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2011年4月28日木曜日

ポリシープロジェクト2


■Buenos ポリシープロジェクト2

 KMDリアルプロジェクトのポリシー系、Polipro、2回目です。

2.デジタルキッズ(Digital Kids
 デジタル時代の子どもたちに関する研究プロジェクト。子どもたちの創造力、コミュニケーション力を育む環境を整備するとともに、未来の学習をデザインする。子どもたちのための技術開発、コンテンツ制作、ビジネス展開、国際的活動、全国の教育関係者との連携、政策提言などを総合的に進める。

1) リアルキッズ(Real Kids) 
 デジタル技術を用いて、子どもたちの創造力、コミュニケーションを育む環境を整備する。アニメ、音楽、マンガ、新聞、ゲーム、絵画、造形、空間デザインなどさまざまな創作ワークショップを企画・実施。この分野では世界をリードする活動。NPOCANVAS」と連携。青少年のネット安全に関する政策的活動も併せて行う。

 具体的活動
・本年6万人超の来場をみた世界最大の子ども創作ワークショップイベント
「ワークショップコレクション」の来年版を設計開始
・日吉、三田、東大本郷、東大駒場、早稲田、東工大、保育園などでのワークショップ
「キッズクリエイティブ研究所」を企画・実施
・これまで、アメリカ、ブラジル、イタリア、カンボジアなど海外でも
 ワークショップを展開
・今後、中国、韓国などでもワークショップ展開予定
・「デジタルえほん社」を設立、その商用コンテンツを開発中
・ネット安全はリアルキッズへ吸収し再編

参考 
 NPO法人CANVAS 
   副理事長 中村伊知哉、石戸奈々子  事務局長 飯塚春菜(KMD研究員)
   プロデューサー 宮本充、熊井晃史(KMD研究員)
    http://www.canvas.ws/
   デジタルえほん社
     代表取締役社長 石戸奈々子  取締役QQQ 中村伊知哉

    ワークショップコレクション
     http://www.wsc.or.jp/
    キッズクリエイティブ研究所
     http://www.canvas.ws/kenkyujo/index.html

 
 2) デジタル教科書(DiTT
 全ての子どもたちがデジタル教科書で学べる環境を整備する。デジタル教科書・教材コンテンツ、情報端末・デバイス、教育クラウドを総合的に整備、普及させるとともに、学校はじめ教育・学習環境の向上を目指す。このため「デジタル教科書・教材協議会」を形成し、その事務局を担うことを通じ、技術開発、コンテンツ制作、実証実験、政策提言などを進める。企業の集まりを核とするが、全国の学校関係者、政府関係者とも密に調整するプラットフォームとして機能する。

 具体的活動
119社のコンソーシアムの事務局を担当
  ・これまで、「DiTTアクションプラン」を策定
  ・これまで、「デジタル教科書革命」を出版
  ・「DiTTビジョン」を策定中
  ・「DiTT提言書ガイドライン」を策定中
  ・デジタル教科書啓発のためのアニメを制作中
  ・4月末の成果報告イベントを準備中
  ・7月末の教育イベント「デジタル教科書教材EXPO」を設計中
  ・全国の学校での実証実験を企画中

  参考 デジタル教科書教材協議会
    事務局長 中村伊知哉   事務局次長 石戸奈々子
    http://ditt.jp/

    DiTTアクションプラン
     http://ditt.jp/news/1213
    デジタル教科書革命
     http://amzn.to/gKiccr
    デジタル教科書教材EXPO

2011年4月25日月曜日

10年前のプレゼン -4 「東京をぶっとばせ」


Buenos 10年前のプレゼン -4 「東京をぶっとばせ」
 Digital Punk 21 in東京大学 2001年1月 MITメディアラボ客員教授 中村伊知哉」の問題提起21点、No.9

9. イナカよりトカイ
Valley to Alley, Tech to Art, Hard to Soft
・ベンチャーはロックバンド
Nasdaq半値、130社倒産、MBAコース鞍替え
・東京をぶっとばせ。東京に集中せよ。

 MITには一発当ててIPOでビリオネア〜で引退を目指すなんて学生がたくさんいました。ビジネススクールにはeビジネスコースもできて活況。シリコンバレーにもひんぱんに足を運びました。投資家やベンチャーの会議にもよく出席しました。話のうち1分に1回はマネーという単語が出てきました。
 つまんねぇなぁ。下品だなぁ。ネットバブル中、いつもそう思っていました。
 引退が目標なら黙ってとっととフロリダの田舎に引退すりゃいいじゃねえか。だけど、シリコンバレーみたいなクソ田舎、何が面白いんだ?サンフランシスコやボストンやNYCのほうがよっぽど刺激的だぞ。
 それはぼくが研究室の一人部屋を指向する技術屋じゃなくて、飲んで暴れて唄うコンテンツ屋だからだったのでしょう。当時そろそろITがベーシックな技術からアプリケーションやコンテンツに比重を移し、研究者よりクリエイターやアーティストが求められていたからだったのでしょう。
 セガアメリカがシリコンバレーからサンフランシスコの倉庫街に引っ越すのを手伝ったのもこのころです。日本のゲーム産業が抜群の競争力を誇っていたころで、だけどTVコンソールのハードウェアからコンテンツに体重を移動させようとしていました。となると、技術開発の静かな舞台よりクリエイターが好む喧噪に行こう、ということで。

 そしてマネーマネーと叫んでいたひとたちがバブル崩壊とともに姿を消し、eビジネスコースに群がっていたMBAの学生どもが金融コースやコンサルコースに雪崩を打って鞍替えをしました。そういう学生どもは今もみなパッとしないでしょうね。世の中、eが大事なのか金融なのかコンサルなのか、そもそもそれを見極める目を養うのがMBAだと思うので。
 ただ、ベンチャーを作るノリは勉強になりました。MITやスタンフォードの起業コンクールで高得点を出すチーム(つまり投資家の資金が集まるチーム)の基本パタンは、マネジメントとテクノロジーとデザインの3名。文系・理系・美系なのです。いまぼくたちがKMDでマネジメント・テクノロジー・デザイン、そしてポリシーの結合コースを造っている原型を当時そこに見ました。
 そして、そうしたチームを作ったり潰したりするノリの軽さ。マネジメントにしろテクノロジーにしろ、腕に覚えのあるヤツは、チームが転んでもまた別のメンバーを探して新しいチームを作ればいい。そう、ロックバンドなのです。ギター、ベース、ドラムス。そうか、好きな音を出してれば気分がいいんだから、食えなくても不安がない、そういう経験ならぼくにもあるぞ。

 そんな具合に、気合いの入らないベンチャー志向の若者に頼りなさを感じていたのは、当時ぼくがセガの大川功さんやアスキーの西和彦さんと仕事をしていたからでしょう。常人には真似のできないリスクの取り方、朝の4時までミーティングしていたのに「明日の朝の会議は8時からな」という熾烈な仕事ぶり、そして一晩で数百万円を芸者衆に上げてしまう遊びっぷり。
 日本にベンチャーを増やす必要があるとすれば、日本経済を活性化する以上に、オーナー社長にどんちゃん散財させて、日本文化を育成するという文化政策上の意義があるからだと思っておりました。

 ところで、西海岸と東海岸を行き来して、ITのシリコンバレー、コンテンツのハリウッド、広告と金融とデザインのNYC、研究開発のボストン、そうした分散構造のありようを、日本に投影するならどうだろう。当時、東京一極集中が問題視され、多極分散なんて言葉もありました。ぼくは日本は違う道を行くべきと考えました。
 まずITはボーダレス。同じインフラでも、道路や鉄道はいかに東京と結びつくかの手段であるのに対し、ITは東京をぶっとばす手段。どんな田舎もシリコンバレーやNYCやロンドンやパリや上海と直結できる。地域はそうすべき。
 一方、日本としては東京のパワーを高めて、シリコンバレーや上海と張り合わなければ沈没する。分散している余裕はない。他国のパワーを東京が吸収するためにITを使わなければならない。 
 どうですかね。当時はヘンなこと言うヤツだと叩かれましたが。
 ただ、震災への対応のドタバタ、グズグズを見る限り、日本は集中すると危険すぎるという気もしてきました。 集中と分散のバランス。改めて考えてみます。

2011年4月21日木曜日

ポリシープロジェクト1


■Buenos ポリシープロジェクト1

 KMDはリアルプロジェクトを軸に教育研究を進めるのが特徴。そのうちぼくが担当するポリシー系のプロジェクトについて解説しておきます。3回に分けて。

 ポリシー系リアルプロジェクト(PoliPro)は、
1.メディア融合(Media Convergence)、
2.デジタルキッズ(Digital Kids)、
3.ポップパワー(Pop Power
の3プロジェクトからなる。
(今回はまず1.メディア融合について記す。)

 1.メディア融合(Media Convergence)は、傘下にデジタルサイネージ(DS)、IPDC/AMIOの2サブプロジェクトを、2.デジタルキッズ(Digital Kids)は、リアルキッズ(Real Kids)、デジタル教科書(DiTT)の2サブプロジェクトを持つ。

 年間プロジェクト規模は2億円。参加スポンサーはのべ480社・団体(企業コンソーシアム会員を含む)となっている。   


1.メディア融合(Media Convergence
 通信・放送の融合や新ITメディアの開発を進める。そのための制度改革、ビジネスモデル開拓、技術開発、コンテンツ開発などを推進する。デジタルサイネージやIPDCAMIOなど新しいメディアを開拓するとともに、立法府・行政府と連携した活動を通じ「ユビキタス特区」・「ホワイトスペース特区」の創設、「情報通信法スキーム」の制定など制度面でも数々の成果を挙げてきている。

1) デジタルサイネージ(Digital Signage) 
 デジタルサイネージ(電子看板)を一大産業・一大メディアに成長させるプロジェクト。世界最大のコンソーシアム(デジタルサイネージコンソーシアム)を形成し、技術開発、ビジネスモデルデザイン、制度改革などの活動を進めるほか、イベント開催、コンテンツ開発、政策提言などを通じ、この分野の発展を牽引する。

  具体的活動
140社の企業コンソーシアムの事務局を担当
・「デジタルサイネージ白書」を出版@6月 学生が一部執筆・編集
・「デジタルサイネージジャパン」@幕張を開催@6月 目標15万人 
・「デジタルサイネージアワード」を実施中 学生コンテンツもピックアップ
・これまで、秋葉原献血サイネージ実験、渋谷Dinnersでの実験などを実施・参加
・これまで、「デジタルサイネージ革命」「デジタルサイネージ戦略」を出版
・子どものサイネージコンテンツをプロデュースする企画を検討中

参考 デジタルサイネージコンソーシアム
  理事長 中村伊知哉   事務局長 石戸奈々子(KMD助教) 
  会員企業 140
    http://www.digital-signage.jp/

  デジタルサイネージジャパン
   http://www.f2ff.jp/dsj/
  デジタルサイネージアワード
   http://bit.ly/fohiQ3
  デジタルサイネージ革命
   http://amzn.to/g6sBoa
  デジタルサイネージ戦略
   http://amzn.to/h8ymEt


2) IPDC/AMIO
 放送の電波に通信技術であるIPを乗せるサービスを開発するIP Data CastingIPDC)。その上位レイヤとして、放送波で新聞・雑誌紙面をそのまま伝送するサービスを開発するAll Media In OneAMIO)。通信、放送、メーカ、ソフトウェア、コンテンツなどの企業からなるコンソーシアムを軸に、通信・放送を融合する技術開発、サービスデザイン、ビジネスマネジメント、そして制度改革を進めるプロジェクト。

 具体的活動
 ・計50社のフォーラムを再編中:一本化調整
 ・ホワイトスペース特区4案件をTBSTFMMBS等と連携・展開中
 ・スマートハウス構想をCSK等と連携・準備中
 ・スマートTVのフォーラム作りを学生が経産省+関係企業と調整中
・これまで、「情報通信法(放送法等改正法)」の制定、「ユビキタス特区」の実現、
 「ホワイトスペース特区の制定」などを後押し、実現に貢献

参考 IPDCフォーラム、AMIOフォーラム
  代表 中村伊知哉
  会員企業 50
    http://www.ipdcforum.org/
    http://amio.jp/

2011年4月19日火曜日

有事のコンテンツ政策


■YouGo 有事のコンテンツ政策

 被災地対策から復旧、そして復興、そして新しい建設へ。歩みが出てきました。
 413日、「IT復興円卓会議」を開催しました。情報通信の復興策を論議するため、国会議員、政府関係者、放送・通信・IT業界、ジャーナリスト、NPO、学界など50名を超えるかたがたに慶應三田キャンパスにお集まりいただき、さあ歩き始めましょうというキッカケの場を作ってみました。その内容は今度しっかりまとめて報告しますね。
 同じ週、政府のIT系の場も次々にエンジンに火を入れ始めました。ぼくが座長を務める総務省のコンテンツ懇談会や経産省のスマートTV研究会も議論を再開。知財本部コンテンツ調査会も新年度の活動をスタートさせます。最終会合を延期していた文科省の学校教育情報化懇談会も招集がかかりました。
 しかし、いずれの場にも言えるのは、もはやこれまでの延長ではないということ。
 平時から有事への政策転換が必要になった。そのコンセンサスのもとでの再出発です。
 コンテンツ政策は今世紀に入りようやく政策領域として認知されたものですが、その眼目は「コンテンツ産業の発展・成長」でした。それは平時における成長戦略としての位置づけ。有事においては別の目的が先頭に立ちます。
 「安全・安心の情報共有」「海外への正しい情報発信」といったことがらです。
 そして、であるからこそ、政策としての重要性が高まっているわけです。エンタテイメント産業の拡大を目論む政策なんてものはいわば「遊び」の産業政策。これに対し、国家危急に際しての情報戦略こそがコンテンツ政策の本丸です。そういう意味では、こうした不幸な事態に至り、やっとコンテンツ政策が本分を見極める事態となった次第。
 ただ、そんな振りかぶった話を一介の民間人がしていても行政に対しては説得力を持ちません。それは政治リーダーに大声で唱えて欲しいことなので、ぼくはウラから政治家たちにインプットし、アウトプットを促します。
 さらにぼくができるのは、自分の立場で言えることを主張しておくこと。
 んで、先週・今週と話していることをひとまずメモしておきます。
----------------
 復興に際し、ITは決定的に重要です。被災地でも、生活物資の確保や道路交通インフラの整備などと並び、情報手段の確保は大事な課題です。しかし同時にぼくは、日本全体の復興策、新しい社会の建設策にどうITを役立たせていくのかに強い問題意識を持ちます。
 これまで進めてきた「経済活性化政策」よりも優先されることになろう「安全・安心政策」におけるITやコンテンツの役割を、過小評価せず打ち出していきたい。「ものづくり=技術力」と「コンテンツ=文化力」のドッキングで、安全で活力ある社会の再生を果たしたい。
 そこで3点。

1.    ネットワークの再設計 (1兆円)
 阪神淡路では固定電話がダメだったが、普及間もないケータイは通じました。今回はケータイもダメ。ネット、特にtwittermixiなどソーシャルメディアが活躍しました。インターネットは核戦争を想定して設計したもの。パケット通信の威力が初めて実証されました。
 では今後どうする。デバイスはマルチになります。通信・放送ネットワークも融合します。全国的に安全で柔軟なネット環境を構築する必要があります。
 たとえばデジタルサイネージ業界は震災直後、節電に協力するため灯を消しました。でも、被災地であると否とを問わず、情報を共有するコンテンツ手段としてはとても有用。こういう新メディアを津々浦々に整備しなければなりません。
 地デジ後、融合後の新しいメディア環境を改めて設計する必要があるのです。
 日本は震災の国です。アメリカが核戦争に備えIT関連の研究開発を進めたように、日本は自然災害に立ち向かう技術を研究開発し、実装し、強い国土を建設すべきなのです。

2. 海外への情報発信 (1000億円)
 震災直後からテレビ番組をNHKTBS、テレ朝、フジなどキー局がUst中継しました。海外のひとたちもリアルタイムで日本の状況をテレビ番組×ネット中継で眺めていたわけです。Ustreamの世界ユーザがその後2週間で5000万人から1億人に倍増したといいます。世界の人たちが日本を凝視したわけです。しかし、日本語の壁があり、その効果が十分であったとは言えないようです。
 今回、海外のメディアが日本を賞賛する報道も目立ちました。暴動も強奪もなく、電車を2列で待つ、冷静で毅然とした日本。こうした等身大のありようがクールジャパンの源だというものです。そうした姿を改めてコンテンツとして発信していきたい。日本の力をみせつけるチャンスでもあったわけです。
 しかし、その後の原発対応のグズグズグズグズグズで、日本のイメージは悪くなり、観光客も激減しています。ぼくの研究室にいる10名ばかりの留学生も母国から帰ってきません。エジプトに引っ込んだ学生にいつ戻るのか聞いたら、「エジプト政府が日本は危ないから行くなって」とのこと。内戦状態のオマエんちより危ないのかおれたちは!
 今こそ正確な情報をさまざまなチャンネルで発信しなければ。Yokoso Japanどころではありません。ヒマな政治家はみな海外にプレイアップしに行ってくれ!海外メディアを買うなりチャンネルを押さえたりするほか、日本語サイトの多言語翻訳も進めたいです。

3. IT利用促進 (2兆円)
 ネット上の流言飛語が問題視されています。政府はネット業界に健全化策を要請しています。でも、Twitterなどでデマが流れても自浄作用で30分ぐらいで収まっています。日本ネット社会はそう弱くはありません。心配ゴム用。まぁ政府が規制のポーズをとるなら、民間は「わかりましたポーズ」をとっておしまいにしましょう。
 政府もわかってるんです。今すべきことはそれじゃないって。逆だってことを。
 今すべきことは、もっとITを使うようにすることです。今回、被災地でソーシャルメディアが役に立ったと言っても、高齢者の普及はまだ低い。でも、使えたらもっとみんな安心して対応できたはずなんです。
 もっとITが場所や世代を超えて使えるよう環境を整えること。すなわち、情報格差の是正、情報リテラシー教育の充実。
 被災地では、63万冊の教科書が流されてしまったといいます。カルテが流されて必要な薬がわからなくなったりしている人も多いと聞きます。そんなのはコンテンツをデジタル化し、クラウド化しておけばよいということ。これは被災地対策ではなく、全国の情報化策として手当てしておくべき問題です。
 そういう利用面の対策もコンテンツ政策として強力に乗り出すべきです。

2011年4月18日月曜日

10年前のプレゼン-3 「ちっとも賢くなっとらん」


Buenos 10年前のプレゼン-3 「ちっとも賢くなっとらん」
  Digital Punk 21 in東京大学 2001年1月 MITメディアラボ客員教授 中村伊知哉」の問題提起21点、No.5からNo.8まで。

5. 先生よりともだち
・フリーズするな、しかも指図するな
・「1億倍速くなったがちっとも賢くなっとらん」(ミンスキー)
・笑わせて、泣かせて、励ましてくれる?

 デジタル社会の居心地の悪さに文句言ってますね。このころ使っていたPCWindowsMacもよく凍るくせにそのたびユーザを上から目線で非難するメッセージを発していました。あぁ、アメリカだな。日本製テレビは決してそんなことしません。
 人工知能の大家、マービン・ミンスキー(は当時ぼくの同僚でした)が言うとおり、コンピュータはこちら側を向くことはなく、いつもぼくに命令する上司か知識を授ける教師だったのですが、ぼくは 共に泣き笑いするともだちが欲しかったのです。アイボやたまごっちのような。その回答はきっと日本が出してくれる。そう思っていました。

6. 分散より融合
・ネットワークとプラットフォーム=インターネット
・プラットフォームとコンテンツ =デジタルテレビ
・ネットワークとコンテンツ   =通信放送融合
ATT,Quest,TW,US West,MSAOL,MCI,BA,SBC。どこが競争だ。

 一方、デジタル技術は高速化だけでなく、ネットワーク、プラットフォーム(デバイス)、コンテンツのデジタル3要素を融合させる方向にも進んでいました。その回答は、インターネット、デジタルテレビ、通信放送融合という明確なものでした。アメリカはそれを市場競争を通じて実現すると国際社会にプレッシャーをかけながら、実際には競争を忌避し、融合と集約で達成しようとしていました。


7. 有線より無線
・米:シニアのビジネス利用 日:青少年のパーソナル利用
・米:ダイヤルアップ 日:ケータイネット

 ハッキリしてきたなぁと思ったのが、日米の情報社会像の違い。アメリカはPC-ネットのビジネス浸透が軸をなしていて、あらゆる言動がそこから発してきます。でも当時、既に日本は女子高生のケータイネット利用が情報社会を牽引していました。だから、議論がかみ合いませんこと。ただ、だから日本はダメなんだというアメリカからの、そして日本国内の論調には結構ガマンならず、それは優劣ではなく差違なのです、と。

 8. IT産業より産業IT
IT産業はGDPの8%。残り92%のIT化が問題。
・リストラのための情報化と情報化によるリストラ不安
B2C ’99  $3.5B、米$24B
・ネット普及 US39%、日21% モバイル普及 日41%、米34

 ネットバブル崩壊でシュンとする日米の状況には強いいらだちを感じていました。おいおい、ITの意味を、IT「産業の拡大」に置いていたのか? そんなのはせいぜい経済の1割に満たない話。そうではなく、産業全体に及ぼすITの意味をこの際とらえてみませんか?IT産業40兆円より、GDP500兆円をどうするのか。でなければ、革命なんておこがましい。
 ITを「第三次産業革命」とする見方にも物足りなさを感じていました。ITは産業構造を変えるだけでなく、人類の思考や美意識を変えるものだから。つまり、数百年タームの問題ではなく、アナログとデジタルとで人類史を二分する、短くとも千年タームの結節点だと思っていたからです。それが21世紀の冒頭、西暦2千年紀の頭に姿を現したのは偶然ではないと。
 ところが、この視点にさえ日米には溝がありました。ITをなぜ進めるのか、という根本の意志です。日本では、情報化を進めると「リストラが増える」ことが問題という議論が多かったのですが、アメリカは生産性を高めるためにホワイトカラーの「リストラを進める」手段として情報化を推進するという明快な目的がありました。
 要するに経営層のITに対する認識の差が産業界への浸透度を分け、それがこの10年間の日本経済に尾を引き続けてきたのでしょう。

2011年4月14日木曜日

スペシャルワークショップ2011 後編


Kids スペシャルワークショップ2011 後編
ワークショップコレクション、スペシャルゲスト版。続きです。

○東京芸術大学佐藤雅彦研究室 「フリップカード・アニメーション」。
 まるでマジック!?手のひらの上でアニメが見える不思議なカードを作ります! カード型のアニメーションツールを使って、質感や触感を感じるアニメーションを作ります。フリップブックのように、だれでも扱える素材ですが、中の絵を動かすことができるだけではなく、描かれたものを自分が操作して動かしているような不思議な感覚を得られる新しいアニメーションの道具です。

○「せんとくん」の作者で彫刻家の、籔内佐斗司さんプロデュースのスペシャルプログラム。
 奈良の平城遷都 1300年祭で大活躍したせんとくんの仲間たち、平成伎楽団。伎楽は8世紀に日本に伝わった仮面劇で、その後急速に衰退してしまい、今では謎の芸能と言われています。平成伎楽団のお面と装束を実際に着けてみて、簡単なパフォーマンスを覚えて動いてみます。キャラクターに変身して演技してみる感覚や感性を体験。

 ○ ミュージシャンの伊藤ふみおさん、有坂美香さんによる「くわいやー」
「くわいやー」とは、みんなで楽しく歌うこと。一緒に歌う楽しさを分かち合う。英語の歌を正しい発音で歌えるよう楽しく練習し、最後には会場に来た人たちに向けて歌います。同時に、合唱隊の衣装として、ちょうネクタ イと、ぬり絵ポスター作りにもチャレンジ。

○さとなおさんたちのチームキョリチカ「投票しよう!おとうさん党vsおかあさん党」。
 親子で参加できる1日限りの特別選挙です。おとうさん党のおとうさん、おかあさん党のおかあさんが、演説して、みんなでどっちがいいか投票します。鳩山前総理のビデオメッセージも紹介されました。

韓国・ソウル発、パフォーマンスグループ「noridan(ノリダン)」のスペシャルプログラム!
革新的な公演、クリエイティブな教育活動、そしてコミュニティデザイン事業を進めるパフォーマンスグループとしてアメリカ、イギリス、ロシア、香港など世界を廻りながら、リサイクル創作楽器の公演とクリエイティブなワークショプを展開してきたnoridanが、第7回ワークショップコレクションにやってきました。
 




廃材で作られたクジラをモチーフにしたクルマや魚の形の自転車にドラムやパーカッション、管楽器がしつらえられていて、動き回りながらパーカッション演奏が繰り広げられます。巨大な妖怪のような人形ものっしのっしとパフォーマンスに加わり、車座で鑑賞する親子たちとの間で幻想的な空間が広がります。パフォーマンス終了後は、子どもたちがパーカッションを叩いてnoridanの世界を体験。














○ぼくもKMDの学生たちとともにワークショップを行いました。「My Museum」。アートの街を造ろう。街に建つビル群の窓。その窓の向こう側にあるかもしれない光景を小さな紙に描いていきます。iPhoneでもスライドショーを作っていきます。そのアナログとデジタルの窓を、予め用意した白い大きなビル群の壁に貼り付けていき、みんなが作った窓のある架空の街を眺めてみます。よし、白いビル群もペイントしていこう。ビルの中で花火が炸裂していたり、恐竜がいたり、花畑だったり、おかあさんがいたり、世界のどこにもない街ができあがりました。

2011年4月12日火曜日

メディアポリシー基礎講座の基礎


■Buenos メディアポリシー基礎講座の基礎

 メディアポリシー基礎講座の開始に当たり、KMD新人諸君向けメモです。


1 ポリシーとは
  この講座はポリシーについて扱う。デザイン、テクノロジー、マネジメントに比べ、ポリシーには馴染みのない学生が多いため、身構えるむきもあるが、簡単なことだ。ポリシーとはパブリックの効用を増すこと、つまり、みんなの役に立つこと、ぐらいに捉えておけばよろしい。

  その間口は広い。国の復興対策も、企業がデジタルサイネージで震災情報を流すことも、個人が炊き出しのボランティアに出ることもポリシーである。
 したがって、プレイヤーの範囲も広い。国会、政府、裁判所、国際機関のほか、企業、公益法人、NPO、大学・学校、個人、どれもポリシーの主体となり得る。
 政策へのアプローチも広い。国による規制もあれば、財政・金融による支援措置もある。民間が公益的なサービスや役務を開発・提供したり、情報提供・アナウンスにより効果を達成したりするものもある。
 ポリシーとは「政府によるルール作り」というわけではないのだ。


2 3つのポイント
  そのうえで、KMDポリシートラックが重視するポイントは3つある。

1) 創造
 ポリシーは、作るものであり、調査分析するものではない。DTMPみな同じ。デザイン、テクノロジー、マネジメントがいずれも開発し実装するものであるように、ポリシーも開発し実装する。アナリシスだけをやりたければ他所で勉強することを勧める。
 さまざまなものを作る。
 法律やルール(例:情報通信法)、サービス(例:子ども創作ワークショップ)、社会運動(例:デジタル教科書)、組織(例:デジタルサイネージコンソーシアム)、イベント(例:ワークショップコレクション)、情報(例:プロジェクト関連のサイトや出版物)など。
 Demo or Die.
 その際には、必ず、DTMが必要となる。政策全体を美しくデザインし、必要かつ十分なテクノロジーを搭載し、活動を厳しくマネジメントしなければ、ポリシーはできない。DTMそれぞれにおいても、社会にどう影響をもたらすのかという点でPが求められることも付記する。

2) 実行
 ポリシーは実行されて初めてポリシーとなる。実行に至らぬものは単なるアイディアである。
 例えば「クールジャパン基本法」を作るとしよう。その政策パッケージと法案の内容を作る段階ではまだ政策ではない。それから十段階ぐらいの仕事がある。

1. 法案の策定、政策パッケージの策定
2. 担当省庁の担当課の賛同
3. 研究会の提言+民間・メディアの支持
4. 政府審議会の答申+パブコメ
5. 大臣合意、省議決定
6. 内閣法制局の審査
7. 閣議決定:全省庁の合意 –特に財務省
8. 与野党根回し
9. 国会審議、成立
10. 政省令の策定、施行

1.の段階ではアイディアに過ぎず、大した仕事ではない。知識と熱意があれば3時間でできてしまう。が、大学・アカデミズムはほぼこの段階で満足してしまう。それではポリシーのプロからは相手にされない。上記では、3., 6., 7., 8., 1.よりもうんと困難な仕事だ。2.から10.まで引き受ける覚悟が必要なのだ。

3) データ
 上記は科学として実践される。そのためにデータやシミュレーションが必要となる。
 提案の大半は利害が対立し、反対する企業・団体・個人が存在する。学界の意見も割れることが多い。このため、具体的なデータや事例、シミュレーション結果などを示しながら政策の効用を示し、国全体のコンセンサスを取っていく必要がある。アイディア時点では言いっぱなしで済むことも、制度として実装するには客観的な説得力が必要であり、それは政策を提案する側が示さなければならない。
 ところが、特に著作権制度などの分野では観念論や単なる要望が先に立ち、非科学的なやりとりに終始することが目立つ。制度改変が企業売り上げや産業構造に与える影響、社会的なコストとメリットは少なくとも試算ベースで示される必要がある。


3 政策プランの立案
 コースの途中でテーマに従ってチームで政策プランを立案・プレゼンし、ディスカッションを行う。立案に当たっては、上記を踏まえ、下記の事項を押さえておくこと。

1. 政策の必要性、目的、効果
2. 目標とゴール
3. コストと調達方法
4. スポンサー(政策を支持するセクター)
5. 反対するセクターと説得方法
6. 実行までの具体的ステップ


4 リアルプロジェクト
 
 授業と直接の関係はないが、ポリシー系のリアルプロジェクトとして採択する基準は下記の3点である。

1)     プロジェクト=作る
 ポリシーのプロジェクトは上記にかんがみ「作る」ことを要件とする。その内容は2-1)のとおり。

2)     リアル=スポンサー
 スポンサーがつくことを要件とする。スポンサーは国でも企業でもよいが、そうした組織が資金的リスクを伴ってプロジェクトに参加することを機関決定しているということ。すなわちKMDの思いつきではなく社会ニーズが現存するということ。スポンサーとの契約に至っていない案件はリアルプロジェクトとして認めない。
 なお、リアルプロジェクトはそれらスポンサーによって評価される。担当教員は無論、他の教員もプロジェクトを評論することはあっても評価はできない。教員はプロジェクトに対外的な「責任」を負うのだ。
 (この点、学生はKMDに資金リスクを負って参加しているので一定の評価権を持つ。)
 (上記2点はKMD全プロジェクトに共通。)

3)     世界一
 ポリシー・リアルプロジェクト独自の採択基準として、当該プロジェクトを続けていけば世界チャンピオンになれることを掲げる。いくら成功しても二流どまりの案件は採択しない。
 例えば、デジタルサイネージやデジタル教科書は、デバイス+クラウド+コンテンツのセットが世界をリードできるものであり、デジタルキッズの創作活動や子どもの創造力も世界に冠たるものであり、ポップパワーは日本が世界の本場になろうとするものである。

2011年4月11日月曜日

10年前のプレゼン-2 「密室で大統領決めてみろ」


Buenos 10年前のプレゼン-2 「密室で大統領決めてみろ」
Digital Punk 21 in東京大学 2001年1月 MITメディアラボ客員教授 中村伊知哉」の問題提起21点、No.1からNo.4まで。

1. オンよりオフ
・めし、ねる、くつろぐ時間の減少
・エグゼクチブの条件は情報拒絶できること=スイッチをオフできるパワーと権利
2. 便利よりカワイー
・機能、効率、進化の近代から、カッコいい・エロチック・美しい
・野茂がアメリカに与えた衝撃はトルネードのムダ
3. 平和より対立
・戦争と競争の20世紀
・ネット対立の21世紀

 ずっとモーレツに働いてきたのは、食って寝てくつろぎたかったからではないのか? デジタルで余裕が減り、24時間監視される理不尽にみなが気づく。便利、進化を求めるベクトルはきっと逆にぶれる。情報化の意味も問い直される。
 高度情報社会の目的は、世界を映像で結ぶことで人類が分かり合って平和になるというものだった。だが、つながることで差違が際だち対立も激化する。人類の進歩の原動力だった戦争(国家間抗争)と競争(企業間抗争)に変わるパワーをネットは提供できるか?
 まぁこんな趣旨です。クールジャパンが唱えられ、日本のカワイー力が注目されるのはこの12年後ですし、9/11でネット後の平和が問い直される前でもありましたから、問題設定としては早かったと思います。でも、ではどうするという答えがあったわけではありません。

 4. 居ながら より 歩いて
・日本はテレビとケータイ
・小学生のブラインドメールとストラップ
・紫式部以来、世界文化を引っ張るガングロ
 ・聞くケータイ、読むケータイ
 ・一億人の歩くテレビ局 5年後に
 ・飛行機のスナックがニンジン エコノミックアニマル
 ・密室で大統領決めてみろ

 日本型の情報社会についてです。PC+ネットのアメリカとは異なり、小学生や女子高生が親指でケータイメールを打つ姿は、これから2年後にハワードラインゴールドが「スマートモブス」で人類の進化形として表現しましたが、このころにはもう明確に世界をリードしていました。
 日本はPCではないケータイの文化を「遅れ」ととらえていましたが、「進化」ととらえて日本モデルを作るべし、という主張。
 平安女性が漢字をかなに変え女流文学を構築したように、平成女性がギャル文字で世界文化を引っ張っていると発言したところ、当時けっこうお叱りを受けましたが、それから数年後には、「なるほど!」という反応が多くなりました。それは恐らく海外から評価が逆流してきたからでしょう。
 ここで、「5年後にはビデオカメラと次世代モバイルの組み合わせはテレビ局の中継車並みの機能を持つだろう」としましたが、ティーンエイジャーがブログに動画をアップすることでそれを実証していきました。大したもんです。

 ただ、それでもモヤモヤ感がぬぐえなかったのは、そうした認識がアメリカにはなかなか伝わらなかったから。飛行機で出張すると、ぼく以外の乗客は、シートベルトサインが消えたとたん全員がPCを取り出し仕事をしていました。アメリカ人ってこんなに仕事好きなんだ。近距離フライトだとスナックにニンジンが配られたりして、それをかじりながら黙々と。
 「日本人はウサギ小屋に住むアリ」とはフランスのクレソン元首相のセリフだけど、アメリカ人のほうがよほどウサギに近いエコノミックアニマルですな。彼らが押しつけてくるITの形は日本にはどうにも収まりがよくない。それは社会構造が違うからなんだけど、話が通じないんですよね。

 この講義の少し前、200012月にはブッシュとゴアの大統領選を巡り米最高裁が判決を下しています。大統領選のゴタゴタを結局、最高裁まで争って決着させたのです。アメリカ社会は公平でオープンでクリーンだといいますが、調整して根回しして収まりをつけることは極めて不得手で。時間とコストがかかってしゃーない。この大統領選はぼくの息子たちの通っていた小学校でも各クラスを2分するほどの対立を巻き起こし、あーやっかいな社会だなぁと実感。
 同じく2000年に小渕首相の跡を森首相が継いだのは、密室談合の結果だと批判されていましたが、密室談合でトップ選ぶなんて高度は技はアメリカにはとうていできないのです。やれるもんならやってみろ。
 つまり、それぞれにふさわしいコミュニケーションやメディアのありようがあるだろう、と。