■10年後の通信インフラ (後編)
10年後の通信インフラ。
さきごろ総務省がBeyond5G推進戦略を立て、2030年代の社会像を描いた。
サイバー空間はAIとビッグデータが軸で、現実世界はIoT。リアル・バーチャルの融合で、AI・IoT・データが中心となる。
そこでは包摂性、持続可能性、高信頼性が大事という。
的確な展望だ。
まず、AI。
AIコンテンツ生成がもたらす最大の影響は、量産。
映像も音楽も文字も、とても人が作れない速さで大量の情報を叩き出していく。
世の中の情報のほとんどをAI生成物が占め、人が生む情報はごく一部、希少な存在になるかもしれない。案外その時期は近い。
その社会をどうデザインすべきか。
シンギュラリティは2045年とされてきたが、もっと早そうだ。
大学が試験でのChatGPTへの対応に大わらわという記事も。
AIを使いこなす力が問われる時代に突入した。
AI社会を前提とする大学かAI禁止の大学か、大学の姿勢も問われる。
いま試験を受けているのは学生より教授のほうだ。
この講演を引き受けて、ChatGPTに、タイトルどおり、10年後の通信インフラに求められることは?と聞いてみた。
ブロードバンドアクセスの改善、5Gの展開、IoT・AR/VRのサポート、安全信頼性の向上・・すぐ答えがでた。
もうこれでよくないか。この講演も私ではなくChatGPTにやってもらえばよかった。
IoT。人と人からモノとモノに通信の役割がシフトする。
ぼくが100個のモノを持っているとして、それがネットワークにつながる。あなたの100個とつながると、100☓100の1万通りの通信になる。
日本の1億人だと、どう計算する、100の1億乗、それは計算機にかけたら無限大と出るはずだ。
だからデータ量は爆発する。NTT島田社長は、動画ではフルハイビジョンだと1.5Gbpsが必要だが16Kだと750倍必要だという。2次元が3次元になるとデータ量は30倍だという。IoTで機器数は2017年の270億個が2030年には5倍の1250億個になるという。AIやIoTの文脈とは別の領域も見えてきた。
たとえばメタバース。ゲームなどのエンタメが先行しているが、東大工学部がメタバースを作るなど学校もメタ化する。バーチャル渋谷やぼくがまちづくりを手掛ける東京ベイエリアの竹芝など国交省のデータを使ってデジタルツインを形作る都市もある。
ゴーグルをつけたVR型のメタバースがいつ来るかさておき、ネットの延長上に、人が没入する空間は必ず来る。アバターで働き、暮らす人も現れる。経済社会が依存していく。
そこには国境がない。犯罪や問題も起きる。さてどうする。政府・知財本部でもそのルール化を議論するメタバース会議を設けた。
web3も注目だ。ブロックチェーンを基盤にした分散型のエコシステム。
GAFAらプラットフォームに支配されるweb2を脱して、いわばデジタル社会を個人・自分中心に塗り替える思想といってもいい。
まず暗号資産やNFTなどカネ周りに注目が集まっているが、本質はDAOなどの新しい組織や意思決定機構の革命。
もしそれが力を持てば、個人と社会との関わり方や、国家の機能などがまるごと問い直される大変な事態となる。
インターネットが社会経済の構造を揺るがしたのと同様の破壊力を持つ。
これが万全に働くインフラをどう用意するかは、まだ見えていない。
メタバースやweb3というバーチャルな話に対し、リアル世界のフロンティアもある。
メディアは視聴覚を拡張してきた。メガネ、スピーカー、電話、テレビ、ネットを作った。4K8Kまで高精細になった。もう限界。
VR/ARで没入感を増した。ホログラフや3D立体で新しいリアリティを作ろうとしている。
さらに期待されるのが触覚。
遠隔操作で手足を拡張する。
手触りあしざわり感をフィードバックして外部の情報が体に伝えられる。
視聴覚と触覚を組み合わせて、身体が拡張する世界が訪れる。
自分のアバターで、バーチャル空間で変身する。
自分のコピーロボットを野に放って操作して、分身する。
自分をAIでたくさんコピーしてオンライン空間で分散させる。
他人の意識と自分の意識を合わせて他人の身体を操作して、つまり合体する。
現実の話になってきた。
じゃあインフラをどうする。
総務省のBeyond5Gは、超高速、超低遅延、超多数同時接続という5Gの延長と、超低消費電力、超安全信頼性、自律性、拡張性をうたっている。
研究開発テーマとして、オール光、超高周波技術、量子暗号、低消費電力デバイス、宇宙・海洋接続といった技術を期待している。
実現のための政策が気になる。
総務省 情報通信審議会が「2030年頃を見据えた情報通信政策のあり方」をまとめた。
重点事項は8項目。5Gの普及・高度化、ブロードバンド拡充、研究開発、放送、安心安全、コンテンツ・サービス、セキュリティ、人材強化。
まぁそうだろう。ただ、総花的でわかりにくい。
改めてドクトリンを単純に整理するとよい。たとえば、
1)なんでもつながる2)いつもつながる3)安くて4)安心。
つまり、1)技術主導2)保守管理3)競争推進4)セキュリティー。
これらはインフラからコンテンツやサービス、データにまたがる話で、多くの省庁に関わる横断的な課題でもある。
ぼくは橋本行革の省庁再編を担当して霞が関を出たが、デジタル庁の発足に合わせ、デジタル政策フォーラムという産官学のコミュニティを発足させた。
アカデミアとしては国際公共経済学会の会長として通信問題に力を入れようとしている。
いわば第二霞が関の試み。
ご関心あればご参加を。






















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