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2019年4月18日木曜日

青少年ネット安全安心対策はいま


■青少年ネット安全安心対策はいま


総務省 青少年の安全・安心なインターネット利用環境整備に関するタスクフォース。
森亮二弁護士と京大曽我部教授の間に座って、主査を務めます。

1年半ぶりの開催です。
その間、青少年ネット環境整備法が改正されたことに加え、フィルタリング「高校生プラスモード」が導入、EMAが廃業するなどの環境変化がありました。

青少年ネット環境整備法は携帯電話事業者と代理店に、青少年確認、フィルタリング説明、フィルタリング有効化措置の3点を義務付けるとともに、フィルタリング提供義務の対象をタブレットにも拡大するよう改正されました。

フィルタリングの利用促進は海賊版サイト対策上も重視されています。高校生プラスはSNSの一部を利用可能にするもので、フィルタリング利用者の半数が選択しています。
SNS利用と安全性確保の両方を重視するニーズに対し一定の導入効果があったと見られています。

スマホの利用率は高校生96%、中学生58%、小学生29%(2017年)。
SNS等で被害にあった青少年は増加傾向。
スマホのフィルタリング利用率は44%で横ばい。
フィルタリングを利用しない理由で最多は「利用しなくても子どもの適切なネット利用を管理できる」(26%)。

子どもの9割がLINEを使い、Twitterが3割、インスタが2割。
9割強の保護者は子どもがSNSを利用することを認めています。
保護者の関心・懸念は「スマホ依存」「学習・成績への影響」「身体・健康への影響」。
重要だと思う家庭内ルールは「利用時間」、「課金」が多い。(安心ネット協調べ)

電気通信事業者協会TCAは、フィルタリングはネット依存対策としても有効と言います。
利用時間を制限する機能などがありますからね。
違法有害サイト対策というより、ネット依存対策と位置づけるほうがフィルタリングの普及は速いかもしれません。

安心ネット協はEMA廃止後の体制確立とサイト・アプリのモニタリングの必要性から、宍戸常寿東大教授を座長とする検討会を設け、高校生プラスに関するモニタリングと保護者やフィルタリング事業者への情報提供について議論、フィルタリング設定の簡素化やアプリごとのカスタマイズ機能などを提案しています。

会議ではEMA岸原さんが、日本のマンガやアニメが海外ではオーバーブロックされる傾向にあることに関し、グローバルなプラットフォームのフィルタリング基準に業界が汗をかくべきことを指摘。
そうですね。クールジャパン政策の観点から海外のフィルタリングを捉えることも重要です。

また、海賊版対策に関する違法マンガ等のダウンロード違法化に関連し、フィルタリングはユーザが犯罪者とならないよう保護する方策だという指摘もありました。
フィルタリング普及策は海賊版タスクフォースでも議論されましたが、著作権法改正に伴い注目が高まるかもしれません。

学校へのスマホ持込み許可に関する議論もありました。
フィルタリングの緩い子の端末をみんなが使うことで、その子の利用料が上がるといった事態も発生していて、フィルタリングの義務化やリテラシーの向上策など新たな対策が必要になるという指摘です。

さらに、今後、自分の端末で勉強するBYODが進展するなら、フィルタリングを前提とするという議論も必要かもしれない。
教育情報化が進むことにより、学校でのネット安全策は次の場面に向かいそうです。
改めて課題整理してまいります。

2019年4月15日月曜日

大阪を超人スポーツの本拠地に!

■大阪を超人スポーツの本拠地に!

超人スポーツ。
老若男女、体力・体格の優劣や障害の有無を克服して、身体差により生じる人と人のバリアを超える、人と機械が一体になる「人機一体」の新たなスポーツ。 
その体験会を関西で初めて実施しました。
万博記念公園EXPO’70パビリオンにて。

機械を身につければ誰でも超人、スーパーヒューマンになれる。
おばあちゃんでもウサインボルトさんより速く走れる。
子供でも伊調馨さんを倒せる。
そんなスポーツ。
小さいころ憧れた、かめはめ波を手のひらから出して戦いたい。
車イスのひとも超高速のレースがしたい。
そんなスポーツ。

日本が生んだ世界の競技。
21世紀の新しい運動。
これまで40種類の種目が作られています。
今回、大阪・関西で初めて、超人スポーツを体験していただくこととなり、よしもと+超人スポーツ協会が4つの競技を持ち込んで、アスリートと芸人で闘ってもらいました。

アスリートチームは石橋貴俊さん(Bリーグ・現東京八王子トレインズ監督) 、近藤岳登さん(元J1ヴィッセル神戸) 、中西悠子さん(アテネオリンピック女子200mバタフライ銅メダリスト) 、なかやまきんに君。
芸人チームはミサイルマン岩部、祇園、宇都宮まき。司会はミサイルマン西代。


種目1: 
meleap社「HADO」。
HMDとアームセンサーを装着し、AR技術とモーションセンシング技術で「かめはめ波」を繰り出す競技。
フィールドを動き回り、手足を動かしながら、バーチャルな世界で闘う。
ハウステンボスなど既に10か国25店舗で展開されています。



種目2:
パラ陸上のレースで使われる車イスレーサーを未来型にデザインしたワン・トゥー・テン社「サイバーウィール」。
VRで2100年のTOKYOを走り抜けるエンターテイメント。
左右のタイヤについているハンドリムを回す。
その速さによってVRの360度映像が疾走する。距離は400m。



種目3:
「ゴーンボール」。
体重移動で操縦する電動スクータを土台に、座って両手でアクセル、ブレーキ、回転できるようにした競技用乗り物「ゴーン」。
操縦し、衝突し合って、ゴーンの足元にある3個のボールを落とす。
初めて乗っても、前後左右、急発進・急回転、すぐさま自在に操縦できて、楽しい!



種目4:
「バブルジャンパー」。
ばねでできた西洋竹馬を足につけてジャンプ力を強化し、弾力性のある透明な球体を上半身に被って、ぶつかり合う超人相撲。
ぴょんぴょんの、ビヨンビヨンで、ドカンドカン。


協会の共同代表としてごあいさつ。

「オリンピック選手は超人。パラリンピック選手も超人。でも、ぼくも超人になりたい。誰でも超人になれるスポーツ。オリンピックとパラリンピックの壁をとっぱらって、スポーツ選手も、ぼくも、おばあちゃんも、子供も、みんなが参加して戦えるスポーツ。」


「2020年の東京オリパラに合わせて、超スポの世界大会を開きたい。それがスタート。そして本番は、2025年の大阪万博。そのころには、ここ大阪を超スポのメッカにしたい。今日をそのヨーイドンにしたい!」

AIとロボットで超ヒマ社会が来る。
超ヒマになったら、めくるめくエンタメと、学問と、恋愛と、そしてスポーツの時代となる。
自分で体を動かして、汗をかくから楽しい。
ロボット同士が戦っているのを見てもあまり興奮しない。
スポーツを、作ろう。汗を、かこう。

プロスポーツ選手と芸人は、どっこいどっこいの勝負だった。
みなさん、汗をかいた。
そして、大爆笑の連続だった。
真剣に闘って、汗だくで笑う。
Tech&Popでおもしろい!ゴールデンウィークにはより大きいイベントを催す予定だ。
乞うご期待。



ところで。
大阪をしばし歩いていて、へんなひとがいなくなっていることに気づきました。
むかしは、へんなひとを見に京阪乗って大阪に行っていました。

戎橋の上には「十円めぐんで」と地面に書いていきだおれを装うおっさんがいたはった。
新世界には阪神の帽子に背広、下はジャージで左右の靴が違うおっさんが歩いたはる。
ジャンジャン横丁をギター持って歩いていると、兄ちゃんそれなんぼ。兄ちゃんそれなんぼ。とたくさん人が寄ってくる。

環状線に座っていると、前に立ち、つり革を両手で持って、「回ります」とつぶやき、つり輪競技のように目の前で回ってくれる、回りますおじさん。
梅田阪急ファイブの前で、サンダー杉山ばりのベルカント唱法で朝から歌っていた、オペラおばさん。

「くっさいな」「そら大阪やもん」川崎ゆきお「猟奇王」に登場したような連中や、青木雄二「ナニワ金融道」を彩った連中に出会わなくなった。

前の万博のときにはたくさんいたはった。
花博のころにキレイになってしもたんかな。
APECが大阪で開かれたときは、「あんたAPECもう行った?」「まだやねん早よ行かんと終わってまうな」という会話をするヒョウ柄のおばはんたちに、狂おしい愛情を感じたが、まだご健在やろか。

2025万博では、またそんなみなさんにお目にかかりたい。


2019年4月11日木曜日

日本商品化権大賞2018

■日本商品化権大賞2018

「日本商品化権大賞2018」の表彰式が都内のホテルで開催されました。
国内部門は「HUGっと! プリキュア」「銀魂」「ドラえもん」「名探偵コナン ゼロの執行人」、グローバル部門は「スーパーマリオ」、審査員特別賞に「安室奈美恵」。
特別栄誉賞が「週刊少年ジャンプ」「手塚治虫」に授与されました。

今回で7回目となる表彰。
早稲田大学亀井昭宏名誉教授が審査委員長、ぼくは審査委員を務めています。
昨年は国内部門「ドラゴンボール」「ミニオンズ」、グローバル部門「ポケモン」「Power Rangers」でした。
(ポケモンを世界に売った小学館久保さんが今度はコナンでサトシから受賞している図)


「HUGっと! プリキュア」
「プリキュア」シリーズ15周年記念作品。
「おしごと、子育て」を取り入れたプリキュア。
「歴代プリキュア55人が登場」をキーワードに、昨年公開された映画が「アニメ映画に登場する最も多いマジカル戦士の数」でギネス認定を受けたとか。


「銀魂」
「週刊少年ジャンプ」連載14年、アニメ13年。
マンガ売上は5500万部。
実写映画も公開され、2年連続実写邦画ベスト3入りと、新たなマーケットの創出に成功し、キャラクタービジネスの発展に貢献したとの評。
一平ちゃんとのコラボがよかったね。


「ドラえもん」
来年が50周年。
昨年公開の「のび太の宝島」は38作目にしてスタッフ一新の挑戦。
それが興行収入1位の記録を立てた。
村上隆&ユニクロとのコラボレーション『ドラえもんUT』の発売など、新たな大人の市場も創出。
企画展の来客の8割は大人だという。
攻めるドラえもん。


「名探偵コナン ゼロの執行人」
コナンに登場するキャラクター・安室透をメインに起用した映画を公開。
安室に魅了された自らを“安室の女”と称する女性がSNS上に登場するなど新たなファンを獲得。
過去最高の動員を記録した。
攻めるコナン。


グローバル部門「スーパーマリオ」
帽子やキノコなどの形状をしているケロッグのシリアルなど。
攻めるマリオ。
任天堂はマリオのIPにふれる人口の拡大を目指しているそうです。


審査員特別賞「安室奈美恵」
デビュー25年、平成の歌姫。
展示会でのグッズや限定ガチャは品切れとなり、パブリシティー権を利用した商品化の新たなマーケットの創出に貢献した。
ありがとうアムロ。


特別栄誉賞「週刊少年ジャンプ」
創刊50周年を迎え、コミック累計は1億部。
アニメ化された作品は80作品以上。
サイマル配信もスタート。
集英社のかたは「ジャンプは場」だという。
場としての挑戦を続けるとのこと。


特別栄誉賞「手塚治虫」
生誕90周年。
「鉄腕アトム」は1959年に日本作品で初めて商品化権をライセンスした作品。
700のマンガ作品は今も商品化されている。
手塚眞さんによれば、当初、商品化には批判もあったが、手塚治虫当人はそれを通じて子どもたちが作品世界に親しむことを強く支持していたという。


日本商品化協会高木理事長「米中がきな臭い状況だが、G20、ラグビーW杯、改元、そして来年の五輪へと続き、インバウンドが山場を迎える」。
そんな中、国内676キャラ、グローバルは33キャラの中からの審査でした。
来年もよろしく。
(手塚眞さん)

2019年4月8日月曜日

クールジャパンパーク大阪、オープンしました

■クールジャパンパーク大阪、オープンしました

実にいいものを見せていただきました。
大阪城公園に完成した文化集客施設「クールジャパンパーク大阪」のこけら落とし公演「さんま・岡村の花の駐在さん~駐在さんが復活って、そんなアホなことあるか、それはないやろ…ホンマや!!~」です。



「花の駐在さん」は1976年から86年までABC朝日放送で放送されていた番組。
桂三枝(現・文枝)さんが主演を務め、81年から明石家さんまさんに交代。この日はさんまさんがナイナイ岡村さんに交代するという設定で、特別上演が行われたのです。
前日に93歳で大往生した笑福亭松之助師匠も偲び、予定45分オーバーの3時間15分の大熱演でした。



さらに出演は、西川きよし、間寛平、月亭八方、川畑泰史、中川家、次長課長、アキナ、和牛、アインシュタイン、ミキ、霜降り明星、今くるよ、浅香あき恵、山田花子、黒沢かずこ、たむらけんじ、ガンバレルーヤ、今田耕司、ジミー大西。
さんまさんが全員をコテコテにいじり倒します。すさまじいです。


恥ずかしくも、ぼくは泣いてしまいました。
間寛平さんの勇姿に。
ハゲかつらにパッチで、杖で周囲をどつき回しつつ、アヘアヘアヘアヘ、なめなめくじくじなめくじくじ、往年のギャグを連発。
むかしテレビで野沢直子さんが寛平さんの大暴れぶりに「カッコいい!カッコいい!」と絶叫したことがありました。ぼくはその時、そうだ、お笑いはカッコいいんだ、と認識しました。
寛平さん、いつまでもカッコいい。


この公演はコテコテの関西モノでしたが(チケット応募30倍!)、パーク自体はインバウンドさん向けに作られたもの。
運営は官民ファンド「クールジャパン機構」と民間13社で組織するクールジャパンパーク大阪。
144席のWWホール、706席のTTホール、300席のSSホールの三つのホールがあります。



オープニングセレモニーに登場した吉村洋文大阪市長「ここでしかないものを実現してもらいたい」。万博も決まり、大阪が活気づいています。
ホールの入口には巨大な4KのLEDが据えられています。
そこは大阪、パナソニック製。


続いてロングラン公演が始まったのが「KEREN」。
デジタルアート+歌舞伎+タップダンス+殺陣。ストーリーなし、ノンバーバルの70分。まるごとNIPPONを見せるオリジナルレビュー。
高平哲郎さんが脚本・演出。
当初ぼくもアイディア出しに参加しました。
ポスターは横尾忠則さん!


ビデオコンテンツが秀逸です。ケレン味たっぷり。
なにせMoment Factoryが担当しているのです。



「クールジャパン機構」の北川直樹社長「ものを演じクリエイティブする人たちと、ものを伝える人たちの思いが込められたすばらしい施設。」
ソニーミュージックの社長も務めたエンタメ界の大御所で、おカネの出し手としても厳しいお方も期待しています。


パークのパートナーにはJR西日本、Panasonic、ロート製薬などが名を連ねます。
会場のテープがカットされると、たくさんの白い鳩が青空に放たれた!
それを目撃した大阪の観客達は、口々に「ロートや」「ロート製薬や」「アップダウンクイズや」「小池清や」とつぶやきました!


ところで企業CMは巨大LEDパネルよりうんと小さいサイズで表示されています。
大阪の条例で広告のサイズが規制されているからだそうです。
電通の偉いかたに伺いました。
あきまへん、そんな規制。大阪のデジタルサイネージはコテコテでよろしい。
お願いします、吉村市長。
あ、テープカットされた市長は知事になられたか。

お願いします、松井新市長。






なんばグランド花月NGKも覗いてまいりました。
当日券を買うのに30分行列。
内場勝則&辻本茂雄の座長勇退公演でした。
両ベテランの鬼気迫るアホ公演。
そして、のりおよしお、トミーズの両ベテランがすさまじいアホ漫才。
大阪のみんなも、がんばったはる。
元気をいただきました。おおきに。

2019年4月4日木曜日

規制改革会議での超教育論議(後編)

■規制改革会議での超教育論議(後編)
内閣府規制改革会議にて、「超教育に向けたインフラ整備と先端改革を」と題してお話をしてきました。その後編です。

 今後すべきことは、超スマート教育の推進です。世界は2周先に進んでいます。PCによるデジタル教育、そしてBYODやクラウドによるスマート教育を超え、IoT、ブロックチェーン、AIなどの超スマート教育、EdTechに突入しています。
 



 IoT、ブロックチェーン、AIなど超スマート技術がもたらすものを超教育と名付けてみました。
教科、試験、学校など、学びの内容・環境・評価を問い直す変化をもたらす可能性があります。

 教科面ではAIが教科を横断する超個別学習を実現するでしょう。そのためのカリキュラム再編成も求められます。それは検定や学習指導要領の内容や存在を問うことになり得ます。
 また、ブロックチェーンで学習履歴を全て蓄積することで、試験をする必要がなくなるでしょう。入試のあり方を問うことになります。

 そうした変化により、学年や学校など教育機関の枠を超える学習環境をデザインすることができるようになるでしょう。学校制度のあり方自体も問うことになり得ます。

 日本でもベンチャー企業を中心にAIを用いた教材を開発する事例などが活発になってきましたが、まだ初期段階です。教育AIを開発するために学習履歴などのデータを用いる必要がありますが、教育側の認識が低くガードも硬いため、AI研究者は教育分野を素通りしています。

 中国はAIの教育利用を国家戦略に据え、教室にカメラやセンサーを埋めて子どもの表情や学習履歴などのデータを集め、教育改革に活かそうとしています。その教育環境を世界展開する目論見です。デジタル教育で先行した韓国も政府が教材や教育環境を先行開発して世界市場を狙っていました。日本はAI開発で米中企業の後塵を拝し、教育情報化で世界の後塵を拝しています。しかし、この分野を海外に依存するようでは国の未来を展望できません。




 そこで、超教科・超試験・超学校を「実装」する産学連携プラットフォームを構築することを提案します。国内外の幼児教育、初等中等教育、大学、生涯学習を横断する教育機関と、民間企業の連合体により、世界最先端の学びの場を創出してはどうでしょうか。
○デジタル、スマート、超スマートを構成する全テクノロジーを集中投下
○産業・教育の連携強化
○学習者主体の新学習環境のデザイン
○飛び級、単位互換、講座修了認定など学校の枠を超えた柔軟な運用
○オンライン・遠隔学習と、多地点の拠点でのバーチャル+リアルな学習環境の整備
○次世代教育システム、サービス、教材等の開発と海外展開  
○学習履歴等のデータの利活用
これらを通じて次世代を担う超スマート人材を育成していくのです。




 教育インフラの整備、先端教育の開発など、教育と技術を融合した新しい教育環境を整備するため、昨年、超教育協会を設立しました。IT、ソフトウェア、コンテンツ系の業界団体や経団連、新経連など30を超える団体にご参加いただき、政府にもオブザーバ参加いただいて、産官学の連携体制を組んでいる。DiTTも春にここに合流することとしています。

 学校の枠を超えた未来の学習環境のデザインと実装、AI、IoT、ブロックチェーン等先端技術の教育への導入、EdTechビジネス支援などを目的としています。理研、産総研、NICTなど政府系の研究機関や外資系企業も交え、AI、VR、ブロックチェーンなどのワーキングを走らせています。特区などでビッグデータを用いた実装を望む声も高く聞かれます。



 この分野を代表するオールスターのかたがたの評議員コミュニティも形成しています。この評議員のみなさん教育とテクノロジーの問題に強い問題意識をお持ちで、こうした民間のオープンで強力なコミュニティを活かすとよいのではないかと思います。




 まとめると、超教育に向けたインフラ整備と先端改革を進めよう、ということ。
1.デジタル教育の環境整備 
2.スマート教育の環境整備 
3.超スマート教育の開発・実装
4.超教育プロジェクトの推進 ということになります。

 
 以上は石戸奈々子さんがプレゼンした内容です。
 これにぼくが3点、補足すると発言しました。


1. 政策プライオリティを上げていただきたい。
 この分野は重要だが、政策プライオリティは高くない。
 超教育協会の評議員リストをもう一度ご覧いただきたい。これはIT/スマート/AIで日本を代表するメンバー。自然にお集まりになった。皆さんとても熱心。日本でITやAIの大事なことを論ずるのに必要なかたはだいたい集まっていて、これからも増える。みなさんご存知のかた多いだろう。
 一方、文科省・総務省・経産省には教育IT系の会議が7-8個あるが、誰一人このメンバーは入っていない。石戸さんも私も含め。ITやAIの産学を代表する中心コミュニティと、教育IT政策は離れているということ。
 なぜだろうと思う。

2. インフラ整備に関し超党派議員立法はエンジンたり得る。
 「官民データ活用推進基本法」は議員立法で成立し、IT本部など政府がフル活用
し、データ政策はプライオリティが高く動いている。だが教育IT分野は霞が関にそういう動きが見られない。
 なぜだろうと思う。

3. AIやIoTは経産省などで予算をつけた実証などが行われている。それはいいが、細切れのバラまきに見える。これをやれば世界に勝てる、というところに骨太に集中投下するのがよいのではないか。
 AIは理研AIセンターに政府が資金を重点投下して研究開発を進めている。米中に張り合おうという国家的な気概はある。私はそのコーディネイターも務めている。
 しかし200人いる研究者で教育分野を掘り下げている人は見当たらない。金融、医療、自動走行、防災、観光、エンタメなどはたくさんいるのに。経産省系の産総研も総務省系のNICTも同様だと思う。教育分野がクローズドなので、切れてしまっているのではないか。
 なぜだろうと思う。

 
 
 委員から「教員はどうなるのか」という質問。
 知識の伝達は機械でもできるが、先生はファシリテーターやコーチングになっていく。また、企業人や社会人など外部の人材をもっと活用できるようにすべき(石戸)。
 一方、校務のIT化を進めて効率化を図り、先生の負担を減らすべき(中村)。
 と指摘しました。

 「長い間いろいろな議論をしてきたのに、かなり後れている。変わらないポイントはどこか」という質問。
 この分野に携わるようになって25年になる。資金の問題や現場の先生方が対応できないという問題など個別の問題はあるが、根本は過去の日本の教育が大きく成功していたからだと思う。アナログ時代の100年以上の日本の教育は、豊かな人材を出したという点で世界からもうらやまれるような成果を出した。その成功体験がITやAIで大きく変わろうとしていることへの不安感となって現れているのではないか(中村)。

 とはいえまだ大丈夫という意識が強い。韓国は2011年の時点でいち早くデジタル教育を導入しようとした。経済危機の危機感が強く、教育で大きく前進させようと舵を切った。
 2周おくれで一歩一歩では無理だという指摘があったが、中国もそれを狙っているのではないか。中国はデジタル教育で後れをとっている。だからこそ、一気にAIで、一歩一歩のステップを踏むのをやめて最先端に躍り出るという意気込みを感じる。これまで教育の変化を大きく成し遂げてきた国にはトップの強力なリーターシップがあったと認識する(石戸)。




 規制改革会議のような全省庁にまたがるパワフルな会議で教育IT問題を取り上げてもらえるのは、ありがたいことです。ぜひ改革を進めていただきたい。

2019年4月1日月曜日

規制改革会議での超教育論議(前編)

■規制改革会議での超教育論議(前編)
 内閣府規制改革会議にて、「超教育に向けたインフラ整備と先端改革を」と題してお話をしてきました。超教育協会石戸奈々子理事長と。



 2002年、情報社会の子どもの創造力・表現力を育むNPO CANVASを設立し、プログラミング学習などワークショップを全国で展開。当時、学校の壁は高く、課外学習からスタートしました。主体的で共同的で創造的な学びを集めたワークショップコレクションには2日で10万人が集まり、民間ニーズが高まったと実感します。



 2010年、学校教育の情報化を進めるためデジタル教科書教材協議会DiTTを設立。「1人1台の情報端末、教室無線LAN、全教科のデジタル教科書」の3点整備を掲げてきました。小宮山宏元東大総長が代表をつとめています。設立当時は、政府・学界からは時期尚早という批判も強くありました。



 さまざまな政策を提言し、それぞれ政府のIT戦略や知財計画などに反映もされてきました。2012年、デジタル教科書の制度整備も提言、法案も策定。その後、企業、自治体の動きも高まり、電波利用料を活用した環境整備も実現。そして6年かかり昨年、デジタル教科書のための法改正が行われました。プログラミング教育の必修化も政府方針となりました。



 国会でも超党派の「教育におけるICT利活用促進をめざす議員連盟」が結成されました。会長 遠藤利明衆議院議員、事務局長 石橋通宏参議院議員のほか与野党の大臣経験者はじめ83名が参加。私ども民間アドバイザーも作業に加わり、「学校教育の情報化の推進に関する法律案」を策定し、国会提出されました。
 デジタル教科書を正規化する閣法による制度整備と併せて、自治体が推進計画を策定・実施する等の総合的な施策によって、自治体に委ねられていた地方財政措置の活用が進むなど、学校教育情報化が大きく進展することが見込まれます。



 しかし日本の学校情報化は途上国のままです。小学校のコンピュータは5.6人に一台。10年前に7人に一台だったが、一人一台を目指すといいながらなかなか進みません。アメリカは10年前に3人に一台、日本は後進国と言っても過言ではありません。教室の無線LAN整備は34.4%にとどまっています。
 学校の中でも外でもコンピュータやインターネットを使う生徒の割合は、日本はOECD最低。
学校でコンピュータを使ってグループワークに取組む生徒はノルウェー82%、OECD平均45%、日本7.4%。学校の課題のためにネットを使う生徒はオランダ94%、平均86%、日本44%です。



 いますべきことは、デジタル教育の環境整備。デジタル教科書やプログラミングと言っても、PCやネットがなく、そもそも使えません。はやくEdTechにいきたいがまだ遠いと感じます。国は年1800億円の予算を措置しているが、地方交付税措置で、自治体が他の用途に流用しています。それを教育分野に振り向けるエンジンが弱い。前述した国会に提案中の「教育情報化推進法」の施行により、PC・ネットの整備を進めるのがよいと考えます。
 デジタル教科書も制度化されるものの、紙の教科書を前提とする仕組です。これら法律・ガイドラインを見直し、利用を促進すべきです。推進法案(11条)も、教科書制度のあり方について不断の見直しを行うとしています。現場の裁量で前に進めるよう仕組みを整えてもらいたい。



 次にすぐすべきことは、スマート教育の環境整備。自分の端末を持ち込んで使うBYODに向かう時期です。ようやく学校にスマホを持ち込むことを認める機運が見られますが、それを学習にも使えるように、学校ルールを改訂するよう政府が指導すべきです。また、BYODでどの端末でも学習できるようになるには、クラウドの利用と標準化が必要となります。
 そのクラウドはセキュリティが厳しく、学校をクラウドにつなげないという課題もあります。先生方の働き方につながる校務の情報化も進まず、未だファクス文化。クラウド利用はごく一部にとどまります。自治体ごとの条例やガイドラインを改訂すべきですが、国が指針を示し、学校のクラウド化を進めるべきです。
 デジタル教科書については著作権法も改正され整備しやすくされましたが、より重要な参考書、ドリルその他の教材は著作権処理が課題です。現在、DiTT等民間が著作権処理スキームを整備しようとしている。この動きを高めるのが現実的だと思います。
(つづく)