たりしている人たちが、互いにコミュニケーションをとるソーシャルネットワークのサービスも提示していました。
ブロードバンド大国、モバイルネット大国たる日本だからこそ先行できるモデルかもしれません。
早くやりましょうよ。

無論、他のテーマも魅力的です。
フレキシブル有機ELディスプレイ、高精細カメラの真空管デバイス、高速無線伝送システム。
デバイスの研究開発も見せてもらいました。
このあたりもNHKが担ってきてるんですよね。
スーパーハイビジョンのデバイスのデモ、その高精細ぶりにはオッと声が出ます。
ただ、高精細はいくら進化しても感動は逓減するんですよね。
それよりも、そのコンテンツ製作コストや配信コストが劇的に下がりつつある、その動向のほうがイノベーションを生みそうです。
デバイス技術というより、コンテンツやネットワークに目が向かうわけです。
スーパーハイビジョン・ユビキタスの可能性。

コンテンツ、デバイス、ネットワーク。いずれも大きく相互乗り入れしています。
過去20年、15年、10年、5年と動いてきた地殻が改めて断裂を起こしています。
視座を広げなければいけないタイミング。
見学した日の午前中、総務省でぼくが座長を務めるコンテンツ創富力懇談会が開催されました。
立命館・細井教授が京都の「ロリータお茶会」についてプレゼン。ぼくも手伝ったイベントなんですが、懇談会の場で平岡副大臣や森田政務官らとロリータ写真を見まくったんです。コンテンツの外延にある、ファッションや食などの産業価値に注目し、コンテンツをいかに活用するかというのが論点。
そして東大・越塚教授がAR、サイネージ、ロボットとの結合技術をプレゼンしました。新技術が新コンテンツを生み、それが新技術を誘う、そのメカニズムについての議論です。コンテンツ視点での技術開発の重要性ですね。
ぼくもそう思うんです。
これまでのコンテンツ政策は、コンテンツ産業を発展させるのが主眼だったのですが、それはもう手詰まり。
コンテンツを活用して、経済全体を活性化することを考えましょう。
バーチャルなコンテンツと、リアルなものづくりとを結合した戦略が必要です。
そして、コンテンツからみた技術政策、インフラ政策もまた重要です。
視座を広げなければいけない。
通信・放送融合議論や地デジ論議が巻き起こったのが20年前。
通信回線や放送網を情報通信インフラやネットワークとまとめて称するようになったのもそのころ。
テレビ受像器や電話機やコンピュータをひっくるめて端末と見るようになったのもそのころ。
放送番組や映画や書籍などをひっくるめてコンテンツという言葉が生まれてきたのもその少し後。
そろそろ、コンテンツやらデバイスやらネットワークやらといった枠組も見直しの時期に入ったのかも。
技研は、そんなことを考えさせてくれました。

2011年6月9日木曜日

ワークショップアワード2011 中編


■ Kids ワークショップアワード2011 中編
最優秀賞、優秀賞、特別賞に続いて、来場者による投票結果を紹介します。
http://www.wsc.or.jp/7th/award-kekka.html

来場者賞大人選出:朝日新聞「オリジナル朝日新聞」
 「自分だけの朝日新聞づくりにチャレンジ!ワークショップ体験の感動を記事にして、オリジナル朝日新聞を作ろう。取材の仕方、文章の書き方を学んだら、ワークショップコレクションの取材に出発!普段は味わえないリアルな新聞づくりを体験できます。できあがった記事はasahi.comにも掲載されます。同時開催のしつもん!ドラえもんクイズラリーにも 参加してください! 新聞づくりは大変?記事を書くなんて難しい?しっかり教えてもらえるので大丈夫。オリジナル記事を手作り新聞とwebで発表しよう。会場内でしつもん!ドラえもんのクイズラリーも実施します。ふるって ご参加ください。」(募集要項より)
 昨年も出展していた朝日新聞。このワークショップは昨年、ぼくが審査員特別賞をさしあげたものですが、今年は来場の大人たちから支持が集まりました。昨年の授賞に当たってぼくが書いたコメントをつけておきます。
ワークショップ体験の感激を「ネタ」に マイ朝日新聞作りを体験。取材の心得を朝日新聞記者から学んだら、さあ取材。締め切りに間に合わせ戻り、担当デスクから記事チェック、そして出稿します。 素敵なワークショップがたくさんある中で私がこれを選んだ理由は、プロの新聞マンたちが本業のエリアで真剣に子どもワークショップを提供していた点に感じるところがあったから。電子新聞作りや編集作業が有意義で教育効果も高いことは説明不要ですが、同時に、新聞社として置かれた状況をも反映していると見たのです。
 どの国の新聞社も、ビジネスが直面する厳しい状況を打破するデジタル戦略に頭を悩ませています。読者をどのように巻き込んでコミュニティ展開をできるか。 新聞離れの進む若年層にどのようにして新聞の魅力をアピールするか。ワークショップを展開し、参加者が目を輝かせて新聞作りに取り組む姿に触れることで、 何かヒントをつかんだかもしれない、と。メディア企業が子どもデジタルワークショップを展開するのは、社会貢献という上から目線ではなく、本業の展開戦略としても十分にあり得る。そう感じた次第です。」


来場者賞-子ども選出:フジテレビ「タケシ学院~パラパラアニメをつくろう~」
「フジテレビHPWebマガジン「少年タケシ」でデジタルコミックを連載中のプロのマンガ家さんたちと一緒に自分だけのオリジナルのパラパラアニメを制作してみませんか?アニメ制作の基礎である「絵の動かし方」「ストーリー作り」を学べます。出来上ったパラパラアニメは一冊にまとめ、修了証書と合わせてプレゼントします。
プロのマンガ家さんたちが丁寧に直接指導するので、絵を描く楽しさやパラパラアニメ制作の楽しさを身近に感じてもらえます。大人の方もご一緒にどうぞ。親子で一緒に参加される方が多いワークショップです。」
ワークショップコレクション常連の「少年タケシ」。デジタルコミックから読み物コラム、オリジナルイベントや読者参加型企画までを網羅したフジテレビHPにあるWebマガジンです。ぼくも連載コラムを持っています。「西日暮里ブルース」のピョコタン先生(このブログでもよく絵を使わせてもらってます)、「ミカンせいじん」の白佐木和馬さん、「3B組クラス!キャンパチ先生」のおおたまことさんら、プロのクリエイターがパラパラアニメを教えてくれるんですが、どうみても子どもたちはこの先生方が偉いひとと思っているとは思えないユルさがスキです。そういうところが子どもたちに受けるんでしょうね。ワークショップの総監督は「ウゴウゴルーガ」などをプロデュースした福原信治さん。これからもよろしくお願いします。

2011年6月6日月曜日

10年前のプレゼン -10 「日本の官僚は弱い」


■Buenos 10年前のプレゼン -10 「日本の官僚は弱い」

Digital Punk 21 in東京大学 2001年1月 MITメディアラボ客員教授 中村伊知哉」の問題提起21点、No.21

8. 私より公
・クリントンはITを政治化したが日本だけ元首マターでない
・日本の官僚は弱いが、政治とマスコミがもっと弱い
日本は産官学が癒着しておらず、そこが弱み

 クリントン政権は情報スーパーハイウェイというインフラ政策を打ち出しました。'93年には、全米のインフラだとして、NII構想(National Information Infrastructure)を唱えました。'94年には、グローバルなインフラだ、GIIGlobal Information Infrastructure:世界情報基盤)だと言いだしました。
 何ことかよくわかってなかったけど、とりあえず各国とも飛びついて、インフラ政策ブームとなりました。それからインターネットが普及して、'96年には、情報スーパーハイウェイって実はインターネットのことなんだよね、とアメリカが言いました。世界のマルチメディアはインターネットというアメリカの市場と化しました。
 先進各国がインターネット政策にのめりこんだ90年代後半、こんどはアメリカは教育と電子商取引だと言いだしました。EducationeCommerceIIからEEへ。インフラをどう作るか、から、どう使うか、に移りました。ハードからソフトへの見事な転進。ああ、そうか。プライバシーとかセキュリティーとか認証とか税金とかか。日本も欧州もその政策に乗りました。

 そしてこのプレゼンのころ、2000年、アメリカはデジタルデバイドだと言いだしました。DDIIEEからDDへ。ハードとソフトを合わせた格差是正です。当面は国内の格差、たとえば所得や人種による格差に焦点が当てられます。NDD。でもすぐに国際間の格差を問題にしはじめるでしょう。GDDですね。GDD、すなわちアメリカによる途上国囲い込み作戦。囲い込む相手? 中国、インド、中南米。
 格差是正といえば、日本もそれなりの試みをしてきました。ぼくが役人時代に担当しただけでも、たとえば'90年、地域格差を是正するための予算を獲得しました。メディア分野で初の公共事業でした。'91年、高速インフラなどを全国展開するための電気通信基盤充実臨時措置法を作りました。'93年には、障害者の情報アクセス格差を是正するための法律も作りました。日本政府は仕事をしてきています。10年前(今からみれば20年前)からやっています。でもそれらは単発で、国全体の戦略になっていません。
 問題は次の一手。アメリカに先にGDDと言われてしまうのか? また後追いするのか?
 
 これがプレゼン当時のぼくの問題意識でした。それから十年、かなり心配は的中してしまいました。
 では国の戦略は誰が描けばいいのか。当時、官僚バッシングが激しく、霞ヶ関はヘコんでいました。もちろん不祥事が相次ぎ、ボコられるだけのことはあったのですが、同時に、官僚の力が強すぎることも問題視されていました。
 でもね、ぼくは日本の官僚は「弱すぎる」と思っていたんです。国際会議に出かけても、アメリカにしろフランスにしろ役人はバンバン主張する、それは主張し決定できる権限が与えられているからなんです。日本の役人が大人しいのは語学だけの問題じゃなくて、本国の関係業界や政治などと調整しないと決められないという事情もあるんです。
 なのに官僚は国内的には強すぎるとされる。なぜか。それは、もっと強くあるべきセクターが弱いからです。「政治」と「マスコミ」です。政治が取るべきリーダーシップを発揮せず、マスコミが国際的な情報発信力を欠き、国内でのバランスを失っていたんです。
 
 そして当時、公務員倫理法ってのができて、役人は民間人とメシ食ったりしたらイカンなんてことになりました。ぼくはこれはアメリカの陰謀だと思っていました。今もそう思っています。日本の国力を弱めるには、官と民のパイプを断つのが効率的ですからね。当時のぼくの書き物からちょっと引っ張ってきます。
「無論、癒着はいけません。許認可の権限をカサにきて私腹を肥やすような役人は処刑してよろしい。しかし、役人には、民間の意を汲んで国際舞台で情報戦を繰り広げてもらわんといかんのです。民との接点は、そのための兵糧なのです。
 クリーンにはなる。でも、官を干上がらせれば対外的な攻撃力はガクッと落ちます。官が強いからっちゅうて叩くのは簡単。しかし先にやんなきゃいけないのは、弱いセクターを強める算段。たとえば政治とマスコミ。弱いとこ強めず強いとこ殺せば丸ごと轟沈。
 強いとこを強めることもやっていい。いまこそグローバル経済に対処できる良質の国家システムを整えないといけない。そのためには、役人のムダな仕事をバサッと減らして、少数精鋭にして、どんどん外の風に当たらせること。それは夜の風でもかまわない。
 国際交渉の場面では、どの国も、自国の民間のナマの声をぶつけてくる。アメリカなんかいつも企業べったりだ。その絆が弱いのは日本だけ。クリーンすぎる。その絆を絶ち切って、官が勝手に交渉したりすると、よけい困る。」

 んで、どうなったか。政治は2009年に政権交代が起こり、官僚打破が唱えられ、政治リーダーシップが発揮されるということになりました。そうしたら迷走、なんだか余計ヘンテコなことになってます。落ち着くにはもう少し時間がかかりますね。
 マスコミの方はもっと大きく変化しました。ネットジャーナリズムが広がりました。201011月には尖閣諸島の中国漁船衝突事件の映像がYouTubeに流出、テレビ各局はその映像を後追いで使うようになりました。同月、民主党の小沢一郎氏はテレビには出ないけどニコニコ生放送には出演するなど、政治とメディアの関係も変わってきました。

 さて、振り返ってみれば、クリントン大統領はインターネットを生んだ国家元首として歴史に刻まれるのでしょう。為政者として、国民に、世界に、何を遺すのか。ドゴールはシャルルドゴール空港を遺し、ポンピドーは現代美術のポンピドーセンターを遺し、ミッテランはミッテラン図書館を遺しました。日本の為政者は何かを遺そうとしてくれるでしょうか。
 ということで、おつきあいいただきました「デジタルパンク21」、このへんでお開きに。

2011年6月2日木曜日

ワークショップアワード2011 前編


Kids ワークショップアワード2011 前編
ワークショップコレクションでは第二回目となるアワードが実施されました。審査基準は 
.創造性:こどもたちの創造力や表現力を強く刺激する、
  2.時代性:これからの時代にこどもたちが必要な力や視点を養う、
  3.独自性:これまでにない新しいアイディアが取り入れられている、の3点。
審査員は、アーティストの季里さん、日本テレビ土屋敏男さん、吉本興業中井秀範さん、NHK中谷日出さん、CANVAS石戸奈々子さんとぼくの6名です。
http://www.wsc.or.jp/7th/award-kekka.html




まずは、最優秀賞1点と優秀賞の2点を紹介します。

最優秀賞:ピスタチオ「夢のくすり工場」
「ここはくすり工場。あったらいいなと思うくすりをつくって持ち帰ります。何にきくのか、どんなときに飲むのか、かわいくするか、カッコよくするか、ぜんぶ自分で考えるよ!ベルトコンベアを動かすナゾの助手も募集中!
1日だけモテるくすり」「宇宙飛行士になれそうなくすり」「宿題がはかどるくすり」。 どうすれば、しっかり効き目のあるくすりになるかな?あくまで真面目なくすり工場です!」
 (募集要項より)
 自分でアメを包んで医者でもらう薬入れのようなパッケージを完成させます。受付で待っていると、作った薬がベルトコンベアで運ばれてきて、先生から「犬になるくすりをお待ちの○○さ〜ん」と呼ばれて手渡される。その全体の構成と世界観がうまい。昨年の審査員特別賞を獲得したピスタチオさんですが、今年もクオリティの高いワークショップが最優秀の評価を受けました。

○優秀賞1:女子美大「絵本のような未来の学校教材体験教室」
iPadAR技術など新しいテクノロジーを用いて、児童の知的好奇心や想像力、学習効果を高める、まるで絵本のような未来の学校教材を体感できます。児童がデジタルペンで描いた絵がコンテンツとして取り込めたり、複数のiPad間で通信をするなどしてコンテンツを共有するなどの仕掛けを用意しています。小学校低学年の児童を対象に「美術」「国語」「理科」「算数」などの各教科の教材をビジュアル中心にして楽しみながら学べるコンテンツにしました。制作したプロトタイプを参加型のワークショップとして活用します。」(募集要項より)
女子美術大学未来教科書プロジェクトは、女子美術大学メディアアート学科の学生が、大日本印刷株式会社の技術協力を得て、ビジュアル表現力を活かした新しいデジタル教材のプロトタイプ制作を進め提案するものです。デジタル教科書・教材が注目される中、タイムリーなワークショップでした。ぼくらのデジタル教科書プロジェクトとも連携していきたい取組です。

優秀賞2:なおやマン「ヘンテコ影パーティー
なおやマンとすいそくん、歌のお姉さんやダンスのお姉さん達と一緒に、楽しい影をつくって、みんなであそぼう! 普段、何気なく目にしている「影」をテーマに、影や光について興味を持つきっかけをつくるワークショップです。無関心だったものに興味を持ち、想像力を膨らませてほしい。」((募集要項より)
なおやマンさんは、昨年も優秀賞を獲得しています。環境・エネルギー・食・科学など幅広いテーマで、ヘンテコないつもと違う視点で体験・体感するワークショップやショーを通して、毎日の生活をわくわくに変えていくプロジェクトを展開し続けています。今年は、暗い部屋でいろんな色の光を使っていろんな色の影を作り、子どもたちが新鮮な驚きを見せていました。これから光や影の見方が変わるでしょうね。さすがだなぁワークショップ。

特別賞:noridan
審査員特別賞が韓国のパーカッションパフォーマンス集団「noridan」に与えられました。
その内容は前回のブログに書きましたので省略します。
海を越えて大変 巨大な機材とともに参加してくれたnoridanのみなさん、本当にどうもありがとうございました。