■学長くんガチョーン. 杉山恒太郎さん
クリエイティブのレジェンド。ピッカピカの一年生は、新人・杉山さんがカメラ担いで一人撮ったテクノロジー・ヌーベルバーグなのです。一回り年上ですが、シーモア・パパート、ブニュエル、ランボー、伊丹十三、共通の話題ばかりで、いい酒のんだり、いい飯くったり、ゴルフ連れてってもらったり、薫陶を受けています。
◆創造的破壊
創造的破壊は常にクリエイティブの原点。それに挑戦しないとものづくりに喜びを得ることはできない。
ただ、破壊を目指しているわけではない。誰よりも新しいことがしたい、というのが結果的に創造的破壊になる。人のやってないことをやりたい、というのはクリエイティブの基本の基本。しかし、それはやり始めたときにとても稚拙にみえてしまう。みたこともないことをやるから、なにをやっているんだ、とみられる一瞬を覚悟して新しいことをやる。
東京でのイベントで、篠田正浩監督に気になったもの・感動したものは?と聞いたらサントリーローヤル「ランボー」とピカピカの一年生を選んだ。
ベースに流れているのは創造的破壊。
◆広告はビジネス
表現という意味ではアートも広告も一緒。しかし、広告は目的があるビジネス。
制作の動機が、内なるものがあり、表現しないと死んでしまう、魂の救済がほしいというのはアート。
我々はクライアントから動機をもらって、オーダーが来て初めて始まる。内側にアーティストのような動機がない。クライアントがきっかけを作るため、いろんな玉が投げられてくる。最終的にクライアントに喜んでもらうために作っている。クライアントが気づいてない気づきをしてあげる。それがサービス。
◆サントリーローヤル「ランボー」
サントリーには佐治敬三さんの「酒を売るな、文化を売れ」というのが息づいている。当時はそれがもっと濃く息づいていた。
企画は左脳で追いかけて行っている。
アルコールのCMでは酔っているシーンを絶対出してはいけない。欧米では飲むシーンもだめ。それくらいアルコールに対してはシビア。
高いウイスキーはうまいな、酔いが違うなというのを表したかった。
このCMのテーマは「酔いの違い」。しかし、酔いという言葉を使うこともシーンを出すこともしてはいけないため「陶酔」という言葉に置き換えた。
陶酔をしている人は誰だろう→たぶん芸術家→芸術家の中でお金にはならないが最高の陶酔をしているのは詩人だろう、と追っかけている。King of 詩人はランボー。
ここまで出てくると、こんどは自分の経験の中から世界観をどうつくろうか、と。
ゴダール「気狂いピエロ」最後のシーンはランボーの「永遠」だったな、とか。そしてCMはDOORSのジャケットがすごくヒントになっている。
◆これからの広告
大量生産・大量消費の時代は終焉を迎えていることは間違いない。しかし広告は大量生産・大量消費のエンジンだった。
これからの世の中は中間層が世界的なレベルで消える。本来の広告の役割は世の中の中でかなりリアリティを失う。
ただ、限られた時間・限られたスペースで、ものごとを効率よく、好感を持って伝えていく技術は映画とも違う、テレビドラマとも違う、広告独特の表現技術がある。
対象パブリック、社会性と向き合いながら、広告表現をやることが広告にとって次の段階で救われるものがあるということは直感的にわかっている。
もう、売らんかな売らんかな売らんかなは空振りする。
昔は気の利いたダジャレを一発思いつくと、わっと子どもたちがそのダジャレをつかい、翌週コンビニの棚から商品が消えるくらい、テレビコマーシャルと消費は直結だった。
しかし、メディアがこれだけ多様化し、複雑化すると、そういうことはもう起きない。
そこで広告的なメッセージが世の中で納得させ、リアリティを持つのは今の社会に向き合っているなというのが重要。いまの世の中と向き合っているのはロック。いまの世の中と向き合っていないのはロックじゃない。考えてみれば同じこと。
◆これからやりたいこと
ものすごく単純なおもしろいコマーシャルを作りたい。
カンヌで5月に映画祭、6月に広告際。カンヌの合言葉は「for good」。社会のために。「for good」に触れてない広告はほとんど評価されない時代に入った。
その中でApple iPhone 14 CM 「R.I.P. Leon」。爬虫類を飼っているお金持ちが外出する際、ケアする人を雇った。その青年が水槽からイグアナを出した瞬間に死んでしまった。すごく困って、死んでしまったとメールを出した瞬間にイグアナが動き出した。爬虫類は仮死できる。このCMは思いがけないことを書いて、送信しても取り消すことができるサービスを伝えるもの。
フィルム部門でグランプリを取った。とてもシンプル。でも、あっけらかんとしておもしろい。映像のクオリティはとても高い。演出もおもしろい。慌てている青年のキャスティングもいい。とても明るい気持ちになった。
「for good」もいいが、単純に、でもすごく手の込んだ一発ギャグみたいなものをつくりたい。
◆学校
野球が好きだったり、暴れる子どもだった。4,5人子分を連れて自転車で駆け回っていたりもしたが、小学校―大学までずっと違和感ばかりで馴染めなかった。
なので、社会が学校。いままで出会わなかった変人などが先輩にいて、そういう人から、変人でも生きていける!充分にやっていける!と勇気をもらった。
◆キミたちへのメッセージ
自分のセンスを信じて。
社会に出ても少し違和感があったが、キミはキミのセンスを最後まで信じろ、と言われた。
今でもそう思っている。センスを信じて貫いてほしい。






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