■学長くんガチョーン. 公文俊平さん
30数年前、先生がGLOCOMを立ち上げる際に役所の担当としてお手伝いしたころには、情報の世界で知らぬ者はない巨人でした。橋本行革では、政権の省庁再編案が時代に逆行するという話を聞いていただき甘えました。結局ぼくはその件で役所を去るのですが、その後も節目には先生の声を仰いでいました。歴史の中で情報社会や情報文明をとらえるぼくのクセは先生譲りなのです。
◆ここ数年の情報産業の動き
近代文明が成熟している。そして、同時に新しい近代を越えるポスト近代文明が生まれつつあるというのが現状。
その特徴は情報化と知能化が並行して起こっている。情報化はデータが要素になり、情報知識がつくられる。知能化は半導体のような知能素子が要素になって、人工知能のような知能がつくられる。
情報化Ⅰ、労働が中心となり、機械を動かす産業社会で第三次産業革命が起こったことは知られている。今度は労働ではなく、人工知能が原動力となり、モノづくりも行う。情報化Ⅱの最初の産業革命が第四次産業革命。
2010年代から始まりディープラーニング・言語処理・生成AIの形になって発展している。
昨年(2022年)の11月、ChatGPTが出てきた。たった2ヶ月でユーザ数1億人。みんな夢中になって使っている。まさに社会現象。
(2023年)3月、1ヶ月で1000を超える生成AIを利用したアプリが出てきた。さらにお金を投資し、いいものをつくろうとしている。数日前(2023年6月10日)NTTが生成AIの新しいアプリ制作を進める計画というのが日経新聞のトップに出る時代。
(参考:https://www.nikkei.com/article/DGKKZO71788000Q3A610C2MM8000/)
半導体はAI社会を動かすエンジン。これを誰がどのようにつくるかというのが世界的な大きな競争の流れ。日本も遅ればせながらRapidusという会社をつくり、国を上げてやろうとしている。また、TSMCのような製造会社を日本(熊本)を日本に呼んだ。TSMCが作るものが何であれ、その周りに沢山の投資が集まる。ケインズの経済学でいうなら、乗数効果。TSMCへ投資した数百億が、何倍もの効果となり経済への刺激となって返ってくる。どうなっていくか非常に面白い。
他方、半導体の新しい技術・新しい工場をつくるとなるととてもお金がかかる。これをどう作り出すか。非常に大きな課題。日本がくっついていくことができるかどうか、ここ数年の興味の焦点。
◆ネットの出現とAIの出現
ネットの出現とAIの出現の類似点は、個人のエンパワーが可能になった。インターネット普及してみると、GAFAMといったような大企業が支配し、プラットフォームの上で我々は踊っている。同じように ChatGPTで、みんなが欲しいデータや知識を集めることができて、たくさんの発見ができるぞと喜んでいるが、それがそのまま行くだろうか。よく見ていないといけない。AIを操る企業というか、AI自身がひょっとするととんでもない化け物になっていくかもしれない。これをどう否定するか否定できるか。非常に大きな問題。
◆AIがもたらす社会の変化
AIがもたらす社会は、いまのところ危険な面が強いと思う。我々はかしこくAIと付き合う術を考えていかなければ、AIに操られてしまう。あるいはフェイク情報に引っ張られて混乱してしまうという危険がある。
いまたくさんの専門家がAIにコントロールされる前に、AIをコントロールしようと署名運動をしており、多くの方が参加している。そのあたりもみんなに考えてもらいたい。
◆日本の教育
教育は永遠の課題。正解はいつまでも出てこない。
明治以来の学校教育の制度がいま、崩壊していると思う。我々が受験勉強をやっていた時代は大学へ入ると意味があるとおもっていたが、今の優秀な若者はそんなことはどうでもいいとおもっている人が多いのではないか。
勉強は学校でするものではない、自分でするものだ、と。新しい学習の道を自分で切り開いていく。例えば学長の元、そのためのアドバイスを与えるというのは意味がある。
◆キミたちへのメッセージ
自分の道は自分で切り開いていこう。出来合いの答えはない。面白いとおもう答えをみつけて、やってみよう。そのエネルギーに期待する。





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