■Buenos 競争力・国際標準化メモ2
内閣官房知財本部の競争力強化・国際標準化調査会。
議論が熱くなっています。
まず、日本の研究成果が国際競争力に結びついていないという点。
2009年の日本の科学的インフラは世界第2位(米国第一位)。
しかし総合順位と産学連携力は世界17位にとどまります。
研究拠点に対し産業界からのコミットが得られていないことが課題として挙げられています。
つまり、産学連携の面で大学に対する関わりが弱いのですね。
これは仕組みや制度の問題とみるむきも多いのですが、私はこれは多分に大学側の意志の問題、大学が社会とどうありたいかの覚悟の問題ではないかと見ます。MIT、スタンフォードを経て日本のアカデミアに参加した私の率直な感想です。このあたりは以下のコラムに書いたところです。
会議では、第一の問題提起として、「国際標準化に向けた仲間作り」が挙げられています。
デジュール標準の国際標準化機関などの一国一票制度を採用する会議では、票獲得のための仲間作りをしないと標準化競争に勝てません。「欧州では欧州内の規格統一を目指す地域標準化機関が存在し、必然的に国際標準化における仲間作りがなされている」という指摘もありました。
開発の初期段階から海外との連携の作戦を練る必要があります。
標準化にも戦略が要ります。何でも標準化すればいいというものではありません。競争領域を残し、非競争領域のみを標準化することによって、市場の拡大と競争力の確保を両立することができるからです。
デジタルカメラでは、得意分野であるデジタルカメラの本体部分を競争領域として残し、ファイルシステムを非競争領域として標準化することにより市場を拡大したとともに、標準化当初は日本メーカは90%のシェアを確保しました。
「特許で守るだけでなく、特許を取らずクローズドにして稼ぐ戦略が重要」(東大渡部教授)、「権利化か、秘匿か。抱え込むか、オープン化か。という権利マネジメントが重要」(東大妹尾教授)。今回はこのオープンとクローズの戦略論が話題の中心となっています。まっとうな話になってきました。
国際標準化を担う人材の育成もテーマ。国際標準化活動の現場では、技術がわかるだけでなく技術交渉ができる人材が不可欠です。また、国際標準化会議の幹事国や議長・委員長など、標準策定に影響力をもつポストにつける人材が必要です。さて、それをどう育成するか。そもそも育成できるものなのか。
そして、国際標準化活動の支援。欧州や韓国ではデジュール標準以外の活動や人的ネットワーク作りのための活動も支援されていますが、日本ではフォーラムの活動や国際会議以外の他国との情報交換等の活動に対する支援は不十分。民間企業に余力がなくなり、外部効果の高いこうした活動には人材も資金も投下されないという市場の失敗が発生しています。中国や韓国はその間隙をぬって、対策に余念がありません。
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