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2012年11月29日木曜日

はるかなるヒマラヤとイノシシ頭

■はるかなるヒマラヤとイノシシ頭

メインの通りなのに、アスファルトは穴だらけ。
車が揺れるというより、跳ねる。
父と母に子どもが挟まって、3人乗りのバイク。
パパーン、プゥ、パラパラ。
クラクション、クラクション、クラクション。


路地だってぶっ飛ばして逆走してくる。
たまに見かける信号は、全く灯りがついていない。
気合いで横切れ。
目と目で通じ合う。
そうゆう仲になりたいわぁ。
若い男女は闊歩しながらケータイ。
バナナのぶらさげ方とリンゴの積み方には作法がある。
香辛料の積み上げ方にも、作法がある。


オヤジの天秤にも、作法がある。
ドンキングのようなイノシシの頭を置く肉屋にも、作法がある。
電柱に牛がつながれている。
その頭上では電線が25重ぐらいに巻かれている。
ペンキ屋。金物屋。チューブ屋。工具屋。


基本、DiYなんだな。
あちこちへこんだ乗り合いの三輪車はギュウギュウを通り越し、外にあふれた人が車体にしがみついている。
日本語でそれハコノリって言うんだよ。
パパーン、プゥ、パラパラ。





 標高1330m500万人都市。ネパールの首都、カトマンズです。

「マ」ではなく「ズ」、いや、「ドゥ」にアクセントがあります。最初はグー。に近い。
人より神の方が多い町。


イスラムに押されてインドから流れてきたヒンドゥーが8割、ヒマラヤの向こう、チベットからの仏教が1割。
土着信仰も混じり、独特のネワール文化を築いています。
36のジャート(民族というかカーストというか、コミュニティ)。

あんた日本人じゃね?とおぼしき人もいれば、日焼けサロンに通い詰めたギリシャ人のようなのもいます。
ぼくが着物で歩いていても、腰に布を巻いた似たような男はたくさんいるので、日本にいる時より目立ちません。
でも、オレの写真を撮れと手招きするオヤジの化粧には頭が下がりました。


町がモヤってるのは、排気ガスか、砂埃か。 
道路に座って客を待つ靴磨き3人。
たぶん、来ないね。
しゃがんで、何もしていない男5人。
潔く、日暮れを待っているのね。
道の脇はレンガがうず高い。
壊しているんだろうか。
作っているんだろうか。


赤と黄と緑の布をまとう女2人。
勢いよく歩く。
道に出てきて洗濯物を干す女2人。
かいがいしい。
脇の太い木には枝にロープをくくりつけ、ブランコにしている。
おい坊主、そんなに高くこぐと、間違ったら死ぬぞ。
路地を全速力で走り回る子どもたち。


おまえら裸足じゃないか。走れ、走れ。
同じく走る、野良犬の群れ。こんな雑踏に。
噛まれたら泡ふいて死ぬぞ。
茶色のヤギと白黒の子ヤギ。
並んで歩くが、親子か。野良か?
この、道をふさいでいる牛も、野良かなぁ。
道を外れると土煙が立ち上っている。
壊しているんだろうか。
作っているんだろうか。


 GDPは鳥取県より小さく、一人当たりだと$650、後発開発途上国。しばしば停電となります。
海外にグルカ兵を派遣し、傭兵を産業としている点では、昔のスイスのようですね。
大国に囲まれ、世界の屋根たる山脈を持つのも似ていますが、「第三の男」の台詞、スイスの同胞愛、500年の平和と民主主義は何をもたらした?  鳩時計さ。 てな のどかさはありません。


19世紀初め、英国とのグルカ戦争に敗れたものの独立を維持、しかし政治は混沌。
2008年に王制が廃止されたばかりですが、第一党の共産党マオイスト(毛沢東主義者)と、連立与党22党!と、国軍、そして大統領と首相とがせめぎ合っています。
日本の政治がまともに見えてしまうじゃありませんか。
しかし、なのに押し寄せる熱気。
ぼくがこよなく愛するこの雑踏の猥雑さは、イスタンブールやハノイ、カサブランカや西安、それらとも似た、大阪よりもでかい人口を持つ都市のみから沸き上がる発酵エネルギーなのでしょう。



カトマンズから少し外れてみる。 



寺と仏塔と、たたずむヤギ。
この光景は、知らない。


犬と、牛と、アヒルが歩いている。

 








コメを干す。
干したコメを仕舞い、またコメを干す。
女どもが忙しい。
この光景は、知ってる。
女は働き、男が遊んでいる姿は、モロッコでも見た。



そのコメを産む棚田が眼下に広がる。
陽を浴びて輝く。
その向こう、はるかなるヒマラヤが白い。


村にある学校では、灯と揺れで崩れ落ちそうな狭い校舎に、上品な英国風制服の子どもたち。
女の子たちはピアスを刺し、みな英語を話す。 
屈託なく、まっすぐにぼくの目を見抜いてくる。

見たこともない格好をしてコンピュータを手にした不思議なぼくの目を透過して、もっと遠くの、これからの何かを見つめている。

一緒に遊んでくれた、Subi(14)と、Panisuta(13)と、Samita(6)と、Rigen(12)と、Sanjey(2)
ありがとう。
名刺を渡したら、食べちゃったSanjey、ありがとう。
未来が、あるよね。またいつか、地上で、会おう。


2012年11月26日月曜日

女は二度生まれる

■女は二度生まれる


 ウディ・アレンがSight & Sound誌に発表した名作10作品。ベルイマン『第七の封印』、ウェルズ『市民ケーン』、トリュフォー『大人は判ってくれない』、フェリーニ『8 1/2』、『フェリーニのアマルコルド』、ブニュエル『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』、ルノワール『大いなる幻影』、キューブリック『突撃』、黒澤『羅生門』、デシーカ『自転車泥棒』。

 フェリーニだけ2本を入れ、しかも、「道」でも「甘い生活」でもなく、8 1/2」と「アマルコルド」。さらに、ブニュエル「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」を押した。そして、キューブリックは「2001年宇宙の旅」でも「時計じかけのオレンジ」でもなく「突撃」、黒澤は「七人の侍」でも「乱」でもなく「羅生門」にした点が彼らしいですね。

 ぼくは何でしょう。誰も聞いてくれないので、勝手に言います。
 上位に来るのは、フェリーニ「8 1/2」、ゴダール「気狂いピエロ」、パゾリーニ「テオレマ」、河瀬直美「萌の朱雀」、今村昌平「にっぽん昆虫記」・・ちなみにベストテンにハリウッドは挙がりません・・、でもそれらを上回る第一位は川島雄三「女は二度生まれる」です。


 川島雄三監督、好きです。不世出の天才です。
「洲崎パラダイス赤信号」、「幕末太陽傳」、「雁の寺」、「しとやかな獣」、名作を産みました。しかし進行性筋萎縮症という難病を患い、45歳で亡くなりました。

 長命ではないことを知りながら、縦横無尽に絵を動かし、闇を懐に、役者たちを踊るようにかけ回らせ、明日の不安を抱きつつ、人情の機微やドライな世相をリズミカルに切り貼りました。急逝により三作品が待機したまま未完だったそうです。ああ、もったいない。

 しかも、全51本の多くは駄作とされ、軽佻浮薄な作品を乱発したという評がついて回るのも彼らしい。芸術?ははっ「生活ノタメデス」、低予算でもスイスイ撮っていく。都会派。助監督だった今村昌平さんは川島監督をだらしない軟弱なヤツと見下していたそうですが、何本もコンビを組み、川島さんは弟子の行く末を随分気にかけていたそうです。ルックスをご存じないかたは、Googleで画像検索してください。かっこよくて、しびれますよ。


 「女は二度生まれる」。芸なし芸者の小えん(若尾文子)は、男を乗り換え、浮草のように漂います。芯が強く生きぬくという戦後の女性像とは対称的に、裏切られたってへっちゃらな顔をして、情を男どもに振り向けていきます。教養も品性もなく、タバコをもらい、ドドンパを口ずさむ、アプレゲールのなまめかしさ。

 若尾文子を一人前にしたかったという川島監督ですが、それよりぼくは、ヴィーナスを取り巻く男どもに惹かれます。男どもが、実に、ずるい。女が居場所を持てずにしなだれかかる男は、みな自分の本拠を侵させず、気ままに遊び、去る。山村聡、フランキー堺、山茶花究、上田吉二郎。男優の格、層の厚さはうらやましくさえある。フランキー、山茶花、若尾の3人が寿司屋でカウンターをはさんだかけひき劇は出色。邦画全盛の凄みを見ることができます。

 中でもフランキー堺。下戸の板前役は、どの出演作より画面にハマっています。96年、彼の葬儀にファンとして参列したぼくの念頭には、代表作の幕末太陽傳、岡本喜八:独立愚連隊西へ、篠田正浩:写楽、そしてテレビドラマ:赤かぶ検事奮戦記よりも、この作品がありました。


 お茶屋では境内から太鼓の音が聞こえます。靖国神社が大事な節回し役を務めます。シンボルの御紋、石段、灯籠。神社を背景にした映像は、ハイもローも、左も右も、引きも寄りも、アヴァンギャルドな浮世絵ばりのフォルム、アンバランスな構図を動かないカメラで連続して撮っていきます。靖国の場面ではサウンドも不協和音の連続。助監督としてついた小津安二郎や同時代の英雄・黒澤明なら決して許さなかった技法もまた川島監督ならでは。

 リメイクはできませんね。戦争から15年、両親を亡くした主人公と、九段会館の遺族会のアルバイト学生や17歳の工員という男の子、つまりこれから日本の成長を支える若者がいて、戦争を生き抜いたがふやけたオッサンどもがいて、世間の成長痛に直面しつつ、あらいやあね、次の人生に踏み出す話。その時代性が肝なのです。

 工員を連れて松本に赴き、そこから上高地へと向かうバスターミナルで別れて一人たたずむ。その余韻に満ちたラストシーンは映画史に残ります。小えんは未来を開いていくのか。そのまま墜ちていくのか。いかようにも解せます。


 そのターミナル「しましま」駅。この夏、クルマで向かってみました。でも、もうとっくに、ありませんでした。松本電気鉄道の実在の駅の機能は、映画のできた5年後、66年に新島々駅に移行していたんです。

 成長する中で、捨てたものもある。川島監督は、あのギラついた時代に寄り添って、あのころあそこでしか撮れない絵を描きました。軽佻浮薄の重みを受け止める、ぼくら後世の器量が問われている。この作品を見るたび、思います。

2012年11月22日木曜日

ACE2012@ネパール

ACE2012@ネパール

  ACE- the Advances in Computer Entertainment Conference-。エンタテインメントコンピューティングの学術会議です。第9回を迎える今回、会場を初の途上国、ネパールに定め、各国から100名を超える研究者がカトマンズに集いました。ぼくは初参加なのですが、同志Dr.Adrian Cheokから共同議長に指名され、そう、ホストとしてお迎えしました。デジタル技術が途上国を含む世界の文化と産業の未来を導きますように。

 ぼくの基調講演は「21st Century Digital Pop Punk Kids」。Adrianがつけたタイトル。ベタや。ぼくのこと知ってるかたなら何を話すか聞かんでもわかる、という。ネット、キッズ、ポップの政策屋としてのミッションのおはなし。公的な活動としての政策立案やコンソーシアム形成のことと、私的な活動としてのデジタルえほん開発のこと。
 いつもと違う話題としては、こんなことも。
MIT時代にセガのドリームキャストとプーチの開発にちょい関わり、ゲームのネット対応とロボットのデジタル化、つまりAtomBitBitAtomをやろうとしたが、まだ途上。
カンボジアでアニメ作りワークショップを開いた際、電気が不足していたこと以前に、アニメを見たことがない子どもたちにどう理解してもらうか迷ったものの、子どもたちの作品が実に美しく感動的だった。迷わず、まずはデジタルの恩恵を与えることだ。
吉本芸人のようなコメディアンや近藤等則さんのようなアーティスト、そしてアラン・ケイさんのような技術のプロ、それらホンモノに子どもが触れられる経験作りは、予期できない力を互いに与える。技術、場、人。

 コンピュータ・エンタメですから、学会とはいえ議論ばかりじゃね。実践もね。そこで学校を2校訪れ、ワークショップも開きました。モジラ主催のパラパラアニメ作りです。
 私立校の後に訪れた公立校Shree Rudrayanee Secondary Schoolは強烈でした。眼下に壮大な棚田が広がり、母親たちが収穫に体を動かし続けている、その向こうにはヒマラヤの白い山頂が連なっています。
 その村を歩き、4歳から16歳まで、260人子どもたちが熱狂的に迎えてくれる門をくぐると、建物は崩れ落ちそうで、設備も乏しい。
 でも、子どもたちは英国風の立派な制服をまとい、レジメンタルのタイを結び、黒の革靴をはいている。ネパールの公立校はこんな感じ、といいます。ハコよりヒトにかけていますね。


 その校内でACEのパネルも開催しました。ぼくに振られた質問2つ。
「エンタテイメントとは何か?」
「エンタテイメントの研究は必要か?」

ぼくが咄嗟に答えたのは以下のとおり。

1 エンタテイメントとは?
同じアニメワークショップでも、パリの子は芸術作品を作りたがり、東京の子はギャグにしたがり、カンボジアの子は家族への祈りを織り込む。文化、歴史、家族や友達との関係、コミュニケーション様式、コンテキストに依存する。
先刻、眼下に広がっていた棚田の美しさはエンタテイメントだ。この建物と生徒の制服のギャップ、そして子どもたちの目の輝きも、エンタテイメントだ。
だが、私にとって最も大事なエンタテイメントは、飲むことだ。(カトマンズに来てからすぐ酔っぱらってしまうんだが、それは標高のせいだろうか。実に効率的でよろしい。)

2 研究は必要か?
コンピュータ・エンタメが社会・経済に与える影響の研究は全く不足している。
ただ、この場に集まる多くの人が依拠する政府ないし公的セクターによる支援は限界がある。産業界による参加が重要だ。
ファミコン登場後、ゲームが子どもに悪影響を及ぼすという批判が広がった際、任天堂の山内さんは(確か)5億円をMITに寄付し、「子どもの創造性にゲームは有効に働く」とMIT教授たちが主張するようになり、批判が減少した。
ドリームキャストを発売する前、セガの大川さんは「子どもの創造力」に関する研究所を設立するため、35億円をMITに寄付し、ゲーム界が社会に貢献する未来を予期させてみせた。
近頃こうした話を聞かない。アカデミズム側もエンタテイメント業界に知恵を授けていくことが求められる。
最近、日本のソーシャルゲーム業界のために汗をかいている。放置すると政府が規制しかねないからだ。これに対し、ソーシャルゲーム業界としても、社会にとって、ユーザにとって、役に立ち、新しい文化を拓いていく展望を描かなければ、エンタテイメント産業としての拡大はない。
これに対し、アカデミズムが貢献できることは多いし、産業界としても研究コストをかける必要があろう。

 さて、国際学会に参加して、改めて限界も感じました。シンポでも「論文とデモ」の位置づけを聞く参加者がいたのですが、そのことです。純粋な科学系と異なり、コンテンツなどの創作系の場合、アウトプットがこうした学会、まして論文だけではいけない。同業の研究者同士でほめ合ったりけなし合ったりしているだけでは解がない。そのユーザたる消費者や企業に向き合わなければ。世間から評価を得るべく足腰を動かさなければ。
 そういう意味で、今回、子どものワークショップを組み込んだのは努力の表れ。学会で賞を取ろうが権威あるお方が実践しようがメディアで賞賛されようが、子どもは容赦なくダメ出ししてくれますからね。今回の学会の閉会式で、最高賞が子どもワークショップに与えられたことに拍手。
 ACE2013はオランダのEnschedeという街で開催されます。アムステルダムから電車で2時間以上。また遠いところを選んだな。もし来年も参加したら、再会しましょう。

2012年11月19日月曜日

ぼくがJASGAの事務局長を務めることになったワケ

ぼくがJASGAの事務局長を務めることになったワケ
 ソーシャルゲーム協会JASGA。ジャスガと申します。
 この協会が作られるきっかけとなったのは、コンプガチャ問題です。
 20125月、消費者庁がコンプガチャを景表法で禁止されている「カード合わせ」に該当し、規制の対象となるという見解を示しました。業界としても問題は自覚をしていました。だから事前に水面下で消費者庁と話しつつ、自主規制で健全化を図ろうと動いていました。
 ぼくはそれまでこの動きと強いつながりはなかったのですが、業界の対応にも、政府の動きにも、危惧を抱いていました。
 DeNAGREEのように裁判を起こすほど熾烈な競合関係にありながら、業界はこの危機に対応して、連携する動きを見せていました。しかし、踏み込みが甘く、遅くはないか。かつて成長産業に政府が介入してきた歴史からみて、のろのろしていると、成長産業の芽を摘むような仕打ちが来てもおかしくないぞ。
 案の定、消費者庁は規制に動きました。ただ、これに対し、消費者庁と、経産省、総務省らのスタンスの違いも見えました。健全化への要請と、成長産業への期待との対立です。この問題に関心を持つ国会議員から消費者庁の行動への疑問も聞こえました。

 まずい、と思いました。ぼくは個人として初めてパブコメに自分の意見を提出しました。ブログにも書きました。「コンプガチャ通達、要するに反対。」(2012627日)
 論点は2つ。1)恣意性について、2)国際性について。
 1)国民の権利義務を変更するのに、法令ではなく、行政内指針である「通達」で行うのは恣意的であり、不透明である。社会経済に不安定をもたらし、日本市場に対する投資家の信頼も下げる。
 2)諸外国で敷かれていないオンライン規制を国内に適用すると、海外の事業者が海外サーバで行うケースが増大する。消費者保護の観点からも、産業政策の観点からも効果が薄い。

 その後、政府関係者と話を続けました。内閣官房・知財本部のかたがたとも、健全化と成長の2元方程式について相談しました。与党・民主党、野党・自民党の国会議員のかたがたにも業界代表を紹介しつつ、業界の立ち回りかたを相談して参りました。
 ぼくが政官界と業界の双方に申し上げてきたのは、以下の3点です。
1) 産業界は自主規制に力を入れ、政府の介入は最小限にすべき。
2) 政府は業界の健全化以上に、長期的な国際競争力の向上に力を入れるべき。
3) 政官産が連携して健全化と産業発展の両立を果たすべき。

 業界としても、団体を作る方向で議論が進みました。行きがかり上、ぼくも参加することになりました。自主規制を行う方法としては、青少年のネット安全に際しフィルタリングの第三者機関EMAを作ったように、業界と独立の機関を作る方法もあります。あるいは多くの運動体を束ねた安心ネットづくり促進協議会(安心協)のような団体を作る方法もあります。
 さまざまな調整を経て結局、業界団体としての社団法人を形成し、その中に第三者機関的な評議委員会を作ることにしました。業界の代表が責任を持って問題に当たることを前面に出すと同時に、中立的な対策を取る組織とするわけです。
 その際、最大の課題は、プラットフォーム事業者やゲームサプライヤーなど熾烈なライバル関係にある関係企業が一つのテーブルにつく構図、一枚板になれる組織を構成できるかどうか、でした。関係者の多大なる努力、それは危機意識をバネにしたものではありましたが、大量の汗を流した結果、一つの解に行き着くこととなりました。

 そうなると、残る課題は「中立性」です。業界の内輪によるお手盛りの対応になるのではないか。健全化とか正常化とか言ってもしょせんはナアナアになるんでしょ。その厳しい視線を跳ね返してくには、相当の中立性・客観性が求められます。
 その条件は2つ。パワフルで独立した評議機関を置くこと。そして、事務局が中立のガバナンスを効かせること。
 前者は堀部政男師匠をヘッドにして、厳しい委員のかたがたにチェックしていただくことが了承されていたので、心配御無用。問題は事務局機構で、当初は理事会社からの出向で発足するとしても、中立性を保つクサビが必要。とうとう、ぼくが引き受けざるを得なくなった次第。

 けっこうリスクが高い。ぼくとしては。これまで「ちゃんとしなさい」と言ってればよかったのが、これからは「ちゃんとします」と頭を下げる立場。しかもそれは、ソーシャルゲームに対する世間の怒りや不安を浴びる先頭でありますから。ボコられ正直、ぼくの周りでは引き受けることへの反対が強かった。
 ただ、ここで間違うと、ソーシャルゲームという、ひょっとすると今後の日本を引っ張ってくれる産業をしぼませることにもなりかねない。政策屋としては、割に合わない取らなければならないリスクと判断しました。
 リスク。あります。漂う社会不安に対し、成果が出せるのか。不十分だった場合、さらなる規制が入ったり、第三者機関を設立したりすることになるのではないか。そして、業界内部のせめぎ合いをまとめることができるのか。協会設立の共同記者会見にも両代表が同席するのを実現できず、さっそく今後に不安を見せたのではないか。さらに、RMTを未だ放任するネット事業者や、GoogleAppleなど海外のプラットフォーマーにも影響力を行使できるのか。

 でも、まずはこぎ出すことが大事。ぼくは、目の前の問題を早期に片づけて、大きく成長するための運動に乗り出したいと考えます。80年代、任天堂の山内会長がMITへの5億円の寄付を通じて、ゲーム業界の発展可能性を唱えさせた。90年代終盤、セガの大川会長がドリームキャスト発売を前にして、MITへの35億円の寄付を通じて子どもとメディアのポジティブな研究をゲーム業界が主導することを示した。こうした未来開拓をソーシャルゲーム業界の若い経営者にも期待したい。
 ソーシャルゲームはコミュニケーション力を高める。ソーシャルゲームは豊かなコミュニティを育む。ソーシャルゲームをすれば頭がよくなる。そんな新しい文化、新しい産業を形成してくれることを願いつつ、この新組織の業務をスタートさせます。
 ご指導のほど、お願い致します。

2012年11月15日木曜日

フランクフルト雑記帳2012秋

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■フランクフルト雑記帳2012秋
  4度目のフランクフルト。最初は93年初。郵政事務次官まで務めた故・松野春樹さんが通信政策局長のころ、カバン持ちとして同行。ぼくは初の海外出張。ミュンヘンの国際会議から流れました。郵貯・簡保資金をかなりフランクフルトで運用していたので、その視察。一晩のみの滞在でしたが、小沢一郎・自民党幹事長が党を割るかどうかのカケになり、負けたぼくがマドンナのヘアヌード本を買わされた記憶があります。
 次は今から3年前。デジタルサイネージの視察。ルフトハンザ本社など。そして2年前。フランクフルト大学(ゲーテ大学)でのポップカルチャー講演。で、今回は、ネット+キッズ+ポップ関連プロジェクト全般の調整です。来たら現地紙の一面を日本人が飾っていました。簡単な備忘旅行記まで。

○サイネージ
3年前にサイネージ調査に来た時には、
街の中をあれこれ探し回ったものですが、様変わり。

どこに行っても自然に存在。





空港の連結・面的サイネージ。

公共空間ではスタンダードになりますかね。




 
肉屋サイネージ。

味があります。







○デジタルえほん
ブックフェアに初めて参りました。
デジタル×絵本を重点リサーチ。
世界市場の広がりを確かめに。 


 
それ以前に、愉しいです。
アナログ。




レイアウトも商談の模様も
デジタル系イベントに比べて優雅。

出版業界の伝統がなせる技。 

 
講談社ブースにて。
KMDとの共同研究で進めていた
「コミックモーニングの国際化」、
成果を挙げたい。



  
韓国マンガが発進力を高めてるんですよね。
ぼくんちの博士課程の学生、
ユンさんも一役買ってると思われる。

互いにがんばろう。 



ただ、目当てのデジタルものは
まだ探してようやくみつかる程度。
開発は進んでいるが、
市場本格化はこれからの模様。

 
この会場も急速にデジタルの絵本が
領域を拡張するでしょう。
デジタルえほん社も
今のうちに品揃えを増やしておきます。
 


○デジタルキッズ
フランクフルト子どもミュージアム訪問。





とても不思議な空間です。
思てたイメージとだいぶちゃう。




展示の多くが
ハエ、
蚊、
ノミ、
南京虫、
シラミ、
ダニ、なんです。
ドイツ、いるのか?シラミ。 
でもニコやかに
ハエ、蚊、ノミ作り
ワークショップが開かれています。 



こちらは情報通信博物館。

今日はワークショップなし。





 そこで映画博物館へ。
「カリガリ博士」
「メトロポリス」
「ノスフェラトウ」。
 今は「気狂いピエロ」上映中。

映画博物館内で映画作りワークショップ。
明日のヴェンダース、
ヘルツォーク、
ファスビンダー。



ポップパワー
クールジャパンに沸く
フランクフルト大学(ゲーテ大学)日本学科を再訪。
教授2人なのに学生530人! 
秋に1年生160人が入学。
でも卒業は30人だって。
Wagner先生の部屋。
先生、だいじょうぶ?  
図書館の1コーナー。
ぼくの本もあるけど、これって・・・。
フランクフルト大、だいじょうぶ? 








ところで
今回のぼくの最大のミッション、
焼き豚足。