■ Buenos MIT Media Lab 新ビルお披露目-2
会場で。
トッド・マッコーバー教授が私に言います。 「12年、長かったねぇ。」
ミッチェル・レズニック教授が私に言います。「12年、長かったねぇ。」
ほんとだよ。長かったよ。
98年当時、ヴェスト学長がこの建物に対し4つの原則を立てました。
透明性、学際の体現、プレイフル、柔軟性。
・ 外部にも内部にも透明であること。
・ 多様な文化を融合できること。
・ 愉快に創造する環境であること。
・ どんなに激しい変化にも対応できる施設であること。
「デジタルのおもちゃ箱」でも繰り返したとおり、私は当時のMedia Labの特徴を「2D2C」と捉えていました。
・Demo or Die。創って、見せること。論文より発明。
・多様性(ダイバーシティ)。専門も、発想も、表現も、出身も、企業の国籍も。
・創造性(クリエイト)。着想、構想、開発、表現。食事やジョークにさえ創造を求める。
・変化(チェンジ)。プロジェクトも、研究も、教授も。協調より、競争。
ヴェスト学長の認識と符合しますが、それを建築物として体現するのはとても大変。
99年ごろ、建物の企画会議が槇さんチームとMedia Lab教授陣とで繰り返し開かれ、私も何度か参加したのですが、教授陣からの要求がすさまじく、研究や教育にかける彼らの妥協なき覚悟を思い知りました。
当時、建物の企画を担当するチームのヘッドはビル・ミッチェル建築学部長とネグロポンテ所長。その下に、ニール・ガーシェンフェルト、トッド・マッコーバー、ミッチェル・レズニックの3教授が配置されていました。ガーシェンフェルトは物理・化学。Bit and AtomでいうAtom。ものづくり系。マッコーバーは音楽・映像など芸術分野。Bit。レズニックは教育分野。Okawa Center担当。Application。それら全てが融合しているのがMedia Labですが、このように、Bit , Atom, Applicationの3本柱で設計していたわけです。強靱な設計でした。
さて、今回オープンハウスで研究内容をチラ見してきました。
以前に比べ、メカニカル系が前面に出ています。ロボット、クルマ、義足など。
ビットからアトムに比重を移すことは、バーチャル空間で個人が勝負できる世界から、資金を投入してチームで開発する分野に力が入るということ。MITにとってはこちらのほうが本丸に近く、本領が発揮しやすいかもしれません。
石井裕教授が、「ビットの分野で、アカデミズムとしてGoogleに対抗できるのか。そこの見極めもある。」と話していました。ビットの分野は研究室を出て、西海岸のオフィスで製品やサービスと化し、今やそれを牽引しているのは世界中のユーザたち。ニール・ガーシェンフェルトやeInkを作ったジョー・ジェイコブソンのように、アトムに回帰ないし牽引することは自然なことかもしれません。
また、「アホ系」が見あたりませんでした。それが気になった。
ビル落成のお祝いだから背後に隠したんでしょうか。それともみんなマジメになったのかな?
アホ系とは、
・ 銃声がしたらその方向を探知し瞬時に撃ち返す戦場ロボット
・ DJ要らずの自動ターンテーブル機
・ しゃべる秘書ドア
・ 視線をコントローラにする(超むずい)ゲーム
・ アラームをストップしたらぴょんぴょん跳んでいってしまう目覚まし時計(イグノーブル賞)
みたいな。
そんなのが真剣に開発されていたところがMedia Labの魅力でもありました。
プレイフル。
なくなっちゃったかな? 隠してるのかな?
まぁいいや。アホ系は、日本でやるか!
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