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2010年9月14日火曜日

サイネージの空間演出

■Pop サイネージの空間演出

 フィンランドの「郵便博物館」。
 入り口の左右に等身大タテ長のディスプレイが2枚。
 左にはクラシックな装いの婦人、右にはこれも古風ないでたちの紳士が、互いにやりとりしたり、こちらを向いて挨拶したり手招きしたりしています。
 その間を行く廊下の奥、正面には、4枚の液晶をつないだディスプレイで、19世紀の郵便局員の衣装を着けた男性が手招きしています。
 歩いて近づくと、画面から立ち去り、博物館の案内情報が提示されます。
 クラシックな郵便車や古い局舎のセットがレイアウトされた館内では、あちこちの黒壁にプロジェクターから動画が投影されています。
 クラシックでアナログな空間と展示物に、緻密に計算され、美しくプロデュースされたデジタルサイネージが融合し、全体を幻想的に演出しています。

 ロンドンの美術館「TATE museum」は現代美術のショウルームにふさわしく、デジタルサイネージを駆使しています。
 タッチパネルで館内を案内するシステム、美術史を表示するビデオ、親子連れもあそべる美術ゲーム、テート美術館を学ぶシステムなど、さまざまな映像展示があちこちに配置され、いずれも鮮やかな深紅のフレームで館内を演出しています。

 銀座「シャネル・ビル」は、壁面全体にアート表示。雨の日は傘が降ってくるといった映像を放映。
 お台場のパナソニックセンターでは、壁が一面ディスプレイになっていて、身振りで操作できるインタフェースを備えています。

 ヨーロッパではこうした建築物の表面を使ったビデオ映像による表現が「メディア・ファサード」いうひとつのジャンルを形成しており、アートフェスティバルも開催されています。
 建築の一部としてデジタルサイネージが組み込まれ都市の景観を形作っていくというのが当たり前になるでしょう。
 壁、道路、地面などをサイネージ化して、街をメディア化します。
 ビルのオーナーやデベロッパーが土地や建物のバリューを上げるために取り入れていくことも考えられます。

2010年9月12日日曜日

街にとけこむサイネージ

■Net 街にとけこむサイネージ

 デジタルサイネージは、バーチャルなメディア空間と、リアルな物理空間とをつなぐメディア。
 オンラインの情報と、屋内・屋外の場所とを結合させます。
 今、ありとあらゆる空間、そして街はデジタルサイネージで埋め尽くされようとしています。
 空間プロデュースの一環としてのサイネージ、都市の景観の一部としてのサイネージがキーワードになりつつあります。
 ニューヨークのノキアショップの店内は、壁一面スクリーンとなり、近未来の店舗を演出しています。
 ケータイのデモ機を手に取ると、連動してスクリーンの映像が変わります。
 音も映像とシンクロし、この店舗でしか体験できない特別空間を演出します。

 人材派遣の「パソナ」大手町本社。
 1Fのショールームでは、パソナの企業理念や派遣希望者の登録業務などを150インチの大型プロジェクター画面11面でタッチパネル表示。
 スマートなカフェ空間を巨大映像システムで演出しながら、来客に企業イメージとブランド力を理解してもらいます。

 2007年にオープンした国立新美術館。
 全面ガラス張りの曲面の威容は黒川紀章の手による。
 2階と3階の通路には、しとやかに表示板が置かれています。
 展示室の案内、講演会のスケジュール、観覧料などを静止画と文字で表示。
 3階奥の端末では、彫刻家が黒御影石を使った作品づくりのワークショップを開いた模様を解説しています。
 打ち放しのコンクリートの壁に、深い茶の木材による床、そこに黒いソファが点在。
 表がまばゆく明るい建築物ですが、内装はシンプルで落ち着いています。
 その脇に、黒いツヤなしの筐体と、液晶のディスプレイ。2階に3台、3階に2台。
 でしゃばらず、静かにたたずむサイネージ。
 一方、2階のVogue Cafeと3階のレストラン Paul Bocuseでは、入口に大型のディスプレイを2台配備。
 案内板とは対照的に、あざやかな動画で料理を演出しています。

2010年9月10日金曜日

Toy Story 3も恐怖映画だった


■Pop Toy Story 3も恐怖映画だった

 東京おもちゃショーの翌日、「Toy Story 3」3D版を観てきました。1、2作の監督ジョン・ラセターは今回は総指揮に回り、今回は前回の共同監督リー・アンクリッチが監督に。第一作が95年、第二作が99年だから、11年のインターバル。この間、子どもだったアンディは大学入学を迎える歳となっていました。本作は、アンディとおもちゃたちの成長物語が大団円を迎えるものでした。

 “「トイ・ストーリー」は、映画誕生101年目の奇跡だった。カメラからコンピュータへのシステム変更だ。しかも表現はハリウッド的な感性でみれば完璧。わざと残したCGっぽさの具合もほどよい。これは、産業のシステムや技術だけでなく、表現技法も、映像文法も、ストーリー展開も、アメリカが次世紀の審判となるぞというソフトな宣言なのだ。恐怖映画である。”
 95年の第一作に際しぼくが雑誌に書いた文章の断片です。それから15年。CGはすっかり進化・定着し、今回は3D。昨年から今年にかけ、クリスマスキャロル、アバター、アリスとファンタジーの3D-CGが腕を競っています。それらに比べ本作は3D臭さがありません。ぼくの目が慣れたというだけでなく、本作品が3Dを自然に吸収しようとしていた点もあるでしょう。おもちゃ目線で全てを描いているため、左右の分離の距離を短くした効果もあったかもしれません。
 アンクリッチ監督も「3D技術は大好きなんですが、今回重要視したことは、物語ということもあり、3D技術をこれみよがしに使ったような、例えば画面から何かが飛び出す仕掛けのようなことはしないということでした」と述べています。だからこそ恐ろしいですね、もう吸収し、手なずけてしまったか。昨秋から日本でも3Dブームですが、日本がテレビやゲームで展開する前に、基礎技術を映画ですっかり固められ、余裕の口笛。

 ではストーリーはどうか。今回も判で押したようにBUTつなぎで押しまくりました。アンディは大学に行く、が、バズたちは分けられる悲哀。楽園と見えたサニーサイド保育園、だが、内実は地獄。独裁者もいれば、暖かい家庭で幸せに暮らすオモチャもいる、が、いずれも不幸な過去を負う。友情に支えられ生き延びる、が、替わりに地に堕ちる者も。望みがかないそうになる、が、最後にはつらい別れが待つ。
 いつもどおり、これでもか、のストーリー展開。が、嫌味は感じません。芸として根付いたこともありますが、演出が抑えめだったことと、リズムがよかったことが勝因。
 技術、ストーリーはよし。スペクタクルは、格闘も逃走も安定感に満ちる。でも今回、それらに増して強く惹かれたのは、ギャグです。ギャグがキレてました。バズ・ライトイヤーがラテン系に変身するところやミスター・ポテトヘッドが胴体を変化させたシーンなどは、かなり長い期間ねりあげられたアイディアだと拝察します。ディズニー映画で膝を打って笑ったのは正直初めてです。
 
 さて。実は。ぼくがこの映画を観たいと思ったのは、そのようなアニメ視点とは全く別でしてね。技術とかストーリーとか声優が誰とか、そういうのはあまり関心がなく。登場人物のクリエイティビティに興味があったのです。やっぱり、第一作のシドがすごかったからですよ。シドが。
 アンディの隣に住む悪ガキ、シドは、ひどいことをするんです。人形の頭と胴体をバラバラにして、別のオモチャと合体する。残虐。バズ・ライトイヤーはロケット弾をしばりつけられていましたね。そうだよ。そうだよ。子どもはそうじゃなくちゃ。それこそがガキのコミュニケーションであり、創造力であり、表現だろう。
 MITメディアラボのレズニック教授も言ってました。「アンディよりシドの創造力がスゴくないか?あの創造力に注目し、それを伸ばす教育法とテクノロジーをわれわれは考えるべきではないか?」 
 本作品では、サニーサイド保育園の幼児たちがシドの役割でした。アンディたちおもちゃの敵。力任せに引っ張り、叩き、投げつけ、ブン回す幼児たち。やってくれましたね。おもちゃたちが悲鳴を上げるほどの創造性を発揮してくれています。

 ちょうどいい長さで迎えたエンドロール。Special Thanks To Steve Jobs, Hayao Miyazaki, Toshio Suzuki,とありました。ディズニーの子会社となったPIXARを立ち上げたジョブスはわかりやすいとして、このジブリへのオマージュは熱いですね。作品中もトトロのぬいぐるみが出演していました。セリフはなかったけど。確固たるキャラの地位を築いているのですね。
 日本が映像の世界に貢献できることが、今後もあるでしょうか。それは、構想力か、ストーリー性か、キャラクターのかわいさか、技術か。いや、そうではなくて、この作品は、日本の過去に敬意を表してさようならを告げようとしているのでしょうか。

2010年9月8日水曜日

東京おもちゃショー2010


■Kids  東京おもちゃショー2010

「せーの、プリキュアーっ!」1000人はいるだろうか。幼児たちの歓声。東京ビックサイト1Fステージ「ハートキャッチプリキュア!キャラクターショー」会場です。そうです。今年もやってきました。東京おもちゃショー。7月15日から18日まで。
 今年は129社、3万6千点のおもちゃが一堂に会しました。少子化と不況で厳しさを増す業界。ケータイやコンテンツと同様、業界の課題はグローバル展開だが、高コスト構造でビジネスモデルの切り替えに苦労していると聞きます。
 しかしそれでもおもちゃショーは面白い。立体、平面、バーチャル。超合金、プラスティック、木材、紙、デジタル。大人も子どももびっくりさせるクリエイティビティ、発想、アイディア。最先端のメカニズムとそれを実現するテクノロジー。ぎりぎりまで抑えたコストのマネジメント。ぶつかっても口に入れても大丈夫な安全性。それらをぜんぶ詰め込んで、注げるだけの愛情を注いだ結晶、それがおもちゃ。
 しかも、その出来不出来を評価するのは、日本の子どもの容赦ない眼。だから今も世界最高峰のイベントで、わくわくする発見があります。
 そういえば、MITメディアラボがここで展示してからもう10年が経ったのですね。

 今年はどうでしょう。ロボット、ラジコン、ぬいぐるみ、それら定番はいいとして、目についたこと。まず、少子化に直面する業界は今年もまた大人玩具に注力。ロールケーキやポップコーンを一緒につくる「クッキングトイ」や、天体観測を疑似体験できる「サイエンストイ」など。セガトイズのブースでは、脳波を使ってボールを浮かせる「mind flex」におっさんが長蛇の列をなしていました。アスキー総研の遠藤さんに遊ばせてもらったことがあるのでぼくは並ばずがまんできましたが。
 
 知育玩具が案外多いですね。デジタル教科書教材協議会の設立総会近し、という目で見回ったためにそう感じたのかもしれませんが。IT、コンテンツ業界と同様、おもちゃも教育分野に本格参入でしょうか。KUMONの地図パネルやとけいレッスン、TAMIYAのロボットクラフト(ロボット工作)などエデュテイメント系や科学工作系がたくさんありました。  
 日本おもちゃ大賞のエデュケーショナル・トイ部門、大賞はセガトイズ「アンパンマンおしゃべりいっぱい!ことばずかん」。のりもの、どうぶつ、楽器、おみせやさん。ペンタッチでアンパンマンが声で教えてくれます。知育玩具「ピコ」を作ってきた伝統ですね。そのピコはBeenaという商品に進化、絵本ソフト+タッチペンのマルチメディア端末になっていました。来年はデジタル教科書教材関連でこうした知育玩具が賑やかになるかな?

 そしてもう一つ。今年はキッズクリエイティブゾーンというコーナーが新設されていました。清水建設、日産、ドコモなど他業種のブース展示です。子どもたちとのつながり、広い意味での生活に関わる企業が1ゾーンを占めたのです。
 その清水建設のブースで、ぼくたちCANVAS+KMDがワークショップ・コーナーを提供しました。「夢のまちをつくろう」。紙コップ、箱、テープ、マジック、はさみ、ストロー。好きなようにビルやタワーを造っていきます。へぇ、清水建設が。企業と、場と、活動のミスマッチに、来場者は驚き、だけど子どもは吸い寄せられるように参加していました。
 隣ではNTTドコモがフォトフレームにケータイから写真を送る「お便りフォト」を展示。おや、ケータイ+宅内サイネージか。ふむふむ、思わずサイネージ業界の眼で見てしまいます。
 サイネージといえば、タカラトミーの大ブース。入口の門がまえが巨大LEDの全面映像ディスプレイで、トイ・ストーリー3などのPRを表示していました。出色の出来映え。
 
 リアル+バーチャル。子ども+大人。遊び+学び。いろんな融合がはじける場。次回も楽しみです。

2010年9月6日月曜日

メディアラボ的サイネージ

■Pop メディアラボ的サイネージ

 こうした技術は、1990年代後半から2000年代前半、私が在籍した「MITメディアラボ」が世界のメッカとして面白い研究を盛んに進めていました。
 立体のホログラフィ技術や電子ペーパー「e-INK」など次世代ディスプレイ技術が打ち出されました。

 当時さらに多彩なアウトプットが見られたのが、インタラクティブなシステムです。
 スクリーンに向かってバスケットボールを投げるとバスケットの試合に、野球のタマを投げると野球の試合に切り替わる。
 ベッドに寝転がって、天井を見たら天井が大画面のディスプレイになる。
 ヨコを向くと、ヨコの壁に画面が映る。
 人が歩くと、そのヨコにディスプレイが追いかけてきて、ずっと画面を見ることができる。

 石井裕教授の開発した卓球台は、ピンポン玉が跳ね返るたびに、台の表面に波紋が広がります。
 球の落下点にリアルタイムに影の模様ができます。
 卓球をしながら、卓球台がキャンバスとなって、絵ができあがっていきます。
 卓球台の下にとりつけた8つのマイクがピンポン玉の音を拾って位置の座標を計算し、映像とサウンドを天井のプロジェクターから投射するシステムです。

 このような技術が大学の研究室で開発されてから十年。
 現在、さまざまな形で実用化が図られています。
 開発から実用まで、産業形成に時間がかかるのは珍しくありません。
 問題は、これからきちんと発展していくかどうか。
 そのカギは、コンテンツが握ります。
 新しい技術を使いこなす豊かなコンテンツを開発していかなければなりません。 

2010年9月4日土曜日

お台場サイネージ

■Pop お台場サイネージ

 台場にあるソニー・エクスプローラサイエンスは、光、音、エンタテイメントの体験型科学館。

 「Holowall Table」。
 ガラスのテーブルの上で手をかざすと、その形の影がドットで現れます。
 影絵を作ってみると、そのパターンによって、チョウやカニやゾウに変身。
 CGアニメとなって動き始めます。
 
 「Marble Market」。
 テーブル上の画面にあふれてくるビー玉をかき集める遊び。
 お父さんと息子3人が真剣に闘っています。

 「Motion Magic Mirror」。
 ディスプレイの前に立つと鏡のように自分の姿が映ります。
 手をうごかすと、銀の星やピンクのハートがキラキラと飛び出してきます。
 体が炎まみれになったり、ジェルのように溶けたりします。

 「Cyber Code」。
 大判カードを手持ちカメラで写すと、正面のディスプレイには、カードの上にハカセのアニメが現れます。  

 台場の科学未来館に置かれている「共画」は魅力的なインタラクティブ・テーブル。

 グレイのガラス面には4つのペンがとりつけられていて、それぞれ青、緑、赤、紫の太線を描きます。
 直線を引くと、先っぽに矢印がついて、その方向に走っていきます。
 あるいは、先っぽに花が咲いてウゴウゴ動きます。円を描いてみると、それがグルグル回り出します。

 パリの現代美術館「ポンピドーセンター」はかねてから映像表現やビデオ芸術に力を入れてきました。
 サイネージとは親和性が高い。
 入り口やいくつかのブースに端末が置かれているほか、来客向けにポータブルなマルチメディア案内端末が用意されています。
 マルセル・デュシャンの「泉」に近づいて操作すると、その便器の写真と音声での解説が流れます。

2010年9月2日木曜日

ICCのサイネージ

■Pop ICCのサイネージ

 インタラクティブ表現のヒントは美術館に行くとあふれています。
 NTT東日本が初台で運営する文化施設「ICC(NTTインターコミュニケーション・センター)」。
 コミュニケーションというテーマを軸に科学技術と芸術文化の対話を促進することを狙いとしています。

 入口の左手には、コミュニケーション型のサイネージがあります。
 4面のディスプレイの上2面では、キッズプログラムなどの活動映像が流れています。
 そして下2面の左側には鏡のように私たちが映っています。
 私たちが動くと感知して、画面にICCのアイコンや「こんにちは」「ICCにいるよ」という文字があぶくのように浮かび上がります。
 右側の画面では、大手町の逓信博物館が移っています。
 向こうの来館者が画面の中で動くと、公衆電話のアイコンや「逓信博物館です」「大手町にきてるよ」といったセリフ。
 互いに同じ映像を見つつ、見知らぬ同士がコミュニケーションします。
 「おーい」向こうで女の子が手を振っている。
 「おーい」こっちも手を振ってみる。
 互いの姿がアイコンやセリフまみれになって、見えなくなった。

 10cm四方の澄んだ青い四角があります。
 その中を細い白線が伸びていきます。
 浅野耕平氏の作品「Line」です。
 どうやら飛行機雲だ。
 ところが、よく見ようとして顔を近づけたり,動いたりすると飛行機雲は途切れてしまいます。
 観客との相互作用によって成立するインタラクティブな作品でありながら、作品が観客に反応すると作品を見ることができなくなってしまう。
 コミュニケーション拒否型の双方向サイネージと言えるでしょうか。