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2009年12月31日木曜日

放送波での新聞・雑誌配信「AMIO」-3

■YouGo3.0 放送波での新聞・雑誌配信「AMIO」-3


AMIOの実証実験は日本雑誌協会と連携して行います。フォーラムの会合で日本雑誌協会デジタルコンテンツ推進委員会の大久保委員長が興味深いプレゼンをしてくださいました。メモしておきます。

デジタルコンテンツ推進委員会は2009年1月に発足しました。
雑誌協会95社中50社が加盟。雑誌業界は13年間前年比マイナスを続けており、現状を打破すべく活動をしています。
2009年4月には総務省のサイバー特区に採択され、コンテンツ配信プラットフォームを構築する実証実験を行います。
2010年1-2月に行うべくドタバタで準備を進めています。

この実験は、雑誌コンテンツをデジタルに乗せる商売が成り立つのか、が眼目。
・ネット上での雑誌専門ポータルサイトの可能性
・著作権料の効率的な分配方法の可能性
・PC、ケータイ、専用デバイス等での閲覧形態の可能性
・専用デバイスの可能性
を検証することとし、以下の実証を計画しています。

1.著作権ガイドライン
コンテンツホルダーに各々のコンテンツの許諾を取り付けるのは負荷が大きい。デジタル仕様の許諾処理が課題となります。そのガイドラインを策定します。
2. データベース
新聞と異なり、雑誌社は自ら印刷設備を持っているわけではありません。データは印刷所が持っているのです。その持ち方をどうするか。デジタル・アーカイブをどう構築するか、が課題です。使い勝手のよいフォーマットでの雑誌・記事別データベースを構築します。
3.ポータル形成
そのうえで、見せ方を工夫します。雑誌購読者層とネットユーザから1500名以上のモニターを公募します。
(その後の報道によると、モニターは1万人に達する見込みとのこと。)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20091111/340407/
4.プラットフォーム
課金・決済プラットフォームの構築、個人認証・顧客情報管理を施したうえで、利益配分のモデルを作ります。

参加表明している雑誌は100紙。想定をはるかに上回っています。
暮らしの手帖と家庭画報、withとmoreが同じところで読める。画期的です。
マンガは入っていません。マンガは既にケータイマンガ等でビジネス化が進んでいます。
課金モデルでやってみたいと考えています。料金水準の実証もしたいところです。

2009年12月29日火曜日

放送波での新聞・雑誌配信「AMIO」-2

■YouGo3.0 放送波での新聞・雑誌配信「AMIO」-2


AMIOは本年度、ネクストウェーブ社とKMDを核として、ユビキタス特区での実証実験を行います。
デジタル放送を活用した新聞・雑誌の配信についてサービスモデルを確立するとともに、ビジネスを創出するために不可欠な標準技術や制度を構築することが目的です。

実験では、放送局から新聞・雑誌の紙面コンテンツをデータ放送の電波に乗せて送出、それをユーザ宅内のモジュール内蔵受信機で受け取ります。それをWiFiで周囲の携帯端末に配布。別の部屋や外に持ち出して読むことができる、という仕組みです。
宅内の受信機とHDDで電波を受けたら、テレビ画面で新聞・雑誌の一覧を表示します。そのうち、気に入ったものを選択して、PCなりiPhoneなりゲーム機なりに落とす。電子ペーパーも有望ですね。実験では文字を読むのはテレビ画面よりもポータブル端末とすることを前提にシステムを考えています。

もちろん、これはこの実験での仕様であり、ほかにもさまざまな可能性があります。宅内受信機とWiFiを介さず直接にモバイル端末や電子ペーパーにIP送信することも想定されます。新聞・雑誌以外のコンテンツ、例えば音楽や映画を配信することもあり得ます。今回の実験では実験用の無線を使うのですが、地デジ電波そのもので夜中の番組を止めて配信ビジネスに乗り出したいというローカル局も出現するかもしれません。このあたりは、もしそういう希望が出てきたとしても、制度の整理が必要となりますが、あながち不可能というわけでもありません。

さて、さまざまなデバイスに伝送するとなると、いろいろと整理することがあります。例えば、テレビ画面上は横長に表示されます。そこから飛ばしたPCは少しサイズの小さい横長画面。ゲーム機はさらに小さい横長画面。しかしモバイルは縦長画面です。サイネージも大型の縦画面だったりします。すると、同じ紙面でも、デバイスごとに見せ方に工夫が要ります。どのようなコンテンツをデバイスごとにどのように見せればよいか。そうしたことを実験を通じて明らかにしていきます。

検討テーマは他にもあります。蓄積受信モジュールの仕様をどうするか。放送でファイルを受信・蓄積する仕組みや、ポータブル端末に転送するインタフェースを検討します。そして、コンテンツフォーマット。紙面そのままの形式や、XMLなど画像とテキストを個別に扱う形式などを検討します。さらに、コンテンツの保護方法。配信ネットワークやファイルでの保護のあり方を検討します。

年度内には電波の送出とモニターによる評価を実施し、次のステップに進みたいと考えています。
(つづく)

2009年12月27日日曜日

放送波での新聞・雑誌配信「AMIO」-1

■YouGo3.0 放送波での新聞・雑誌配信「AMIO」-1



放送波を使って新聞・雑誌を配信する「AMIO」(All Media In One)構想が始動しました。
11月9日、六本木ヒルズで「AMIOフォーラム」の第一回会議が開かれ、放送、メーカ、雑誌など60社が集結。発足時の正式会員はアール・エム・ジェイ、京セラ丸善システムインテグレーション、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)、産経デジタル、シャープ、ソニー、東芝、日本放送協会、ネクストウェーブ、日立製作所、フジテレビジョン、扶桑社、ニッポン放送、マルチメディア放送、リクルート、日本雑誌協会。会合には総務省もオブザーバー参加。フォーラムの事務局はKMDが担当します。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20091109/340252/
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/091109/biz0911092147022-n1.htm

All Media In One。全てのメディアを一つに。映像、音楽、文字、何でもよいのだが、まずは新聞・雑誌から始めよう、というものです。
受け皿としては、テレビもあれば、PC、ケータイもあります。PSPやDSなどゲーム機もあるでしょう。フォトフレームやデジタルサイネージ、どれでも読めるでしょう。

メディア融合や放送・通信連携が政策テーマとなったのは1990年代初め。ぼくは郵政省の課長補佐として携わりました。政府で初の担当となったんです。以来20年、ずっと関わってきましたが、やっとこうして実態が現れてきたわけです。
ただ、これまで融合論は通信が引っ張ってきました。インターネットやモバイルが世界を拡げました。今度は放送の番です。2011年に地デジが完成したら、その電波やアナログ跡地をさまざまな用途に使えないか。放送局は一斉同報配信ができてネットワークの輻輳がなく、コスト効率のよい放送波の特性を活かしてテレビ・ラジオ以外の新しいデジタル・ビジネスが描けないだろうか。

一方、雑誌や新聞は苦境にあります。放送と同様、広告収入の減少に悩み、販路を求めてネット展開に力を入れていますが、なかなかビジネスモデルは見つかりません。編集加工の段階でのデジタル化は急速に進展したものの、伝送についてはデジタル化のメリットがまだ十分に活かされてはいません。大量に、一斉に伝送するルートやデバイスがもっとあるのではないか。

AMIOは放送と紙媒体をドッキングし、双方の可能性を広げるプロジェクト。技術を開発、検証するとともに、ビジネスモデルの実証を試みます。伝送路は、ひとまず地上波のデータ放送を想定していますが、さまざまな周波数帯が考えられます。衛星でもいいわけです。ビジネス面では、広告モデルもあれば有料モデルもあるでしょう。著作権処理ルールも論議になるでしょう。AMIOフォーラムは、オープンな場として、これらを議論・調整していきます。

この3年、ぼくは情報通信法の論議に携わってきました。その答申には、通信・放送融合の電波免許を実現することや、電波の柔軟な利用を促進することが記されています。現政権がこれをどう扱うのか未だ明確ではありませんが、AMIOはその具体的な事例となります。民間サイドにはメディア融合ビジネスに対する熱意がある、ということを政策現場にもアピールしていきます。

併行して、ユビキタス特区での実証実験も行います。これについては次回、説明しますね。

2009年12月26日土曜日

クリスマスキャロルも恐怖映画だった

■Pop  クリスマスキャロルも恐怖映画だった

 ディズニー映画「Christmas Carol by Robert Zemeckis3D版を観てきました。
 初のフルCG「トイ・ストーリー」から14年。人物の表情、木の机や革張りソファの質感、石畳や燭台の冷たさ。実写以上にリアルな表現。そして、現実を超越するバーチャルな表現。炎の精霊や蘇る死者。巨人と化し、高速で宙を行き、地底に墜ちる。CG技術はここまで来た。表現に技術的な制約はなくなりました。想像力だけが製作の制約です。
 現役の役人だった12年前、Mac Powerの連載で「トイ・ストーリーは恐怖映画である」というコラムを書いていたことを思い出しました。全文はここにありますが↓一部を引用しておきます。
 ”「トイ・ストーリー」は、映画誕生101年目の奇跡だった。カメラからコンピュータへのシステム変更だ。しかも表現はハリウッド的な感性でみれば完璧。わざと残したCGっぽさの具合もほどよい。これは、産業のシステムや技術だけでなく、表現技法も、映像文法も、ストーリー展開も、アメリカが次世紀の審判となるぞというソフトな宣言なのだ。恐怖映画である。”

 そして3D表現。未だ特殊メガネが要るのですが、これを経験してしまうとCGやアニメ作品はもう2Dには戻れないかもしれないほどの奥行き。ただ、ディズニーランドやユニバーサルスタジオのアトラクションで何度も経験していますから、それ自体にさほど驚きはありません。
 ですが、今回より強く感じたのは、映像よりも文字表現に効果がありそうということ。動画のこちら側や向こう側に文字を置くことで、文字の訴求効果が高まります。向こうに豊かな映像があり、眼前にしっかり示されたときの文字メッセージは存在感があありました。
 デジタルサイネージでも立体表示が追求されています。さきの米デジタルサイネージエキスポでも、幕張のCEATECでも、メガネなし3Dサイネージがたくさん提案されていました。そのときは静止画映像ばかり拝見していたせいか、あまりピンと来なかったのですが、このように動画バックの文字3D表現は案外、広告主から評判を取るかもしれません。
 このあたりの表現手法もハリウッドにやられてしまうとすれば、しょんぼりしてしまいます。
 てな具合にせっかくのファンタジーを職業目線でとらえてしまうのは哀しい習性ですね。

2009年12月25日金曜日

原口ビジョンは改革開放への号砲となるか

■Net 原口ビジョンは改革開放への号砲となるか


1222日、閣議後の記者会見で、原口総務大臣が「ICT維新ビジョン」を発表しました。いわゆる「原口ビジョン」です。

民主党政権は、選挙前は「配る」政策(子ども手当、高校無償化、農家個別補償)、政権奪取後は「止める」政策(補正予算潰し、事業仕分け、普天間、ダム、郵政民営化)に集中してきました。しかし3月で20%もの支持率低下をみせ、ポピュリズム政権としては緊急事態。そこで「伸ばす」政策を模索しています。

ICT政策も同じ。政権奪取当初、日本版FCCや融合法制否定など、非改革、規制強化路線の発言が目立ちましたが、ここにきて修正がかかりました。情報通信法提出の動き、ホワイトスペース検討開始、そしてこの原口ビジョン。「地域」「雇用」「環境」に集中したICT政策を打ち出しました。改革、開放路線への傾斜を支持します。

ポイントは地域再生策。2020年に4900万の全世帯ブロードバンド化。2015年、デジタル教科書を全小中学生に配備。ぼくたちがお願いしていた光100%+D教科書の提案を入れてもらいました。画期的なインフラ整備目標です。
さらに電子行政(24時間365日オンライン行政サービス)、医療農業改革、電波利用(ホワイトスペース)、ICT利用規制集中見直し(2010 ICT利活用促進一括化法)という重要政策を列挙しています。視点は正しい。

雇用創出策では、ICT関連投資を倍増し、2020年以降3%の経済成長を実現する目標を掲げました。技術開発力の強化、ネットワークロボットの普及、地域コンテンツ活性化などを挙げています。環境では2020年でCO2排出量25%削減目標のうち10%以上をICTパワーで実現するといいます。ICTグリーン化です。産業振興色を排しつつ、技術、地域、環境といった分野での支援策を進めるアプローチ。

ここまで明快な目標値をもつICT政策を政治が打ち出してきたのは初めてのことではないでしょうか。マクロ経済成長や環境への貢献などの実現可能性には議論があるとしても、現状突破を目論む前のめりの政策を立案した動きを歓迎したいと思います。
無論これはまだ机上のビジョンであり、これが政策となるためには具体的な法律や予算措置などの具体的な施策が必要なうえ、工程表も求められます。光100%にしろ、D教科書にしろ、財源が必要なことはもちろん、関係業界との調整、利用者の理解を得ることも不可欠です。このあたりから官僚の出番となります。

原口ビジョンはもう一つ、大事なことを問いかけています。政策決定スタイルの変化です。
前政権までは、万機公論ニ決スヘシ、審議会などでコンセンサスを得た結論が政府を縛り政策となる、というスタイルでした。民意を代表する建前の委員たちが決定権を持つかのようなフィクションのもと、官僚主導でシナリオが描かれていました。時間をかけて、業界や有識者の「根回し」を繰り返して、合意を形成し、政策とする。政策現場の仕事の9割は「調整」でした。
この政権のいう政治主導は全くスタイルが異なります。大臣や副大臣、政務官がパシっと決めて宣言する。原口ビジョンはタスクフォースや委員会が取りまとめたものではありません。大臣が練り上げた書面です。官僚や関係者は仰天です。調整はそのアトで。事前調整から事後調整への転換です。

何年もかけて議論をしながら意見対立で膠着していた著作権保護期間延長問題。20091119日、JASRAC創立70周年記念祝賀会に招待された鳩山首相が「70周年に延ばすことに最大限の努力をする」とあっさり宣言してしまいました。これに
は賛成派も反対派も文化庁の役人もみなビックリ。誰がどう入れ知恵してそうなっちゃったのかはここでは触れませんが、そのスタイルの善し悪しは別にして、そういう政策決定がなされる政権であるということがハッキリしたわけです。

だとすれば、賛成・反対交えてオープンに論議をしてコンセンサスを目指す手法は廃れます。政権与党中枢に直接働きかけるロビイングが大事になってきます。根回し力より突進力。どっちにしろ学者には苦手な世界ですな。

2009年12月24日木曜日

ポップパワー入門 -6

Pop ポップパワー入門 -6



 こうした分野に政府も注目しています。内閣官房知財戦略事務局は、「コンテンツ・日本ブランド専門調査会」を開催し、マンガ、アニメなどのコンテンツやファッション、料理などのブランドを世界に発信していく戦略を論議しています。ぼくも委員として参加しているが、まさにコンテンツやファッションを一体としてブランド化していく総合ソフトパワー戦略が国としても必要になっています。もちろん、地方公共団体もローカルコンテンツを地域文化産業力に活かすべく戦略を練っています。

 しかし、注意も必要です。
 新しい文化、ポップな表現は、公的なものに反発するような、パンクでアウトローな心情や姿勢が原動力であり、増殖炉です。大人にとって眉をひそめるような表現やファッションが産業力やブランド力の基礎をなすことも多いわけです。というか、それが本質。これを含めて、総体としてのニッポン文化産業力を高めていく国としての腹づもりが求められます。

 いわゆる「アニメの殿堂」が新政権に真っ先にストップされたのは、よかったですね。
 ポップの課題は「制作」であって、「保存」じゃない。ポップは作りつづけ消費するものであり、額縁に入れて貯めるのは終わった芸術。ポップ向けに100億円あるなら、1000万円を1000人のクリエイターやオタクにばらまいて、3年間これで食ってコンテンツ作り続けろ、3年間これで食って日本ポップを海外発信しまくれ。これでかなり活気づきます。


 あるいは京都国際マンガミュージアムやNTT ICCなどメディア芸術分野で体を張っている各地の取組をソフト面、人材面で支援したりネットワーク化していく。集中型センターではなく、分散型のディ・センターを整備して、それらをつないでいき、ポップ列島、一億総センター化をめざす。


 ところがその100億円でお台場にビル建築、ってのが殿堂プランでした。せっかくの文化予算が取れたのにデベロッパーと建築会社に回してどうしますか、という具合に文化政策を見直すことになった点でよかった、ということです。建設国債による補正予算、というスキーム上、実はハコものありきの話で、これで文化庁を責めるのは酷なのですが、政権交代をきっかけにポップと政府の距離感を見つめ直すこととなりました。

2009年12月23日水曜日

ポップパワー入門 -5

Pop ポップパワー入門 -5



 さて、マンガ、アニメ、ゲームともに、近代以降、欧米から技術が導入され、それが日本という土壌で独自の開花をみせました。しかし、その物語づくりや表現技法は、12世紀の絵巻物や近世の浮世絵などに見られるとおり、文化として連綿と育まれてきたものです。しかもこれらは、貴族や武士や宗教が主導したのではなく、特に江戸以降、庶民文化として育まれてきた点が欧州に対比される特徴です。誰もが絵を描き、表現する土壌のなかで培われてきた文化。一億人の絵心、一億人のオシャレ度の高さが築き上げてきた文化です。




 このようなポップカルチャーの発達は、優れた作家を輩出するメカニズム以上に、そのオーディエンス層の厚さに依拠します。製造力は、審美眼に立脚します。電車の中でも、学校でも、職場でも、年齢や性別を問わずポップな文化に入り浸る環境がポップカルチャー産業の発達の基盤をなしています。

 とりわけ欧米では子ども文化であるマンガ、アニメ、ゲームに関し、日本では大人向けの領域が確立されている点が特徴的です。大人と子どもの社会が分化しておらず、主従関係にない点に遠因があるのでしょう。また、欧米では基本的に子どもの娯楽は大人が与えるもので、親に隠れて子どもだけで遊びに行くことも比較的少ない。これに対し日本では子どもは可処分所得を多く持ち、自分で欲しいものを買うため、子どもの需要がストレートに商品となって現れます。

 その未来は、デジタル化の進展が左右します。90年代のマンガ、アニメ、ゲーム産業の成長は、急速に進んだコンピュータのダウンサイジング化とネットワーク化が推進力となりました。新しい技術が新しい表現様式を生み出しました。新しい販売・流通チャンネルを開拓しました。そうして新しい文化、風俗、ビジネスを生んできました。

 例えば携帯電話によるサービスはティーンエイジャーが利用の中心であり、有料コンテンツとしてはニュース、天気予報などの実用サイトを上回り、SNSや着信メロディ、占い、ゲームなどの遊びコンテンツの人気が高く、ポップな産業分野を形成しています。

2009年12月21日月曜日

ポップパワー入門 -4

Pop ポップパワー入門 -4



 ポップカルチャーの力に気づいた地域は、戦略的にこれを町おこしに活用しつつあります。たとえば滋賀県彦根市の「ひこにゃん」。2007年に築城400年を迎えた彦根城記念イベントで採用された、井伊家由来の兜をかぶった猫のキャラクターです。これが全国的な人気を博し、同種の地域キャラクターが多数生み出されています。




 2010年に奈良市で開催される平城遷都1300年記念事業のマスコットキャラクターをめぐっては、採択された「せんとくん」に関し、デザイン面や選考課程などの点でさまざまな議論が巻き起こり、せんとくんに対抗する「まんとくん」や「なーむくん」などのライバルも登場、結果として平城遷都イベントに全国的な注目が集まることとなりました。

 水木しげる氏の出身地・鳥取県境港市は、「ゲゲゲの鬼太郎」の妖怪キャラクターのブロンズ像133体を街中に配備するなど、リアルな町をマンガ・アニメでプロデュースし、いまや山陰地方最大の観光地に生まれ変わったといいます。

 アニメ「らき☆すた」の舞台となった埼玉県の「鷲宮神社」はアニメファンの聖地となり、2009年の初詣では埼玉県第2位の42万人が参拝しました。鷲宮町としてもこれを活かし、オリジナルグッズ開発売などさまざまな地域振興策に取り組んでいます。

 20094月から6月に放映された「けいおん!」は、女子高生がロックバンドを形成するアニメ。その女子高生が手にしたギブソンのギターやフェンダーのベースは、高額商品でありながら製造が追いつかないほどの人気を博しています。その舞台となった京都の楽器店はぼくが中学生のころ始めて楽器を購入した店なのですが、アニメファンである自分の学生たちが京都ツアーを企画してまでその店に行こうとしているのを見ると、ポップの力に脱帽せざるを得ません。

 ちなみにその舞台となった京都市左京区修学院はぼくの出身地なのでこのアニメの風景にはキュンとなる懐かしさを覚えます。ちなみにその修学院小学校の2年後輩に前原誠司さんがいて、彼は中学高校大学とずっと2年下でした。でも修学院小学校のもっと下にはチュートリアルの二人がいて、そっちのほうが誇らしいからぼくは最近はチュートリアルの先輩ですと名乗ることにしています。ちなみに「けいおん!」のバンド4名の名字は「P-Model」の4名の名字を取ったものですが、そのベーシスト秋山さんが先日、池袋でぼくがベースを弾いたVampireのアンコールに登壇、P-Modelの曲をやってくれました。そのとき「けいおん!」の熱狂について話したら、全然ご存じなかった。こっちのほうが驚きました。
(つづく)

2009年12月19日土曜日

ポップパワー入門 -3

Pop ポップパワー入門 -3



 経済産業省によると、2004年の世界のテレビアニメの60%が日本製で、アメリカの日本アニメ市場は48億ドルに達するといいます。「ポケットモンスター」は世界67か国と2地域、「クレヨンしんちゃん」は世界46か国で放映されています。日本のゲームソフトの半分が海外に出荷され、輸出額は2300億円に達し、輸入額の80倍に当たるといいます。




 アジアだけでなく、欧米でも、日本は若い世代にとって一種の憧れとなりました。この状況は、テレビゲームが浸透し、日本のアニメが高視聴率を稼ぐようになった90年代にもたらされたものです。日本は、「失われた十年」の間に、対外的な顔を変えていました。そしてそれを国内よりむしろこれら海外から指摘され、日本側が気づいたものです。

 ポップカルチャーは産業として期待されています。国内コンテンツ市場14兆円のうち、マンガ、アニメ、ゲームの占める割合は約1割ですが、これを利用した音楽、キャラクター商品、アミューズメント施設等のビジネスを含めると35兆円の市場となります。デザイン、建築、観光などの関連市場や波及効果を合わせれば100兆円以上の産業領域が広がると考えられます。

 従来の日本製品は、高機能・高品質を売り物にして世界市場を開拓していきました。日本のポップカルチャーは、クール、ポップ、キュートなテイストを一般の商品やサービスにも付加し、新しい日本ブランドを作りつつあります。マンガ、アニメ、ゲームが切込隊長となり、その周辺にある音楽、ファッション、そして観光がタイアップビジネスを形成しています。

2009年12月17日木曜日

ポップパワー入門 -2

Pop ポップパワー入門 -2




 アメリカのジャーナリスト、ダクラス・マクグレイが「日本のグロス・ナショナル・クール」と題する論文を発表したのは2002年のことでした。グロス・ナショナル・クールとは、GNP(グロス・ナショナル・プロダクト、国民総生産)になぞらえた概念で、「流行文化力」とも称すべきクールな(かっこいい)価値を国力の指標にみたてたものです。


 その論文は冒頭、こう記しています。「日本はスーパーパワーを再生している。政治経済の逆境というよく知られた状況に反し、日本の国際的な文化影響力は静かに成長してきている。ポップミュージックから家電まで、建築からファッションまで、そしてアニメから料理まで、日本は80年代の経済パワーがなしとげた以上の文化的スーパーパワーを示している・・」

 国際政治学者であるジョセフ・ナイ ハーバード大学教授は、軍事・経済という強制力としての「ハードパワー」と並ぶ文化的魅力としての「ソフトパワー」を外交の軸に据えるよう唱えています。そして彼は日本のソフトパワーの主要な源泉をポップカルチャーに見ています。


 かつてはハラキリ、カミカゼに代表される「闘う国家」が日本のイメージでした。これはトヨタ、ホンダ、ソニーといったグローバルに「闘う企業」に転換しました。そしていまやこのイメージは、NARUTO、ピカチュウ、スーパーマリオブラザーズに取って代わられました。マンガやアニメやビデオゲームといったポップカルチャーが日本の顔になっています。

2009年12月15日火曜日

ポップパワー入門 -1

Pop ポップパワー入門 -1



 20097月、パリ郊外。NARUTO、ドラゴンボールZ、犬夜叉といった日本のアニメの衣装をまとったヨーロッパの若者が大挙しています。日本の女子高生の制服を着て、ガングロやヤマンバになった、つまり顔を黒く塗りたくった白人ティーンエイジャーがいます。PuffyAKB48という日本の女性アーティストのライブに狂喜乱舞しています。



 日本のマンガや映像などを紹介するイベント「ジャパンエキスポ」。マンガ・アニメ・ゲームを中心とするポップカルチャーと、書道や武道などの伝統文化を合わせた、日本文化のフェスティバルです。1999年の初回には来場者3000名だったが、2009年の回では16万人の来場があったといいます。

 20098月、名古屋で開催した「世界コスプレサミット2009」では、15カ国での予選を勝ち抜いたチャンピオンたちが集結し、コスプレの頂点を極めるバトルを展開しました。ぼくが参加した2005年のコスプレサミットでは、日本・アメリカ・中国・ドイツ・フランス・イタリア・スペインで行われた予選にそれぞれの国で何万人という応募があったそうです。その優勝賞品は「日本旅行」。コスプレの聖地ニッポンへ来ることができたとあって、各国の優勝者は熱狂的な興奮状態でした。

 日本在住の外国人が日本のクールなものを取り上げて論議するNHKの番組「クールジャパン」。ぼくも出演しているんですが、彼らの話には日本ブランドの広がりを感じます。彼らがクールと感じるのは、マンガ、アニメ、ゲームといった典型的なジャパンクールだけではありません。マッサージチェア、居酒屋、宅配便、ママチャリ、デパ地下、包装紙、小学校の給食当番などなど。もの作りやサービス、社会システムやライフスタイルに及んでいます。というか、どちらかというとコンテンツを抜け出したリアルな社会像のほうにむしろクールさを感じているようです。
 (つづく)

2009年12月14日月曜日

NTT再々編よりNTT幼稚園

■Net  NTT再々編よりNTT幼稚園


 情報通信政策3部作@慶應義塾、ラストは「NTT再々編問題」。國領さん佐々木さん池田さん岸さん金さんと登壇しました。ぼくが話したことをメモしておきます。

 99年のNTT再編から10年。ぼくが役所に入ったのは84年、郵政省電気通信局。NTT法や電気通信事業法を策定している通信自由化前夜の現場です。電電公社行政を知る最後の世代です。十数年後のNTT再編の際には官房総務課で法案を担当。すさまじい調整の一端に携わりました。そして今回、外から眺めるに、再々編の議論に違和感を覚えます。もはや国がああしろこうしろと言う時代ではなかろうと。
 まずはNTTがどうありたいのか。話はそれからでしょう。現状維持がよいのか。とすればNTT法の人事や事業計画への規制が続く。統合がよいのか。とすればデータ、コム、ドコモの競争力は弱まるかもしれない。規制緩和がよいのか。放送進出への意向があるのか。スリム化がよいのか。あるいはテレフォニカのように国際進出に力を入れるのか。このあたりが見えません。

 それを前提として、ぼくは整理すべきことが2つあると思います。
 まず「完全民営化の条件整理」。NTTはNTT法に基づく特殊法人。NTTは株式会社ですが純民間企業ではありません。国が特別の立法で設立した法人です。その法律を廃止して初めて民間となります。国際電信電話株式会社法に基づいて設立されたKDDは、完全民営化しても国際通信は大丈夫という条件が整ったため98年に法律が廃止されました。NTTはどうか。
 NTT法がNTTに求めているのは、電話のユニバーサルサービスと研究開発の2つです。電話という国内基盤と研究開発という先端の競争力を国としてNTTに確保してもらっている。それが民間でできるからもういいよ、となれば一丁アガリ。電話はもう大丈夫か、光ファイバー時代のユニバーサルサービスを国としてNTTに確保してもらわなくてよいか。そして研究開発も大学や民間企業にやってもらえば国としてOKか。
 もしもNTTが自由になりたいのだとすれば、この2つの絵図をまずNTTが描くことでしょう。ただし、自由になるには競争政策の視点からさらなる落とし前が求められましょう。持株会社を解散するのか、あるいはソフトバンク孫さんが主張するようにアクセス網を分離してオープン化するのか、話を進めるとすれば、どのあたりが落としどころかを見極める必要があります。

 2つめは、その「競争政策の方向性」。日本版FCCの話と同じで、政策論の前に組織論が飛び出すから話がよじれる。まずは通信政策の内容を整理する必要があります。今問うべきは、光の設備競争は是か非か、という問題。モバイルは各社が自ら無線局などの設備を建設して激しく競争しています。光ファイバーはNTTのシェアが8割。KDDIやソフトバンクは太刀打ちできていません。では、NTTの(ほぼ)独占を是認し、その上でオープン化の規制をかけていくのか、あるいは他企業に設備競争のインセンティブを与えていくのか。
 ぼくは次の政策目標に「光100%普及」を据えてよいと考えますが、ではそのための体制・組織はどうあるべきか、というのが論議の順序ではないかと。シンガポールは光アクセスの構造分離を実施し、次世代ブロードバンドを国が整備、2015年にはFTTHを100%達成するという大胆な政策を導入しました。英BTもアクセス回線を分離してオープンリーチを新設、2017年には全土の9割を光化する計画です。日本はどのような政策に出るのか。

 また、NTTの放送進出は是か非か、というのも論点でしょう。下位レイヤのビジネスが展望しにくくなっている中、上位レイヤへの進出を認めるのかどうか。ぼくはコンテンツの生産や流通を活性化するためにNTTに大いに活躍してもらいたいですし、放送業界に一朝あるときは手助けもいただきたいのですが、そのくびきを解く条件は何なのか。
 もちろん国際進出にもめげないでいただきたい。中国がアフリカに進出し、日本のデジタル放送方式が南米に受け入れられる中で、NTTが国内で立ち止まっている寸法はない。
 本当のところNTTにはもっともっと期待したいことがあります。金融は情報産業ですから「NTT銀行」を作ってもらっていいし、電話局は一等地にあるので「NTTホテル」もいいじゃない。最も期待するのは、世界一のIT教育を進めるための「NTT幼稚園」の設立。そういうチャレンジが許される組織となるよう、前向きの政策が欲しいところです。

2009年12月13日日曜日

ワークショップコレクションは2月27-28日

■Kids ワークショップコレクションは2月27-28日

コンテンツを創作する子ども向けワークショップの展示会が「ワークショップ・コレクション」です。従来のアナログの表現手段と最先端のデジタル技術を駆使した全国選りすぐりのワークショップ・プログラムを一堂に集め、紹介するイベントです。2004年から開催し、これまで5回行われています。
子どもの創造・表現活動を支援すると同時に、ワークショップ・プログラムに関わる人々(研究・開発者、実践者、保護者、企業、学校関係者、アーティスト等)の出会いを促進します。




200810月、慶應義塾大学 三田キャンパスで開催されたワークショップ・コレクション2008には、大人子ども合わせて10,000名の来場者を見せました。この分野には間違いなく大波が押し寄せています。
 http://www.wsc.or.jp/history2008report.html
出展は70。多彩な顔ぶれによる多種の展示です。
アニメ作り、CG作り、録音再生、プログラミング、電子工作といったデジタル系、ハイテクものが並ぶ。それだけではありません。粘土細工、和紙作り、糸でんわ工作、ロケット飛ばし、ジャグリングなど、手足を動かすとってもアナログでリアルなワークショップもあります。


数日かけて1作品を作るタイプのワークショップと異なり、どれも展示向け簡易バージョンなので、それぞれの出展が持つ深みは伝わりにくいかもしれません。しかし、参加した子どもたちは熱心に楽しみ、創作し、表現して回っていました。


ハリウッドを凌駕するようなクリエイターやプロデューサーをどう生むかという高等教育は重要な緊急課題です。産業政策の本丸です。しかし同時に、デジタル技術が全ての人に行き渡り、全ての人が表現する時代には、創造力と表現力の全国的な底上げ策がもっと大切になります。初等教育の問題です。教育政策、地域政策です。


ワークショップコレクションは、その方向性を示すものです。


さて、そのワークショップコレクション。
6回が2010227日、28日、こんどは慶應義塾大学 日吉キャンパスで開催されることになりました。
ぜひご参加ください。
そして、スポンサー大募集中!
かなりの赤字+ボランティアによって運営しているワーコレに手を!
 http://www.wsc.or.jp/WSC.html

2009年12月11日金曜日

安心ネットづくり -3

Kids 安心ネットづくり -3



 ネットスターが調査したところ、保護者の8割が学校に携帯を持ち込ませない取組ではネット利用を巡るトラブルは解決しないと考えていて、ネット利用のリスク教育を行うのは62%が学校、92%が親の役割と答えています。大半の親は問題点のありかは理解している、ということでしょう。

 民間がサボっていた点も真摯に反省すべきですね。業界はITリテラシー教育に十分なコストをかけてきませんでした。フィルタリング技術等への投資も過少でした。政治家に「百害あって一利なし」などと叱られる前に、「一害あるけど百利あり」の一害を減らし、百利を最大化する方策を示すべきだったんです。
 橋下知事が高校での携帯電話禁止を掲げた大阪府で、ケータイを使って匿名討論するIT教育を導入する是非が議論になっているといいます。高知市の私立高校ではケータイ全面禁止から一転、積極活用を決めたといいます。デジタルと青少年の距離感を大人たちは計りかねているわけです。

 2008年末、ポーランドのワルシャワを訪れた際、国立博物館でエジプトのパピルスを見学していた現地の小学生たちがみなケータイで写真を撮り、レポートを書いていました。2003年、米国の批評家ハワード・ラインゴールドは、親指でメールする渋谷のティーンズに驚愕し、そこに「啓示」を見出して「スマートモブズ」を著しました。それから5年、日本のアドバンテージは消えたんでしょうか。
 民間は対策に本腰を入れ始めましたが、まだ始まったばかり。業界、学校、政府・自治体など、社会全体でデジタルの未来を形作る努力を払うべきです。「若い世代のデジタル利用力」が日本のもつ最大のパワーです。これを活かしましょう。

2009年12月9日水曜日

安心ネットづくり -2




 Kids 安心ネットづくり -2







規制よりも技術。技術よりも教育。泳ぐことで、情報の海の楽しさも恐ろしさも体得する。そうした子どもたちの環境や教育手法を確立することは、ケータイやブロードバンドで世界を先導する日本の責務でしょう。
さきごろ京都の「ケータイ国際フォーラム」で対談した茂木健一郎さんは、「みんなが使うことを前提に、対応を考えるべき」と話していました。国際的に活躍する人はたいていそういう意見。これに対し、「ケータイは百害あって一利なし」とする政治家もいます。そのズレはどうすれば解消できるでしょうか。


ベネッセの調べによれば、中学生の86%、高校生の87%がケータイを使うことが「楽しい」と答えています。魔法のiらんどが青少年ユーザに「ケータイはあなたにとって何?」というアンケートを採ったところ、家族、守り神、命の次に大切なもの、ケータイ小説で本が大好きになった、サイトで自分を表現できて学校でも明るくなれた、という声が寄せられたといいます。なにもいやいや使っているのではなく、楽しくてタメになるから使っているんですよね。
そしてこれもベネッセによれば、中学生の77%、高校生の77%が「知らない人からの電話には出ない」といった反応を示しています。危険度も使い方もわかっているんです。


恐らく最も不安を抱えているのは、状況を把握していない「親」でしょう。高校生の保護者の8割が情報リテラシー教育を経験していないといいます。子どもたちのほうが知識が豊富で泳ぎ方もわかっています。最も責任を持って学び、対応しなければいけないのは、親ですよ。親の世代への教育がカギを握っています。

2009年12月7日月曜日

安心ネットづくり -1

Kids 安心ネットづくり

 児童ポルノ。自殺サイト。出会い系。ネットいじめ。ケータイ依存症。

ネットやケータイの負の側面が盛んにとりざたされています。いかに青少年をデジタルの害から守るのか。それはいわば、いかに青少年をデジタルから遠ざけるか、の議論にもなっており、ケータイを取り上げるべしという政治的圧力も高まっています。


2007年末に総務大臣が通信会社にフィルタリング取組強化を要請、通信業界やコンテンツ業界は対応に追われました。内閣官房IT担当室、経済産業省、文部科学省も対応を強めています。警察庁は児童ポルノなど違法情報への取組を強めるとともに、出会い系サイトの取締にも力を入れています。


国会でも論議が高まり、2008年6月には「青少年インターネット環境整備法」が成立しました。国が基本計画を策定するとともに、通信会社や機器製造者などにフィルタリングサービスの提供義務を課するなどの内容で、行政によるコミュニケーションやコンテンツへの介入が強まるとの懸念も表明される中での法案通過でした。2009年4月から施行されています。

2008年12月には「出会い系サイト規制法」が改正され、出会い系サイトの運営事業者に都道府県の公安委員会への届出と利用者の年齢確認を義務づけました。2009年2-3月には警視庁がネット企業に対し、出会い系サイト同様の書き込みがあるとの削除要請を行ったとされ、国と民間との間で緊張した関係が続いています。2009年6月には無届けで出会い系サイトを運営したかどで逮捕者も出ています。

同じく6月、石川県議会は「小学生に携帯電話を持たせないよう保護者が務める」規定を盛り込んだ「いしかわ子ども総合条例」を可決。2010年1月から施行されます。7月には兵庫県でフィルタリング機能の利用を保護者に対して義務づける条例が施行されました。


しかし、子どもたちにとってネットやケータイは悪であり、利用禁止を是とする風潮が広がることは、新しいメディアのプラス面を否定することにもなりかねません。特に政治や行政が規制や介入を強めることは危険です。

そこで大事なのは民間の取り組みです。こうした状況を受け、2008年春、フィルタリング団体として、「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構」(EMA)、「インターネットコンテンツ審査監視機構」(I-ROI)といった第三者機関も設立されました。私もEMAの基準策定委員長をこの春まで務め、今もI-ROIの理事を務めています。

そして、これら機関をはじめ、通信会社等の企業、教育機関といった関係者による取り組みを連携させるために2009年2月に設立された組織が「安心ネットづくり促進協議会」。普及啓発や違法・有害情報の調査などに取り組んでいます。私が世話人となって173の会員で発足し、会長を大阪大学の鷲田清一総長が務めています。

(つづく)




2009年12月6日日曜日

ウェザーニュースの衝撃

■Net ウェザーニュースの衝撃


11月20日、「2011年、新放送時代に勝ち抜く気象情報」というシンポが開かれました。
場所は幕張、ウェザーニュース社。ウェザーニュースで生中継されました。
パネリストはぼく、ニワンゴの杉本社長、NIIの北本先生。司会はウェザーニュース石橋さん。

ぼくはウェザーニュースには注目していたのです。
衛星でテレビに放送するとともに、ネットでPCに、そしてケータイにも番組を送る。通信放送融合ですね。それだけではなく、PCやケータイで視聴者がどんどんメッセージを局に送ってきて、それを画面に表示するニコ動ばりの番組作りです。また、ケータイで撮った天気の写真が全国の視聴者から送られてきます。平均1日3,000通。台風の際には25,000通が送られてきたといいます。
双方向の番組作りが行われているのですが、これは日本だからこそできるモデル。みんながカメラ付きケータイを持ち歩いて、写メって書いて送るリテラシーがあるからですね。日本型融合モデルを造作もなく作り上げているわけです。これを世界に向けてビジネス展開しようとしている。魅力的です。

今回、それよりも驚いたのは、ウェザーニュース社が気象庁の業務改善命令を受けていたこと。放送で行った予報や予測が国の予報に先んじていたり、許される範囲を超える予報を行ったりしたかどで叱られたんです。それは知っていたのですが、驚いたのは、その業務改善命令書を額に入れて社屋に飾ってたんですよね。勲章ですからとか言って。いやあパンクです。
まったく放送局じゃなくて通信屋ですな。これまでの気象予報は気象庁という権威があって、一方通行で情報が下々に流されていました。ウェザーニュースのやっていることは、全国の視聴者がつながって情報を共有することで予報するシステム。教会からバザールへ。偉い権威から降ってくる情報よりも、みんなで交換して共有するウェブ2.0な情報。25,000の写真を現場からその瞬間に送ってくるシステムは強いですよ。
ニワンゴ杉本さんは、そうは言っても放送の強みは残ると言います。日本のインターネットがいかに発達しているとはいえ、生で動画を同報するのは100万人が限界。100万視聴者というのは放送では視聴率数%で、微々たるもの。だから放送メディアと通信ネットワークを併用するウェザーニュースの戦術は理にかなってるんですね。

気象情報は、ハードからソフトへのシフトを進めるのがよいのかもしれません。民主党的に言えば、ハコからヒトへ。治水のためにダムを作ったり、防波堤を作ったりすることから、利用者の情報力を活かして予報や防災に役立てるということです。となると、日本人の天気力というか、予報度というか、ヒトの力が気になります。そこで会場で専門家の方々に聞いたところ、みなさん「日本人は天気予報に尋常でない関心があり、天気予報のレベルも高い」という答えでした。あぁそうなんだ。四季がハッキリしているからですかね。その力を国際ビジネスに活かしていきたいですね。
日本の強みは、ハード力とソフト力を兼ね備えているところ。天気で言えば、テレビ+PC+ケータイといったメディアがしっかり整備されていて、ものづくりすることもできるということ=ハードと、天気好きで表現好きな国民がいる=ソフト。ブログ上の言語で日本語が英語を抜いたほど発信志向の高い世代の天気好きを活かせれば、天気ビジネスを世界に展開できるかもしれません。
なかなか興奮するトークセッションでした。

2009年12月5日土曜日

デジタルランドセル -3




Kids デジタルランドセル -3




 1つのアイデアとして「デジタルランドセル」を提案します。
これ1つで学校生活はOK、というセット。全ての教科書が入っていて、辞書も辞典も引ける。新聞もこれで読もう。筆記用具も、コンパスも、電卓もある。むろんネット対応で、フルカラーで、タッチパネル。みんなにプレゼンしたり、音楽の時間に音を出したりするための出力端子もある。任天堂のゲーム機「Wii」のように体を使う入力装置があれば体育にも役立ち、食育ツールとして給食時間にも出番があります。


ランドセルと言っても、実態は電子デバイス。教科書と辞書なので、電子ペーパーがいいですね。書き込み可能なカラーの電子ペーパーを開発しなければなりませぬ。子どもが使うものなので、落としても濡らしても壊れない頑強さが必要。できれば折り曲げられるペラペラのものにしたい。
プロトタイプなら1億円あれば開発できるでしょう。
大事なのは、これをみんなが持つということです。だから安くないといけません。電子ペーパー端末、ノートPC、電子辞書、ポータブルゲーム機、100ドルPCの動向などからして、ハードウエアは12万円ぐらいでしょうか。


08年度の小学校新入生は117万人。小学校入学時に配布して義務教育期間中使ってもらうことにすると、年間コストは240億円。教科書を無償給与する年間予算400億円などを差し繰りすれば、長期的には何とかなるかもしれません。だが、小中学校生約1000万人に一気に配給したら2000億円。これは足りない。
しかしどうだろう。自民党政権最後っ屁の経済対策での財政支出は15兆円。その2%あれば、全国の子どもがデジタルランドセルで学校に通えます。基金として死蔵されたり、地方の土地持ちが貯蓄に回したり、メーカーが在庫処分に使ったりするより、よほど未来に向けた投資ではないでしょうか。
デジタルランドセルは一例ですが、このような経済情勢だからこそ、日本の強みを伸ばし、未来を構築する構想を描き、実現していきたいものです。
(デジタルの手触り 十番勝負 第一番改訂)