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2018年8月30日木曜日

「ユヌス家族会議」を開催しました。

■「ユヌス家族会議」を開催しました。

「ユヌスよしもとソーシャルアクション」のキックオフとして、東京・ペニンシュラホテルにて「ユヌス家族会議」を開催し、ぼくがモデレータを務めました。
 前半が講演・鼎談、後半が芸人や企業を交えてのビジネスミーティングです。メモします。


講演・鼎談
 まずはグラミン銀行創始者でノーベル平和賞授賞のムハマド・ユヌスさんが講演。
 グラミン銀行はポケットマネーから始まった。信頼は陳腐化していると言われているが、貧困者に貸したお金は返ってきた。批判者もいる。しかし、自分が信じていることを実現する。グラミン銀行がスタートして41年。現在900万人の借り主がいる。
 全ての人間が無限の創造能力を備えている。ソーシャルビジネスは人々が持つ能力を開放する。吉本は芸人の能力を最大限に開放する。人々が共感し、それぞれの持つ能力を開放し、素晴らしい地球を生み出すことがソーシャルビジネス。

これを受けて、一橋大学・野中郁次郎先生を交え鼎談。野中さんはこう語ります。
 ソーシャルは人と人との関係性を示す言葉。共感が最重要。人と人とのインタラクションの中で新しい意味や価値、知識を生み出す。笑いも共感を生み出すアート。自分の想いを三人称にしなければ世界は変えられない。その間に二人称が確立(共感)できなければイノベーションは起こらない。自分の主観を二人の主観にし、それからみんなの主観にする。共感はAIでは置き換えられない人間の独自の能力である。暗黙知と形式知を絶えず回し続けることが重要。

お笑いの会社の吉本にできますか? 
【ユヌス】:吉本には力がある。芸人たちの能力と創造力がある。自分の持つ力を解き放つ力がある。無限のことができる。人間は共感できる能力を持っている。資本主義で私たちは目が見えなくなっている。そこに共感の目を与える。その点、吉本は素晴らしいことができる。

芸人は共感を持たせる能力が高いでしょうか?
【野中】:お笑いは顧客の視点に入り込んでいって新たな価値を生む。まさにアーティスト。オチがある。新しい意味や価値を生む。イノベーションの作法が根本的にある。住みます芸人は、地域の人が気づかない点に気づいて、新たな価値を生み出すことができる。

吉本の企画をどう見ます? 
【野中】:企業が専門別にサイロ化していることが問題。それぞれが最大化しようとすることで共感が得られなくなっている。それをぶち破って相手と共感しながらアートとサイエンスを総合することがイノベーションの発端。そのときに笑いを生み出す能力はアート。


ビジネスミーティング

課題1:「老人の一人暮らし」 
 銀シャリのネタに続き、うっほ菅原(千葉)、アンダーエイジ熊谷(岩手)、オジョー(北海道)の住みます芸人が地域の実態と悩みをプレゼン。

 これに対し、企業からの提案が相次ぎました。

・ミライロ:いかに外出しやすくするかが課題。日本はバリアフリーが進んでいる。ミライロではBmapsというアプリでバリアフリーの店舗情報を配信している。

・Momo:お年寄りの抱えている問題をシステムに上げることが難しい。MomoでパレットIoTを用いて自動管理できるようにする。

・リデル:リデルでは2万人のインフルエンサーが活動しているが、シニアインフルエンサーが増えている。地域活性化にソーシャルメディアを使う。

・Vikona:年配の方に向けたマッチングアプリが国内にない。「JOIN US」高齢者バージョンを作成し、コミュニティーを広げる方法もある。

【ユヌス】:定年退職という言葉がよくない。芸人も芸術家も料理人もクリエイティブに定年はない。捨て去られたという感情を抱かせてはいけない。引き続きアクティブな生活を送ってもらうための環境づくりが必要。

【野中】:人間の知力はセンサーとして他者と共感を結べない限りは知的に劣化していく。新しい自律的な意味を生み出せるような仕掛けと作り出していくことが重要。老人をよりクリエイティブに向かせるために、心理的限界への働きかけはできる。


課題2「シャッター商店街」
 ダイノジ大谷と神奈川住みます芸人囲碁将棋のネタに続き、桂三河(秋田)、ちゅ~りっぷ(静岡)から報告。

・コルク:沖縄国際映画祭と連動したシャッター街映画祭。シャッターをスクリーンにし、沖縄で流す映画を流して同時開催。来場者数をポイント化し、住みます芸人に付与。

・フーモア:最近コラボカフェが流行っている。住みます芸人とフーモア所属のイラストレーターをコラボさせて定期的にカフェを開いてはどうか。

・Hot Spring:名刺サイズのデバイスを使った商店街でのサバイバルゲーム。商店街にアイテムを散りばめ、地域のものを買ってパワーアップなどができる。LIVE配信し、各地で応援も。

・MotionGallery:商店街の空き店舗を地域の人のアイディアでリノベーション。新しい店舗の誘致。クラウドファンディングでお金を集める。オフラインからオンラインへ。

【ユヌス】:若い人は職や生活の価値を求めて都会へ出ていく。人がいないと商店街がシャッター街になるのはしょうがない。しかし、仕事はどこでもできる。高齢者をまた学校へ行かせたらどうか。高齢者と若い人が共存し、共に学ぶ。ビジネスを一緒につくる。

【野中】:徹底して善意でソーシャルビジネスをやるだけでは成功しないので、市場メカニズムをつかいながら利益に還元させていく。行政は縦割りなので、共感をベースにどのようにして連携するかを考える。行政が踏み込みながら市場機能を利用する。境界を超えた知を総動員する。


課題3「農業の担い手不足」
 ゆりやんレトリィバァのネタ、ぴっかり高木(山梨)、突撃パイナップル(鹿児島)、なみちゃん(沖縄)からの事例紹介。

・ジモティー:収穫期の課題が人手不足で顕著。住みます芸人を先導者とし、収穫期をスポット的に手伝うキャラバン隊などを編成し、収穫を手伝うのはどうか。

・ポケットマルシェ:農業者は”おいしい”を売ってきたが、”たのしい”も売る。収穫体験をエンタテインメントとする。農業者や漁業者をエンターテイナーにする。

・SHOWROOM株式会社:農業へのチャレンジをコンテンツ化する。人から見られることで増す楽しさがある。挑戦者をヒーロー化する。LIVE配信で共感を作る。

・Voicy :地方でヒーローを作る。方言と文化が大事。47都道府県の方言チャンネルをつくって、地元の魅力を発信。オリジンリティのあるコンテンツをつくる。

・リバネス:子どもたちがわくわくするような教育コンテンツを農業現場でつくれればいい。

・BIJIN&Co.:クラウド上でキャスティング。活躍の機会をクラウド上で提供する。

総括
【坪田塾・坪田】:クラウドギャザリングで人手を集める。yySA ファンドを立ち上げ、コンペyySA-1グランプリを開催する。スタートアップ企業と事業計画を考え1件300万円の資本金を元に事業を始める。

【ユヌス】:バングラデシュでは農家は都市へ出稼ぎに出ないといけなくなっていたが、マイクロクレジットで解決した。農村から都市部への移動が減った。若者たちは起業家に。それに対し投資を行う。小さな変革でも最終的には大きな変革になる。

【野中】:個別具体のアクションになるような提言でなければ面白くない。グラミン銀行は具体的なアクションだった。チームとしてイノベーションを起こす。スクラムを組むのは日本の強み。お笑いをベースにした総合劇で日本が変わる。


【中村】:この活動は、世界共通の17の目標 である国連の「SDGs」にも関係している。 吉本は昨年からSDGsの取組みにも注力している。今回のプロジェクトはそのゴールにむけて、アクションを共有するもの。全国の地べたから問題を「わろてんか」ですくい上げ、新しい解決法を、IT企業、大学、みんなの力で進める。それをユヌス流のビジネスにして、続けていく。壮大なチャレンジとなる。新たな家族、コミュニティを作りながら進めたい。

2018年8月27日月曜日

ユヌス・よしもとソーシャルアクションが始まります。

■ユヌス・よしもとソーシャルアクションが始まります。
吉本興業がノーベル平和賞ムハマド・ユヌス氏と「ユヌス・よしもとソーシャルアクション」を立ち上げました。

ユヌス氏の提唱する「ソーシャルビジネス」は社会問題をビジネスで解決していく取組み。
貧困、失業、環境破壊などさまざまな社会問題を、みんなに起業させ、仕事を作りながら解決していくものです。

ユヌス氏が作ったグラミン銀行は、担保なし、信用だけで、少額のおカネを貸し、貧困者に起業家能力を発揮させる仕組み。年25億ドルを900万人の貧しい女性に貸し付け、返済率は99%。
ソーシャルビジネスの利益率はほぼゼロだが社会的な見返りが大きく、経済的には自立するしかけです。

これは途上国だけのシステムではなく、グラミン・アメリカは8万6千人に5.9億ドルを貸付け、99%を超える返済率を誇るといいます。

日本も高齢化、人手不足、過疎、格差、原発、いろんな社会問題を抱える課題先進国。
これにお笑い創業106年、芸人6000人からなる吉本興業が取り組むことになったものです。
そのギャップがスゴい。

吉本興業は7年前より全国47都道府県全てで「住みます芸人」を活動させています。
地域に根ざした芸人を通じて、各地の課題に光を当てて、楽しみながら解決ができないか。
社会問題というと暗くまじめになりがちですが、それを「わろてんか」で考える。
政治家や官僚、学者などには見えない、本音の問題を芸人がすくい取る。
そしてそれをIT企業や起業家、クリエイター、学生などが解決に当たり、ビジネス化する。
それらをユルくマッチングするのも吉本の得意とするところです。

そのキックオフとして、「ユヌス家族会議」を東京・ペニンシュラホテルで開催しました。
一橋大学・野中郁次郎先生(!)も登壇。
ぼくが山口智充さん(ぐっさん)、ロバータさんと司会を務めました。

会議では、ユヌス氏を紹介する吉本新喜劇に始まり、ゆるキャラ「ユヌスくん」をサプライズで登場させるなど、ユヌスさんが怒り出さないかヒヤヒヤものでしたが、平和賞ユヌスさんは、逆に自分で「ユヌキャラ」をかぶると言い出すノリで、回りを慌てさせました。
その後、ユヌスさん自身のプレゼンに、野中郁次郎先生との討論を経て、具体的なプロジェクトが紹介されました。

銀シャリ、ダイノジ大谷さん、ゆりやんレトリィバァらが高齢化、過疎化、人手不足などの爆笑ネタを披露。
ゆりやんが昭和の映画女優「いやだわ先生」をユヌスさんの眼の前で披露したものの、ユヌスさんは何事が起きているのかという表情を浮かべていましたが、各地の住みます芸人から地域の悩み報告があり、実態が共有されました。

これに対し、会場に集ったスタートアップ企業のかたがたからIT、ソーシャルメディア、IoT、映画などの手法による解決策が提示されました。
シャッター商店街を使ったサバイバルゲーム、センサーで高齢者の家からデータを発信してお米などを配達するシステム、クラウドファンドならぬクラウドギャザリングで人を集める仕組みなども唱えられました。

プロジェクトは今後、これらにファンド機能などを結合したアクションを起こし、ソーシャルビジネスを形作っていくこととしています。

この活動は、貧困をなくすとか、健康と福祉といった国連で採択された世界共通の17の目標 「SDGs」(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)にも関係しています。
吉本は沖縄国際映画祭のレッドカーペットで 17の目標をPRするなど、SDGsの取組みにも注力しています。
これは目標・ゴールであり、今回のプロジェクトはそれに対するアクション、「そこに導く線路」(ユヌスさん)という位置づけ。

芸人がセンサーとなって課題をおもろく抽出しつつ、IT企業などとマッチングしていく手法がどんな成果を生むか。
めっちゃオモロくて、めっちゃマジメ。

壮大なチャレンジです。

2018年8月23日木曜日

総合パッケージ作りへ動く海賊版対策

■総合パッケージ作りへ動く海賊版対策

海賊版対策会議、第4回が開催されました。ブロッキングに関する英独の運用、憲法や著作権法上の論点、技術的論点、そしてフィルタリングなどブロッキング以外の措置などが審議されました。

日経xTECH浅川直輝さんがその模様を報じています。
「海賊版対策タスクフォースの第4回会合、「ブロッキングは有効か」論争はいったん収束」
ここに書かれていないことを中心にメモします。

(なおぼくのメモは残った記憶を頼りとする細かいニュアンスなどが不正確なもので、お叱りを受けることも多いのですが、それでもぼくの立場で発信・共有することに意味があろうと考えて書きます。正しいところは後日公開される議事録でお確かめください。)

まず明治大学・今村哲也さんがイギリスのブロッキングについて説明しました。著作権法に基づく裁判所の命令による仕組です。ブロッキングは効果薄との批判に対し、「多くの利用者にとって専門知識が必要で、迂回はユーザの負担にもなる。少数のアクセスが妨げられるだけでも命令は正当」と判事が断じたとのこと。

続いて早稲田大学・上野達弘さんからドイツの事例報告。著作権法の妨害者責任に基づく措置です。最高裁は、権利者が努力を尽くした場合に限定しつつ、技術的に回避可能であっても、プロッキング命令はあり得ると整理。本年2月にはミュンヘン地裁が初めてブロッキング請求を認容する判断を下したとのことです。

前回の会議では、ブロッキングの効果がない/薄いことと、制度導入の是非について、激しい応酬がありましたが、その点、英独ではそれでもプロッキングありという判断を裁判所が下しているんですね。

上野さんは、日本では侵害幇助者(ここではプロバイダ)への差止請求の位置が明確でなく、認められないという説が強い一方、現行法でも認められるという考えもあり、裁判所が判断すればブロッキングはOKとなり得ると整理しました。踏み込んだ解説です。

一橋大学・山本和彦さんは、ブロッキング請求はプロバイダを被告人とする民事訴訟が基本となると説きます。その際、サイト運営者、ユーザ、オーバーブロッキング主催者の手続保障が論点となるとのことです。

東京大学・宍戸常寿さんは憲法の観点からブロッキングの是非を問い、フィルタリングの実効性の検討が不十分だとしました。目的を「カジュアルユーザーによるアクセスを困難にすること」とすれば効果は見込めるとしても、対象サイトは真に必要な範囲に限定し、その基準も明確にすべきと主張しました。

上野さんが立法上の論点を挙げました。著作権のほか、名誉毀損、プライバシー侵害、覚醒剤取締法、銃刀法などどのような理由でどのようなサイトを対象とするか。悪質なサイトをどこまで限定するか。プロバイダに課される条件は何か。手続きは裁判所の命令か行政命令か。コスト負担をどうするか。法整備に向けた具体的な問いかけです。

ここまではブロッキングの深掘りでしたが、JPNIC前村さんは「教育、フィルタリング、検索抑止、ドメイン停止、DNS応答停止などなどさまざまなアクセス遮断の方法がある」と指摘。そのとおりです。この会議のアウトプットとしては、それら全ての方策を総合的なパッケージとして打ち出したいです。

講談社・野間さんも「文化庁のリーチサイト規制法制化の加速、違法電子出版ダウンロードの違法化を求める」とし、ブロッキング以外の対策の必要性を強調しました。海賊版へアクセスできなくする方法を総合的に講ずるという趣旨ですね。

福井弁護士は、フィルタリングの効果について正しつつ、フィルタリングに限界があるのはブロッキングに限界があるのと同じで、とはいえフィルタリングは青少年に一定の効果があるので、ヒアリング含め議論すべきとしました。

ここでカドカワ川上さんが「対象制限に賛成。私は中村座長から唯一のブロッキング推進派とのレッテルを貼られているが、私は慎重派。中村座長はブロッキングをワンオブゼムだとし、村井座長はブロッキングだけだとダダ漏れだと言うが、私はブロッキングは「最後の手段」と思っている」と発言。慎重な姿勢を示しました。

これに対し、欠席した林いづみ弁護士がペーパーを提出、アクセス制限措置を認めることが必要とし、対象を著作権侵害が明白な海外サイトに特定しつつ裁判所に措置を求める権利を新設するという案を示しました。これは今のところ最も明確で具体的な推進意見だと思います。

ブロッキングに関する技術的手法(OP53B)に関する議論もありましたが、これは浅川さんの記事に譲ります。

宍戸さんが、本件は情報社会における流通と保護のバランスを問うもので、これを解決する場や手続きが求められる、とまとめました。ぼくも本件はIT政策と知財政策のバッティングであり、今後ますます増加する政策領域を解く試金石ととらえています。

ここまでの議論により、現在の対策の評価、海外の制度、法的な論点を共有し、まだまだ掘り下げることはありますが、論点のネタはテーブルの上に揃ったと考えます。総合対策パッケージを作るというのもコンセンサスだと考えます。どのような方向性をもたせられるか、いよいよ知恵出しです。

2018年8月20日月曜日

海賊版対策、議論は核心へ。

■海賊版対策、議論は核心へ。

海賊版対策検討会議第3回@霞が関。
アジェンダは、正規版流通とこれまでの対策の検証、諸外国の対策についての2点です。
訴訟、警察の取締り、削除要請、ドメイン停止要請、広告対策、フィルタリング、教育・啓発など既存の取組状況がまず共有されました。

4/13の政府・緊急対策決定後の動きとしては、
○漫画村・Anitubeが閉鎖され、広告出稿抑止の取組も本格化して正規版の売上が回復していること
○人々の海賊版への意識が向上し、他の海賊版サイトへのアクセスも激減していること
が報告されました。対策の効果はあったと言ってよいでしょう。

ドワンゴが行ったアンケートでは、法制度の整備によるアクセス遮断(ブロッキング)が必要と考える62%、考えない20%。ネット民でもブロッキング肯定派が多数という結果です。
これをどう受け止めるか。

同アンケートでは、アクセス遮断以外の対策として、広告対策61%、検索表示削除49%、正規版強化47%。重層的な手を打つ総合対策が必要ということでしょうが、これと比べてもブロッキング肯定の意見の多さが目を引きます。

アニメ海賊版対策に力を入れてきたテレビ東京川崎さんは、元来マンガは有料でTVアニメは無料、モデルが違うと指摘したことに関し、講談社野間さんは、出版社は今Amazon型のつど課金、有料サブスクリプション、無料広告の3モデルを使い分けていると解説しました。

野間さんによれば、マンガはデジタルの売上が4割、点数も紙よりうんと多く、正規版は機能しているとのこと。講談社・集英社・小学館ら11社が出資した出版デジタル機構も順調でエグジットしたとのこと。

ネット資源を管理するJPNICが49か国向けアンケートを行ったところ、ブロッキングを71%が導入し、うち著作権侵害を対象とするのは45%の回答。ポルノ37%、犯罪・薬物33%より多いんですね。

文化庁が米英仏独加などの制度について報告。海賊版コンテンツの削除は全ての国に法的措置がある一方、ブロッキングは欧州には制度があるが米・加にはない。米にはドメイン差押えや個人のネット接続禁止があるが英仏独加えにはない。
制度はさまざまという状況です。

オーストラリアの制度について、慶應・奥邨さんが報告。著作権法にブロッキング制度を設け、裁判所による差止命令で発令する。国外のサイトのみを対象とし、ブロッキングのコスト負担は裁判所が決める仕組み。日本で著作権法で導入する場合の論点を提示。
議論が核心に入ってきました。

韓国は獨協大学の張さんが報告。文化体育観光部が放送通信委員会に要求して、情報通信網法に基づいて接続遮断できる制度。日本では文化庁が総務省に要求し、電気通信事業法で措置するイメージですね。韓国では違憲訴訟が起きたが退けられたとのことです。


さて、議論です。
気温35度の中、会議室のエアコンが故障していることもあり、ヒートアップしました。
まず川上量生さんが、インターネットの専門家はブロッキングの効果がないと考えているのか?と問うのに対し、前村さん立石さん村井純さんが効果薄/効果なしと答え、効果があるとする見方と対立しました。

続いて、森亮二さんから4/13緊急対策は現時点では当てはまらないことを決議すべきと提起しました。そうせねばNTTの現場が困っているとの意見もありました。
一方、悪質サイトは3つ以外にも16ほどある、今その旗を下ろす状況にない、啓蒙の効果があり今も重要という意見もありました。これも対立です。

ぼくも4/13当時と状況が変わったと認識しますが、政府が決定した措置であり、解釈を変更するには再度官邸での会合が必要。今それだけを行うのは建設的ではない。この会議は議決機関ではなく、決を取っても効力がない。なので委員みなさんの認識を聞いて、議事録に残すことで引き取りました。

東大・宍戸さんは、フィルタリングの効果の検証、違法ダウンロードを違法化した上での教育の強化など多層的な議論と措置を求めました。村井純共同座長も、ゴールはコンテンツの健全な発展であり、ブロッキングだけではなく総合的な対策の重要性を強調しました。賛成です。

4/13ブロッキングの政府決定は、それ自体によって状況を変えました。そして、それにより、ブロッキングがテーマのワンオブゼムになりました。神経質で重要なテーマではありますが、それだけに引っ張られず、総合的で本格的な枠組みを作ることがミッションです。
議論はいよいよ熱くなってまいります。

2018年8月16日木曜日

クールジャパン:船と猫

■クールジャパン:船と猫


 NHKクールジャパン「船」の巻。

 日本は海と川に頼ってきました。生活や経済を船が支えてきました。東京は珍しく海がある首都。それを文化という切り口で、外からの目で見てみると、いろんな発見があるかもね。

「スワンボートも屋形船も競艇も不思議」
 同じ海洋国イギリスの陸では、川の水流は動力として考えられることが多くて、逆に船の運行を妨げていたと言われます。日本は欧州のように広場は発達しなかったが、水に集った。水辺や船で歌って踊って食べた。そうして船の文化が発達してきました。

「ミリ単位で木の船を作る職人技」
 釘を使わずに木と木を複雑に組み合わせてミリ単位で組み立てる、つぎてという宮大工の技。
 平安時代、仏像を大量に作る技法として寄木造りが盛んになりました。頭や胴や手足を同時に彫刻して最後に組み立てる。ブロック工法は昔からお家芸です。

「忙しい豪華クルーズ」
 欧米は何もしないことが贅沢。プールサイドで一人で本よんで、青い海原を眺める・・
 そんなこたぁしないわけです。せっかく来た。もったいない。もったいない文化。せっかくの思想。
 日本人が何もしない贅沢を楽しむようになるまでには、もうちょっと時間をください。

 船は仕事と生活の道具ですが、それを遊びとかデザインとか、文化として発展させてるところが面白いし、職人の技術が詰まってるところが日本的。東京オリンピックは海外から日本の船でお越しいただきたく。



 「猫」の巻。

 覚えてるでしょ、暴走族の不良猫のキャラ。世界で有名な青いネコ型ロボットもいるし、赤いリボンで白い顔の猫のキャラクターもいるし。これほど独特な形で猫が愛されてる国ってないんじゃないでしょうか。

「猫ブーム」
 高齢化社会やお一人様文化とも関係している。動物は好きだけど、一人じゃ毎日散歩できない、という理由がある人は猫が選択肢の筆頭に来る。過去にも猫ブームはあったが、不景気な時に起きています。先行きが不安なので、ほっとしたい、いやされたい、という気持ちが猫に向かったのかも。

「猫の本・雑誌」
 大衆文学の元祖、夏目漱石「吾輩は猫である」も猫を主人公にして、猫目線を面白がる。神田の神保町には、猫の本ばかり集めて経営不振から立ち直ったという本屋があるほど、猫本は大人気。猫ブーム経済効果は年2兆円というデータもありまして、それだけ猫への思いが強いんですね。

「猫島」

 ネコノミクスの最も顕著な例が猫島。ただ、活性化するのはいいんですが、静かな島が急に脚光を浴びて、観光客が押し寄せて、迷惑している島もある。どうか、猫好きなかたは気をつけてください。

2018年8月15日水曜日

ポップ&テック「YouGoEx」を開催します。


■ポップ&テック「YouGoEx」を開催します。


8月21日、東京港区・竹芝にて、ポップカルチャー&テクノロジーの融合イベント「YouGoEx」を開催します。


竹芝地区ではIT、通信、放送、コンテンツなど50を超える企業・団体により、ポップ&テックの集積する国家戦略特区「CiP」が構築されつつあり、2020年に街開きの予定。
YouGoExはそのショウケースでもあります。

街開き前ながら、音楽業界データ基盤を作る「アーティストコモンズ」、インバウンド向けおもてなしサイネージ実証、オタク研究の総本山「世界オタク研究所」、人機一体の「超人スポーツ」、スタートアップ支援のCiPファンドなど各種プロジェクトが走っており、慶應義塾大学メディアデザイン研究科KMDや2020年開学予定のi大、さらにはスタンフォード大学の機関もサテライトを置く方向で話が進んでいます。
産学連携で、さまざまな規制緩和を導入して、新しい技術、文化、産業を生む場にします。

東京がもつポップ力、テック力、そして参加して創造性を発揮する「みんな力」を集結すれば、米オースティンのSXSWや、オーストリア・リンツのアルスエレクトロニカを超えるエッジなイベントができるんじゃないか。渋谷や秋葉原のようにできあがった産業文化がなくて、だけど海がある竹芝が特区として磁場になれば、次の東京が現れるんじゃないか。

YouGoExはそんなことを期待してスタートします。
汗がしたたるアジアの夏に、新しいカルチェ作りのチャレンジです。
プログラムは以下のとおりです。

○オープニング
 小林史明総務大臣政務官と遠藤諭さんによるトークセッション。
「テクノロジーと政治」―AIやロボットの進歩で変わる我々の生活と政治。
ぼくも乱入して、テックと政治とポップとCiPについて叫びます!

○Fund & Biz
 ポップ&テックのビジネスとファイナンス。夏野剛さんによる基調講演とクールジャパン機構 加藤有治さん、エルテス菅原貴弘さん、情報通信研究機構 菱田光洋さん、フーモア芝辻幹也さんらによるパネルディスカッション。

○MUSIC
 CiPの音楽プロジェクトを紹介しつつ、レインボーエンタテインメント栗田秀一氏、MCIP清水英明氏、チューンコアジャパン野田威一郎氏らが海外展開、ユーザーの変化、音楽の変貌、これからの制作・政策」について議論します。

○オタク
 スタートした「世界オタク研究所」のアニメビジネスカンファレンス。
 ゲームデザイナーイシイジロウさん、コントラ片岡義朗さん、数土直志さん、ポリゴンピクチュアズ塩田周三さん、神風動画水崎淳平さん、東京工科大学三上浩司教授がご登壇。

○Kids
 CANVASによる子どもの創作イベント「ワークショップコレクションミニ」。
 電子工作、造形など、ワークショップ6本とSTEAM KIDSの展示。
 ブームになったEdtechとものづくりWS、その老舗と本物を揃えております。親子でどうぞ。

○esports 
 eスポーツに本格参入した吉本興業。eスポーツとはいったい何か。どんな可能性があるのか。わかりやすく実感できるようなセッションを実施。
 MCは次長課長の2人!

○超人スポーツ
 設立3周年を迎える超人スポーツ協会。これまでハッカソン等の開発イベントを通じ、文化と技術が融合した人機一体の新たなスポーツの文化を広めてきました。記念シンポジウムとして、今何が求められているのかを考えます!

○海外拠点連携
 CiPとパートナーシップを結んだ韓国政府・コンテンツ振興院KOCCAの協力により、第4次産業革命とは?~デジタル×コンテンツ、新韓流を拓く~というテーマで講演。

○Tech展示/超人スポーツ
 情報通信研究機構NICTなどによる先端技術などの展示、超人スポーツによるカンファレンスも準備中です。

○Party
 毎夏恒例、産学官ごちゃまぜの交流会「デジタル暑気払い」。
 今回、初めて竹芝で開催します。あれこれ新規プロジェクトの発表もいたしたく。どなたでも参加できます。


 YouGoExは今年、来年とプレイベントとして始め、2020年の街開き以降、本格化させる計画です。竹芝にできる大型ビルにはかつてオタク系催しが開かれていた都産貿(東京都立産業貿易センター)や、ホール、スタジオ、産学連携拠点などが用意されますし、周辺地区も祭りやイベントに使える場があれこれあります。新しい賑わいを演出していきたく存じます。

2018年8月13日月曜日

海賊版サイト対策はいま―ブロッキング以外の対策


■海賊版サイト対策はいま―ブロッキング以外の対策

海賊版対策会議第2回の模様をメモします。

マンガが中心話題なのですが、コンテンツ分野でもジャンルにより市場構造はさまざま。2016年のマンガは電子が35%。アニメは配信が19%、動画は4%。音楽は配信が8%で、なんとライブが24%に高まっています。そんな中、電子の海賊版にどう対応するかがテーマ。



正規版流通の取組、削除要請や訴訟、海外との競技、広告対策などブロッキング以外の対策について状況を共有しました。
出版社の努力不足を批判する声もありますが、ぼくは被害者がよくがんばっているという印象です。

出版9団体で構成する出版広報センターが海賊版WGを3月に発足、正規版マークとホワイトリストを作成。出版各社は海賊版への削除要請、広告出稿停止要請、警察との連携などを進めているとのことです。

CODA(コンテンツ海外流通促進機構)のサイト削除要請による削除率はこの1年で91%。しかし応じないサイトに関し、中国政府やブラジルの警察と協議するがラチがあかない状況が語られました。

広告3団体も違法・不当サイト対策をCODAと連携して進めています。ただ、ネット広告市場に多数の事業者が参入し、運用型広告が拡大している状況で、実効性のある対策を打つのもなかなか大変です。

中高生への啓発法として、出版業界は人気キャラによるキャンペーンを張る準備をしているそうです。GoogleやLINEとの連携も進めているとか。一方、上野委員は、映像・音楽と違い出版は閲覧が適法だから、キャンペーンは効果薄ではとの疑問を呈しました。ダウンロード閲覧違法化に話が広がるかもしれません。

長田委員・瀬尾委員は、漫画村のような正規版をいかに作るのか、という大きな問いを示唆しました。知財本部・住田局長も、出版業界横断で作るべきではと示唆しました。ぼくもそれが第一テーマだと思います。音楽・映像に比べ、出版の対応は遅れています。それも共有すべき。



さて、この会議で面白かったのは、ドラゴン桜やインベスターZの作者、三田紀房さんの意見表明。まず、週刊の連載は月250万円のコストに対し収入は同額で、単行本で稼ぐというマンガ家のビジネスモデルを明らかにし、それが電子書籍で構造が激的に改善したことを教えてくれました。ネットは福音であると。

三田さんは、今後、国際競争が激化し、中国の攻勢が強まるとしたうえで、日本の戦略を問いました。ゴルフもサッカーも英国産だが、ゴルフは米国に覇権が移った。サッカーも世界的になったがプレミアリーグなど英国が存在感を保つ。マンガもサッカーのモデルを考えよう、と。

ただ、マンガは「読む力」が必要だと三田さんは言います。読み方=ルールを広げることが大切だと。京都・菊乃井の村田さんが、和食の海外展開にはダシや旨味を味わう舌を鍛えることが大事で、パリに舌を根づかせるのに20年かかったと話していたのを思い出します。

なぜマンガは音楽・映像のような動きにならなかったのかという問いに三田さんは「マンガは右肩上がりで儲かってきたので、著作権に関心がなかった」と言明。マンガ家が権利を管理するのは難しいが、エージェントビジネスがマンガ界にも起こっているとのこと。コルクのことですね。

会議を通じ、音楽・映像の分野では取組が先行しているので、それも参考に出版も対策を進める必要性を感じました。正規版の取組も大事だし、普及啓発を総務省の青少年ネット対策と連動して進めることも重要。これらを含む総合パッケージ対策が求められます。

2018年8月9日木曜日

クールジャパン:忍者と刃物

■クールジャパン:忍者と刃物


 NHKクールジャパン「忍者」の巻。

 赤坂の忍者レストランにはぼくも外国人を連れて行ったことがありますが、忍者って外国人観光客を誘致できる新しいクールとして改めて見直されています。強いし、カッコいいし、ミステリアス。くすぐるんですよね。ぼくが提案したテーマです。

「忍者イベント」
 忍者を盛り上げるため、もともと敵同士だった忍者も団結しようよってことになって、日本忍者協議会っていうのを2015年に作りました。ゆかりがある5県と、伊賀や甲賀といった都市が手を組んで、海外にアピール。ぼくも参加してます。

「忍者修行」
 伊賀市にある「伊賀流忍者博物館」を訪れる外国人観光客は10年で5倍も増えました。きれいな観光地を見てもらうとか、おいしいものを食べられるというレベルを超えて、忍者修行のようにコアな体験ができるようなコトづくりの観光戦略が大事になっています。

「忍者マンガ」
 忍者は単なる空想のヒーローじゃなくて、歴史の中で実際に存在しました。だからマンガも、闘いだけじゃなくて、歴史との関わりとか、人間くさいドラマとか、深みがある。幅も広い。カムイ伝のようなシリアスなものもあれば、忍たま乱太郎のような愉快なものもあります。読んでね!



 「刃物」の巻。

 和服で外国に行くと、入国審査でよく刀持ってるかと聞かれます。それじゃ飛行機乗れないでしょ、と思うんですが、それほど日本と刀はセットのイメージ。それが最近、包丁とか、爪切りとか、日本の刃物がみやげの定番になってる。どういうことですかね。

「和包丁の多様さ」
 美しく切る。日本料理は美しさを重んじるが、見た目だけでなくて、美しい切り身の刺し身は細胞が潰れていないので、食べてもおいしい。いろんな魚や野菜の切り方や捌き方があって、包丁は素材や料理ごとに美味しく切るために進化してきたので、種類も多くなったんです。

「包丁供養は不思議」
 モノに魂が宿る、というのは日本独特な考え方ですが、特に、包丁のように長年使うもの、手に馴染んだものは、体の延長のように感じるんでしょう。

「先端ハサミ職人のスゴさ」
 世界の外科医が15年辛抱して1つの技を究める一人の職人の腕に頼っている。世間から認知されなくても医者が分かってくれれば、という職人気質。でも日本では、子どものなりたい職業の上位に職人が入ります。手を動かして「作る」ことの価値が認められているんです。

「日本で製造するドイツの刃物会社」
 金属を溶かして、打って、といで、芸術品のような刃物に鍛えあげるのは、日本人のストイックさに支えられた職人技。それが海外のマーケティングや経営と連携することで産まれるものって、刃物以外にもいろいろあるはず。


 刃物って無機質だけど、食文化とか、職人気質とか、技術とか、いろんなものが詰まっていて、その全体が外国人に評価されてるんだな、ということがわかりました。大事に扱いましょう。

2018年8月6日月曜日

海賊版対策会議、議論が始まっています。


■海賊版対策会議、議論が始まっています。

政府・海賊版サイト対策会議が
ぼくは共同座長を務めます。

4月13日に政府が緊急対策を決定しました。ブロッキングを「緊急避難」と解釈する一方、ISPには実行を要請しないものでしたが、批判が巻き起こり、賑やかな議論となりました。
「海賊版サイトブロッキングの政府方針が出ました。」
https://news.yahoo.co.jp/byline/nakamura-ichiya/20180414-00083942/

その後、事態は変化し、漫画村など名指ししたサイトはほぼ見られない状態になっています。また、NTTグループがブロッキングの方針を発表しましたが、実行はしていません。
ひとまず沈静化し、膠着状態にあるということです。

4月の対策は「政府がメッセージを発すること」が第一目的でした。
海賊版サイト対策は知財委員会で2年以上にわたり論議され、リーチサイト対策や広告対策などが各省で取られてきて、昨年来ブロッキングが残る課題でした。
被害の急激な悪化を受け、アクションを起こすことが求められていました。動かなければ不作為のそしりを免れない状況でした。
それを政府が引き取り、問題に対する政府の姿勢を示すことが主目的で、総務・経産・文科・法務省、警察庁らが合意した方針です。


その内容は、緊急避難という法解釈と、今後の法整備方針。
政府として示し得る措置を取ったものであり、民間への要請も指導もしないと政府は明言しました。ぼくはよくここでとどめたと見ています。

決定・メッセージと前後して、検索ブロックや広告配信の停止などブロッキング以外の動きも広がりました。そして問題の3サイトはほぼ見られない状態となりました。政府決定が何らか作用した面もあるでしょう。結果として事態は収まっています。「止血」措置は、ひとまず効いたのでしょう。

カドカワ川上量生さんは、漫画村などへの対策はそれまで無効だったが、4/13決定により見られなくなったこと、広告対策もようやく動くようになったこと、結果としてコミックの売上が改善していることを指摘しています。

対策に対する批判も多いのですが、では政府はどうすべきだったのか。この決定を上回る正解をぼくは知りません。あの決定がなければ今も海賊版サイトは生きていたのではないか、国民の問題意識もさほど高まっていなかったのではないかと考えます。


そこでより重要なのは次のアクション。対策会議での法制度などの検討です。ここからが本番です。

会議のメンバーには、ぼくと共同での座長として、インターネットのお父さん村井純慶應義塾大学教授が参加。憲法からは東京大学宍戸常寿教授、著作権は早稲田大学上野達弘教授、民訴法は一橋大学山本和彦教授。福井健策・森亮二・林いづみ弁護士。インターネット事業者とコンテンツ事業者の各代表が加わっています。
村井さんや宍戸さんのように前回の政府措置に反対されたかたがたが入り、これ以上ない布陣で正面から問題に取り組んでいます。
ただ、政府決定から会議スタートまで2ヶ月を要しました。この会議のメンバー選定が政府にとっても難しかったことを物語っています。


以下の3つの論点があると考えます。

1. 正規版の整備
 マンガ界などコンテンツ側は漫画村のような魅力的なプラットフォームをどうすれば作れるのか。音楽や映像の業界がネット時代のビジネスモデル構築に苦労してきたのに比べ、出版の対応は遅れています。法制度論以前に、それがまず大事だと考えます。

2. 現状の評価と対策
 3サイトが見られないか弱っており、場面が変わったという状況認識をしてよいでしょう。
 そのうえで、現行法のもとで取り得る・取るべき措置を整理したい。広告対策、削除要請、刑事手続、差止請求、フィルタリングなど。

3.法制度 
 ブロッキングその他の法制度を設ける必要性・可能性はあるのか。もし行う場合、著作権法、電気通信事業法などどの法律で扱うのか。リーチサイト対策や違法静止画ダウンロードの違法化はどうか。


第一回の会合は、議論が本格化する嵐の前の賑やかさ。海賊版対策の重要性や総合対策の必要性はコンセンサスであるものの、ブロッキングに対しては賛否が飛び交いました。ブロッキングありきの議論ではないが、ブロッキング論議を排除するものではない。対策を掘り下げよう、という整理を致しました。

川上さんが4/13の晩にニコニコアンケートを8万9千人に取ったところ、ブロッキング措置に賛成が53%で反対は19%、ネットユーザでもそういう問題意識、というデータを示しました。通信の秘密うんぬんはかなりプロの議論であり、国民全体にどういうメッセージを発するかも重要ポイントと考えます。

なお、今回、海賊版対策をきっかけに議論が盛り上がったことは、IT・知財問題を考える絶好の機会と考えます。知財本部発足から16年、これほど注目されたことはなかったかもしれません。
これをより建設的な議論に結びつけたい。

政府はIT政策と知財政策をどうすれば融合できるのか。現在のコンテンツ政策のほぼ全てがIT政策と関わります。今回の問題は著作権の保護と通信の秘密という、その本丸の調整問題です。今後もそのような案件は増えます。

この問題はその試金石。実りある議論にしたく存じます。

2018年8月2日木曜日

クールジャパン:うま味と掃除

■クールジャパン:うま味と掃除

 NHKクールジャパン「うま味」の巻。

 うま味が科学的に味の1つだと解明されたのは西暦2000年。舌にうまみの受容体、レセプターが発見された。和食がユネスコの無形文化遺産に登録されて、海外の人も日本の味のヒミツをもっと知りたいと思ってるんじゃないでしょうか。

「だしとラーメンのうま味」
 縄文時代にはカツオなどの魚がダシとして使われていたと見られます。それがかつお節などへ発展していった。今も日本人は魚のうま味にこだわり、ラーメンのダシはブタの骨や鶏ガラだけでも取れるのに魚系のうまみを加えたりします。

「かつお節と昆布」
 フランス料理のフォンドボーは10時間以上煮込んだりするが、昆布やかつお節でダシを取るのは数十秒や一瞬のインスタント。日本は水が軟水なので、ダシを取りやすいという面もあります。でもダシの元になるまでが時間がかかります。昆布は何年もかかるし、かつお節も何ヶ月もかかるんです。

「うま味の病院食」
 うま味で減塩に取り組む病院が大阪にあります。関西はうま味文化が最も栄えた地域で、いまも根強い。健康のために減塩といっても、美味しさは犠牲にしたくない。健康を保って、しかも料理の幅を広げるうま味。世界にアピールできるんじゃないでしょうか。

 縄文時代から当たり前のように保ってきた文化が、「味」だ、ってことで世界に認知されて、健康にもいい、実はスゴいものなんだ、っていうのは、痛快なテーマでした。



 「掃除」の巻。

 日本人のきれい好き、清潔さはもう世界に認知されたクールさだと思うんです。日本がキレイで清潔だっていうのは、江戸時代に海外から来た人たちがみんな言っていたことで、日本の生活文化そのものなんですよね。

「大掃除」
 年末の大掃除は、門松たてて鏡餅そなえるのと併せて、新しい年の神様、トシガミサマ、を迎える大切な準備。神様をお迎えするんですから、キレイにしなければ失礼だ、という感覚が残ってるんですよ。

「和箒」
 ホウキは、魂をはき集めることとか、邪を払うことといった、民間信仰と密接な関係があって、今でも朝一番に修行の一環としてそうじを行う感覚がある。古事記の中には既に、タマハハキとか、ハハキモチという言葉で登場して、奈良時代には祭祀用の道具として用いられていました。
 
 毎日そうじをするというのは、靴をぬいで、食べるのも寝るのも同じ部屋を使い回す、という生活様式が影響しているんでしょう。さらに、震災をきっかけに、電力を少しでも使わないようにしようというエコな気持ちが人々の中に生まれて、見直されているのかもしれません。

「車両洗浄機」

 文化と技術のかけあわせが日本の持ち味。新幹線を白装束にする特殊な洗浄機も、綺麗好きで、完璧主義っていう日本人の文化と最先端の技術力が組み合わさったもの。それが、山と海という過酷な環境とか、湿気とか、そういう日本の風土の中で鍛え上げられてきたってことでしょう。