Twitter

2017年4月27日木曜日

AIとビッグデータの知財論、大詰め。

■AIとビッグデータの知財論、大詰め。

 知財本部 新情報財委員会@霞が関。委員長を務めます。
 AIとビッグデータの知財論、大詰めです。
 内閣官房、内閣府、総務省、文科省、文化庁、経産省、特許庁が出席。
 産総研、NICT、国会図書館も参加。オールキャスト。

 テーマ1:AI学習用のオープンデータ、オープンサイエンス。
 公的資金での研究成果のデータ利活用を推進することと、官民データ活用推進基本法を稼働させることを方針として確認しました。

 産総研は研究によって得た地理空間、物質・材料、人体、情報系のデータを提供する「データバンク構想」をプレゼン。
 NICT(情報通信研究機構)は、ウェブ由来の学習データを他の研究機関と共有できないこと、収集した100億ページのデータを大学・企業に提供できないことの問題を提起。

 NICT鳥澤さんは、創作性のある表現をする対話ロボットが出典の引用をどう扱うか、という問題も提起。
 ウェブ情報を引っ張ってきてしゃべるAIロボットはもう実用化されてますもんね。「今」の課題です。

 文科省はNIIの学術情報ネットワークの整備、3省連携による理研AIPでの汎用研究について紹介。
 ぼくも理研AIPの研究が社会に寄与する役割を果たしたいと考えています。がんばってください。

 国立国会図書館は262万点のデジタル化資料を提供し、35万点のパブリックドメイン資料は自由に利用が可能だが、データのテキスト化が進んでいないとのこと。12万件のネット資料をAI学習用に使うには法整備(国有財産法等)が必要との見解を示しました。

 これを受け、突っ込んだ議論となりました。一口にデータと言っても、私的・公的なもの、研究用のもの・汎用のもの、ウェブもの・センサーもの、いろんな種別があります。業界によってもデータのオープン度や共有度が異なります。まずこれをどう整理するか。

 データの利活用を促進するための法制度、インセンティブ、データマネジメント、そして海外との関係整理を進める必要があります。国がどこまで出ていくのか、ヘタに出ることで止まることはないか、などの見極めも必要です。

 もう一つのテーマ:AI生成物の問題。特許庁ではAIを使った「発明」の保護策、ビジネスモデル、3Dプリンティング・データによる模倣品対策などを議論しています。文化庁では著作権に関する柔軟な權利制限の議論が大詰めを迎えています。

 AIが生成するアウトプットの權利をどう扱うか。世界でもまだこの問題に本格的に取り組んでいる国はなさそうです。日本での議論も、制度としてどこまで関与するのか、進んだり戻ったりしています。
 しかし、いま出せるアウトプットと、引き続き考えるテーマとに線を引いて、そろそろ結論を出さねば。

 いつもより1時間弱、会議を延長しましたが、ここで力尽き、まとめの論議に進むことができませんでした。

 ごめんなさい。また次回。

2017年4月24日月曜日

理研のAI研究センターに期待を寄せております。

■理研のAI研究センターに期待を寄せております。

AIP:人工知能/ビッグデータ/IoT/サイバーセキュリティ統合プロジェクト。総務・文科・経産3省の連携でAIの研究開発と社会実装を推進しています。AIとIoT/ビッグデータの掛け算。70億円予算のうち30億円を理研AIPセンターに計上。政府は気合が入っています。

30億円以上に政府に気合が見込めるのは、理研AIPセンターのトップに42歳の杉山将東大教授をアサインしたこと。特別顧問としてカーネギーメロン金出武雄教授、NII喜連川所長、東大合原教授、ATR川人所長という超重鎮を配置、脇を固めて推進体制を整備しました。

85年、70歳だったMIT学長Jウィーズナーが42歳のNネグロポンテにMITメディアラボの所長を託した。それを彷彿させます。ネグロポンテは15年所長を続けました。日本はAI研究を杉山さんに15年委ねる、そういう気合が求められているのではないでしょうか。

深層学習、因果推論など革新的アルゴリズムの基盤技術を開発するとともに、その社会実装を進めることにしています。防災や医療などでのAI利用です。
AIが仕事を奪うといった不安が広がる状況で、分かりやすい社会実装により、AIの効用を示すことは重要な課題です。

しかしGoogle、Amazon、MSなどが数千億円規模の投資をする中、日本は政府予算が数十億円規模。このギャップを乗り越える戦略とは。
杉山センター長によれば、応用研究は予算規模勝負だが、基礎研究は個人勝負。個人研究者レベルだと日本もゲームチェンジが可能とのこと。なるほど。

では応用研究は?テーマを厳選して当たるとのこと。iPS細胞(山中伸弥教授)やものづくり(天野浩教授)など。加えて、課題先進国ニッポンの強みを活かして、ヘルスケア、防災などをプロジェクト化すること。正しい。

理研AIPは東京・日本橋に場を設け、200人の若手トップ級研究者体制を組む計画です。基盤技術と応用開発を網羅するとともに、社会研究にも力を入れます。理系の研究だけでなく、社会経済、倫理・哲学等のコミュニティを作るのはとても大切です。

ぼくはこの動きに役立ちたい。勝手に。そう思ってます。ぼくの社会人の原点は自動翻訳電話開発プロジェクトでATRを作ったことだし、MITではミンスキー一派とAIの冬季を過ごし、最近は知財本部でコンテンツとAIの議論をしていて、次の展望を描きたくなっていたところでした。

ぼくにできそうなことは、この分野が大事ですというプロモーション、わかりやすく発信すること。もう一つは日本の強みを活かすため、Pop & Techのコミュニティーを作り上げることかと。


日本はAIの利用大国になることが戦略でしょう。医療や防災という課題先進国としての利用も大事ですが、ポップカルチャー分野でゴリゴリ使う。教育分野でもゴリゴリ使う。役所でも使う。あれこれ広げていきたいです。

2017年4月20日木曜日

知財本部、データ論議

■知財本部、データ論議

 知財本部・新情報財委員会@霞が関。
 東大・渡部俊哉教授と共同委員長を務めます。
 AI知財の議論からデータに関する議論にテーマが移っています。 

 IT本部山路参事官から、さきごろ施行された官民データ活用推進基本法に基づくデータ活用とオープンデータの推進について説明。そして、ルール化を進める前に、PDS(パーソナルデータストア)、情報銀行、データ取引市場の整備を推進することを表明しました。 

 IT本部はシェアリングエコノミー対策もそうだが、利用規制を緩和しながら環境整備を進めるというアクションを取る姿勢。ぼく好みの行政を進めておられます。

 総務省小笠原課長は、データ取引市場や情報銀行に関する実証実験について言及。スマートシティ、スマートハウス、IoT、5Gの推進も触れました。インフラ整備、よろしくです。

 経産省佐野課長は、IoTの課題としてデータ爆発、セキュリティ、プライバシー、データ寡占を挙げつつ、潮流として、PDS、シェアリングエコノミー、ブロックチェーンを挙げました。「分散」を進めると。野心的です。

 例えばPDS(パーソナルデータストア)は、個人を起点としてデータ流通を促進するもので、データ流通を集中・センター型を分散型に切り替えるもの。「集めないビッグデータ」(佐野課長)。するとデータ流通市場のアプローチが大事になります。

 データ流通市場の例として、EverySenceが挙げられました。これはぼくが真野CEOからお話を伺っていたものです。注目しております。

 データオーナーシップ(B2Bの非パーソナルデータの利活用権限)についても問題提起されました。契約でいかに明確化するか、公平な利用をどう確保するか等の論点が挙げられたところです。 

(データオーナーシップに関してはその後福井委員から、知財の学術・司法の蓄積は膨大であり、それらとの整合を図るべきとのコメントがありました。)

 これらを踏まえ、本委員会では、利活用の促進が期待されながら保護の範囲が明確でないデータについて議論することとし、営業秘密(不正競争防止法)や不法行為・契約(民法)について論点を整理します。

 データに何らかの法的権利を与えるのか、データ取引所や契約に関するルール、ガイドライン等を作るのか、といったアクションを検討することになります。

 これに対し、法的な権利付与に対する危惧が多くの委員から表明され、契約ベース・不正行為対応のアプローチへの賛成が多数を占めました。

 しかし清水委員は、民間企業はアプリやサービスを途中で止めてしまうが、民間に任せるというのはそういうことであり、個人情報を使ったヘルスケアサービスなどの政府のビジョンは国が強制しなければムリ、と意見。民主導という流れに対峙する、新鮮なコメントです。

 これを補完する意見として、林委員は、個人起点のPHR実証や厚労省の電子レセプト流通などを国が推進する、といったリーダーシップのとり方はあるとコメント。福井委員も、政府は公平性・オープン性確保といったリーダーシップがあると指摘しました。

 また福井委員はルール化・権利化が適・不適というより、時間・調整コストがかかるという点で、そこに資源を投下する効率が悪いから別のアプローチ(流通市場等のインフラ整備など)を取る旨のコメント。ぼくも制度論より施策論を重視するのはそういう理由です。

 清水さんが、情報銀行への情報提供を義務づけよ、という意見を表明。
 パンクやの~。

 日を改めた会合で、産総研・関口委員が、大型コンピュータをブン回してπを100億ケタ以上計算してるが、そのデータは保護されるべきか否か、と問題提起。
 むつかしいわぁ  この問題。

 タクシーのカメラに映った自分の情報は、タクシー会社のものか自分のものか、という問題提起もありました。データ利活用の権利を個人に引き戻す手があるか。ブロックチェーンの活用が可能性を広げるか。

 議論は続きます。

2017年4月17日月曜日

超人スポーツゲームズ

■超人スポーツゲームズ

第一回超人スポーツゲームズ。東京タワーにて開催されました。4競技の超人スポーツ競技会と、6つの新たな超人スポーツの体験会を実施しました。内閣官房オリンピック・パラリンピック基本方針推進調査の支援を得て開催の運びとなりました。


超人スポーツ協会は、2020年、東京オリンピック・パラリンピックと並ぶ超人スポーツ世界大会を開きたいと思っています。そのための競技の開発と選手の育成に向けた号砲、それが超人スポーツゲームズです。


トーナメント競技1、Bubble Jumper / バブルジャンパー
ばねでできた西洋竹馬を足につけてジャンプ力を強化し、弾力性のある透明な球体を上半身に被って、ぶつかり合う超人相撲。


ぴょんぴょんの、ビヨンビヨンで、ドカンドカンです。;


競技2、HADO。
ヘッドマウントディスプレイ、腕にアームセンサーを装着し、AR技術とモーションセンシング技術で「かめはめ波」対戦を実現。フィールドを自由に動き回り、味方と連携して3対3のバトルを繰り広げます。


現実に手足を動かしながら、バーチャルな世界で闘います。ハウステンボスなどで既に実装されています。


競技3、Hover Crosse / ホバークロス。
体重移動のみで操縦できる電動スクータ、HoverTraxを使い、二人のプレイヤーがオフェンスとディフェンスに分かれてフィールドの3つのゴールにボールを入れて得点を競う1on1の球技です。


攻めのテクニック、守りのテクニック。いろんな作戦が生まれてきている模様。


競技4、Carry Otto / キャリオット。
小型モータを手綱で操作する人機一体の競走競技。3歳から80歳まで、車いすの方、知的障碍者を含めみんなが参加できるスポーツ。決勝戦、ゴールの瞬間です。


自作のカートや、普段使っている自分の車イスで疾走するかたも。台車の自由さがこの競技の魅力です。


体験競技1、トリトリ。
岩手県ご当地超スポ。宮沢賢治「銀河鉄道の夜」に登場する「鳥捕り」がモチーフです。ドローンに取り付けられたカメラの映像を見ながら操作し,ターゲットドローンを捕まえることで得点を競います。ドローン競技は、いつか首相官邸で、やりたいぞ。


体験競技2、HADOカート。
対戦形式のARモータースポーツ。ヘッドマウントディスプレイ、モーションセンサーを装着してモビリティを操作しながら、現実世界を背景にバーチャルな魔法を撃ち合います。


乗り物を操縦して敵を撃つ。戦闘機ゲームなどで憧れた世界の実現です。


体験競技3,スライドリフト。
電動アシスト全方向車イスで、ドリフト走行などのテクニックで競い合うレース。小回り、鋭敏な動きができる器用さ、繊細さ、判断力が勝敗を握ります。


車イスでドリフト、というパンクなスリリング。
(テレ朝 上村アナがトライ。)


体験競技4,車椅子ボールシューティング。
腕で投げる代わりに、空気で球を射出する機構を活用し、車イスのかたと健常者が対等にできる球技。1対1の対戦形式で、空気砲で球を敵頭上のネットに入れた数を競います。


車イスのひとはボールを投げるのが難しい、ということを踏まえたマジメなスポーツなのだが、ユルさが笑いを誘います。


体験競技5、ピカリバブル。
LEDを内蔵したバブルサッカー用のバンパーを使用し、2対2のチームでぶつかり合い、フィールド上の拠点を多く獲得する陣取りスポーツ。


体験競技6、ロックハンドバトル。
これも岩手発超スポ。盛岡市・三ツ石神社の説話を元にしたオリジナル漫画に登場する戦闘を再現。大きく重い岩のような腕=ロックハンドをぶつけあい、相手のハンドについている小さなロックを落とす対戦です。


テレ東・WBS、日テレ・スッキリ!!、テレ朝・スーパーJチャンネルなどなど取材多数。ありがとうございました。

2017年4月13日木曜日

AIの知財問題、さっそく風雲急。

■AIの知財問題、さっそく風雲急。

知財本部・新情報財委員会 2回。AIの保護・利活用の在り方。学習用データ、AIプログラム、学習済みモデルについて、制度論をたたかわせます。

AIはブームではあるが、汎用・万能のものは展望できておらず、個性のある目的別のAIが無数に生まれてくる。その組み合わせが重要。集合知ならぬ集合AIで威力を発揮する世界が近づいている。・・こうした急激に進展する状況をにらみつつの議論です。

汎用AIではなく、人の知能を機械に担わせる専門のAIがディープラーニングで産業利用される。その可能性を展望し、制度を検討するのが今年のミッションです。排他的利用権(著作権)、営業秘密、契約、このあたりが話題となります。

例えばAI生成物の著作権侵害はグレイゾーンだといいます。アメリカはフェアユース的に扱っても、日本ではアウトのケースがあります。そこで国内制度を整理したとしても、国際的な競争や利用の観点が重要になってきます。

宮島委員は、日本はグレイゾーンに慎重であり、創作性とビジネスチャンスを高める方向での検討と、そのメッセージ発信が重要と指摘。柳川委員は、保護と利活用のバランスが崩れることがポイントだとコメント。そうですね。

清水委員は、ソフトウェアはオープンソースが主流であり、著作権の世界ではなくなっていると指摘。PPAPYouTubeの二次創作で稼いでいる、とも。政府の議事録に「ピコ太郎」という文字が残るのはうるわしいです。

瀬尾委員が人格ならぬ「AI格」を持ち出しました。学習していく幼児から大人までのさまざまなAIを想定して全体像を展望しようとの提案。・・またしても風雲を告げる展開であります。

清水委員は、日本は計算資源が乏しい。だからみんなが使えるAIポータルともいうべき環境を整備すべし。と提案。これに対し、国立国会図書館のようなAIナショナルアーカイブがあっていいという提案もありました。制度論からいきなり振興政策論に拡張しました。

喜連川委員:アルゴリズムのような方法論よりも、データを押さえる勝負。図書館で扱う著作物の比重はデータに比べ小さくなっていく。データの優先度を上げるべき。今は法制度よりも、データや予算や人材などの資源を集中的に突っ込む戦略を講ずるべき。


制度と振興政策、技術進歩と国際情勢、いろんな変数をかけ合わせた方程式を解く作業が続くのであります。

2017年4月10日月曜日

知財本部 海外・基盤新ラウンド

■知財本部 海外・基盤新ラウンド

知財本部コンテンツ会合@霞が関。ドワンゴ川上さん東大喜連川さんよしもと大崎さんレコ協斉藤さんセガ岡村さんニッポン放送重村さん竹宮恵子さんら。海外展開と基盤整備の新ラウンドです。

政府の取組説明、総務省豊島課長:放送コンテンツの海外売上を2018年度までに2010年の3倍にする目標。2014年で144億円と倍増、順調。海外放送枠の確保と共同制作を推進。最近はローカル局の参加も見られるようになった。

外務省高水主席事務官:国際協力基金の事業により、日本のドラマ、アニメ等を無償提供。これまで48か国の放送局に192番組を提供。
(総務省の放送コンテンツ政策との連携・整合・戦略性が気になります。)

経産省1  平井課長:JLOP事業でコンテンツのローカライズやプロモーションを支援。これを活用して初めて海外展開した事業者は405社で、全JLOP利用者の36%。これまで内向きだったものが外に開かれつつある。

経産省2:クールジャパン機構はこれまで18件投資。リスクマネーを供給。経産省のコンテンツ海外展開事業は10年目を迎え、行政評価レビューが行われたが、プラス評価を受けた。
(これはなかなか大したもんです。)

経産省3:基盤強化としてアニメのデジタル制作環境整備・マニュアル化、DCEXPO/Innovative Technologiesの開催など。
(後者はぼくも審査員として参加しています。有意義です。)

経産省4:アニメ制作業界の下請ガイドラインを7月に改訂。契約の書面化やベストプラクティスの普及啓発を図る。
(劣悪とされる制作現場の環境改善に向けた重要な施策。これぞ行政の仕事。経産省、仕事してます。)

さて、ここから議論。いくつかピックアップします。

瀬尾委員:クールジャパンは海外にコンテンツを売る段階から次に進んでいる。2020年の後をにらみ、次のステージに移る施策、メッセージを打ち出す時期。
(賛成です。ビヨンド・クールジャパン。)

相澤委員:補助金モノから自立して事業を継続することがポイント。
(補助金行政からの脱却もテーマになり得ます。)

岡村委員:ゲームソフトの輸出は、2007年の7000億円から2014年は900億円に激減。業界の構造も変化している。政府の施策はいつまで続くか不明であり、それがなくなったときの足腰の強化が重要。

重村委員:業界団体の基盤も脆弱で、国の補正予算頼みになっている。中長期タームでの大方針が必要。省庁連携による施策の実効性が重要だが、省庁間のヨコ串も機能していない。

瀬尾委員:省庁連携の連絡会議等を置くべき。業界団体も吸収合併などによる効率化、再編があってよい。
(国のヨコ連携対策、民間の業界調整・再編も、次のステージのアジェンダになり得ますね。)

佐田委員:大学の知財教育現場では、学生にコンテンツ産業の魅力を伝えにくくなっている。学校教育の中でコンテンツをどう位置づけるか、重要テーマ。
(それは業界にとって大切なアジェンダ。)

大崎委員:近未来のコンテンツを描くアニメなど、コンテンツやコンテンツ産業の未来を示すコンテンツやメッセージを作ってみればいい。
(面白いアイディア。関係者で検討しましょう。)

川上委員:おカネをもらえるのは書類づくりがうまい会社。でもおカネを渡したい相手は違う。日本のコンテンツは個人の作家性に依存している。その個人のすくい上げは至難。クリエイターを発掘するための場づくりが大事。CJ機構が作品を公募して、オープンなネットの場で審査するような仕組みがいい。

喜連川委員:ノーベル賞受賞者はみな書類を書くのが上手。下手な人は埋もれていく。
(この川上vs喜連川の掛け合いは、知財本部の名物ですが、いつも深いところで考えさせられます。)

野坂委員:2020年に向けアピールすべきではないか。

(そうです。このラウンドは、クールジャパン新ステージ=2020コンテンツ戦略になる。それは、映像配信、VR/AR、4K8K、IoT/AIなど、これまでの戦略とは別の軸が一斉に現れたタイミングだから。やりましょう。)

2017年4月6日木曜日

「デジタル超学校」を妄想してみた。

■「デジタル超学校」を妄想してみた。



 90年代のデジタル化、2000年代のスマート化を経て、AI/IoTの時代に入りました。日本はその90年代以降、成長が止まり、世界の中での地位も低下しています。デジタル技術の開発と利用に後れを取っていることが一因です。しかし、高度成長を支えた「ものづくり力」と、クールジャパンに代表される「文化力」が廃れたわけではありません。

 力を発揮するには、産官学がそれぞれの機能を高める必要があります。しかし日本は、大学のプラットフォーム力が弱い。ぼくが身を置いたMITやスタンフォード大学が果たしてきた機能とは比べるべくもありません。強みを集結し、力を発揮する拠点が必要と考えます。
 
 その芽はあります。
 ぼくが所属する大学院、慶應義塾大学メディアデザイン研究科(KMD)。メディアのテクノロジー、デザイン、マネジメント、ポリシーの文理融合4本を軸として、産学連携のリアルプロジェクトに学生が身を置くことでサービスやビジネスを創り出すという挑戦的な研究教育機関で、国際色も豊かです。

 そしてぼくが代表を努めるポップテック特区「CiP」。東京・竹芝1.5haの土地にデジタルのテクノロジーとコンテンツの集積特区を創る民間の構想で、研究開発、人材育成、起業支援のクラスターとなります。そこにはKMDに加えスタンフォード大学等の拠点が置かれるだけでなく、世界オタク研究所などの研究コミュニティが活動を進めることが期待されています。

 既に国家戦略特区の認定を受けており、それを活かして、メディア融合、サイネージ、アーカイブ、ロボット、超人スポーツなどの産官学プロジェクトが走り始めています。韓国政府が進めるコンテンツの人材育成拠点やマレーシア政府の研究開発拠点との連携も始まっています。

 しかし、こうした大学単位や民間企業のみの取組には限界があります。小さな点でしかありません。これを国家戦略レベルで検討してもらいたい。
 実はそのような議論は政府でも始まっています。内閣府・知財本部では「クールジャパン人材育成検討会」が開かれ、コンテンツはじめクールジャパン分野の人材育成策がたたかわされています。ぼくも参加し、CiPの構想をテーマにしてもらっています。経産省・産業構造審議会では、AIに関するグローバル研究拠点整備策が論じられています。いずれも先端分野での教育・研究拠点を整える方向です。

 その受け皿となる技術・文化融合の開発拠点構想を具体化させましょう。ぼくらのCiP構想は既に場所を確保し、特区としてコミュニティも形成されつつありますから、それを活かした青写真を描いてみましょう。以下、妄想です。

 デジタル分野の技術を軸とする文理融合の国際的な教育・研究機関であり、既存の大学や研究機関の枠を取り払い、最先端の人材が集いつつ、教員も研究者も学生も、産業界からの参加者も一体となって、具体的なサービスや商品の実装からビジネスや産業の創成までを手がけていく環境を造ります。「超学校」、「超大学」とでも名付けておきます。

 デジタル超学校、ポイントは10点あります。

1 技術主導の教育と研究と実装。
 大学院レベルの塾です。21世紀の松下村塾。先端の教育者、研究者、クリエイター、起業家等のコミュニティを核とします。参加する学生の年齢は問いません。

2 デジタルに特化した教育・研究。
 AI、IoT、ロボティクス、VR、ビッグデータ、ブロックチェーンなどのデジタル分野に特化し、その先端を探求します。

3 重点領域の実装。
 医療、福祉、防災、農業など課題先進国の重点テーマの技術による解決を図ります。同時に、コンテンツ、デザイン、食などクールジャパン戦略を追求します。

4 文理融合。
 教育はテクノロジー、デザイン、マネジメント、ポリシーの4本を軸にします。情報工学、アート、経営学、法学など分野横断的なアカデミズムをバックボーンとします。

5 バーチャルリアル。
 講義は全てオンライン=バーチャル多言語環境で実施。一方、研究や実装はリアルなラボで行い、実フィールドでの実証や事業化を進めます。

6 リアルプロジェクト主体。
 企業等のスポンサを持つユニット制のプロジェクトで、起業、ビジネス化、さらには産業化を目指していきます。産業界・学術界による評価機関を設け、各プロジェクトを厳正評価します。

7 世界最高級の教育レベル。
 国内の大学(KMD、東大など)、研究機関(理研、産総研、NICT、NTTなど)、海外の大学(スタンフォード、MITなど)から教員・研究者単位での参加を求めます。専任教員は若手中心とします。

8 学生はハイレベル研究員。
 学費は無料です。さらに学生には月々の研究費を支給します。企業派遣も受け入れます。修士・博士などの学位はありませんが、独自の修了証を付与します。

9 多様性。
 海外からの参加は3割以上を確保し、英語公用としつつ、母国語でコミュニケーションできる多言語環境を用意します。保育環境も用意し、出身・年齢・性別を問わず活動ができるようにします。

10 国家戦略特区の活用。
 「CiP」特区を活用し、研究教育に必要な規制緩和を導入します。電波特区、著作権特区、道路占用特区、ロボット特区、ビッグデータ特区等に加え、ビザや税制等の特例も検討します。



 10名程度の教授・リーダー陣と100名程度の学生で、10本程度のプロジェクトを常時走らせる。このような形の拠点があれば、あれこれ動き出すと思いません? 年10億円もあればできると思うんですよ。成功したデジタル起業家のみなさま、お大尽さま、カネが余ってる投資家のみなさま、政府のみなさま、有力政治家のみなさま、ガッツある研究者のみなさま、いかがでしょう?

2017年4月3日月曜日

知財本部コンテンツ会議2017

■知財本部コンテンツ会議2017

知財本部コンテンツ会議、2017年シリーズ、初会合。セガ松原健二さん、ハコスコ藤井直敬さん、Hulu船越雅史さん、「君の名は。」川口典孝さんにプレゼンいただきました。ゲーム、VR・AR、映像配信、アニメという元気な分野の状況と展望です。

ハコスコ藤井直敬社長。VRコンソーシアム代表、理研チームリーダー、脳科学者、眼医者さん、超人スポーツ委員。10年おきのVRブームと今回の違いは、安価+高速の技術が熟したことと、facebookやGoogleなどが巨額投資をしていることの2点であることを明快に指摘。

藤井さんは、VRはデバイス主導からコンテンツ主導へ移り、あと2年で市場の方向が見えると断言。でも「技適」による導入障壁があり、打ち破る特区の必要性を指摘し、体験型の場として「VR ZOO」を作ることを提唱しました。それ、乗ります。Pop Tech 特区のCiPに誘致したい!

Hulu船越さん。てゆーか箱根駅伝の中継をしていた船越さん。語りに聞き惚れます。彼が言うには、テレビ番組をネット展開する著作権ルールは作られてきたが、ネット配信ファーストでテレビセカンドの権利処理ルールがない。確かにそうですね。それが必要な段階に入りました。

「君の名は。」川口さん。2Dアニメが危機だ。最低3000万円が必要なのに1500万円で制作している現状で、中国がカネを投じて人材を引き抜いている。中国アニメを日本が下請け製作することになる。アジアは日本アニメを受け入れてくれるんだから、ハリウッド戦略とは別にアジア戦略を立てろ。明快。

山口大学の佐田委員が、コンテンツ業界を目指す学生がコンテンツ業界のことを知る手段がなく、学生を上京させて業界ツアーをするという。うむ、各コンテンツ業界に協力してもらってMOOCsコースを作って、全国のコンテンツ志向学生が見られるようにすればいいんじゃないですかね。

竹宮恵子委員。マンガを学びに来る留学生は多い。育てて、帰して、コンテンツ人材にすること。そのための海外との連携を進めることが必要。  
これは国がすべき仕事ですね。

セガ松原さん。元コーエー社長。子どもはゲーム好きでゲームクリエイターになりたいと言うのに、大学生はゲーム好きでもゲームクリエイターを目指さない。CESAはゲーム作りの場として、日本ゲーム大賞にアマ部門を設けている。と説明。

東大・喜連川先生は、ゲーム業界はちまちまゲーム作らせてないでプラットフォームやデータ戦略を描けと指摘。松原さんは業界がユニティを使って首根っこをアメリカに押さえられている状況を指摘、ツールやバックエンドを取る重要性を強調。東大の同研究室出身者のバトルですが、国家戦略として組み上げる必要がある重要テーマです。

吉本・大崎さん。世界に対し、流通機構をどう国として持つか、に尽きる。「火花」は、世界にどう展開し、そのための資金還元をどうするか、という観点からNetflixを選んだに過ぎない。その観点を政府としてどう戦略として持つか。

ぼくの締め。教育システム、場作り、プラットフォーム作り、著作権ルール、流通戦略など、すべきことのメニューが示された。それを2020年にめがけてどう揃えるかという短期戦略と、長期的に続ける政策との両面を見据えて知財計画に落とし込みましょう。


よろしく。