■AIと身体に関する2冊、ご紹介。
AIと身体に関する書物を2冊ご紹介します。
ピーター・スコット・モーガン著「ネオ・ヒューマン」。
運動ニューロン疾患と診断された科学者が脳をAIで補完しつつ肉体を機械に置き換えサイボーグと化す。アバター、音声合成、視線入力を通じバーチャルに生きる。
病に立ち向かうというより、それを機会として新生する、人類の未来を拓く挑戦の書。
肢体や臓器の機能が損なわれても、脳が働く限り、生命が維持される。
いやむしろ、脳がAIやロボットと直結することで身体は拡張し、活動の自由を得る。
その可能性を、科学者が自ら実践すべく突き進むプロジェクト。
筆者は肢体が動かず声を失った今も活躍中という。
この書物は肉体とITの融合という明るい未来をリニアに描くのではなく、エスタブリッシュメントとの断層、ゲイに対する圧力、ビジネスでの奮闘という筆者の苛烈な半生を並走させる。
そして本題のプロジェクト遂行も難航する。それを最後に七人の侍が突破する。
生き様の書です。
これまであきらめていたことが、テクノロジーを取り込むことで、反転して新しい未来がもたらされる、かもしれない。
でもそれは、旧弊と闘い、仲間を募り、資金を得て、発信し、という覚悟を伴う。
自分ごととして考えると、その気力、が続くかなぁ。という読後感です。
もう一冊。
ルイス・デルモンテ著「AI・兵器・戦争の未来」。
AI兵器の開発と人類の制御・管理を問う。
自律型兵器、全能兵器、自動操縦、AIインプラント兵士、その技術的・政治的シナリオ。
迫る現実であり、果てしない思考実験です。
つらつら考えました。
AIとナノテクが進化しすぎる。
自律型兵器の開発を禁ずる条約は、大国(米中)が共にメリットを見出す必要がある。
小国、少数民族、テロリストが新兵器を使う可能性が高まったときだろう。
つまりテクノロジーの民主化を抑制する必要が生じる事態を意味する。
テック民主化の抑制に対し、日本はどうする。
軍隊はSE化するだろう。
オペレーション部隊はAIに置き換わり、AIの開発・保守に大多数の人材をあてることになる。
投資銀行のように。
軍人の失業問題が厄介なことになりそう。
AI進化への反対は軍人が一番強い勢力になるかも。
本書は、シンギュラリティ後にAIを脳内にインプラントする兵士の大量出現を想定して、兵士がAIを制御するのか、AIが兵士を制御するのか、を論じている。
んなもんAIが兵士を制御する以外、軍事的インセンティブはなかろう。
それを望むのは誰か、という問いですな。
AIインプラントした人がAIシステムにアップロードするものは知識じゃなくて経験や感情。
それは新たな生命維持や再生なので、そっちはインセンティブがあるだろう。
シンギュラリティ後。その技術を見極めるまで生きる。
っていい目標だな。
巻末、防衛省の小野圭司さんによる解説。
安保の議論は専門家に留めてはいけない。
関西の阪神ファンはプロからおばちゃん、子供まで論評し、ガバナンスを保つという世論の効用「阪神ファンの応援心理」を説く。
本書で一番しっくりきました。







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