■NYを1分 歩いてみた。
気が沈むんだ。NYに来ると。
東京からパリ、そこからのNYというのは、没落感がするんだオレ。
パトカーのサイレンやクラクションが鳴りっぱなしで、
焼いたひき肉にケチャップつけて甘い汁で流し込むメシ。
仕方なく大戸屋に入って、高けーよとつぶやく。
MOMAがあるからいいものの。
NYは人種のるつぼって言うけれど、あんがい画一的に見えるんだよね。
パリから来ると。
ヒジャブだとか中東だとかアフリカだとかいろんな格好のひとがいて、羽織ハカマのオレも溶け込んでいたのだが、NYは基本NYファッションだから、目立って、I love your kimonoと声がかかる。放っといてくれ。
仕事で来たわけだ。羽織ハカマで歩く仕事。
NYファッションウィーク。
1分歩くだけの仕事である。
狂言で使う肩衣を着けて(他は帽子から靴まで全て自前というのが画期的!)ランウェイを往復する。
他のモデルとの身長差30cm。彼女たちを先導する役割であった。
今年は肩衣つけて歩く仕事を、祇園祭の京都と、ファッションウィークのNY、2回もすることになった。
Sound of Ikebana。
京都大学防災研究所の土佐尚子教授のプロジェクト。
赤ん坊の鳴き声を生け花デザイン化したファッションで、punkなアート&テクノロジーの作品群なのだ。
今回オレは京大の特任教授として練り歩いてまんねん。
ご理解いただけましたやろか!
NYファッションウィークはちょうど20年ぶり。
あのときも京都の仕事やったなぁ。
西陣の生地をNYのアーティストに委ねてチョキチョキとデザインしてもろたところ、結局なんもせんと持ち込んだ打ち掛けが一番ウケたという酸っぱい記憶が残る。
西陣500年の素材、色彩、文様、デザインの価値に、京都側が自信を持ってへんかった、という。
911から2年後のことだった。
911。オレはマンハッタンで巻き込まれた。
イディット・ハレルというMITの女性博士がNYで起こしたベンチャー企業での仕事だった。
NYで気が沈む原因の一つだ。
40歳だった。人生をいちどリセットした。アメリカから帰国し、20年だ。
奇しくも今回NYを歩いたのも9月11日である。
またも女性の招きだった。
今回の仕事は女神が微笑んだ。と思う。
摩天楼にジェット機。
20世紀の先端テックに20世紀の先端テックを激突させる。
それが21世紀の幕開けだった。
歴史を刻むデザインとして怖ろしくも見事であった。
20年を経た。震災があり、疫病があり、戦争がある。
追い求めたDXでは敗戦を迎え、日本は沈没している。
気が沈むんだ。NYに来ると。
















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