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2010年10月31日日曜日

あんたもうAPEC行った?

■Buenos あんたもうAPEC行った?
あんたもうAPEC行った?
まだ行ってへん。
あたしもやねん。もうすぐ終わるんやろ?
急がなあかんな。APEC。

というのは15年前の95年、大阪で開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の際、大阪のおばちゃんが交わした会話。
その25年前の万博ばりに人だかり感を抱かせるやりとりですが、当時テレビで紹介されていたもので、ホントの話かどうかは知りません。
で、ぼくもそのAPECというものがどういうことになってて、どのくらい賑やかで楽しいものなのか、存じません。

「アジア太平洋経済協力会議(APEC)電気通信・情報産業相会合が30日午前、沖縄県名護市の万国津梁館で開幕した。情報通信技術(ICT)を域内経済成長の牽引(けんいん)役と位置付け、ブロードバンド(高速大容量)通信網の普及促進や、医療や教育などへのICTの利活用促進策について議論する。」(2010年10月30日付け産経新聞)

そんなたいそうな会合はぼくは無関係で、呼ばれてもいません。
でもAPECの催しには興味があるので、「急がなあかんな。」押しかけてみました。
ポケモンジェットに乗って。

どうやら電気通信・情報産業相会合なるものが開かれているらしい会場は警備のおまわりさんが廊下を埋め尽くしていてただならぬ気配。
離れの建物で各国からのVIP向けに展示会が開かれていたので、そっちに参加しました。
NTVのデジタル映像伝送、auのAR、パナソニックの3DフルHDなどの展示に並んで出展していたNTT DocomoとUQのブースでは、ぼくらが携わったデジタルサイネージの実験システムをプレゼン。

そうかぼくは当事者だったのだ。

Docomoのシステムは、サイネージとケータイのドッキング。

店内に置かれたフェムトセルが来客のケータイを検知すると、ケータイがブルっと震えるので、そのケータイを見たら、サイネージを見ろというメッセージ。
そのケータイの属性情報がフェムトセルに吸い上げられ、その来客の属性に合っ たコンテンツを店内サイネージで表示します。
ケータイをリモコンのように使ってサイネージのコンテンツを切り換えることもできます。
サイネージ→ケータイ→サイネージという循環システム。

UQはタクシー向けサイネージのプレゼン。
秋葉原、日本橋、銀座といったエリアごとにコンテンツを分け、GPSの位置情報をもとに車内ディスプレイにWiMaxで映像配信するというもの。
WiMaxの大容量性を活かした提案。

これぞ日本型サイネージの事例。

おや、大臣会合を終えた片山総務大臣が会場に現れました。
Docomo山田社長が大臣に説明してくれました。



羽田までの飛行機はこれまで経験したことがないくらい揺れました。
台風で。
追加料金払っていい!ってくらいにがっくんがっくん 揺さぶられながら、古酒を機内でぐびぐびやって、しあわせでした。

2010年10月30日土曜日

情報社会にふさわしい教育改革

Kids 情報社会にふさわしい教育改革

 工業社会から情報社会への転換。国際化への対応。少子高齢化の進行。失われた20年からの経済回復。地球環境との共存。安全な生活環境の確保。20世紀からさまざまな課題を抱え続ける日本。21世紀も10分の1を経たが、未だ前世紀に負った宿題を仕上げていません。
 これに対し政府はこう言います。「経済のグローバル化が進展し、国際競争が激化する中、一度は追い付いたかに思えた欧米諸国には再び引き離され、猛進する新興国には追い付かれ、追い抜かれつつある。これが我が国の現在の姿ではないだろうか。
 しかし、これは我が国の本来の姿ではないはずである。我が国はもっと大きな潜在力を持っている。国民に広く行き渡った教育、多くの分野で最先端を走る科学技術、「クールジャパン」と呼ばれるコンテンツなど、我が国は世界有数のクオリティを誇る資源を数多く有している。」(「知的財産推進計画 2010」より)

 「21世紀は、新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す、知識基盤社会の時代」(文部科学省「教育の情報化ビジョン(骨子)」)であるとして、「新しい知や価値を創造する能力」が求められるとも指摘しています。
 「この20年、日本のGDPは成長していない。現在20歳の人は成長する日本の姿を見たことがない。日本が丸ごと自信を失った状況を変えるために、資源のない日本は情報立国、金融立国、知識立国していかないと将来はない。そのために、教育改革が絶対に必要だ。」(ソフトバンク孫正義社長)

 情報社会にふさわしい教育改革。
 情報社会とは、情報量が格段に増える社会です。それを処理する力が求められる。インテルによれば、現在、世界人口の25%、15億人がインターネットを利用しているが、2015年には10億人以上の新たなユーザが登場し、ユーザ数は25億人になります。現在コンピュータは40億台ですが、クルマ、テレビ、家電などの機器もネットにつながるようになり、2.5倍の100億台が情報端末となります。これに伴い、情報内容も爆発的に増加していきます。
 いや、既に情報量は爆発的に増えてきています。総務省の統計データ、情報流通センサスを元に国内の情報発信量を計算してみると、この10年で30.6倍になりました。アメリカの調査会社IDCによれば、人類が生み出しているデジタルデータの量は2000年には6.1EB(エキサバイト)。エキサとは、キロ、メガ、ギガ、テラ、ペタの次。ギガバイトで言えば61億ギガバイトとなります。
 これが2007年には46倍の281EBとなり、2011年には2000年の300倍近い1.8ZB(ゼッタバイト)になるといいます(森正弥「ウェブ大変化」)。この10年で情報量が300倍になっているというのです。これはまだまだ増えます。情報処理能力の飛躍的な向上が必要となります。

 社会からはコミュニケーション力への要請も強まっています。マイクロソフトの樋口泰行社長は「国際競争力あるスキルを身につけるために、基礎的な力として英語力とICTスキル、実践スキルとして問題解決力、コミュニケーション力、創造力が必要」と言います。インテル社も企業経営が求める人材像として「想像力、創造力、情報利活用能力、問題解決能力、コミュニケーション能力、コラボレーション能力、プレゼンテーション能力」を挙げています。
 経済団体連合会が2010年春、「新卒採用の選考に当たって重視した点」をアンケート調査したところ、コミュニケーション能力が81.6%で1位、主体性が60.6%で2位、協調性が50.3%で3位という結果となりました。これに対し、(学校側がこだわる)学業成績はわずか5.4%。学校は産業界の期待に応える教育を提供できていないのかもしれません。

 こういう要請に対し、教育側ができることは何でしょうか。

2010年10月28日木曜日

神田西口商店街

■Pop 神田西口商店街

 つけ麺、立ち食いそば、チケット売買、足つぼマッサージ、かばん、コンビニ。
 東京・神田西口商店街は、いかにも日本的な雑色系スポットだ。
 ところどころに小型冷蔵庫のような白光りするスタンドが置いてある。
 火鍋店の脇、おむすび屋の前、靴屋の隣。
 上部に1524インチのディスプレイが埋め込まれ、下にはフェリカのアイコンと、「touch vision」という文字。
 ディスプレイでは、もつ鍋の「侍丸」の広告や、近畿日本ツーリストと神田外語学院のパッケージ企画などが流れます。
 そして、ケータイでフェリカのアイコンにタッチすると、Hot Pepperのグルメサイト「FooMoo」の神田・秋葉原ページに飛ぶという寸法です。

 地上デジタル放送の放送波を受信し、それを店舗や街頭で流すデジタルサイネージの実証実験を200811月末から開始。
 「ストリートメディア」が開発したサービスです。
 東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)で放映する番組のコンテンツを使います。
 ストリートメディアが、TOKYO MXの放送枠を購入し、独自に制作した商店街などを紹介する番組を放映します。
 この端末、神田エリアで40台が働いているといいます。

 2009年夏には、これを使って「らーめんバトル」が繰り広げられました。
 ラーメン店から客足が遠のく「夏枯れ」の時期に、6つのラーメン店が協力して実施。
 店頭のサイネージ端末にケータイでタッチ、アンケート投票をしてもらいました。
 その投票によって、5分おきに6店舗のランキングが更新されます。
 夏場の3週間で839人が参加、新規来店者も500人にのぼる具体的な成果を見せたといいます。
 神田+ラーメン+ケータイ。
 コテコテの日本型サイネージです。

2010年10月26日火曜日

ガラパゴス・サイネージ

■Net ガラパゴス・サイネージ

 教習所の利用者数は125万人。
 年間卒業者数は190万人。
 教習生の95%は18歳から30歳の男女。
 このターゲットが明確な場所でデジタルサイネージを展開するのが日本カーライフアシスト社の「JACLA ビジョン」です。
 300以上の教習所に大型プラズマディスプレイを設置。
 広告主は自動車メーカーやカー用品のほか、オーディオ、携帯電話、音楽、映画、化粧品、食品、ファッション、スポーツ、旅行など幅広い。
 15秒スポット、日に4回で月額100万円から。JACRAにしか出稿していないヒット商品も出ているといいます。
 日本有数の成功モデルと言ってよいでしょう。

 このシステム、ケータイと連動しています。
 画面にはQR コードが表示されており、携帯電話でこれを読み取って空メールを送ると、「JACLA アド」という広告メールが返ってきます。
 広告主のサイトへ誘引をする仕掛けです。
 新譜の着メロや待ち受け画面などの携帯コンテンツもプレゼントしています。

 携帯電話を利用する点では、日本が世界を圧倒的にリードしています。
 世界から孤立した進化形という意味で「ガラパゴス症候群」と揶揄されているぐらいです。
 海外でiPhoneなどのスマートフォンが普及をみせていると言っても、まだまだビジネスマンにとどまります。
 女子高生の9割以上がカメラつきケータイを持ち、SNSやブログにギャル文字や写メを発信し続ける文化は日本ならでは。
 これがサイネージと合体します。
 マス向けの大型ディスプレイと、個人の手のひらのケータイ端末とを連動させて情報を流します。
 ケータイのもつ課金機能を活かして購買にもつなげます。
 サイネージ+ケータイのビジネスがどのように発展するかは国際的にも注目されているのです。

2010年10月23日土曜日

ラ・ロシェルの黒板

■ Net ラ・ロシェルの黒板


フランス西部、La Rochelle
市庁舎そばの不動産屋「Cabinet Chandeau」。
タテ3面×ヨコ3面のディスプレイで、近所のアパート、一軒家、土地の物件を宣伝しています。

商品を案内する、それが本来のサイネージ。
チラシや看板をデジタルに表示するもの。
その場所と時間にヒモついて、いまだけここだけあなただけに届けるもの。
だから、CMよりも販促に近いメディア。
物件の案内を紙で張り出していたのが、デジタルに置き換わる。店の姿も変わっていきます。
不動産だけではありません。
デパートの入口には「最上階で即売会を開催中」というお知らせ。スーパーのレジ横では、商品や特売の情報が流れています。居酒屋の前では「女性客ハウスワイン一杯サービス」の表示。カフェの中でも新メニューの紹介。
サイネージは、交通や流通などのミドルエンドから、個人商店などのローエンドに普及しはじめています。

La Rochelleに来る前にいたパリでも、空港やメトロ、スーパーやカフェにもサイネージ
が広がり始めました。ポスター文化が根付いたパリは紙への愛が濃く、サイネージは進展が遅いだろうと踏んでいたのですが、ぼちぼちです。
一番目を引いたのが、ラファイエット横のユニクロ。
サイネージ満載の空間プロデュースです。
入口に4×21F8、レジに3×3、吹き抜けホールに3×44。計53ディスプレイ。
天窓から光が差し込む店内は、サイネージ空間の中に商品が置いてあるという風情。
この店の雰囲気は、原宿の「UT」店と同じ。このユニクロTシャツ専門店は、入口の上部と脇の黒いバックに、鮮やかなオレンジのLEDドット文字でメッセージを表示。店内には12枚のディスプレイが動画を流しています。
ただ、パリと違うのは、それぞれの商品の下に、これも入口にあった黒vsオレンジのLEDディスプレイで商品番号や値段を表示している点。全ての商品に電子ポップがついているのです。いずれスーパーやコンビニの値札も電子ポップ化し、ネットワーク管理されるようになるでしょう。パリの店も値札がサイネージ化するかもしれません。

La Rochelle
不動産屋の少し先に、昔ながらのマルシェがありました。
たくさんの黒板。
メロン2個5ユーロ。
アプリコット1kg3.8ユーロ。
ズッキーニ1kg2.8ユーロ。
これも、いずれデジタルに変わるでしょうか?
ポスター文化、黒板文化が根付いているとはいえ、たくさん張り替えたり書き換えたりする人件費に比べると、デジタルは優位に立ちつつあります。

でも、そう簡単ではありません。
JR東日本企画のかたが言ってました。デジポ(デジタルポスター)と紙のポスターを並べてアンケートを取ったら、デジタルのほうに目が行くけど、わかりやすさでは紙が勝つという評価だと。それは、デジタルディスプレイではまだ乗り越えられない紙の持ち味があるからですね。
そして、黒板の手書き。濃緑の背面に浮かぶ真白の描線。輝くアナログ。
「手描き」ですね。
何日も、何年も、何世代にもわたって、その場で、そこの人々によって描き込まれてきた、日々の価格メッセージ。
その、人手のぬくもりの安心感、暖かみは、ディスプレイの違いとは別次元の確固たる力を持っています。
デジタルの機能はまだまだそこまでは。
アナログは、あと何十年 輝くことでしょう。

2010年10月20日水曜日

近未来の授業とは? -四年生編-

Kids 近未来の授業とは? -四年生編-
 小学校四年生。社会科「消防士のしごと」。前回の授業で、しごとのことを話し合った。まずデジタル教科書でチェックしてみる。消火活動、救急活動、通信業務。イラストもあるし動画もある。基本的なことはわかった。「では、いったい119番の仕組みってどうなっているんだろう。火事を見つけたとき、何をどう消防署に伝えたらいいのだろう。」と先生。
  めいめいネットで調べて、わかったところ、思いついたことからパソコンの画面に書き込んでいく。「正確な住所を確かめる」「火事なのか急病なのか、はっきり伝える」「大きい炎が立っているとか、中に人がいるとか、わかりやすく言う」。
 先生の横に立つ電子黒板でもみんなの書き込みが大写しで見られる。書き込まれるたび、先生は「今どこにいるか住所がわからないときはどうしたらいい?」「携帯電話で連絡するときに注意することはあるかな?」と生徒に問いかける。みんなはその場で調べたり考えたりして、教え合う。主張する。正解は一つじゃない。

 先生は、外国での山火事のニュースを動画サイトで見つけてきて、電子黒板で見せながら、火の不始末の恐ろしさを話す。それについてみんなが感想を言う。どこかの国の人が作った「世界の消防車」のサイトも紹介してくれた。いろんな種類のクルマがあるんだね。
 このサイトは3D(立体)表示のコンピュータグラフィクスで、写真を上下左右に動かして見ることができる。消防車のはしごやホースがどこからどう出てくるか、平面ではわかりにくかったそれぞれの国の特徴がよくわかった。
 授業の様子は地域の人もウェブで確認できる。「消防士のしごと」という授業を見つけた近所の消防署から学校に「見学に来てもいいよ」という連絡が入ったらしい。

 というわけで、今日は近くの消防署の見学。消防署のひとに、火災現場での人命救助についてお話を伺った。消防車やホースなどの器具をさわらせてもらう。はしご車が伸びて、高所から救助活動を行う様子を実地に見せてもらう。このリアリティーはデジタルに勝る。
 それをそれぞれ生徒は携帯端末でレポートを書く。その場で撮った写真をレポートに貼り付けている。ビデオ機能を使って録画しながら、紙のノートを出して鉛筆でメモを取ってる生徒もいる。さっき先生に教えてもらった世界の消防車サイトにネットでアクセスして目の前の消防車と見比べている生徒もいる。

 学校に戻ると、班別の「電子新聞」作りが待っている。それぞれの文字、写真、映像レポートを組み合わせてまとめる。クラス内で発表し合って、できあがった作品を学校サイトにアップ。今日の消防士さんにもお礼と一緒にメールで伝えておかなくちゃ。
 宿題は「火事を出さないようにするために」。みんなが学校のサーバにいろんなアイディアを送ってくる。「ライターで遊ばない」「花火をするときは親と一緒に」「いやそれより水とバケツの準備をしておかないと」「それ今日の消防署のひとに聞いてみたらいいんじゃないの」。次の授業は盛り上がりそうだな。

 24時間つながる。世界とも結びつき、地域にも開かれる。家族ともコミュニケーションの媒介となる。一方的に知識を伝えるのではなく、学び合い、教え合う。正解のない世界、多様な価値観を学ばせる。「なぜ」に答え続ける。映像で分かりやすく表示し、好奇心を刺激する。生徒は自分の速度で勉強することができ、先生には余裕が生まれてより生徒に向き合える。
 デジタルの得意なことです。
 アナログにしかできないことがあります。人にしか教えてもらえないことがあります。紙には紙のよさがあります。でも、デジタルにはデジタルにしかできないことがあります。機械のほうが得意なことがあります。使いこなせばいいだけです。

 紙にしかできないことって何でしょう。デジタル機器でも、ページを手でめくったり、ペンで書き込んだりアンダーラインを引いたりすることはできる。ラク書きもできる。教科書の端っこにぱらぱらマンガを描いていくようなことも、もっとゴージャスにできる。いずれペラペラで折りたたんだりできるデバイスも登場するでしょう。
 当分できそうにもないことといえば、やぶいて細切れのメモにすること(物理的にできても、当面、高い)。くしゃくしゃに丸めてつぶてにしたり、ツルを折ったりすること(物理的にできても、当面、高い)。燃やして燃料にすること(物理的にできても、当面、高い)。大きな大きな模造紙に絵を描くように、大きな大きなディスプレイを作ること(物理的にできても、当面、高い)。

 使えるデバイスを使ってみて、教材や授業を開発し、その時点で理想的な教育を目指して努力していく。アナログであれ、デジタルであれ、子どもたちにとってよいものを与え、よりよい環境を用意していくことが大切でしょう。

2010年10月17日日曜日

近未来の授業とは? -一年生編-

Kids 近未来の授業とは? -一年生編-

  一人一台の政府目標は2020年。デジタル教科書教材協議会の目標は2015年。いずれにしろ2020年には、全ての子どもが情報端末を持ってデジタル環境で学習することが実現しそうです。しかし、情報端末やデジタル教科書を配ることが目的なのではありません。子どもたちが豊かな環境で知り、考え、共有し、発信すること。だから、新しい環境で、どのような授業が行われ、それが今よりどのように豊かなものになるのかが重要なポイントです。
 紙の教科書、ノート、鉛筆と消しゴム、黒板、教室、そして先生。これが2020年時点ではどのような環境になるでしょう。2回に分けて空想してみよう。
 小学校一年生。毎朝の日課、算数の計算学習をペン入力のタブレットパソコンで10分間。計算の速さを鍛えて、頭をシャキっとさせる。一人ひとりに合わせた問題が出てくる。前の日に間違えた問い。進んでいる子には学年を飛ばした問題も。
 先生はみんなの進み具合を先生用パソコンで一覧できる。採点は生徒のパソコンが自動でやってくれるので、先生は手間がかからないし、全員の様子がわかるから、詰まっている子から順番に個別指導してくれる。

 続く1時間目。「アサガオ」。一人一鉢のアサガオの種をまいたのが5月のこと。毎日、水をやってきた。これは、デジタルではできない。アナログの手触り。手を動かして、足を運んで、ぼくのわたしのアサガオに、水と、愛情と、太陽の光を注いできた。おとうさんも、おかあさんも、おじいちゃんも、おばあちゃんも同じことを小学校でやっていたと聞く。
 ふたばが生え、つるが出た。そして6月下旬、赤い、青い、花が咲いた。早く咲いた鉢もある。遅く咲いた鉢もある。前回の授業では、自分の鉢の映像を見た。24時間ウェブカメラで録画してあるから、夜中に咲いた花の開花場面も早回しで見られる。そして先生が電子黒板でみんなの映像を示し、みんなで見比べた。水と陽の光が大切ということを学び合った。

 それから、世界中の美術館から花の絵にアクセスした。好きな絵を見ながら、それを参考にして、自分のアサガオのようすをパソコンのお絵かきソフトでイラストに描いた。アニメソフトを使うと、アサガオが成長するアニメができあがる。
 作ったアニメは、「バーチャル子ども美術館」の花コーナーに展示してある。海外の子どもたちもみんな写真や絵を解説つきで見せている。機械翻訳でどの国の子のレポートも日本語で読める。
 授業の様子は映像でアーカイブされていて、家からも見られる。その日の晩ごはんで、おとうさんとおかあさんが、「アサガオのアニメ作り、楽しそうでよかったね」と言ってくれたので、作り方を教えてあげた。

 今日は国際協働授業。アメリカ、フランス、中国、そして日本の子どもたちが作った絵や写真の素材をバーチャル子ども美術館から引っ張ってきて、ミックスしたバーチャル絵本をパソコン上で作る。わたしたちが作ったアニメ素材も使われる。
 アメリカ、フランスの子たちの素材を使って、中国の子たちと一緒に作業。時差が少ないので同時にできる。向こうとこっち、テレビ会議システムで互いの様子を見ながら、数名ずつのグループが電子黒板で一枚の画面を共有。
 互いに順に好きな絵や写真を放り込んで、コメントを書き込んでみる。翻訳され、こっちには日本語、向こうには中国語で表れる。タイトルはこっちが出した主人公「キキ」と、向こうが作ったストーリーを合わせて、「キキのぼうけん」になった。キキが世界の花や生き物を守る旅をする話だ。互いにクラスで報告し合った後、この作品もバーチャル子ども博物館入りだ。

 生徒一人ひとりに合わせた学習ができる。先生に余裕ができる。映像で、楽しい。先生と、友だちと、みんながつながって共有する。家族や遠くの国の人ともつながって共有する。学び合い、教え合う。
 どうでしょう。
(つづく)

2010年10月15日金曜日

自治体サイネージ

■Net 自治体サイネージ

 地方自治体など公営のサイネージも広がっています。
 キーワードは「住民参加サイネージ」。
 中心市街地活性化を目指す千葉市。
 屋外サイネージ3台を活用して、地域商店街のお店検索、市のお知らせ、観光情報などをタッチ検索できるようにしています。
 商店街の情報は各店舗のオーナーが写真やプロフィール、イベントなどの情報を自分のパソコンからアップすることができます。
 ケータイのサイトURLも搭載できる仕組み。商店街は無料でコンテンツを配信できます。当初30店舗だった参加店舗数はいまでは200店舗を数えます。
 更新数が多い店舗ほど、画面の最上位に位表示される仕組みとし、参加意識と情報鮮度を高めています。すでに街のコミュニケーションツールとなりつつあります。
 月1万数千回という高いタッチ数を誇ります。
 公園には115インチの大型LEDも配置し、市のお知らせなどを行うなど、複数サイネージの連動で情報空間を形成。
 商店街や住民が地域を活性化するためにサイネージ端末を利用しています。

 神奈川県厚木市。
 本厚木駅北口前の「あつぎビジョン」が運用を開始しました。
 縦3.8メートル、横6.7メートルの300インチ画面。一日当たり14万人の駅の乗降客や北口広場利用者に向け映像を提供します。
 市内の東京工芸大学、厚木市商店会連合や厚木商工会議所会と連携し、番組を作ったり、厚木市の商店を紹介するコマーシャルコンテストを開催したりと地域密着型のメディアとなっています。
 地元の大学生が制作するコンテンツも多く、学生も各イベントのリポーターなどで活躍しています。

 東京都足立区の北千住駅。一日の乗降客160万人。
 その西口にあるのが公設公営の378インチ大型ビジョン「あだちシティビジョン」。足立区の旬の情報を毎日配信し、街のコミュニティビジョンとして活躍しています。
 区の各部署からの広報番組「あだちシティファイル」。
 区内の産業や観光事業を紹介する「あだち最前線」。
 学校からの投稿番組「School Project」。
 区民が一言メッセージを伝える「ビジョンDEメール」。
 地元に密着した番組が多い。番組はケーブルテレビ足立や新聞社などが提供しています。
 足立区産業振興課がつくるもの、区民や学校が作ったものなども受け付けています。

 同じく東京都台東区は20083月、上野公園西洋美術館正門横とJR上野駅前広小路口歩道にIT総合掲示板「たいとう安全・安心掲示板」を設置。37型液晶ディスプレイです。
 地域の防犯環境を高め、安全で安心なまちづくりを推進するため、防犯・防災情報、区政情報や文化・観光情報等を液晶ディスプレイで発信します。
 緊急時に警察へ通報する機能と区へ問い合わせる機能も備えています。

 福岡・コメルの街ビジョンでは、警察署が「午後1111分、ひったくり逃走がありましたが、犯人がつかまりました」といった情報をリアルタイムで流しています。これにより街の人々の防災意識を高めるのだといいます。これも行政利用の例ですね。

2010年10月14日木曜日

デジタル教科書、主なQ&A

■Kids デジタル教科書、主なQ&A

 韓国が来年からデジタル教科書の義務化を開始、2013年には全員配布といい、フランスは来年に全員配布を達成するという情報が流れる中、各国の教育情報化は、デジタルは要るか要らないかの議論をとうに超え、どう使いこなすかの実践に移っています。

 しかし日本では、デジタル教科書への反対論がぼんやりと漂っています。それは強固なクラウドのようなもの。反論するにも手触り感がないのですが、パターン化されていますので、整理しておきましょう。

 批判のパターンはだいたい下記のようなものです。
・デジタルは紙をなくす。
・デジタルは画一化を進める。
・デジタルは読めない。
・デジタルは書けない。
・デジタルは面白すぎてのめりこむ。
・デジタルはつながりが希薄になる。
・デジタルはつながりすぎて危険だ。
・デジタルは先生と生徒を引き離す。
・デジタルは先生が使えない。
・デジタルは先生の仕事を増やす。

 うーん、なんだかなー。
 わかった、「ネット機能を持つゲームボーイ」を配って教科書と先生を取り上げるイメージなのですな。
 そりゃー批判したくもなりますな。
 でも、批判するなら、せめて小学校で導入しているタブレットPCを触ってからにしましょうよ。

 ぼくがよく受ける質問と、ぼくの答えをメモしておきます。

1:紙の教科書はなくなる?
「併存。紙も鉛筆もデジタルも場面に応じ道具として使いこなせばよいでしょう。」

2:画一的で正解を求める授業になるのでは?
「デジタルはもはや電卓ではなく、創造と共有のツール。多様で正解のない学習のためのもの。」

3:読む力が落ちるのでは?
「読ませなければそうなる。デジタルでも、読ませることが大事です。」

4:書く力が落ちるのでは?
「書かせなければそうなる。デジタルでも、ペンで書かせることが大事です。」

5:機械にのめり込み先生の話を聞かなくなるのでは?
「教科書が面白すぎて先生の話を聞かない(そんなことがあればですが)、というのと同じで、デジタルの問題というよりコンテンツと授業の設計次第かと。」

6:先生がついてこれないのでは?
「ついて行けます。能力の問題というより意思の問題でしょう。」

7:先生の雑務が増えるのでは?
「採点、成績管理などが効率化され余裕が生まれます。校務情報化をセットで整備する必要があります。」

8:他国が進んでるからといって急ぐ必要があるのか?
「そうでない理由を聞きたいです。そして日本の子どもたちに、君たちだけ遅れるよ、と説明するところを見てみたいです。」


 要するにデジタル教科書を巡る賛否というのは、デジタルかアナログか、というより、日本の教育を変えたいか変えたくないか、のスタンスの違いのようです。

2010年10月13日水曜日

病院サイネージ

■Net 病院サイネージ

 病院でも活躍しています。
 東京・虎ノ門病院。
 受付の上部にはるディスプレイで診療室への誘導がなされます。
 それぞれの診療室の扉にもNEC製のサイネージで診療の順番や待ち時間を表示。
 支払や投薬の情報もそれぞれ大型ディスプレイで表示されます。
 名前ではなく受付番号で呼出しする方法に変わったことで、患者さんのプライバシーが確保され、診察室への誘導もスムーズになっています。

 「名古屋第二赤十字病院」では、ディスプレイシステムだけでなく、診療の順番が来ると自動音声で受付番号を呼出しする「お呼出し表示デジタルサイネージ システム」を導入。
 待合いだけでなく、ホールや廊下、レストランなどのディスプレイにも呼び出し状況が表示されるので、実際に呼出しがあるまではある程度自由に過ごせるようになり、待ち時間のストレスが解消されたといいます。

 医療機関のデジタルサイネージへの需要は強い。
 病院での情報掲示、患者への情報伝達を行う手段として電子掲示板システムの導入が増えています。
 病院間の競争環境の激化からもサービス向上策として普及スピードが高まっています。
 これまで病院での情報掲示は、紙に書かれたチラシが多く、掲示板はチラシで溢れていました。
 行政からの案内文や保険料に関する通知、あるいは医局ごとの連絡など情報は全てが重要なものです。各種検査の順番や休診日の案内などを表示すれば患者も助かります。
 システムで内容を一括で管理することで、各種情報が統一され、紙での掲示も減り、美観も向上します。
 受付から待合い、診療、会計までの一連の流れを分かりやすく掲示することで、患者が時間を有効に使えるようになります。

 もちろん、各種情報や広告を配信する機能もあります。
 病院という場は医療・保健・健康に強い関心を持つ方が集まっている、そして待ち時間にじっくり広告を見てもらえる、という点で媒体価値も高いのです。
 病院での待ち時間の平均は40分。病院の待合室で患者がとる行動としては「テレビ画面の視聴」が76%と最も多く、健康情報を交えた広告番組(インフォマーシャル)については、患者全体の56%が当該番組を見たと回答。
 85%の患者が院内での情報発信に「病気・薬の情報」を希望しているといいます。
 待ち人数・時間や診察番号を表示するシステムを全国800の医療機関の受付や待合室に提供するメディアコンテンツファクトリーの毛塚社長は「病院と患者の情報ギャップが大きすぎる。現場で伝えるメディアが大事だ」と言い切ります。
 日本の医療機関10万か所にこうしたシステムが普及していくことは十分考えられます。

2010年10月11日月曜日

「デジタル教科書はいらない」か?

■Kids 「デジタル教科書はいらない」か?

 田中真紀子・外山滋比古さんが「頭脳の散歩 デジタル教科書はいらない」という本を刊行されました。田原総一朗さんの「デジタル教育が日本を滅ぼす」と同じくポプラ社から。デジタル教科書反対!の第二弾です。

 田原さんの本については先にブログで論じました。↓
 http://ichiyanakamura.blogspot.com/2010/08/blog-post_30.html
 デジタル技術を導入すると「画一的で、正解だけを求め、先生を排除し、生徒一人ひとりを孤立させる」という観念に縛られていて、「デジタル教科書=ドリル」と「情報端末=電卓」で自習、というイメージで全編が描かれているから、結論が間違っているという大意です。
 「教育は利便性の追求だけでよいのでしょうか」「中学や高校の教育がつまらない。ようするに「正解」と「間違い」を指摘することしかしなくなったからだ」。という田原さんの問題意識は正しい。だから改革が必要であり、その手段として、道具としてデジタル教科書や情報端末を使えばどうか、というのがわれわれの提案です。
「数学を教えると言うことは、数学を学ぶ楽しさを教え、それを体感させることなのである」「日本の子どもは学力も学習意欲も、落ちていた」というのも正しい。だから、学力を上げ、楽しんで学習し、学習意欲を高める手段としてデジタル技術を使えばよい、というのが提案です。
 要するに田原さんがデジタルに対し批判したいことは「デジタル教科書が自己完結のかたちで正解を追求するからよくない」の1点のようです。であれば、そうじゃない教科書・教材にすればいい。デジタルかアナログかの問題ではないと思います。

 そして今回の本です。論語の素読、寺田寅彦、ダンテの神曲などの対談に混ざって、ところどころデジタル批判めいたものが見られます。こちらも同様に、問題意識は否定しないものの、これに対するデジタル論が杜撰です。
 ぼくは「作る」ことが本領であり、他人が言ったり書いたりすることを分析したり批評したりすることは性に合わないのですが、地位のある社会的リーダーたちがこうも立て続けに論理に欠けるメッセージを発信するのは危険なので、これも論点を整理しておきます。

 まず田中さん。デジタル批判の第一は、「(デジタルはくりかえし検索ができるが、それより)書くことが大事」というもの。そのとおりですね。デジタル端末でも書かせるべきです。ペンで書くことができない情報端末はいけません。また、それより紙のノートが優れているなら紙を使えばいい。デジタル教科書の話ではありません。
 デジタル批判の第二は、「(デジタルは速さ・簡便を追うが、それより)活字で読ませるべき」というもの。そのとおりですね。デジタルで読ませればよい。紙もデジタルも活字は活字。デジタルなら圧倒的に安く大量に活字を配れます。デジタル教科書は、教科書と言うより「図書館」を子どもに与えるものなのです。
 
 外山さんのデジタル批判の第一も、「デジタルはわかりやすいが、高等なテクスト・文字が大事」というもの。そうですね。デジタルで高次のものを読ませればよい。デジタルで人は3倍も文字を読むようになったというカリフォルニア大学の研究データがあります。
 http://wiredvision.jp/news/201002/2010021022.html
 デジタル批判の第二は、「デジタルは生徒と先生を隔てる」というもの。これは論拠不明。教科書が生徒と先生の仲立ちをしている、それがデジタルになると「より」距離が遠ざかる、という。であればそもそも教科書がなくて、生徒と先生が直接対峙するのが理想なのでしょうか。高等なテクストを個々の生徒に導くのは誰が担えばよいのでしょう。
 いずれにしろ、生徒と先生の距離、コミュニケーションの在り方は、授業の設計によります。デジタル時代の授業をどう設計するかは大事な課題。紙の教科書も与えて放っておけば隔たります。アナログ・デジタルの問題ではありません。

 それから、本の中には「デジタル情報から本当の知性は生まれない」というタイトルの項があるのですが、読んでみるとそんなことヒトコトも書いてない。何なんでしょうね。

 この本にしろ、田原さんの本にしろ、「デジタル」なるものを、電卓のようなもので、読むこともできず書くこともできないものという決めつけからスタートしているようです。それならぼくもハンターイ!。でも、それなら、そんな機械が紙の本やノートを駆逐するはずがないし、先生がいらなくなるはずないじゃないですか。それで不要になる先生ってどんな先生なのでしょう。
 つまり、「デジタル」の定義やイメージが不明確なまま批判するから要領を得なくなっているんですね。いっそまだ紙にしかできないこと、たとえば、「めくれなきゃダメなんだ」「破れることが大切だ」「落としたり踏んだりしても大丈夫じゃなきゃダメだ」とでも主張してくれたほうが反論に詰まると思います。
 いまTBSでオンエアしている「塀の中の中学校」、授業の冒頭、みんなで教科書のニオイをかぐシーン、それはデジタルではできない。それなら、わかります。

 こうした批判は他にもまだまだあるのでしょう。もちろんデジタルはハードウェアもソフトウェアも発展途上。改良、改善の余地がうんとあります。先生方や保護者たちの意見を聞きながら、良いものを開発していかなければなりません。
 アナログの世界でも、理想の教科書や理想の授業が完成していないように、デジタルの世界でも、理想の教科書や授業はいつまでも夢として追い求められていくのでしょう。アナログとデジタルが二項対立するのは不幸なことで、子どもたちのために互いにメリットを活かしていくべきでしょう。

学校サイネージ

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 教室での利用も広がります。
 「愛知工業大学名電高等学校」は、ITを駆使した新校舎の全46教室にパナソニックのプラズマ・ディスプレイを導入。
 ビデオやパソコン映像を多く取り入れた授業を実現しています。
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 愛知工業大学附属中学校での活用も視野に入れています。
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 小学校での先進事例もあります。
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 1年生から4年生までの各教室にプラズマディスプレイを導入していて、授業ではイラストを使用した英単語カードや、教員が撮影したデジタルカメラ画像などの映像コンテンツを取り入れて児童の興味を引きつけ、集中力を高める工夫をしているといいます。
 また、毎朝の全校朝礼がテレビ放送されています。
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