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2010年11月28日日曜日

教育情報化のメリット


Kids 教育情報化のメリット
 産業界にしろ行政などの公的分野にしろ、情報化・デジタル化の必要性や重要性が語られて久しい。梅棹忠夫氏が「情報産業論」を発表したのが1963年、アルビン・トフラー氏が「第三の波」を著したのが1980年のことです。
 効率性を高め、生産性や創造性を増し、知識やコミュニケーションを豊かにする。どの国においても、社会の各方面で情報化の効用が認知され、特にこの10年はICTが日用品化して、ごく自然に利用されるようになりました。
 しかし、その例外が教育分野です。「いったい情報化やデジタル化にはどういうメリットがあるのか?」といった議論が続けられている分野は他にはもうありません。ひょっとするとそれはもう日本だけの特殊は光景なのかもしれません。それほどまでに教育の問題は複雑であり、繊細であり、重要ということなのでしょう。
 では、教育の情報化にはどういうメリットがあるのでしょうか。授業や学習がどのように変わるというのでしょうか。

 第一に、コンテンツやアプリケーションがデジタル化することでもたらされるメリットがあります。

わかりやすくなる。
映像や音声が使えたり、文字を大きくしたり小さくしたりすることもできる。実物の写真をカメラで撮り込んで見せたり、自然の様子を動画で示したりできる。

・楽しくなる。
 アニメを用いたりゲーム的な教材にしたり、紙ではできない工夫が盛り込める。これにより学習意欲が向上する。

くりかえせる。
反復タイプの学習にはコンピュータが最適。「反復を伴う英語、算数、漢字学習からデジタル化するのがよい」(藤原和博東京学芸大学客員教授)。「ニンテンドーDSを使った百ます計算で効果を上げている」(陰山英男立命館大学教授)。

創作、表現がしやすい。
絵を描いたり、音楽を奏でたり、プレゼン資料を作ったりすることができる。コンピュータは電子計算機として反復タイプの利用に威力を発揮するとともに、オーディオ・ビジュアル機として映像・音声・文字による創造・表現活動に力を示す。

 第二に、情報端末とネットワークがもたらすメリット、「つながる」ことの効用があります。効用としては、こちらのほうがより大きいでしょう。

・共有できる。
 先生や生徒が互いにつながることで、黒板を見るだけでなく手元の端末でも情報を共有しながら学べる。子どもたち同士が教え合い、学び合う協働的な学習が促進される。

世界の知識を得られる。
どこに住んでいても、世界の、最新の情報にネットでアクセスできる。地域の格差なく最先端の知識を得ることができる。

世界とコミュニケーションできる。
先生や生徒同士だけでなく、保護者、地域の方々とも連絡できるほか、他の学校ともつながって授業を行える。地球の裏側の子どもたちともコミュニケーションできる。

どこでも学べる。
モバイル端末なら教室の中だけでなく、図書室でも校庭でも、調べたり書き込んだりできる。持ち帰れるなら、家でも宿題をしたり友だちとやりとりしたりできる。

個別に対応できる。
先生のパソコンでは生徒たちの学習状況が一覧で把握できるので、それぞれの進度、理解度に応じた指導がしやすくなる。学習履歴を活用することもできるため、教材も生徒たちの状況に応じて個別に違うものを与えることができる。

2010年11月25日木曜日

学校の情報化事情

Kids 学校の情報化事情
学校の情報化がどのような状況にあるか、教室の環境がどうなっているのを見てみましょう。
 学校でのICT環境としては、子どもたちが使うコンピュータ、ソフトウェアや周辺機器が必要となるほか、先生が使う校務用コンピュータなども必要。校内LANやインターネット接続といったネットワークの整備も重要となります。
 まずコンピュータ。パソコンは読み書きができ、映像・写真・音楽も扱えます。双方向性があり、ネットを使った情報収集やコミュニケーションにも優れます。デスクトップ型とノート型に大別されます。
 子ども11台の環境を考えると、デスクトップ型はキーボードやディスプレイが大きく使いやすい面がありますが、収納や移動に難があります。最近はノート型パソコン、特にペン入力で手書きができるタブレットパソコンを使う学校が増えています。
 新しい種類の情報端末も登場しています。例えばiPadに代表されるスマートパッド。大学などでは学生全員に配給するところも現れています。指による直感的なタッチパネル操作が可能。だが、ペン入力には不向きで、パソコンに比べペンを使った書き取りや電子ノートとしての使用には難があります。
 iPhoneやアンドロイドケータイも情報端末の候補となります。これも大学などで一人一台使わせている例があります。ニンテンドーDSのような携帯ゲーム機も算数や漢字の書き取りなどで使われています。
 キンドルに代表される電子書籍リーダーも、文字・静止画ベースのデジタル教科書を読むには適しています。目が疲れにくく、軽くて扱いやすい。バッテリー稼働時間が長い。キンドルだと約2週間もつ。だが、動画の表示ができません。
 つまり、どのような学習、どのような指導をするのか、によって適性が分かれるということ。授業で使用する場面を想定し、操作性、視認性、可搬性、ハードディスク容量、バッテリー稼働時間などを勘案して選定することになります。

 周辺機器も大切。授業では電子黒板、プロジェクタ、デジタルカメラ等が使われます。
 電子黒板は、コンピュータの画面上の教材をスクリーン又はディスプレイに映し出し、文字や絵の書き込みや移動、拡大・縮小、保存等ができる装置。プロジェクタに接続してスクリーンに投影するユニット型やボード型、大型ディスプレイ状の一体型があります。
 画面に映し出された図形や文字、絵、写真等をタッチパネルで動かしたり、大きく表示したりすることができます。専用のペンを使って黒板と同じように書き込むことができ、画面も書き込んだ内容も簡単に保存することができます。
 プロジェクターは、実物投影機・デジタルカメラ・DVDPC等の機器と合わせて用いて教材を提示します。見る人数や教室のレイアウトに応じて画面サイズが変えられることも利点。
 デジタルカメラも使います。野外観察で撮影した写真をコンピュータに取り込んですぐに映し出します。調べ学習の際には撮影した写真をまとめの資料に貼り付けられます。動画での記録もできます。授業中に生徒のノートを写真に撮って、その場で大きな画面に映します。電子黒板を使えば、画像の上に印を付けたり補足を書いたりすることもできます。

 教育用ソフトウェアには、文書や図表作成等に使う基本的な「アプリケーションソフトウェア」、教科指導に用いるために特に工夫された「学習用ソフトウェア」、成績処理、時間割作成、保健管理などに用いる「校務用ソフトウェア」などに大別できます。
 基本的なアプリケーションソフトウェアとしては、OSや言語処理ソフトのほか、ワードプロセッサ、表計算、データベース、図形作成、プレゼンテーションが挙げられます。また、インターネットを使うためのものとして、ブラウザ、電子メール、ホームページ作成、ウィルス対策、情報セキュリティ、フィルタリングが挙げられます。
 学習用ソフトウェアは多様。ドリル学習型、解説型、問題解決型、シミュレーション型、表現・コミュニケーション用のツール型、情報検索用のデータベース型など。多くの企業がいろんなソフト/コンテンツを提供するようになり、数も種類も豊富になりました。有料のものや無料のもの、DVDCDといったパッケージのもの、インターネットによりダウンロードするものなどさまざまです。
 コンテンツは教員が自ら作成することもあります。植物、街のしくみ、献立の栄養素。デジタルカメラで素材を撮影し、プロジェクタを使って大きく見せるだけでも効果は高い。プレゼンテーションツールのアニメーション機能を使って、答えが見えたり消したりするようなコンテンツも簡単に作成できます。

 ただし、デジタル教科書=コンテンツの制作はそう簡単なことではありません。デジタル教科書は、主に教員が電子黒板などにより子どもたちに提示して指導するための「指導者用」と、主に子どもたちが学習するための「学習者用」に大別されます。現在、若干の教科書発行者から発行されているのは、いずれも指導者用デジタル教科書です。
 教科書協会が教科書会社にアンケートを取ったところ、指導者用の教科書では、小学校向けは7割の教科書会社が発行予定ないし検討中としています。これに比べ中学校向けでは検討中とするところが多く、発行予定とするところは少ないです。
 これに対し、学習者用はまだ模索段階。児童用の教科書では、小学校向けも中学校向けも発行予定としている会社はなく、検討中が3〜4割程度だといいます。未だコスト面がネックとなっているようです。また、活用するための学校側のインフラが不十分であることや、デジタル教科書を使った授業の開発が不十分であることもまだ本格制作に移れない事情のようです。

2010年11月23日火曜日

カラオケ・サイネージ

■Pop カラオケ・サイネージ

 2009年1月8日の英紙インディペンデントは、英国人を対象にした英政府の調査で「最も重要と思いつつも最も不快に感じる発明品」として、日本発祥のカラオケが1位となったと報じました。
 発明者、井上大佑氏。
 1999年、米タイム誌で「毛沢東やガンジーがアジアの昼を変えたならば、井上はアジアの夜を変えた」と紹介され、2004年にイグノーブル賞を受賞しただけのことはあります。
 1971年に発明されて以後、カラオケは、もう知る人も少ない8トラック、CDなどを経て、1980年代後半、レーザーディスクのシステムが現れ、映像メディアとなりました。
 1992年にはタイトーが通信カラオケを発売、通信メディアとして発展してきました。

 チェーン「パセラリゾーツ」の中規模店に入ってみます。
 まず驚いたのはその局数。保有数60万といいます。
 世の中、そんなに曲ってあったのか。
 少しチェックしてみると、私の関わっていた「少年ナイフ」は、Riding on the RocketTwist Birbieなど18曲。
 「ボ・ガンボス」は、魚ごっこ、泥んこ道を二人でなど26曲。
 驚きました。ならば60万ぐらい行くかも。
 場末感満載だった昔のカラオケと違って、ここは高級リゾート地の清潔感で売ります。
 料理も充実。昼は歌わず食事だけのOLたちや家族連れも多いといいます。
 全体の1/3の時間はカラオケに使われていないそうです。
 歌っていない間のディスプレイは絶好のCMメディア。密室サイネージです。

 「炎の料理対決」。この店が秋限定で行っているキャンペーン映像が流れ出しました。
 韓国、トロサーモンのユッケ。チャンジャと牛肉。対するイタリア、タコとトマト煮込みとチーズのパイ包み焼き。サーモンのアーモンドパン粉焼き。
 なぜ韓国vsイタリア対決なのかの説明はありませんが、とりあえず注文してみます。
 その他のCMも続く。
 「松田優作リターンズ。蘇る金狼。野獣死すべし。」おお懐かしい映像。DVDの宣伝です。「幻魔大戦」DVD発売中。
 「CASABIAN」武道館公演決定。「岩井あさみ でーす。セカンドシングル、リリースでーす。」
 店の案内には、「大型テレビの完全個室にてご商談、プレゼンテーションの場」とあります。
 カラオケ空間には新しい利用可能性が秘められている。

 カラオケシステムに戻ってみましょう。
 手元のタッチパネルリモコンもサイネージです。歌手、アルバム、曲名ごとに表示され、最新月間ランキングやジャンル別表示もなされます。
 ジャンルには、ヒーロー・アニメ、スポーツ、ハワイアン、軍歌、校歌などがあります。
 じゃ、校歌。六大学の校歌のほか、下関高校、県立岐阜商業、豊浦高校。どういう選択基準なのか。
 下関高校に知人はいませんが、カラオケ率がそれほど高いのか。
 ブームをキーワードに、その年に流行った曲を紹介、選曲。
「携帯電話」をタッチ。1987年。君だけに(少年隊)、2 Much, I love UC-C-B)。
「ポケットベル」。1993年。晴れたらいいね(Dreams come true)、ロンリーチャップリン(鈴木聖美 with ラッツ&スター)。
 「PHS」。1995年。ら・ら・ら(大黒摩季)、空を見なよ(シャ乱Q)。
 世相を考えてみる。メディア史の授業に使えそうです。

2010年11月21日日曜日

自販機サイネージ

■Pop 自販機サイネージ

ケータイと並び、もう一つ日本が強みをもつ機械があります。
自動販売機です。
 日本は自販機王国。国内に560万台が配備され、2006年の売り上げは7兆円にのぼるといいます。
 自販機も有望なサイネージの舞台です。自販機の中に液晶画面が埋め込まれていて、商品やキャンペーンの情報が流されるものも多い。
 24時間、電源オンで、インターネットでつなぐこともできます。その自販機がサイネージ機となっていきます。

 「坂の上の雲」で賑わう愛媛県松山市。
 駅を出て左手に歩くと、ジュース、フローズン、ホットコーヒーなど、冷たい飲料と暖かい飲物がミックスで売られています。
 右上部には小型のディスプレイが埋め込まれ、おすすめ商品のCMが流れています。
 広島市役所のロビーの自販機は、正面全体がタッチパネルディスプレイになっています。
 ドリンクを買うのも、インフォメーションを得るのも、CMを観るのもタッチで操作。
 JR池袋駅 山手線ホームには、コカコーラの自動販売機+デジタルサイネージのコーナーがあります。
 ブースの脇には隣のホームからも見える46インチの高輝度ディスプレイが2枚、内側には50インチのプラズマが1枚。
 自販機の横には19インチのタッチパネルとケータイ「ピットタッチ」が備えられ、キャンペーンのモバイルサイトに誘引します。
 駅の発券機もタッチパネルのディスプレイと化してきています。デジタル化、サイネージ化が進み、チケットを売るだけではない総合情報スポットになっていくでしょう。
 千代田線乃木坂駅。構内PASMO対応貸しロッカー。
「荷物を入れて、レバーを閉めます。PASMOSUICA、あるいは現金で払えます。」
 23個あるロッカーの真ん中に、タッチパネルのサイネージ画面とPASMOリーダー、現金スロットがセットになっています。これも一種の自販機サイネージだ。

 「タケショウ」が提供する自動販売機「アドポインター」は自販機に20インチ画面を搭載したデジタルサイネージで、地域や災害、防犯などの情報を自販機ごとに指定して配信できます。
 自販機に設置したカメラで性別や年齢を特定し、ターゲットに合わせたコンテンツを表示する人物属性判断もできるといいます。
 ケータイとの連動も予定しています。設置場所を選ばないで済むよう、通信には最大7.2Mbps高速パケット網を使用する。
 技術が集約された高度サイネージ自販機も登場しているということです。
 JR池袋駅のホームに設置されている新型自動販売機スペース「mediacure」。自動販売機とサイネージ3台が一体になっており、隣のホーム、電車に乗っている人からも見えるようにしてあります。自動販売機コーナーが集客を始めたのだといいます。
 日本型デジタルサイネージのモデルが組み立てられそうです。

2010年11月19日金曜日

教育情報化政策の新展開

Kids 教育情報化政策の新展開
 学校現場の情報化はどのように進められているでしょう。
 まず授業でどうICTが使われるかを考えてみましょう。黒板とチョークに代わる手段、先生が生徒に一斉に教材を見せる方法としては、コンピュータとインターネット、そしてネット等から入手した教材、さらにはそれらをみんなに拡大して見せる機器としてのプロジェクタや大型ディスプレイ、電子黒板が必要になります。拡大して見せるディスプレイは、カメラなどと組み合わせれば、紙の資料や生徒の作品なども表示できます。これら一連の装置が欲しい。
 生徒が個人で、あるいはグループで調べ物をしたり、作品を作ったり、学習の成果を発表するためには、個人の情報端末、パソコンが必要。今のところ複数の生徒で1台のコンピュータを共用するのが普通。もちろん、デジタル教科書を搭載して勉強したり、先生と生徒全員がネットでつながって教え合ったりするには一人一台の環境が求められます。

 IT戦略本部は2006年から2010年までの5年間で、教育の情報化を強力に推進するという計画を立てました。授業をより充実したものにするとともに、教員の校務負担を軽減することを期待してのことです。
 具体的な目標を掲げている。2010年度末つまり20113月までに、コンピュータ1台当たりの生徒数を3.6人にする。光ファイバーの超高速インターネットを100%整備。校内LAN100%。
 しかし、これがなかなか難しい。そう簡単に予算が回るわけではありません。このままのペースでは、20113月時点での目標達成は不可能。コンピュータ1台当たりの生徒数は20103月時点で6.4人。3.6人に減らすにはかなり隔たりがあります。政府は2020年にこれを1.0人に、つまり一人一台にしようとし、デジタル教科書教材協議会はさらにそれを5年前倒ししたいと考えているのですが、ハードルは高い。地域格差も深刻。1位の山梨県が4.2人であるのに対し、愛知県は8.1人と倍近い開きがあります。
 超高速インターネット100%も難しい。20103月では65.5%。超のつかないADSLなどの高速ネットなら96.7%まで来ているのですが。また、校内LAN100%もそうです。20103月で81.2%。この地域格差も大きく、富山県が99.7%とほぼ達成しているのに対し、青森県は43.1%となっています。

 教育の情報化を考える際には、どうしても情報端末やデジタル教科書など、目に見えるハードやソフトに関心が向かいますが、実はインターネットや校内LANなどネットワークの整備が非常に重要なポイント。政府が超高速インターネットや校内LANの目標を100%に据えているのも、その重要性を認識しているからです。
 校内LANを整備すれば、パソコン教室だけでなく、普通の教室や理科室、体育館など、学校のどこからでもネットが使えるようになります。無線LANにしておけば、校庭や廊下などを異動しながらでも作業ができます。授業のありようが変わります。
 同時に、みんながつながることに対する備えも万全にしておかなければなりません。学校は個人情報の宝庫。不正アクセスやミスによる情報漏洩などのリスクを減らし、セキュリティ対策を講じる必要があります。これもネットワークを設計する上での基本事項です。
 これを後押しする施策の一つに「地域イントラネット」があります。学校や役所、公民館、図書館などを光ファイバーで結び、教育、行政、福祉、医療、防災などのサービスを受けられるようにする。これも2010年度までにブロードバンド・ゼロ地域を解消し、情報の地域格差をなくすという政府目標のもとに進められています。
 こうしたハードウェアで使われるツールとしてのソフトウェアをどう確保するかも大切。ワープロ、表計算、プレゼン、あるいはネットを利用するためのソフトウェアなど基本的に備えておくべきアプリケーションもあります。最近は無料で入手、利用できるツールも増えてきましたが、どのようなツールが便利で安心して使えるかの見極めと情報共有が必要です。
 教科書や教材などのコンテンツも同様。パッケージやネットで市販されているものも数多いが、さまざまな無料コンテンツを紹介するサイトもあります。どのように利用していけばよいかのガイドラインが求められます。
 
 2009年、政権が交代しました。教育情報化政策も大きな展開を見せました。これまでの政府の取り組みをより強力に、より総合的に推進すべく舵を切り始めました。
 その第一弾が文部科学省「学校教育の情報化に関する懇談会」の開催。20104月、慶應義塾大学の安西祐一郎教授を座長とし、ぼくも参加してスタート。初等中等教育の授業におけるICT活用や校務支援、教員へのサポートなど総合的な推進方策を論議しています。
 鈴木寛文部科学副大臣は「21世紀は情報の活用やコミュニケーションが中心となる歴史的転換期。ICTを最大限活用した新しい学びが必要だ。」と述べ、この分野の先頭に立って施策を推進する考えを示しています。
 これを補完する形で情報化を進めているのが総務省。2020年までにフューチャースクールを全国展開するという目標のもと、推進事業を発足させました。全児童・全教員に一人一台のパソコン、全教室にインタラクティブ・ホワイトボードを配備し、無線LANを構築。学校と家庭との連携も図るというものです。2011年には両省が連携を深め、学校教育の情報化を推進する方針です。
 クラウド・コンピューティング技術を活用し、各学校のウェブサイトやメーリングシステム、校務支援システム、デジタル教科書・教材などの管理を行うとともに、操作支援などのサポートも組む。各学校は自前のシステムを持たないで安価に使えるよう工夫する計画。
 2010年には北海道から九州まで10の公立小学校が選定され、東日本はNTTコミュニケーションズ、西日本は富士通総研が事業を請け負って実証実験が進められています。
  官も民も、大きく動き始めました。

2010年11月16日火曜日

21世紀に求められる能力

Kids 21世紀に求められる能力
 21世紀に求められる能力とは。そしてそのための教育環境とはどんなものでしょうか。
 政府は「情報通信技術を活用して、1.子ども同士が教え合い学び合うなど、双方向でわかりやすい授業の実現、2.教職員の負担の軽減、3.児童生徒の情報活用能力の向上が図られるよう、21世紀にふさわしい学校教育を実現できる環境を整える」ことを20105月、IT戦略本部「新たな情報通信技術戦略」に盛り込みました。
 また、6 月に閣議決定した「新成長戦略」では、「子ども同士が教え合い、学び合う「協働教育」の実現など、教育現場(中略)における情報通信技術の利活用によるサービスの質の改善や利便性の向上を全国民が享受できるようにするため、光などのブロードバンドサービスの利用を更に進める。」ことを盛り込みました。教え合い、学び合い。なるほど、政府の考え方が明確になってきました。

 学校での指導内容を定める学習指導要領にも方向性が表れてきています。学習指導要領は、知識基盤社会の到来を念頭に、変化の激しい社会を担う子どもたちには、確かな学力、豊かな心、健やかな体の調和のとれた「生きる力」の育成が必要であり、確かな学力の育成には、基礎的・基本的な知識・技能の習得、これらを活用して課題を解決するための思考力・判断力・表現力、そして主体的に学習に取り組む態度等を育むことが重要であるとしています。
 ぼくが参加した文部科学省「学校教育の情報化に関する懇談会」がとりまとめた「教育の情報化ビジョン(骨子)」が目指すべき方向性をまとめているので引用します。
 「我が国の子どもたちにとって課題となっている思考力・判断力・表現力等をはぐくむためには、各教科において、基礎的・基本的な知識・技能をしっかりと習得させるとともに観察・実験やレポートの作成、論述といった知識・技能を活用して行う言語活動をより充実させる必要がある。
 この点、情報活用能力をはぐくむことは、必要な情報を主体的に収集・判断・表現・処理・編集・創造・表現し、発信・伝達できる能力等をはぐくむことである。また、基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着とともに、知識・技能を活用して行う言語活動の基盤となるものであり、「生きる力」に資するものである。」
 この「情報活用能力」というのがキーワード。1)情報活用の実践力、2)情報の科学的な理解、3)情報社会に参画する態度の3つの観点から構成されるものです。
 1)「情報活用の実践力」とは、課題や目的に応じて情報手段を適切に活用することを含めて、必要な情報を主体的に収集・判断・表現・処理・創造し、受け手の状況などを踏まえて発信・伝達できる能力。
 2)「情報の科学的理解」とは、情報活用の基礎となる情報手段の特性の理解と、情報を適切に扱ったり、自らの情報活用を評価・改善するための基礎的な理論や方法の理解。
 3)「情報社会に参画する態度」とは、社会生活の中で情報や情報通信技術が果たしている役割や及ぼしている影響を理解し、情報モラルの必要性や情報に対する責任について考え、望ましい情報社会の創造に参画しようとする態度。

 経済協力開発機構(OECD)は、「知識基盤社会」の時代を担う子どもたちに必要な能力を、「主要能力(キーコンピテンシー)」として定義付けています。主要能力は「社会・文化的、技術的ツールを相互作用的に活用する能力」「多様な社会グループにおける人間関係形成能力」「自律的に行動する能力」の3つのカテゴリーから構成されます。「社会・文化的、技術的ツールを相互作用的に活用する能力」の中には「知識や情報を活用する能力」や「テクノロジーを活用する能力」が含まれています。
 OECD2000年から開始した学力調査が「生徒の学習到達度調査」、いわゆる「PISA」。15 歳児が持っている知識や技能を、実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかどうかを評価します。
 2006 年度は、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの 3分野について調査。その結果は衝撃的でした。日本は数学的リテラシーで2000年の1位から10位に、読解力も8位から15位に、科学的リテラシーも2位から6位に後退。「ゆとり教育」を見直すだけでなく、教育全体の改革が必要との議論が盛んになりました。
 2003年に行われた情報機器の活用能力に関する調査は、よりショッキングなものでした。15歳の生徒がコンピュータを利用する割合は、日本はOECDの加盟国中で最下位に近いレベル。たとえば、「自宅で学校の勉強のためにコンピュータを使う生徒」は40%台で、40カ国中30位。韓国などの上位10カ国が90%を超えていることに比べると、日本は極端に低い。さらに、「コンピュータをプログラミングのためによく使う」という割合は、アメリカで33%、OCED平均で23%だが、日本はわずか3%と最下位となりました。

 今後の「主要能力」に関しては、他にも研究があります。欧州委員会(EU)は8つの力を掲げています。母語におけるコミュニケーション力、外国語におけるコミュニケーション力、科学技術における数学的能力と基礎的能力、デジタル能力、学ぶことを学ぶ力、社会的・市民的能力、イニシアチブと起業家の感覚の力、文化的意識と表現の力、の8つです。
 また、インテル、マイクロソフト、シスコの資金協力のもと多くの国の研究者が参画して進めている 「ATC21S (Assessment & Teaching of 21st Century Skills)プロジェクトでは、重要な「21世紀型のスキル」として、創造力・イノベーション力、批判的思考力・問題解決力、コミュニケーション力、コラボレーション力(チームワーク力)、情報リテラシー、ICT リテラシーなどの 10 のスキルが提案されています。 
 ICT教育は、情報活用能力、テクノロジー活用能力、コミュニケーション力など21世紀に求められるスキルの向上・育成を主目的とすることが求められています。もちろん学力向上や学習効率向上は重要。だがそれにばかり目を向けるべきではないということです。
 情報を主体的に処理・加工・表現できるようにする。子どもたちの多様性を尊重しつつ、個に応じた学習ができるようにする。異なる背景や多様な能力を持つ子どもたちがコミュニケーションを通じて協働し、新たな価値を生み出すことができるようにする。ICT教育に求められることは多様で、かつ求める目線も高いものがあります。

2010年11月13日土曜日

兵馬俑のカカ

■Buenos 兵馬俑のカカ

 圧倒的なもの。
 そんなものは滅多にありません。そして、始皇帝の兵馬俑はその一つ。一号坑だけで2000体の歩兵がこちらを向き、整列で迎えてくれます。それでもまだ全体の1/3しか修復していないとか。平均178cm。当時の兵士の身長より高く造ったそうです。一体一体表情が違う兵士たち、その毅然としたまなざしは、2000年の巷の争乱を地中でじっと見つめてきました。


 その入口には、下品に目立つロゴでSAMSUNGと書かれた大型デジタルサイネージが2機。これもある意味、圧倒的です。西安のシンボル、鐘楼の隣にも、巨大なLEDが煌々と不細工なアニメキャラを放映していました。古都に似合うサイネージを切望致します。



 兵馬俑坑をそぞろ歩くと、フランス、ドイツ、イタリア、ポルトガル語が乱れ飛んでいます。ヨーロッパからの見学が多い。でも、英語が聞こえてきません。アングロサクソンは来ないのか。彼らはシルクロードからは遠いのか。
 出口では、巨大な看板が迎えてくれます。カカの顔が大きく描かれています。W杯では今ひとつだったけど、カカは中国の人気者でしたか。その前で、カカ顔の1/10ぐらいの大きさの男児が、脱糞しています。ばかでかいウンコ。ある意味、圧倒的です。そういえばフランス語でカカはウンコの意味でした。
 路傍のクソに疑問。これは野グソか?屋外とはいえカカ前の人通りの多い通路は野ではあるまい。あるいはクソ界では屋外であれば脱糞はいずれも野グソという定義なのでしょうか。
 
 
「アバクロもラルフローレンもあるよ」。ニセポロシャツ。「ロレックスもカルチェもあるよ」。ニセ時計。「本物の軍服だよ」。本物かもしれない。「毛沢東語録だよ」。本物だろう。

 狭く暗い路地。うず高い怪しげな商品。吸い寄せられて入り込む。大好き。どこまでも続く。路地どうしの交差点は直進か右折か左折か。曲がってもここにまた来られるか。迷う、迷う。

 思い切り自転車が大声だして走り抜ける。危ねぇ。モロッコのフェズ、トルコのイスタンブール、どこが中心でどこから入ってどこに抜けるかわからない、インターネットのような路地。ここにもあったか。大好き。

 路地の出口に、清真寺。寺とあるが、モスクです。なるほど、路地はやはりイスラムの所業であったか。シルクロードの入口は、イスラムの出口でもある。これぞ国際都市。

 たたずまいはベタな中国の木造建築なれど、アラベスクの飾りがつつましく埋め込まれ、アラビア文字がところどころに見えます。アルハンブラ宮殿とは別文化に見せかけつつ、集う人々はメッカに向かって敬虔に礼拝を始めました。

 民族も、宗教も、文化も、交配してきたんですね。

 現地の人に聞きました。「イスラムの男と漢人の女が結婚するとき、女は病院で胃を洗います。豚を食ってきたから。」
 逆はどうですか。「イスラムの女が漢人など他教の人と結婚するのは許されないんです。」そうか。ユダヤもそうだとアメリカにいたころ聞きました。

 路地の出口から、路地に入り直し、ニセものと、本物を通り抜けました。

2010年11月10日水曜日

長安。

■Buenos 長安。
 ランニングシャツをまくって太鼓腹をぺろんと見せる。
 あるいは上半身ハダカ。
 定番。
 暑いときの人民服と言えよう。
 ゆったりと太極拳。

 痩せてしかめ面した老人が独り胡弓を奏でる。
 傍らでおばさん50人ばかり、大声で歌いながらパラパラのように踊っている。
 玄奘はミュージシャンで、楊貴妃はインプロビゼーションのダンサーだったそうだ。

 男は奏でる。
 女は舞う。
 バック転をする娘。
 見守る母。
 すごいね!舞うね!ほめると何度も何度も繰り返す。
 えらいね!舞うね!何度も何度も。
 地面で男児どもがメンコをしている。
 丸形だ。
 隣の地面の石に水をしたたらせた筆で草書を走らせる男。
 その真似をする子どももいる。
 書道教室か。
 めざせ王羲之。

 ドラム缶のような壮年の男女がスマッシュ合戦のすさまじいラリー。
 だが卓球台を見ているのはぼくだけだ。
 日本なら人だかりができるはず。

 みな思い思いの朝。
 めいめいに幸せ。
 うんと昔から、みなこうして幸せ。


 長安。
 今の名を西安といいます。
 京都人がここを訪れるのは人生の宿題。
 ぐるりと町を巡る全長13.7kmの城壁は、外濠との間に、延々と細長く続く公園を形作っています。
 ゆったりと幸せな朝が、ぐるりと町を取り囲む。

 よし、城壁を上ってみましょう。

 西暦582年に始まり、明は1370年に現在の形が造られた壁は高さ12m
 眼下の民家を見下ろし、とても高い。
 紀元前11世紀から10世紀初頭まで、13の王朝が都を置いた街。
 城壁が要らなかった京都と異なり、王朝が変遷し、緊迫していた都市。

 よし、もう少し高く上りましょう。

 大雁塔。

 玄奘がインドからサンスクリット教典を持ち帰って、652年に建立した7F建てのタワー。
 古都の南にあるタワーだから、京都タワーのようなもの。 ではない。

 都市を訪れると、街自慢の高みには、歩いて上るのが礼儀ってもんでしょう。
 ミラノのドゥオモ、ストラスブールの大聖堂、たわわな松の向こうに海を望む松江城。
 ヒザをふるわせ、やっとてっぺんに立ち、その地をほめる。

 来ましたよ。
 この黄砂ですっかり変色した歴史的な建造物も、文革では破壊の危機に遭ったと言います。
 現代に入っても、緊張の歴史を続けています。
 運営が難しい国です。

 そこに、立派な龍の漆喰があります。
 「この龍は、指が3本です」。
 とガイドが解説します。
 「ベムベラベロですね」と返したが、スルーされました。
 闇にかーくれて立ち小便、と唄いながら立ちションしていた友人のことを想いました。
 男は奏でる。

2010年11月8日月曜日

ケータイからのアップロード

■YouGo ケータイからのアップロード

 ケータイがデジタルサイネージにアップするタイプもあります。
 小から大への情報伝達です。
 秋葉原、ヨドバシカメラ前。
 巨大ディスプレイの下で、ケータイを手にした親子連れやアベックが画面に向かって何やら数字を打ち込んでいます。
 画面に色を塗って陣地を取るゲーム。
 買ったら東芝ウェブキャラクター「ぱらちゃん」のパーカーがもらえます。
 携帯電話をコントローラー(操作機器)としてデジタルサイネージ上のゲームを動かす。
 YouTubeからも同じゲームに参加できるため、リアルとネットの世界から複数のユーザーが体験共有できる仕組みです。
 インタラクティブ・デジタルサイネージと動画共有サイトの連携は世界初だといいます。

 総務省が2009年度に実施した「ICT先進実証実験事業」にも、デジタルサイネージとケータイの新たな連携策が盛り込まれています。
 構内などに設置が進む極小エリア基地局を活用し、そのエリア内にケータイがあることが検知されると、そのケータイの属性情報をサイネージに通知する仕掛けを実現。
 近づいてくるユーザの趣向に合った情報をすぐにデジタルサイネージに表示する試みです。
 ケータイを鳴らすなどしてユーザを近くのサイネージへ誘導し、自分が予め登録してある趣向に合った情報を表示します。
 さらに詳細な情報は店舗内で、その極小基地局経由でストレスなく入手することができる、そういった一連の動線を想定した両者の連動実験です。

 従来のようにサイネージからケータイに誘導するケースとは逆で、ケータイ経由で、しかも自分にカスタマイズされたデシタルサイネージへ誘導するという試みです。
 見過ごしがちなデジタルサイネージへの接触機会を増加させ、デジタルサイネージの広告価値の強化にも貢献するでしょう。

2010年11月6日土曜日

ケータイへの誘導

■YouGo ケータイへの誘導

 赤坂のTBS放送センター。その1Fに風変わりな機械を見つけました。
 ジュースの自動販売機のようです。
 「TBSケータイガイド」とあります。
 正面の大型ディスプレイにはジュースやコーラが置いてあるように、四角いアイコンが4×4の16個並んでいます。
 「世界遺産」、「はなまるマーケット」、「花より男子」などの番組のマーク。
 左下の画面では出水麻衣アナウンサーが使い方を説明しています。
 「けいおん!」のアイコンをタッチして、右下にケータイをかざすと、けいおん!の着うたコーナーに誘導されたり、公式着せ替えコーナーに飛んだりします。
 「JIN--」をタッチしてからケータイをかざすと、ケータイの番組サイトに案内されます。
 テレビ局としての番組プロモーション・サイネージなのです。
 テレビもケータイとサイネージを使いつつあるのです。

 ほかにもデジタルサイネージ+ケータイの組み合わせは急速に広がっています。
 ケータイ本家も負けていません。
 KDDIauショップ池袋東口にディスプレイを設置、来店者にサービスやコンテンツの情報を案内します。
 飲食店サイト「ぐるなび」の情報も配信、フェリカのリーダ・ライタやQRコードを使い、お店やクーポン情報も提供します。
 サイネージとケータイを組み合わせた付加価値を検証するのが狙いだといいます。
 東急電鉄が駅通路に設置している端末や千葉市が行政サービスとして屋外に置いている端末もケータイ連動機能をもち、サイネージ利用者の誘導に役立てています。

 これらはいずれもデジタルサイネージからケータイへの誘導です。
 大画面で情報を発見したり認識したりします。
 そこから個人の小さな画面=ケータイに誘い込み、より深いメッセージを伝えます。
 クーポンなどお得な価値を与えます。
 デジタルサイネージは目立ちますが、見るだけであり、そこでおカネは動きません。
 でもケータイはクーポンでユーザの足を運ばせたり、ケータイ上で商品を買ってもらったりできます。
 具体的におカネが動きます。
 ケータイにとっても、自社サイトにいかにお越しいただくかが重要。
 デジタルサイネージで誘い込む。共同作業です。